渡辺範明さんが2021年4月22日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中でプレイステーション2時代のドラゴンクエストとファイナルファンタジーについてトーク。『ファイナルファンタジー12』について話していました。
(宇多丸)ということで『ファイナルファンタジー10』で一旦、ある意味JRPG、言っちゃえばそのRPGっていう国産RPGが進んできた進化の方向の完成をひとつ、ここで見たという感じみたいですけども。じゃあ、その後はどうなっていくのか? 続いて、行ってみましょう。
(宇内梨沙)示されたもうひとつの可能性。『ファイナルファンタジー12』が表現したものとは?
(宇多丸)改めて渡辺さん、まず先ほどもおっしゃっていましたけども。11はちょっと特殊ということで。
(渡辺範明)そうですね。11はオンラインゲームなので、ちょっとこのへんの文脈からは外れるので、今回は飛ばさせていただきます。
(宇多丸)これはこれでね、大変な沼になってしまったという件は『マイゲーム・マイライフ』でもたまに出てくる件でございます。
(宇内梨沙)一応10-2っていうのもありましたけども。正式なナンバリングは……。
(渡辺範明)10の続編の10-2もありましたが。まあ、これももしかすると次回、話すかもしれませんけども。
(宇多丸)では、12。
(渡辺範明)はい。12なんですけども、12はどちらかというと10との比較で考えると捉えやすいタイトルで。FFの中で7、8、10っていうのがひとつの一番売れるっていう流れとしてあるんですけども。これは野村哲也さんがキャラクターデザインをしていて。キャラクター人気、ストーリー人気が非常に高いというシリーズですね。それに対して『ファイナルファンタジー12』はどっちかっていうと9とかに近い、青春群像劇としての野村キャラ路線とは逆で、大人向けファンタジー的な路線。より純粋なファンタジーに近い……SFみの低い、ファンタジー性の高い世界観のFFっていう。それのもう一方の極まで振り切っているのが12だと思います。
(宇多丸)なるほど、なるほど。
ファンタジー性の高い世界観のFF
(渡辺範明)で、ここで大事なのがゲームクリエイターの松野泰己さんという方がいらっしゃるんですけど。クエストという会社で『伝説のオウガバトル』とかですね、『タクティクスオウガ』みたいなすごい渋い、いぶし銀なシミュレーションRPGを作っていた方が途中でスクウェアに移籍しまして。で、プレイステーション1で作った『ファイナルファンタジータクティクス』というゲームは無茶苦茶ファンが多いんですけど。この『ファイナルファンタジータクティクス』の結構渋い『ファイナルファンタジー』の路線を本編のシリーズでやってみましょうというのが『ファイナルファンタジー12』ですね。
なので、テイストで言うともう本当に10と対極と言っていい渋いキャラクターと、あとは青春群像劇ではなくて、完全に戦記物なんですね。国と国との戦争の話。なので、ジャンルとしてはむしろ『アルスラーン戦記』とか『銀河英雄伝説』とか、そういうものに近いお話で。で、もっと言うと、実際にやってみるともう宇多丸さんとか一目でわかると思うんですけども。実は『スター・ウォーズ』をやろうとしているという作品で。キャラクターの配置とかもう明らかにあのレイア姫の位置づけのヒロインと、ルークの位置づけの血気盛んな若者と、そしてハン・ソロたちの役割の経験豊かな空賊たちが出てくるっていう感じの世界観になっています。
(宇多丸)なるほどね。しかし本当に、なんていうかな? 一旦、ここで完成見たからそれを続けるんじゃなくて、全然違うことを始めるのがやっぱりFFですね。なんかね。
対極な世界観の10と12
(渡辺範明)そうですね。だからやっぱりこの10と12っていうのはかなり対極なんですけど。この二つをなんというか、行ったり来たりとかしながら進んでいくのが『ファイナルファンタジー』らしいなという感じがあって。ちなみに今度出るFF16はですね、この12のテイストに結構近い、純粋なファンタジーで、なおかつちょっとダークな大人っぽい路線っていう。で、ちょっと僕がトレイラーとか見る限りだと、なんかたぶん『ゲーム・オブ・スローンズ』みたいなものをイメージしている『ファイナルファンタジー』なんじゃないかなと思ってまして。
(宇多丸)なるほど。それはかなり大人向けですね。
(渡辺範明)そうですね。だから16への予習としては、この機会に12を遊んでみるのもいいんじゃないかなと思ってます。
(宇多丸)12は2006年に出たPS2用ソフトでございます。さあ、ということで『ファイナルファンタジー』。すごい完成度の高い10と、そしてそれとはまた全然違う方向に挑戦した12があってからのFFなんですが。続きましてでは、ドラクエは一方どうなのかということで行ってみましょう。
<書き起こしおわり>