宇多丸 ギンズバーグ最高裁判事の訃報を語る

宇多丸 ギンズバーグ最高裁判事の訃報を語る アフター6ジャンクション

宇多丸さんが2020年9月22日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中でアメリカの最高裁判事、ルース・ベイダー・ギンズバーグさんの訃報について宇垣美里さんと話していました。

(宇多丸)あと、カルチャーニュースというか……メールからご紹介しようかな。ラジオネーム「サコタ」さん。「カルチャーとは関係ない話題かもしれませんが、アメリカの最高最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグさんが亡くなられました。その活躍はフェリシティ・ジョーンズ主演で映画『ビリーブ 未来への大逆転』。また彼女の功績や影響力についてはドキュメンタリー作品の『RBG 最強の85才』(Netflixで視聴可能)で描かれています。

『Notorious RBG』の愛称で愛される、穏やかな人柄でありながら法の下の平等のために懸命に闘い続けてきた最高裁判事でした。折しも、Black Lives Matterで揺れているアメリカ社会。彼女の死が今後、どのような影響を与えていくのか気になるところです」という。今日、『たまむすび』で町山智浩さんがこの話をされていたみたいですけども。

町山智浩 ギンズバーグ最高裁判事の後任人事問題を語る
町山智浩さんが2020年9月22日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中で亡くなったアメリカの最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグさんの後任人事問題について話していました。 The NYT obit for Ruth Bader Gins...

(宇垣美里)はい。

(宇多丸)そうなんですよ。「RBG」の愛称で知られる……それで僕、昨日ちょっとこの話をし忘れちゃっていて。日本に訃報が週末の間に伝わってきて。「話さなきゃな」と思っていて忘れちゃっていて。詳しくは、そのご活躍については『たまむすび』の町山智浩さんの解説を。来週月曜日に町山さんいらっしゃって特集コーナーでもお話をいただくんで。そこでも聞いてもいいかもしれませんけど。カルチャーと実は全然関係があるというか、その非常に影響力が強い方でもあって。特に、フェミニズム的な文脈で、たとえば映画の中に出てくる。あの『ブックスマート』でね、話題に出てきますよね。出てくるし、あのジョナ・ヒルの妹さん、ビーニー・フェルドスタインが……。

(宇垣美里)なりたいものがね。

(宇多丸)そうそう。部屋に写真がかざってあったりしますよね。

RBGはポップアイコン

(宇多丸)あとは、この間やった『チャーリーズ・エンジェル』の最後のところのシークエンス。あの訓練をしているところで、スカイダイビングする手前のところで「RBGもエンジェルだったの? ええっ!」なんていうくだりがあったりしましたよね。

(宇多丸)だから、ちょいちょい出てくるんですよね。

(宇垣美里)やっぱりね、世界でみんながなんだろう? 心の支えではないですけども。一番上のところでこういう風にやっていた人がこのタイミングで……っていうのはすごくありますよね。

(宇多丸)あと、同時にやっぱり最高裁判事、RBGさんはこういう形であるけども。逆にあんまりよくない話題で……この番組だと原題は『She Said』っていう。『その名を暴け: #MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い』っていう、要するにワインスタインショックの最初の調査報道をどうやっていたのか?っていう本をご紹介しましたけども。あの中でも出てきた、かつて性暴力疑惑というものがかけられている方がそのまま最高裁判事になっていくというような流れがあったりして。

(宇多丸)なんにせよ、最高裁判事、その国家の司法のトップをですね、その国民みんなが注視して。その人がどういうキャラクターなのかを把握して……っていうところがめちゃくちゃ、本当は大事なことじゃない? 要するに、最高裁判事ってね、日本でも最高裁の裁判官を我々も選挙のたびにチェックする事になっているじゃないですか。

(宇垣美里)ありますよね。

(宇多丸)付随してあるし。でも、「付随して」っていう感じで正直、その人がなにをやったどういう人なのか?っていうのを把握しないでやっちゃっているということがほとんどじゃないですか。正直、これは私も。

(宇垣美里)どんな判決を出してきたのか、どんな判決文を書いたのか、全然知らないですからね。

(宇多丸)もちろん調べればね、たとえばインターネット上では「この人はこういう傾向がある人です」みたいなのがちゃんとわかりやすく整理してくださっている情報があったりするけども。でも、要はそうやって自分で興味を持っていかなければいけない。だから、そういう関心事として共有されているっていうことはすごくいいことだし。やっぱり司法って僕ね、法学部出だから言うわけじゃないですけども。やっぱり砦だと思うんですよね。文明社会というか、民主社会の。

(宇垣美里)社会で人間が生きていく上でのルールですから。

(宇多丸)そうそう。ルールだし、最後の砦というか。当然、揉め事とか考え方の違いとかがある中で、やっぱり司法が……それで司法が腐敗するって。でも、とかく腐敗しがちだったりするシステムだったり。

(宇垣美里)権力が集まると。

(宇多丸)もちろんそうですね。あと、日本の司法システムもいろいろ問題あるとか、皆さんもご存知の通りですけど。だから、そういう中でそういうのの一番上の地位の人っていうところがね、象徴的にであれ、注目されて。そのありようっていうのが云々されるっていうのがすごくやっぱり民主社会として成熟してるなという風に思ったりするんですよね。

(宇垣美里)そうですよね。何年か前から、たぶんがんにかかってらっしゃったと思うんですけども。でも、絶対に「今、私が辞めるわけにはいかない」っていう風に灯し続けたであろう火を受け取らなきゃいけないなと思いますね。

Notorious RBG

(宇多丸)ちなみにその「Notorious RBG」っていう愛称はもちろんラッパーの「The Notorious B.I.G.」から来ておりまして。僕も例の『RBG 最強の85才』というドキュメンタリーを見たんですけど。普通に「ラップは聞いたことないけどね」って言っていましたけどね(笑)。まあ、「全然違うんで聞かなくていいですよ」っていう感じで。でも、それぐらい親しみを込めて呼ばれるぐらいだったという感じで。このお話をしておきたかったのでさせていただきました。

<書き起こしおわり>

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