ハライチ岩井 アニメ『耳をすませば』で懸念したことが実写版で起きた話

ハライチ岩井 アニメ『耳をすませば』で懸念したことが実写版で起きた話 ハライチのターン

ハライチ岩井さんが2022年9月29日配信のTBSラジオ『ハライチのターン!』ラジオクラウドで実写版『耳をすませば』の予告編を見た感想をトーク。アニメ版で感じていた懸念点が実写版で起きていると話していました。

(岩井勇気)ああ、そういえば、あれだよ。あれ、見た? 『耳をすませば』の予告。実写の。

(澤部佑)見てない。

(岩井勇気)俺の懸念してたことが起こってたんだよ。なんか、雫が……。

(澤部佑)俺、(アニメを)見てないからな。当たり前のようにキャラの名前を言ってきてるけど。女の子?

(岩井勇気)女の子。

(澤部佑)清野菜名でしたっけ? 前、言っていましたよね? 清野菜名と松坂桃李?

(岩井勇気)で、その雫が本が好きなんだけど。図書館で本を借りると貸し出しカードみたいなのがあるじゃん? 本に入ってるやつ。あれに全部、天沢聖司っていうのが一番最初に書いてあって。「これもこれも、全部天沢聖司に借りられてる!」って。

(澤部佑)そこまでは知ってるんだよ。

(岩井勇気)なんで?

(澤部佑)なんとなく(笑)。

(岩井勇気)で、とりあえず出会うんだけども。ちょっとなんか、いけ好かないやつなんだけど。知っていくと、ヴァイオリン職人になりたいっていうことで。自分でも弾けるんだけど。そのヴァイオリン職人を目指していて……っていう。で、それに比べて自分も小説をやってみようかな、みたいな感じになるっていう話なんだけど。それで俺、「これ、雫が大人になったらこじらせるんじゃないか?」って言っていたじゃない?

(澤部佑)ああ、なんか言ってたね。

(岩井勇気)「こじらせる感じのルート、たどってるな」って俺、思っていて。「人と違うことだけを追い求める人間にならないといいな」って。

(澤部佑)ああ、言ってたね。

(岩井勇気)そう。で、予告を見たの。それで俺、なんでそんなことを言ったかっていうと、なんか天沢聖司は結構昔からちゃんと、真剣にそのヴァイオリンを作る人になろうっていうのでずっとやっていて。その本とかも全部借りられてぐらい読んだりして。それって、すごいじゃん?

(澤部佑)まあ、そうだね。

(岩井勇気)それで最終的には海外に渡るんだよ。で、恋仲になるんだけど、離れ離れになるみたいな。

(澤部佑)ああ、そうなんだ。

(岩井勇気)そうなっちゃうんだけども。なんかその天沢聖司はもう、中学生の中でもそれはもうさ、ずば抜けてるじゃん? そんなことをしているなんて。

(澤部佑)まあ、そこまで固めて頑張ってるやつはなかなかいないよね。

(岩井勇気)で、なんか恋仲みたいな感じになるんだけど。で、雫は「私も自分のやりたいことを……」みたいな。でも、その「私も」の感じ。これを天沢聖司と同レベルに考えてないか?っていう風に俺は思っちゃうの。わかる? 天沢聖司からしてみたら「いや、全然タメじゃないよ?」みたいな。

(澤部佑)「一緒にしないでくれよ?」ぐらいの感じだけども。

(岩井勇気)って、なりそうなもんじゃない? なんか。でも、そんなことは言わなそうなやつなのよ。だからそう考えると、天沢聖司はどんどんすごくなっていく感じはするんだけど。雫はどうなるんだろう、みたいな。それでこれ、及ばなかった時にすごい劣等感を抱えるようになると思うの。で、まあ大人になって。「自分らしいこと、自分らしいこと」って追い求めていって。それで結局、人と違うことだけを求めるようになるんじゃないか、とか。あと、すごい自己肯定感みたいなのが下がった感じで。その状態で付き合っていると、「この人はこんなに頑張ってる活躍してるのに、私は……」みたいになってくると、これね、傾向から言うと、結構メンヘラになる可能性あるんだよね。わかる?

(澤部佑)ああ、どんどん自信なくなっていって。

(岩井勇気)「いや、私なんか……」って。別に天沢聖司的には、男的には全然卑下する感じで言ってないのに「また、そうやって私を……」みたいな感じになってくると、「いや、もう、いいって!」ってなるじゃん?

(澤部佑)こっちもね。天沢聖司も。

(岩井勇気)そう。「そんなの、思ってないって!」ってなるじゃん?

(澤部佑)「いや、そういう意味じゃないじゃん」って。

(岩井勇気)そう。俺はこれを懸念してるの。ずっと。なんかアニメの『耳をすませば』に対して「こういう風になる未来が見える!」ってずっと思ってたの。

(澤部佑)お前だぞ。一番こじらせてるのは。

(岩井勇気)フフフ(笑)。いや、俺はそれを思っていたの。そしたら実写映画の予告で……雫は大人になってるわけ。

(澤部佑)それはアニメでは描かれてない部分?

