鈴木もぐら 高円寺・和田屋で出会った2人組の青年に青春を感じた話

鈴木もぐら 高円寺・和田屋で出会った2人組の青年に青春を感じた話 空気階段の踊り場

空気階段の鈴木もぐらさんが2022年3月14日放送のTBSラジオ『空気階段の踊り場』の中で行きつけの高円寺の居酒屋・和田屋で飲んでいた際に2人組の青年に声をかけられた話をしていました。

(鈴木もぐら)今週はね、久しぶりに仕事が早めに終わった日があったんですよね。水川がドラマの撮影かなんかで。

(水川かたまり)ああ、そうですね。はい。

(鈴木もぐら)で、俺だけ早めに終わって。夕方ぐらいに終わったから、久しぶりにちょっと飲みに行けるわと思って。

(水川かたまり)ああ、まだお店もやってる時間だと。

(鈴木もぐら)そう。1人だし。だから、高円寺でね、和田屋に行ったんですよ。和田屋っていう、私がもう行きつけのですね、ホッピーの中を頼んだらジョッキ9割ぐらい中が入って出てくるっていう。

(水川かたまり)本当に9割焼酎だもんね。

(鈴木もぐら)そう。最高の店、和田屋に。

(水川かたまり)おいしいですよね。

(鈴木もぐら)で、和田屋に行ったんだけど、もうちょっと店内はまばらで。俺と、あとなんか男2人組。

(水川かたまり)もぐらは1人で行ったの?

(鈴木もぐら)1人で行った。あと、なんか常連さんが1組ぐらいしかいなかったの。で、普通にホッピーを頼んで飲んでたらさ、その若い男の2人組。20代後半ぐらいの2人組がさ、もうベロベロなんだけど。俺のところに来て「あっ、す、すいません。もぐらさんですか? ああーっ、もぐらさんですよね?」って。「ああ、はい」「ああ、やっぱり! もぐらさんだー! 俺、大好きなんですー。会えてよかった、嬉しい!」って。で、後ろのやつも「はっ、本当ですか? もぐらさん、ああっ、すげえ! よかったー! ちょ、写真を撮ってもらってもいいですか?」「ああ、いいよ」って。で、普通に一緒に写真を撮って。で、和田屋マスターとか若とかもさ。

(水川かたまり)若……店主さんの息子さん?

ベロベロの2人組に声をかけられる

(鈴木もぐら)そうそう。若とかも「ああ、全然。もうもぐらくん、写真ぐらい撮ってくれると思うよ」とか言って。「ああ、本当ですか!」って。写真を撮って。「ありがとうございますっ!」って。で、また自分のところに戻っていって。で、俺は和田屋のうまい刺身を食いながらしばらく1人で「ああ、ひさしぶりに飲むのはいいな」なんて晩酌をしていたのよ。

(水川かたまり)まあ、なかなか最近はないですもんね。

(鈴木もぐら)そしたらさ、またその2人がさ、今度は自分たちのジョッキを持って俺のところまで来て。「もぐらさん、ちょっといいですか? 乾杯してもらっていいですか? 乾杯だけ……」「おい、よせよ、お前。そんな、乾杯とかまでしたら……本当、ダメだろ、お前!」「お願いします、お願いします、すいません。今日、高円寺来てよかった。高円寺来てよかった。乾杯だけ……」「
いや、いいよ、いいよ。乾杯ぐらいいいよ。乾杯しようよ」って。

(水川かたまり)若い人なの?

(鈴木もぐら)20代後半ぐらい。

(水川かたまり)わかんないよ。お前、いつも見積もり誤るじゃん?「結局、年上だった」っていう時、ちょいちょいあるじゃん?

