高橋芳朗さんがTBSラジオ『ジェーン・スー生活は踊る』で父の日に向けて、父と娘のデュエットソングを特集していました。
(ジェーン・スー)というわけで、今日のテーマをお願いします。
(高橋芳朗)今日はですね、6月19日の父の日を前に、こんな企画を用意いたしました。父の日に贈る、父と娘のデュエットソング。まあ、そもそもね、親子デュエットがそんなに数、ないんですよ。で、父と娘に限ると本当にごくわずかなんですけども。そんな中から、決定的な2曲をご紹介したいと思います。親と歌ったことってあります?
(ジェーン・スー)歌を? ないでしょう。
(高橋芳朗)ないよね。
(ジェーン・スー)母親と、たとえばなんか『汽車ぽっぽ』とかそういうのは……
(高橋芳朗)子供の頃でしょ?
(ジェーン・スー)父親とは、ないねえ。堀井さんは?
(堀井美香)ないないない。
(高橋芳朗)ないですか?
(ジェーン・スー)娘さんと一緒に、こう……
(堀井美香)あ、娘と息子とはもちろんありますね。
(ジェーン・スー)どんな風に歌うんですか?
(高橋芳朗)それは子供の頃ですよね。いまは無いですよね?
(堀井美香)そうですね。
(ジェーン・スー)カラオケに行ったりとかは?
(堀井美香)ああ、ありますよ。
(高橋芳朗)デュエットします?
(堀井美香)デュエットはしないですね。息子と? 気持ち悪いですよね。
(高橋芳朗)(笑)。「気持ち悪い」ってことはないじゃないですか。
(ジェーン・スー)息子と、「わすれて~、いいのよ~♪ 私の、ことな~ど~♪」……
(高橋芳朗)選曲、おかしいでしょ(笑)。
(ジェーン・スー)やんないの?
(堀井美香)変ですよね。はい。
(高橋芳朗)まあ、じゃあ行っていいですか?
(ジェーン・スー)(笑)。ちょっとかき乱しちゃった?
(高橋芳朗)はい。1曲目はですね、お父さんナット・キング・コール(Nat King Cole)と娘さんナタリー・コール(Natalie Cole)。この親子の『Unforgettable』。1991年の作品ですね。
(ジェーン・スー)これは当時、めちゃくちゃ、どこに行ってもかかっていた。
(高橋芳朗)これは、ボロ泣きしませんでした?
(ジェーン・スー)で、ビルボードもずーっと(チャートに)入ってなかった?
(高橋芳朗)当時、アメリカでアルバムが700万枚売れたという。
(ジェーン・スー)ひえーっ!
(高橋芳朗)で、グラミー賞でも最優秀レコード賞と最優秀楽曲賞。主要部門2部門とっていまして。あれなんですね。お父さんのナット・キング・コールが1961年に、生前に残した録音にナタリー・コールが後からかぶせて。それでリリースしたものなんです。
(ジェーン・スー)で、すごい当時の技術としては画期的だったんですよね。
(高橋芳朗)まあ、そうですね。で、これがヒットしたことによって、これ以降、擬似デュエットっていうんですかね。そういう亡くなったレジェンドの生前の録音を使って、それに新たな音源をかぶせてリリースするっていう手法が割と一般化していくんです。
(ジェーン・スー)これが走りですよね。
(高橋芳朗)走りですね。
(堀井美香)全然違うと申し訳ないんですけど、「タンタンタタターン♪ タンタンタンターン♪ ハァ~♪」って?
(高橋・スー)(笑)
(高橋芳朗)別にかける前に確認しなくてもいいと思うんですけど(笑)。
(ジェーン・スー)堀井さん、音程は違っていたけど、たぶんそれ。「タンタンタタターン♪」。
(高橋芳朗)(笑)
(ジェーン・堀井)「タンタンタンターン♪ ハァ~♪」(笑)。
(高橋芳朗)「ハァ~♪」なんていうパートはないよ。ある? あ、ある?
(ジェーン・スー)そうそうそう。それでね、違いを聞いてほしい。
(高橋芳朗)『Unforgettable』の歌詞って「あなたのことが忘れられない。あなたは私の心に永遠に生き続ける」みたいな、まあラブソングっていうかもっと広義の意味での愛みたいな印象があった曲なんですけども。この2人の、コール親子のバージョンがヒットしたことによって、余計になんかそういう色合いが濃くなったかなというか。大切な人を偲ぶ曲というか。故人を偲ぶ曲というか。そういう曲として認知されているんじゃないかなと思います。じゃあ……
(ジェーン・スー)ちょっと待って下さい。堀井さん、どういう曲でしたっけ?