(岩井勇気)全く描かれてないよ。大人になってないからね。で、実写では大人になってて。それで予告で見たんだけども。雑誌社か出版社かなんかに勤めていて。営業かなんか、やらされているのかな? 毎日、仕事で。それがやりたい仕事なのか、やりたくない仕事なのかわかんないんだけど、仕事に明け暮れていて。「聖司くん、あんなに活躍してるのに私は何者にもなれない……」みたいなことを言ってるわけ。「うわっ、こうなっちゃっているんだ! 俺はこれを懸念してたんだよ!」って。

(澤部佑)「懸念してた」。

「俺はこれを懸念してたんだよ!」

(岩井勇気)「こうなっちゃうんじゃないかと思ってたんだよ! もう、なっちゃってるじゃん!」っていう感じだったね。

(澤部佑)それを強く思ったの?

(岩井勇気)思った。「うわっ、なってる!」って。

(澤部佑)いや、まあまあ、でもそこからでしょう? だって、物語は。そこから変わってくるんじゃないの?

(岩井勇気)わかんないよ。実写映画、まだ公開されてないから。

(澤部佑)いや、その「私なんて……」のままでは終わっていかないでしょう?

(岩井勇気)メンヘラ女子になるストーリーだよ。

(澤部佑)そこからさらに落ちていく様を? そんなの、描かないだろう?

(岩井勇気)なんていうか、「メンヘラ」っていう一言で片付けたらあれなんだけども。なんか、「卑屈」じゃないけども。マイナス思考っていうか、ネガティブになっていっちゃうんだよな。

(澤部佑)まあ、でも現代社会で多いんだろうね。やっぱり、同じような人が……そこに向けてのあれもあるんだろうね。まあ、見てみないとな。いつ公開だろう?

(岩井勇気)「何者にもなれていない」って思うっていうのが、わかんないんだよね。

(澤部佑)それって、相当だよね。

(岩井勇気)同じ人間なんて、1人もいないんだよ。

(澤部佑)ああ、公開は10月14日。もうすぐなんだ。そうか。でも、比べちゃうんだよな。

(岩井勇気)『コジコジ』って、見たことある?

(澤部佑)うん。ちょろっとしかないけど。

(岩井勇気)その1話で言ってるんだけど。学校で先生が「コジコジは何になりたいんだ?」って言うの。すると「コジコジはコジコジだよ。何になるとか、ないよ」って言うんだけども。これに集約されてると思っていて。

(澤部佑)すげえ……。

(岩井勇気)さくらももこってすごいよ。

(澤部佑)すごいよね。

(岩井勇気)そういう感じになっているんだろうなって。映画の予告を見て。

(澤部佑)予告を見て「もうーっ!」ってなったの?

(岩井勇気)「言ったじゃーん!」って。

(澤部佑)「言ったじゃん」ってなによ(笑)。誰にだよ?

(岩井勇気)「雫、言ったじゃん!」って。

(澤部佑)雫に言ったの? 雫にはそれは伝わってないから。

(岩井勇気)だからなんか、その付き合うにおいて相手と自分を比べてはいけないもんだと俺は思うんだよ。

(澤部佑)ああ、そうね。それはそうだよね。

(岩井勇気)だって天沢聖司は雫が仕事で活躍してるから好きなわけじゃないじゃん?

(澤部佑)まあ、そうだね。そもそも学生時代からなんだから。

(岩井勇気)そういうことを求めているわけじゃなくて、雫を求めてるのに。でも、そう思っちゃうんだよね。劣等感を抱えちゃうと。

(澤部佑)それがわかんなくなっちゃうんだな。いや、雫の気持ちもわかるけどな。

(岩井勇気)「そうならないでほしいな」っていう感じだったな。

(澤部佑)それを解決するというか。それが、映画の中でたぶんなくなるんだろう? 素晴らしい、大人として人間としての成長を見せてくんでしょう? たぶん、雫がまた。

(岩井勇気)それで、なんかやりたいことで成功してそれが解消されるっていうストーリーだったら、ちょっと違うと思うんだよ。なんか「考え方が変わった」っていう結末だったらいいけど。

(澤部佑)考え方が変わって、同じ仕事を前向きに頑張れてたら。

(岩井勇気)そう!

(澤部佑)なるほどね。終わりはどうだろうな?(笑)。必見だな。

(岩井勇気)そうなんだよな。

(澤部佑)そうはならなさそうかな?

考え方が変わり、前向きに仕事に取り組める結末がいい

(岩井勇気)でもそれってさ、「やりたい仕事ができるようになって、よくなった」とかさ、「対等に付き合えるようになった」とか、「仕事が成功した」とかってさ、それは「そうじゃなかったらダメだ」っていうメッセージになっちゃうじゃない?

