R-指定 CHICO CARLITOの進化を語る

R-指定 CHICO CARLITOの進化を語る Creepy Nutsのオールナイトニッポン0

R-指定さんが2022年2月15日放送のニッポン放送『Creepy Nutsのオールナイトニッポン0』放送終了後のミクチャ配信限定アフタートークの中でCHICO CARLITOさんの最新アルバム『Sandra’s Son』についてトーク。今作でCHICO CARLITOさんが見せた進化について話していました。

(R-指定)先ほど、チコとの楽曲をかけさせてもらいましたけども。これはホンマになんというか、チコのラップも実は前作、前々作からしたらめちゃめちゃアップデートされていて。

(DJ松永)ほうほう。

(R-指定)「このタイミングでそれをやってくるのか、こいつ。ホンマにすごいな!」って思うんですけども。ちゃんと韻を踏むようになったんですよ。これ、変な話かもわからないですけど。

(DJ松永)このタイミングで?

(R-指定)チコってもちろん昔から語感のいい言葉とか、韻も踏んでいたし。ライミングは上手やったんですけども。あいつね、どうやら感覚でやっていたっぽくて。どういうものでどういう配置に韻を置けば気持ちいいのか?っていう理論みたいなものはホンマにここ2、3年で覚えたみたいな。それを、韻を踏んだり、パンチラインをケツで落とすとか……小節のケツとか、バースのオチの決めのフレーズがあって、そこからバースを書き出すみたいな。ラッパーがラップを書く時に考えるような理論みたいな。

(DJ松永)設計図みたいなものだね。

(R-指定)そう。そういうのを一切知らんまんま、感覚だけでUMB優勝して、『フリースタイルダンジョン』にも出て、アルバムを1枚作っていて。

(DJ松永)すごいね! 積んでいるエンジンが違ったんだね。

(R-指定)そうなんですよ。

(DJ松永)だから本当に自分の思う気持ちいい歌詞を書いていたら、自然とそれが韻になっていた、みたいな?

(R-指定)そう。全部一筆書きでバーッてやるっていう。で、それを、言うたらその理屈をまた新たに自分の中に落とし込んだ状態で今回のアルバムをやっているから。だから、聞くと元々気持ちよかったチコのラップがある種、ちゃんと来てほしいところに韻律やったりパンチラインがより来る状態になって響くというか。

(DJ松永)精度がより上がって?

(R-指定)精度と破壊力がより上がった状態で。

(DJ松永)もうアルバムは出ているの?

(R-指定)出てる、出てる。めちゃくちゃ、全曲とんでもないクオリティーなんですよね。で、先々週にMVも出た『23時30分』っていう曲もバースだけで走り抜ける曲なんですけども。これなんかも「もしもPablowに止められても 夜の23時半出発予定の 夜行列車に俺は飛び乗るよ」っていうフレーズが最後の方に出てくるんですけども。これも『カリートの道』というアル・パチーノの映画から来ていて。カリーとはその23時30分発の電車に乗ってしまって最後、悲劇的な結末を迎えるんですよ。

で、それを踏まえた上でギャング映画とかを当然、サンプリングしてくるであろうBAD HOP『Hood Gospel』という曲でT-PABLOWが「夜の23時30分のマイアミ行きの 夜行列車には乗せないぞカリート」って。悲劇的な運命の方に行くような悪いビジネスではなくて、音楽で今後ちゃんと真っ当に稼いで行きていくっていうことで、『Hood Gospel』でパブロが言っていたんですよ。

BAD HOP『Hood Gospel』

(R-指定)で、そのパブロが言っていたフレーズに対してチコは「俺はカリートだ」って。悪いっていう意味じゃない。「カリートだから『カリートの道』を、その先に何が待っていても、パブロに止められたとしても行く。だから23時30分に電車に乗って、行くべき道、自分の決めた道の方に行く」っていうことで。この、なんというかそういうバチバチのアンサーじゃないけども、お互いの粋なフレーズを二重、三重にサンプリングしていて。それを初代モンスターのパブロとチコがやっているのもまた素晴らしいなって。

(DJ松永)すごい! 文脈をさらに踏襲して。踏襲につぐ踏襲みたいな。1周回って、意味が……。

(R-指定)そう。生まれてくる。だからディスとかアンサーっていうんじゃなくて、たぶんパブロがそういう風に使ったのをチコがまたさらに、二重で「カリート」という名前を持った自分のところに『カリートの道』サンプリングをもう1回、引っ張ってきて。違う意味で……。

(DJ松永)ああ、これはお見事ですね!

CHICO CARLITO『23時30分』

(R-指定)で、ここからはじまるチコのアルバムっていう。すごいんですね。

(DJ松永)いやー、でも直近で聞いたのはあの『64 Bars』。あれがちょっとすごすぎたじゃない?

(DJ松永)あれ系の曲はあるの? バースで、なんだろう? リズムでカマすっていうよりかはっていう。

(R-指定)でもね、『Gati』とかはそうかな? ELIONEさんとJP THE WAVYと。

(R-指定)基本的に、そうやな。前半がそういう感じで。後半は結構チコの……こいつってラッパーとしてなにがよかったか? リズムがこいつのすごい特徴やし、すごい魅力であることはもちろんなんやけども。「ああ、こいつ、よく考えたら歌詞もよかったな」って思えるのが後半で。「こいつ、そもそもリズムも最高やけど、ちゃんと歌詞がいいからリズムがよりいいと思えるんやな。チコのラップって」って。なかなかアルバムの流れとしても1枚、すごい気持ちいいですね。

(DJ松永)へー。しかしRさんは客演、呼ばれますね。

(R-指定)そうですね。

(DJ松永)モテてるね(笑)。

(R-指定)モテてる(笑)。「モテてる」という表現ね(笑)。

(DJ松永)モテてるね! これ、素晴らしいよ。

(R-指定)新しい引き出しを逆に開けてもらって。

(DJ松永)本当にラッパーとして……。

(R-指定)ラッパー冥利につきますね。

(DJ松永)しかも俺らってより外に向かっているじゃん? 両足どっぷり日本語ラップシーンっていうわけではないのにさ、呼ばれているっていうのはすごいことですよ。

(R-指定)ありがたい話ですね。

CHICO CARLITO『Sandra’s Son』

<書き起こしおわり>

R-指定 CHICO CARLITO『Here I Am feat. R-指定』を語る
R-指定さんが2022年2月15日放送のニッポン放送『Creepy Nutsのオールナイトニッポン0』の中でCHICO CARLITO『Here I Am feat. R-指定』を紹介していました。
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