(鈴木もぐら)いや、でもまあ20後半で間違いないと思う。あれは。本当に……実際に俺、目で見ているしね。テレビ越しとかだと分からなかったりするけど、目で見てるからで。それでさ、乾杯して。で、「ここ、座ってもいいですか?」って。で、俺1人だし。「座っていいですかって……まあ、ちょっと離れたところだったらいいんじゃない?」「ああ、そうだね。離れたところで……今、お客さんもそんないないから、テーブル4つぐらい使ってその3人でね、端端箸箸とかで飲むんだったらいいんじゃない?」ってお店の人も言ってくれて。「じゃあ、それで3人で飲もうよ」って言ったら「ああっ、ありがとうございますっ!」って。もうベロベロだよ? 舌、回ってないの。それで乾杯してさ、飲み始めて。

そしたらそのうちの1人の方が「もぐらさん、聞いてくださいよ。実は、こいつ芸人やってて」って。で、もう1人が「やめろよ! いいよ! おいっ!」「こいつ、芸人やってるんですよ。だから2年前に……こいつ、地元一緒なんですけど。地元宮城で2年前、突然こいつ社会人を辞めて。『芸人になる』っつって高円寺に出てきたんすよ」「いいって、そんな……もぐらさんにそんなお話するなよ!」「いや、もぐらさん。本当、こいつ頑張ってまして。宮城から東京に2年前ぐらいに来て。たまにこうやって飲んでるんですけど。俺はこいつにマジで頑張ってほしいんすよ!」「いいんだよ、お前……おいっ!」って(笑)。「この間、俺はこいつのライブを初めて見に行ったんですよ。バティオスっていうところに……」って。

(水川かたまり)バティオスね。新宿にある。

(鈴木もぐら)まあ、俺たちは知っているけど。若手芸人を追いかけている人だったら知っているような、そういうコアな劇場なんですけど。それで「バティオスに俺、見に行ったんですよ。そしたら、周りの女の子が結構笑ってて。こいつ、漫才なんですけど。結構笑ってるんですよ。でも僕、全然面白くなくて……こいつ、すげえ面白いやつなんですよ、もぐらさん! 本当は……なのに、いいところ一切出てないんですよ!」「いや、いいんだよ! いいんだよ、言わなくて! 難しいんだよ!」って。

(水川かたまり)フハハハハハハハハッ!

(鈴木もぐら)「たしかにお前の言ってることも大切な意見だけど……難しいんだよ。いざ、やるってなると」って。で、俺はそれを見て「こいつら、超かわいい! めっちゃかわいいじゃん!」って思って(笑)。

(水川かたまり)超かわいいわ(笑)。すげえわかるし。両方の気持ち、すごくわかるよ!

「こいつら、超かわいい!」

(鈴木もぐら)両方の気持ち、めっちゃわかるのよ。その気持ちが。なんか2年目でさ、出てきて。「こいつ、学校にいた時とか、めっちゃ面白くて。ぎゃぐとかめっちゃ面白かったのに、全然いいところが出てなくて!」「言うなよ、お前! わかってる。俺もわかっているんだよ。難しいんだよ、お前、そういうの……俺も頑張る! まあ、そういう意見は大事だから、全然思ったことがあったら言ってくれよ」とか。「こいつら、かわいい!」って思って(笑)。で、その芸人の方も乗ってきてさ。

「すいません、本当に……俺、本当に話かけたくないと思ったんですけども。こいつがこうやってやって……もう本当に俺も、ぶっちゃけ一緒に飲ませてもらっていいですか?」って。「いいよ、いいよ。飲もうよ」って。「本当に俺、悩みとかもあって。本当にあの、モテたいんですよ。めっちゃ、本当にモテたくて。居酒屋とか行っても女の子とかいたら、よく……俺、いつもだいたいこいつと飲みに行ってるんで。2人組の女の子とかいたら、声をかけるんですよ。で、「俺、芸人なんだよ」ってモテたいから言うんですよ。で、女の子が一緒に飲んでくれるんですけど、なんか最終的に『友達の方が面白いじゃん!」って言って……俺、こいつに勝てねえんすよ!」って(笑)。

(水川かたまり)フハハハハハハハハッ!

(鈴木もぐら)「お前が頑張らねえからだよ!」「やってもダメなんですよね」「ダメとか、そういうことじゃないんじゃない? 居酒屋とかの女の子ってまた違うじゃない」「そうなんだよなー! 違うんだよ。またもぐらさん、わかってくれるから! 飲み屋の面白いとお笑いの面白いは違うんだよ!」って(笑)。「いや、俺はもう本当にどうしたらいいのかな?って思って。俺、2年目で早く売れたいんですよ。どうしたらいいっすかね?」って言いながらタバコを吸っていて。そしたらその友達が「お前、売れたいからどうしたらいいんですかねってもぐらさんに相談する時にタバコ、吸うな!」って(笑)。

(水川かたまり)アハハハハハハハハッ!