(澤部佑)うん、そうね。だし、仕事の面でもしそれで終わっていっても、絶対に別の面でその子はそういう風に思っちゃうだろうしね。生活の中でも。

(岩井勇気)だって、天沢聖司は海外に渡ったりしているんだよ? で、海外の概念というか。そういうのってさ、違うじゃない? だから、ちょっと言ったりするだろうね。「ああ、日本はそうか。日本はこうなんだ」とか。それをちょっとでも言おうものなら……。

(澤部佑)そうね。「あれ? そうか。ヨーロッパではそれ、あんまりないけどな」って雫の前で言っちゃって(笑)。

(岩井勇気)それ、でめっちゃ気遣うんだよ? そのパターンって。天沢聖司。

(澤部佑)ああー、しんどいだろうな。聖司。

(岩井勇気)「一言一言に傷つく可能性があるな」と思いながら付き合わなきゃいけないって。

(澤部佑)それはいつか、爆発しちゃうね。

(岩井勇気)「知らないよっ!」って(笑)。

(澤部佑)フハハハハハハハハッ!

(岩井勇気)「知らないっ! お前が悪いんだろっ!」って(笑)。

(澤部佑)だから、そういうシーンもあるかもね。天沢聖司が爆発するね。

(岩井勇気)「知らないよっ!」って。

(澤部佑)「俺はお前の何なんだよ! なんで気を遣わなきゃいけないんだよ!」って。

(岩井勇気)「気を遣わせてるっていうことを、感じたことはないのかよ、お前は!」って。

(澤部佑)それ、予告では流れてなかった?

(岩井勇気)そこは流れてなかったね。クライマックスかもな。ブチギレるのかもな(笑)。

(澤部佑)なんなの? 雫、姪っ子なの? すごい親身に考えてるけど。

(岩井勇気)で、なんか、めっちゃ能天気で楽な、地方ヤンキー女子みたいなのと天沢聖司、付き合ってな(笑)。「えー、ヴァイオリン、すごーい。なんかちょっと弾いてよ。弾いてよー」って簡単に言ってくる感じ(笑)。

(澤部佑)「あいみょん、弾いてよー」って(笑)。

(岩井勇気)「えっ、あいみょん、弾けるじゃーん! すごーい。好きー!」って(笑)。

(澤部佑)で、聖司もすごい楽になっちゃってな(笑)。

(岩井勇気)「ああー、そうだよねー。いいよねー」って(笑)。

(澤部佑)ああ、それはそれで素敵だね(笑)。素敵な愛だよな、それも。

(岩井勇気)で、なんか「知ってんの? 弾けないの?」とかって。それで『カントリーロード』を……。「あ、知ってるー。『ひとりぼっちー、おそれずにー♪』でしょ?」って。そのシーン、あるんだよ。それでシューッてなって。雫が弾いて歌うんだよ。

(澤部佑)切ない! ヤンキー女子に雫がすり替わって?

(岩井勇気)で、パッと天沢聖司が止まって。「えっ、どうしたの? もっと弾いてよ」とか言われて。

(澤部佑)うわっ! 「あ、ああ……」って?

(岩井勇気)「いや、今日はもう、寝よう……」って。

(澤部佑)ああ、切ない。思い出しちゃった。ヤバいじゃん、雫。どうすんの? そのまま行ったら雫、ヤバいじゃん?

(岩井勇気)雫、ヤバいね。で、雫は雫で居心地のいいヒモ男と付き合うかも(笑)。

(澤部佑)フフフ(笑)。結局、そういうことなんだな。そうか。

(岩井勇気)とにかく自分を求めてくれて。「雫ちゃんはそれでいいんだよ」だけ言って。お金をちょっと請求してくるみたいな。

(澤部佑)それで雫は雫で楽になるんだな。いや、それはだって救いがないよ。ちょっと雫サイドが。雫サイドの救いが……。

みんなが思う幸せの形じゃなくていい

(岩井勇気)いや、でもそれが救いっていうパターンもあるよ? 別に。それで幸せなんだから。幸せの形は別にさ、そのみんなが思う幸せの形じゃなくていいじゃん。

(澤部佑)映画なんだから、みんなが思う幸せの形じゃないとダメだよ(笑)。

(岩井勇気)フハハハハハハハハッ! 大炎上するんだろうな。それ、実写でやっていたら。実写だし、そんな風にするし……っていうんで(笑)。

(澤部佑)まあ、そうね。猛烈な支持者も出てくるだろうけどね。

(岩井勇気)「そうだよなー」って。

(澤部佑)「いや、人生って、そうだよ」って。

(岩井勇気)だからその中学校の頃の刹那を描きたかったんだろうけどね。アニメの『耳をすませば』は。

(澤部佑)ああ、なるほどね。中学だもんね。

(岩井勇気)でももう、行く末で胃もたれしちゃうよ。

(澤部佑)でも、見るは見るでしょう?

(岩井勇気)実写、見ないかもな。

(澤部佑)ええっ? 俺は見よう。ここまで来たら。俺は見るよ。絶対に。10月14日ね。

<書き起こしおわり>

ハライチ岩井『耳をすませば』が苦手な理由を語る
ハライチ岩井さんが2022年8月25日放送のTBSラジオ『ハライチのターン!』ラジオクラウドでジブリ作品についてトーク。『耳をすませば』だけが苦手な理由を話していました。
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