高橋芳朗 BLACKPINK『Born Pink』を語る

高橋芳朗 BLACKPINK『Born Pink』を語る アフター6ジャンクション

(高橋芳朗)ここでちょっとサウンドのバリエーション別に3組ほど、主だったところ。めぼしいところを紹介したいと思うんですけど。そ結構、普段欧米のポップミュージックを聞いてる方にも親しみやすい曲だと思います。まずですね、5月にBTSが所属するハイブからデビューした5人組のLE SSERAFIMの『FEARLESS』という曲です。

これ元HKT48の宮脇咲良さんをはじめ、去年4月に活動停止をしたK-POPガールグループIZ*ONEに在籍していたメンバー2人を含むグループで。宮脇さんを含めて日本人メンバーも2人、いるんですよ。カズハさんっていう方もいらっしゃったり。で、この彼女たちのデビュー曲はもう結構ボトムが効いたファンクなんですよ。じゃあ、ちょっと聞いてもらいましょうか。LE SSERAFIMで『FEARLESS』です。

LE SSERAFIM『FEARLESS』

(高橋芳朗)LE SSERAFIMで『FEARLESS』を聞いていただいております。

(宇多丸)このメインループ、かっけー! なんだ、これ? ちょっとでも、ファンクだけどもさ。ちょっと似た曲が思いつかないっていうか。なんか、これはすごい。渋い、このボトムの低いベースで……よくぞ。かっこいいっすわ。

(高橋芳朗)しびれますよね。

(宇多丸)すげえかっこいい!

(高橋芳朗)では、続いては8月にデビュー作をリリースした5人組ですね。NewJeansの『Hype Boy』を聞いてもらいたいと思います。今、聞いてもらったLE SSERAFIMが所属するハイブに新たに立ち上げられたADORっていうレーベルの新人グループで。まだメンバー全員10代で。平均年齢17歳なんですよ。で、このNewJeansにいたってはかつてのTLCみたいなY2Kファッションに身を包んでですね、90年代のR&Bにインスパイアされたっていう。

(宇多丸)ああー、へそ出してますねー。

(高橋芳朗)90年代R&Bっぽい結構メロウなサウンドを打ち出してます。じゃあ、ちょっと聞いてください。NewJeansで『Hype Boy』です。

NewJeans『Hype Boy』

(高橋芳朗)はい。NewJeans『Hype Boy』聞いていただいております。

(宇多丸)うん。でもなんか、ファッションとかは90’sだけども。ちょっと今のアンビエント感もあるような。

(高橋芳朗)めっちゃおしゃれで。

(宇多丸)落ち着いた……めっちゃくちゃいい曲だね。いや、すげえいい曲だと思うよ。

(高橋芳朗)とんでもないクオリティーだと思いますよ。

(宇多丸)とんでもないクオリティーですよ! これはすごい。

(高橋芳朗)これ、少女時代とかを手がけた敏腕ディレクターのミン・ヒジンっていう方が全面プロデュースしてて。韓国でガールグループのデビュー作のセールス記録を更新したんですね。それでめちゃくちゃ話題になっています。

(宇多丸)なんかさっきのLE SSERAFIMの曲もそうだけどさ。なんか、盛り上げすぎない音頭感がちゃんと保てていて。すごいかっこいいね。クール。かっけー!

(高橋芳朗)かっこいいですよね。ちょっとEPまとめて聞いていただきたいんです。ミュージックビデオも最高なんで、そちらも合わせてぜひ。で、3組目は去年12月にデビューした6人組のIVEですね。彼女たちが8月にリリースした最新シングル『After LIKE』という曲を聞いてもらいたいと思います。この曲は90年代ハウスのエッセンスがあるディスコっていう感じですね。で、ディスコクラシックのグロリア・ゲイナーの1978年のヒット曲『I WILL SURVIVE』のサンプリングをしつつ、サビの展開はフランキー・ナックルズの傑作ハウスリミックスでおなじみ、トニ・ブラクストンの『Un-Break My Heart』を彷彿とさせる結構熱い仕上がりになっております。

(宇多丸)なんですと! 前回のトレンドともちょっとシンクロしているっていうかね。

(高橋芳朗)そこにつながる作品としても楽しめると思います。IVEで『After LIKE』です。

IVE『After LIKE』

(高橋芳朗)IVEで『After LIKE』を聞いていただいております。

(宇多丸)おっしゃる通り、ちょっとオールドスクールハウス風味なんかもありつつ。でも、これはちゃんとアイドルっぽいストレートなキュートさもあって。こういうグループもこれはこれでいて、ほっとしました。LE SSERAFIMとかNewJeansがもうさ、「クール! ヤベえな!」みたいな。だから、ちょっと安心するアイドルっぽさもあって。どっちもいいっていうか。そんな感じですね。

(高橋芳朗)これ、『I WILL SURVIVE』のサンプリングのクリアを取るのに半年前から交渉してみたいです。

(宇多丸)じゃあ、なんか時流をちゃんと先読みしてるというか。

(高橋芳朗)まさに。時流を読むセンスが素晴らしいですね。

(宇多丸)でもなんか、なんていうの? この使い方だとちょっとチャラディスコっていうか、チャラハウスっていうか。その感じもあってさ。それがまた、いいよね。

(高橋芳朗)アメリカのビルボードでも絶賛されてました。

(宇多丸)これはね、チャラいディスコで聞きたいですよ! チャラ気分全開でいきたいですね、これは。いや、いい。どれもいい!

(高橋芳朗)だからそういう感じで、BLACKPINKの流れでK-POPのガールグループのサウンドの傾向ざっと紹介してきたわけですけど。今、K-POPに限らず欧米のポップミュージックも含めて、音楽的にちょっと過渡期にあるのかもしれないなっていう気はしますね。

(宇多丸)たしかに。さっきおっしゃってたトラップ的な、みたいなのも別にあるし。もうなんか、ひとつの定番的な型としてさ、いろんな曲の中に遺伝子としては入ってるけど。なんかそういう意味では普通になってるっていうか。だからその先、新鮮味を出すには何か?ってところで。

(高橋芳朗)そう。いろんな音が出て、バリエーションが出てきてるっていうところで。それが結果として、こういうスタイルウォーズ的な面白い状況を招いてるところもあると思います。

(宇多丸)でもなんかちょっと、だから今までにない方向でかっこいい曲とかがいっぱい出てるから。すごくいいと思います。さっきのLE SSERAFIMとか、びっくりしました!

(高橋芳朗)LE SSERAFIMね、10月。来月にカムバックするんで。昨日、トレーラーが公開されてますけど、それもめっちゃしびれるぐらいかっこよかったです。ぜひ、ご期待ください。

(宇多丸)ヤバいっすね!

(高橋芳朗)そんなところでしょうか。

(宇多丸)ということでBLACKPINKの新譜を中心に、その最新のK-POPガールグループの傾向まで聞けて。非常に勉強になりました。

(宇垣美里)超かっこいいんだもんな!

(宇多丸)ヤバい、ヤバい。LE SSERAFIMのレベルの高さにちょっと……。

(高橋芳朗)LE SSERAFIM、アルバムも最高なんで。他にもめちゃくちゃかっこいいディスコナンバーとかもあるので、聞いてください。

<書き起こしおわり>

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