(鈴木もぐら)それで肩とか殴っていて。「痛っ、痛い! なんだよ、おいっ!」とか。もうその話とかを聞いていて、俺ももう本当にさ、なんか思い出してきちゃって。どっちの……その地元の友達とかの言っているのとかも。

(水川かたまり)その感じ、それは思うしね。友達が芸人をやっていたら。

(鈴木もぐら)でも、うまく行かない。で、こっちからしたら2年目なんてさ、本当に……だから「どうしたらいいんですかね?」とか言われたから「とりあえずもうネタを作ってさ、ガンガンやるしかないよ」って言うんだけども。でも、言われたいのってそういうことじゃないじゃん?

(水川かたまり)たぶん本当に具体的ななんかを……。

(鈴木もぐら)でも、俺からしたらそれしか言えることもないし……っていう感じで。すげえわかるんだよ。で、2年目で……こっちからしたら「まだ2年でしょう?」ってなるけど。でもすげえさ、「早くしないと……」っていうその焦りとか。

(水川かたまり)2年目なんて絶対にあるよね。

(鈴木もぐら)そう。バイトそしてさ。なにをやってもわかんないみたいなその焦りみたいなのもあって。

(水川かたまり)周りにバカにされまくるし。

(鈴木もぐら)バカにされまくってさ。友達がそういう風に言ってきて。応援はしてくれてるんだけど……みたいな。それがもう、どっちもわかるから。めっちゃかわいくて。だからもう「じゃあ、いいよ。とりあえず俺、もう今日は帰るけど。今日はここ、もうごちそうするから。和田屋、来てくれたしさ」「いや、俺本当に上京して、高円寺に来てよかったです!」って。「いや、本当にもぐらさん、ごちそうさまでした!」とかって言いながら、またそいつがトイレに行こうとして。それで友達がさ、「もぐらさんが金を払おうとしてくれている時にトイレに行ってるんじゃねえよ!」って(笑)。

(水川かたまり)フハハハハハハハハッ!

(鈴木もぐら)いやー、なんか俺もね、あの頃の……つい、あの頃の気持ちみたいなのも思い出して。その2人を見てさ、「青春だな」って思って。

(水川かたまり)めっちゃ青春だね。

(鈴木もぐら)やっぱりその青春にごちそうしたくなっちゃったんですね。やっぱりおじさんってこう、青春にごちそうしたくなっちゃうじゃない? それを、なんだろう? 俺も実感したというかね。ちょっとおじさんになっちゃったかなっていうところもあるんだけど。ということがねありましたよ。

(水川かたまり)なんていう芸人なの?

(鈴木もぐら)言わないでおこうかなって。変になんか……。

(水川かたまり)フフフ、もぐらは言わないよね(笑)。峯田さんの逆バージョンで(笑)。

(鈴木もぐら)違う違う。変にここでなんかその今のイメージがついて。俺がしゃべってたイメージがつくじゃん? で、もしかしたら舞台上で、全然そんなことない芸風の可能性もあるわけよ。

(水川かたまり)本当になんか物静かに一言で取っていくみたいなタイプの可能性もあるしね。

(鈴木もぐら)そう。その可能性もあるし。で、ベロベロだったからそんな感じなのかもしれないし。それは分かんないから。今はだから、言わない。そいつは全然、自分から言ったら全然いいんだけどね。俺も全然言うけど。まず俺からっていうのはちょっと違うかなって。だから俺がいつか再会したら、「あれ? お前、あれじゃない? あの時の和田屋のお前だろ?」って(笑)。まあ、思いましたね。でもね、いい2人組でした。ロンドンブーツ1号2号で『声』。

ロンドンブーツ1号2号『声』

(中略)