(堀井美香)「タンタンタタターン♪ タンタンタンターン♪」。
(高橋・ジェーン・堀井)「ハァ~♪」。
(高橋芳朗)じゃあ、聞いてみましょうか。答え合わせに。ナタリー・コールとナット・キング・コールで『Unforgettable』です。
Nat King Cole&Natalie Cole『Unforgettable』
(高橋芳朗)はい。ナタリー・コールとナット・キング・コールのデュエットで『Unforgettable』を聞いていただきました。もうなんかね、時間の流れがゆっくりになるような、本当に素敵な曲ですけども。
(ジェーン・スー)ねえ。堀井さんの歌った通りの曲ですね。
(高橋芳朗)(笑)
(堀井美香)はい。これですよ。私が言っていたのは。
(ジェーン・スー)これですよね。あの、伝言ゲームの最後の方の人みたいな感じで。
(高橋芳朗)(笑)
(ジェーン・スー)それぐらいの間違いはあったけど、まあまあまあ、こんな感じで。でも、いま聞いても色あせない名曲ですね。
(堀井美香)私、絶対に2人で一緒に歌っているんdなと思っていました。当時、聞いている時。
(高橋芳朗)ああ、別のレコーディングです。もう親父さんが亡くなった後に録ったバージョンになります。あと、あんまり知られてないかもしれないですけど、ナタリー・コール、この後もね、3、4回、この擬似デュエットをやっているんですよ。お父さんと。
(ジェーン・スー)そうなんだ。『Pink Cadillac』くらいしか知らないからな。
(高橋芳朗)(笑)。それ、もっと古いですから。
(ジェーン・スー)そっか。
(高橋芳朗)じゃあ、CMを挟んでもう1曲。父娘のデュエットを聞いてもらいたいと思います。
(中略)
(ジェーン・スー)今日は父の日に贈る父と娘のデュエットソングと題してお送りしています。
(高橋芳朗)はい。じゃあ続いてお送りしますのは、こちら。フランク・シナトラ(Frank Sinatra)とナンシー・シナトラ(Nancy Sinatra)親子の『Something Stupid』。日本語タイトル『恋のひとこと』。1967年の作品になります。もう、カバーバージョンがいっぱい出ていますね。デュエットソングの定番と言っていいと思うんですけども。マーヴィン・ゲイ(Marvin Gaye)とタミー・テレル(Tammi Terrell)だったり、ロビー・ウィリアムス(Robbie Williams)とニコール・キッドマン(Nicole Kidman)だったり。
(ジェーン・スー)ああー。そんなのあったっけ?
(高橋芳朗)あと、日本だと大瀧詠一さんと竹内まりやさんとか。細野晴臣さんとアン・サリーさんとか。もう枚挙にいとまがない感じなんですけども。だからデュエットソングの定番になっていることからもわかるように、親子で歌うような曲ではないんですよ。割とスイートな、甘いラブソングだったりするんですけど。でも、そこはやっぱりさすがシナトラというか。娘と歌っても、ちゃんと様になっているんですけども。で、歌詞がね、この曲はめちゃめちゃ洒落ているんです。
(ジェーン・スー)はい。
(高橋芳朗)タイトルの『Something Stupid』は「つまらないこと」みたいな意味になるんですけど。恋人に気の利いた言葉でかっこよく自分の思いを打ち明けようとするんだけど、いざとなると「I Love You」みたいな、誰もが口にするありきたりな「Something Stupid(つまらない言葉)」しか言えなくなっちゃうんだよねっていう。そういう歌詞になっているんですけど。
(ジェーン・スー)はい。
(高橋芳朗)で、この曲はキモが、終始ユニゾンで歌われている男女デュエットなんです。ユニゾンっていうのは最初から最後まで、男女2人で全く同じ歌詞を歌っていくんですね。
(ジェーン・スー)コブクロみたいな感じだよね。
(高橋芳朗)ん?
(ジェーン・スー)コブクロみたいな。
(高橋芳朗)(笑)。たとえとしてどうなのか、わかりませんけども。
(ジェーン・スー)いやいや、でもそうじゃん。「さーくらーのはーなびーら♪」って……ゆずもそうか。
(高橋芳朗)荒らすねえ(笑)。
(ジェーン・スー)あ、ごめん。いや、リスナーのみなさんにわかるようにと思ってさ。
(高橋芳朗)(笑)。違う違う。だから、男女2人ともこの同じ歌詞をなぞっているっていうことは、お互いがその気持ちを心の中に抱えて……っていう、甘酸っぱいシチュエーションですよ。
(ジェーン・スー)深読みヨシくん!
(高橋芳朗)(笑)。胸キュン度を上げる聞き方としてね、こういう設定を頭の中で描いて聞いていただければと思います。はい、じゃあ聞いてください。フランク・シナトラ&ナンシー・シナトラで『Something Stupid』です。
Frank & Nancy Sinatra『Something stupid』
(高橋芳朗)フランク・シナトラとナンシー・シナトラのデュエットで『Something Stupid(恋のひとこと)』を聞いていただきました。ナンシー・シナトラはですね、『It’s For My Dad』っていうお父さんに捧げた曲も別にありますんで。これとセットでね、父の日にプレゼントしたりするのも素敵なんじゃないかなと思います。
(ジェーン・スー)6月19日ですよ。みなさん、お忘れなきよう。メールをいただいておりますよ。大分県別府市の53才男性の方です。「『生活は踊る』、選曲が本当にいいですね。仕事をしながらふと流れてきた曲で幼い頃の記憶の扉が開いて、温かい気持ちになったり弾んだ気持ちになったり。安心して曲に身を任せられる稀有な番組です。高橋芳朗さんに大感謝です」。
(高橋芳朗)ありがとうございます。
(ジェーン・スー)稀有。
(堀井美香)稀有!
(高橋芳朗)稀有。
(ジェーン・スー)DJ稀有!
(高橋芳朗)(笑)。ふざけすぎでしょ! なに? DJ稀有って?(笑)。
(ジェーン・スー)いや、稀な曲ばっかりかけるっていう。そんなことないか?
(高橋芳朗)レアな曲ばっかりね。
(ジェーン・スー)そうそうそう。さあ、というわけでヨシくん、来週、どうするんですか?
(高橋芳朗)来週はウェディングソングです。
(ジェーン・スー)おっ、ジューンブライド。ジューンブライドソングなんか、あったかな? ちょっといろいろ探してみたいと思いますので。では、来週またお待ちしております。ヨシくん、ありがとうございました。
(高橋芳朗)ありがとうございました。
<書き起こしおわり>