山下達郎 大瀧詠一を語る

山下達郎 大瀧詠一を語る ニッポン放送

山下達郎さんが2022年6月21日放送のニッポン放送『山下達郎のオールナイトニッポンGOLD』の中で大瀧詠一さんについて話していました。

(山下達郎)大瀧さんの曲を1曲、おかけしたいと思いますが。ニッポン放送は僕はとても縁が深くて。ニッポン放送のフジパシフィックという出版会社とシュガー・ベイブが契約していたという関係もあります。それは大瀧詠一さんからのご縁なんですけれども。シュガー・ベイブで一番最初にデモテープを録ることになりまして。それ、ニッポン放送の銀河スタジオというですね、旧社屋の。そこはその頃まだ4トラック、4チャンネルのテープレコーダーがありまして。それでデモテープを録りまして。それのエンジニアが大瀧詠一さんでありましてですね。1974年のことです。

それでその時に「シングルで出せるような曲を書いてこい」っつって家で書いたのが『パレード』という曲でありまして。その時に4曲、レコーディングをしましたのが俗に『LFデモ』と言われる、その後シュガー・ベイブのリマスターCDが出た時にボーナストラックで収録しておりますけれども。そのへんから始まって74年、75……それでソロになってからもニッポン放送の音楽出版で契約して。80年の『RIDE ON TIME』のシングルまでずっと続きます。70年代はずっと、だからお世話になって来ました。

ですので、その時にいろいろデモテープとかを作りまして。それがいろんなところで、後からシングルになったり、いろんなことがありまして。マザー・グースなんていう、金沢の3人組の女の子のグループがいまして。それのプロデュースなんかもこのフジパシフィック関係の仕事でやらせていただきました。

あとCMもずいぶんありますし。一番印象的だったのは『RIDE ON TIME』がヒットした直後にですね、西武球場で『80’sJAM』というのがありまして。そこでライブをやったという、そういう記憶もあります。全ては一番最初に大瀧詠一さんと1973年ですから、もう49年になりますが。73年にお目にかかって。はっぴいえんどの解散ライブでコーラスとして参加したのが大瀧さんとの一番最初の出会いであります。

当時はですね、日本のフォークとロックというムーブメントっていう新しいムーブメントがあったんですけども。基本的に日本のロックというのは一番取っかかりがベンチャーズから始まったものですから。どちらかというとボーカリストよりもインストゥルメンタル、楽器を弾く人の方が偉いという感覚がずっと続いておりまして。今の若い人から見れば信じられないと思いますけども。ギタリストの方がボーカルよりも偉かったんです。

ギタリストの方がボーカリストよりも偉かった時代

(山下達郎)で、一番上手いギタリストがリードギタリストで、その次はサイドギターで、ベースで、ドラムとキーボードは別ですけど。何にもできないやつがボーカルという、そういう歴史が続いたんで、ボーカルが非常に日本は弱い歴史が続いたんですけども。そんな中で大瀧さんのボーカル力というのは傑出しておりまして。

僕もやっぱりボーカルオリエンテッドな人間だったんで、大瀧さんとなんかこう、だんだんクローズになるというのは必然だったんですけども。そんな関係でナイアガラ・レーベルというのを大瀧さんが立ち上げた時に、その第1弾としてナイアガラからシュガー・ベイブとしてデビューしたのが1975年のことであります。以来、ずっと大瀧さんとはCMの手伝いとか、それから彼のアルバムの手伝い。僕がブラスアレンジとかストリングスをやったものもありますし。『夢で逢えたら』なんていうのもそうですけれど。

その中でずっとお付き合いをしてまいりましたけれども大瀧さん、惜しくもですね、急逝されてしまいまして。で、大瀧さんのこと、いろいろなところでいろんな語れられ方をしておりますけれども。私もまあ、私なりにいろいろ考えて。なんか彼の曲をカバーしてあげるのが一番供養になるかなと思いまして。2019年に『君は天然色』をツアーでカバーしまして。それから機会があれば引き続き……それまでも何曲かやってるんですけども。機会があればずっと続けていきたいなと思っております。

この大瀧さんの歌っていうのは簡単そうで難しいんです。これが、とても。ですので、その時にも申し上げましたけども。彼の歌をなかなか歌い継いでいくことが難しいので。そういうところでですね、やっていければなと。まあ一番、歌いやすいというといえば歌いやすい歌なんですけども。演奏が難しいので、大変なんですけれど。今日はそれをお聞きをいただきましょう。

これは2019年の9月24日、名古屋センチュリーホールでの、俗にいうPAアウトと言いますが。PAの回線を横から録音して録ったもので。その信号を出すことによってPAから音が出てくるという。そこから出した音なので、正式なミックスではありませんので。そこだけご了承ください。『君は天然色』ライブバージョンです。

山下達郎『君は天然色』ライブバージョン

<書き起こしおわり>

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