宇多丸さんが2023年1月31日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』で亡くなった鮎川誠さんを追悼。鮎川誠さん楽曲を1曲、紹介していました。
(宇多丸)ちょっと、また訃報が来ちゃって。どうしても曲もかけたいんで、ちょっとだけお話させてください。この間、高橋幸宏さんがお亡くなりになって。それで私の思い出と、1曲かけて……ということをやったばかりなんですが。ちょっとそれとも近いところで、また我々世代にとってのヒーローがお亡くなりになってしまったという件で。
メールもいただいてるんで。「昨日のアトロクを心待ちにしていた数分前、スマホを何気なく見ていたらシーナ&ロケッツの鮎川誠さんが亡くなったという悲しい知らせが届き、アトロクが始まった時は呆然として冒頭何分間かは上の空状態になっていました。日本が誇るロックギタリストで、その存在感は圧倒的ながら、朴訥とした博多弁の親しみやすさもあり。たまたま鮎川さんが暮らしていた下北沢で何度か遭遇し、何の面識もないのに話しかけてしまったのですが、ものすごくフランクに話をしていただいた上、レコード袋を持っていたので、それについて聞いてくれたり。
雑談をしながら某中古レコード店までご一緒していただくという、ファンにとってはたまらない時間を経験させていただき、その思い出の中の鮎川さんの温かさが頭の中でぐるぐるとめぐっております。先に天国に行っていた愛妻のシーナさんのもとへ行けたのかと思えば、悲しみも少しは和らぐかなと無理やり納得させようとしてますが、やはりショックが大きく、悲しい。亡くなったことを聞いて、大好きな音楽家は数多いれど、ロックの人の中で一番好きな人だったんだと気付かされました。どうか安らかに」という。これ、素晴らしい思い出ですね。
(宇垣美里)ねえ。
(宇多丸)鮎川誠さん。奥様のシーナさんと一緒にシーナ&ロケッツ、1970年代末からずっと……もうずっと、途切れなく活動されていて。私がここでね、説明しきれるようなキャリアではないんだけど。福岡のフェスでサンセットっていう、本当に海辺沿いでやるフェスに我々、いつも出させていただいていて。そこでいつも、ご一緒していて。元々、福岡のグループですから。
で、鮎川さん、そんなに話しこんだとかじゃないけど、ご挨拶したりとか。ちょっとだけ……なんていうか、海の家が控室で。出演者同士が結構ざっくばらんにいる感じというか。
(宇垣美里)お食事をしたりとか。
フラットに接してくれた鮎川誠さん
(宇多丸)そうそう。で、やっぱりもうまさにこの方がおっしゃる通り、あのまんまの鮎川誠さんで。本当にフラットに接してくださる方で。「RHYMESTER、ええよ」みたいな感じで。だから、なんかね、そこまで僕は親しくさせていただいたあれじゃないんで、偉そうには言えないんですが、メールのこの感じはすごくわかりますし。そうですね。でも本当にあまりにもお早いというか。74歳でお亡くなりになってしまったということで。
ちょっと昨日も、実はRHYMESTERでスタジオに入りながらMummy-Dとも「俺らの世代のヒーローが次々と、こんなに立て続けに亡くなって。なんかすごく寂しい」って。だし、やっぱり僕は「ぽっかり」っていう感じかな? 「ずっといてくれると思ってた」みたいな。
特にね、鮎川さんなんか、そういう感じがありますよね。ずっと佇まい、変わらないし。そうなんですよ。ねということでぜひ、ですねここでシーナ&ロケッツの曲をかけたいと思います。いろんな曲ね、『レモン・ティー』とか『ユー・メイ・ドリーム』とか、あると思いますが。私はこれを選びました。1979年、セカンドアルバムの『真空パック』。これ、YMOメンバーの全面サポートアルバムでございまして。特に私が選んだ曲はクリス・モスデルさん作詞。そして作曲は高橋幸宏さん。
まさにYMOシフト。亡くなった高橋幸宏さんの曲でもあって。いわゆる「YMOレゲエ」と私はね、言ってますけど。その当時の70年代後半から80年代にかけて、YMOメンバーがやったレゲエとかダブっぽい曲の、またこれはひとつ、めちゃくちゃかっこいい曲とも言えるんじゃないでしょうか? シーナ&ロケッツで『RADIO JUNK』。
シーナ&ロケッツ『RADIO JUNK』
(宇多丸)はい。シーナ&ロケッツで『RADIO JUNK』。まあ、当時のクラッシュとかのちょっとレゲエを混ぜるとか。ニュー・ウェイヴテイストとも言えるのかな? この『真空パック』はアルバム全体、めちゃくちゃかっこいいんで。すごく聞いていましたけども。
ということで、また福岡のサンセットもね、なかなかコロナで空いちゃったんで。お会いできないままというのも残念なことでございますし。いや、なんて言うかこう、「いつまでもいると思うな」じゃないけどな。
(宇垣美里)なんとなく、ずっといると思っちゃうのって、なんでしょうね?
(宇多丸)でも本当に、めちゃくちゃかっこいいこういう大人がいるっていう。幸宏さんもそうですけど、鮎川さんとかシーナさんとか、めっちゃかっこいい大人が変わらずかっこいいまんまっていうのがいかに我々にとって……中学の時から聞いていて、どれだけ励みになったというか。
大人になる、歳を取るのが全然嫌じゃないのはやっぱり皆さんがいたからだし。はい。その背中を見るということはね、まだ続いているという感じでございます。本当にお疲れさまでございました。ご冥福をお祈りいたします。鮎川誠さんの訃報と、曲をかけさせていただきました。
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シーナ&ロケッツ鮎川誠が死去 最期まで現役を貫いたロックンローラー#鮎川誠 #RIP鮎川誠 #シーナアンドロケッツhttps://t.co/m93WcBWnDT pic.twitter.com/lDfWnUqVUF— Mikiki タワーレコードの音楽ガイドメディア (@mikiki_tokyo_jp) January 30, 2023
<書き起こしおわり>