(鈴木もぐら)いや、ちょっと2人の青春感が……すいません。ちょっと先輩の曲をかけちゃいました(笑)。「あんまりこういう時に先輩の曲はかけないんじゃないか?」って言われて私も気づきまして。普通に本当に好きでかけさせていただいたので。

(水川かたまり)意表をつかれましたよ。ロンブーさんの。

(鈴木もぐら)そうなんです。だから世代で。カラオケとかでも歌いまくったから。だからつい、その青春に引っ張られて流してしまいました。本当に申し訳ございません(笑)。純粋に好きな曲としてかけちゃったので。でもさ、和田屋にもう1組、お客さんがいたって言っていたじゃない? で、もう1組、結構ベロベロな女の子がいてさ。その子もその2人にちょっと声をかけるみたいなのがあったの。なんか「かんぱーい! イエーッ!」みたいな。それもなんかものの10秒ぐらいで「これ、芸人の方、面白くねえな?」って(笑)。仕方ないんだよね。

(水川かたまり)そこを耐えるって結構大事じゃない?

(鈴木もぐら)たしかに。1個の関門だよね。

(水川かたまり)絶対にさ、「面白くないわ。つまんな!」って言われずに行けることなんてないじゃん? 日常生活において「芸人やってます」ってバレて。で、「面白いことやってよ」とか「面白いんでしょう、どうせ?」っていう中で「面白くない」「面白くない」って。その風にさらされることって絶対に超あるじゃん。2年目の時ってさ。

(鈴木もぐら)もう、そういう時はデカい声を出して逃げるしかないね。「なんかやって」って言われて「ちんこ!」とか叫んで。「ヤバい、ヤバい。この人、ヤバい」みたいな風に行くしかないのよ。

(水川かたまり)「ギャグやって」とか言われても人の、同期のギャグとかやっていたもん。自分でギャグとか考えて、バイト先で滑るのが嫌だから。

(鈴木もぐら)でも、それを超えてくると今度、4年目、5年目とかになってくると次は売れている期が近い人のギャグとかをやらされるようになるからね。バイト先とかで。

(水川かたまり)出て早々に……(笑)。

(鈴木もぐら)何人の芸人が「ちょっと待って、ちょっと待って……」ってやらされて来たんだろうな?(笑)。

(水川かたまり)「ちょっと待って」が絶対にあったからな。「ひょっこり」も超あったよ?

(鈴木もぐら)何人もの芸人が「ひょっこりはん」って……そこまで、もう耐えなきゃいけないから。もう無になってね、本当に自分のものにしたつもりでやるのがいいよね。いろいろと悩みみたいなものとか全部忘れて。頭を空っぽにして「はい、ひょっこりはん!」ってやった方がいいよね(笑)。

(水川かたまり)そこで1個、精神を鍛えられるっていう側面もあるからね。絶対にね。本当に絶対さ、どこかしらで滑るからさ。滑った時の心の持ちようっていうか。「まあ、いいや、いいや」って思えるかどうかってすごく大事だと思うよ。2年目の今は。

(鈴木もぐら)まあ、そいつが聞いてるかどうかはわからないじゃん。

(水川かたまり)でも、どうする? もぐらが「名前は言わない方がいいだろ」とか言っていたけども。Twitterとかで「今、踊り場で話しているのは僕です!」みたいなツイートがあったら?

(鈴木もぐら)いや、別に言っていいのよ。俺はただ芸風的にどっちだろうって思って言えなかっただけだから。全然そいつ的に言っていいんだったら言ってもいいのよ。まあ、ありましたけども。

(水川かたまり)現状、思うのはそういうところですね。10年目……まあ10年目っつってもまだ9年目ですし。無限大ホールも卒業しまして。まあ、寂しいですけどね。これからも出るは出るのでね。ぜひ。

(鈴木もぐら)「劇場、卒業します」っていう時に「えっ、もう出ないんだ」っていう方もいらっしゃいますけど。別にそういうことじゃなくて。全然無限大の劇場も出ますから。一旦、劇場所属っていう形じゃなくなるっていうだけですから。

(水川かたまり)毎日やっていますんで。ぜひ見に来てください。無限大ホールね。

<書き起こしおわり>

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