東野幸治 RCサクセション『いい事ばかりはありゃしない』を語る

東野幸治 RCサクセション『いい事ばかりはありゃしない』を語る 東野幸治のホンモノラジオ

東野幸治さんが2021年12月31日放送のABCラジオ『東野幸治のホンモノラジオSP~俺たちの紅白歌合戦~』の中でRCサクセション『いい事ばかりはありゃしない』を選曲。当時の思い出を話していました。

(東野幸治)私、次に行きましょう。中3に戻ります。

(ビビる大木)おっ、中3?

(東野幸治)もう大好きでした。RCサクセション。いいですよね。RCサクセション。だから今から41、2年前の話……俺、今、41年前の話、してるのか(笑)。

(ビビる大木)今、令和3年です(笑)。

(東野幸治)RCサクセション。ボーカリストの忌野清志郎とアントニオ猪木とたけしさんがもうヒーローだったの。お笑いブーム、新日本プロレス。そして音楽は忌野清志郎っていう時代があったんですよ。完璧に。だからその時はまだ大木くんは小学校低学年とか4年、5年ぐらいやと思うけども。そのRCサクセションというのは最初、フォークでデビューするけど、なかなか鳴かず飛ばずで……っていうのは有名で。で、井上陽水さんがはじめて100万枚超えたアルバム『氷の世界』かな? そこで何曲か曲は書いていて。

多少ゆとりはあったけども、自分のバンドは売れなくて。ファンの方からたまたまもらった化粧品かなんかでメイクして歌ったら、それからだんだんとメイクするようになってきて。で、曲もどんどんポップになってきて、どデカいロックンロールバンドになっていくんですよ。その過程を見たから、めちゃくちゃかっこいいし。メイクもしているし。RCサクセションって大人気で『ミュージック・ライフ』でも人気投票で1位ですし。なおかつ、YMOっていう同時期に言うたらテクノというか、シンセサイザーを使った新しい音楽で二大巨頭で。そこの教授と言われていた坂本龍一と2人でデュエットしたりして。

(ビビる大木)『い・け・な・いルージュマジック』。

(東野幸治)そう。『い・け・な・いルージュマジック』っていう、歌謡曲に寄せて、シャレで作ったような曲を歌って。お互いにメイクをしていて『夜のヒットスタジオ』。夜の10時に生で歌うんですよ。ほんで最後に2人がキスをするんですよ。で、その歌終わりに芳村真理がキャッキャ言うてるんですよ(笑)。「ええーっ? 今、キスしたんじゃないー?」って(笑)。「今、キスしたんじゃないー? ねえ?」とか。で、俺は「めちゃめちゃかっこええやん!」みたいな。

『い・け・な・いルージュマジック』

(東野幸治)なんかその、アイドルの音楽とかたのきんトリオの時代。郷ひろみさんとかそういうのと、ちょっとバンドっていうたらクリスタルキング、もんた&ブラザーズっていう。ヤマハミュージックコンテストの優勝みたいな……。

(ビビる大木)ポプコンですね!

(東野幸治)ポプコンみたいな(笑)。あれが歌謡曲。松山千春さんとか。あれが音楽っていう中に「なんや、このかっこええ音楽は?」っていうことで知って。で、名曲がいろいろとある中に、なんとなく申し訳ないけど僕が曲を選ぶ時、たまたま夜の静かな時に選んだから。今日、気付いたんですけど全部、ミディアムナンバーなんですよ(笑)。

(ビビる大木)今日はしっとりロックですね?(笑)。

(東野幸治)だから、申し訳ないなと思って。今日、大晦日ですよね? で、歌詞を聞いてください。絶対に大晦日に聞くような歌詞じゃないんです(笑)。これ、失敗した思うて。タイトルが『いい事ばかりはありゃしない』(笑)。

(ビビる大木)ちょっと! いい話、お願いしますよ(笑)。

(東野幸治)だからモーターヘッドさんの後に申し訳ないけど。俺、この曲が好きで。「所詮、人生こんなもんか」ぐらいのちょっと、諦めに似たような。なかなか東京……これ、バンドで吉祥寺に行くけど、なかなかうまく行けへん。で、言うたらエッチするような女の子から電話が来て。「生理が来ない」みたいなのを「月光仮面が来ない」とかって言っていたり。そういう、「全然いいことないな。バイト代も安いし……」みたいな。延々とブルーな泣き言を言っているんですけども。やっぱり忌野清志郎さんと仲井戸麗市さん、チャボのギター。やっぱりRCサクセションは不滅だなって思って。

東京に来て、フジテレビがお台場にできた頃。天現寺っていうところから乗って行くんですよね。その時、2車線なんですけど、その左側を走っていたんですよ。もうちょっとしたら右側に入ってそのままお台場に向かうんですけども。最初やから別に左側を走っていいんですよ。で、ある時、ベンツのC200に乗っていた時にパッと右を見たら、青かな? ポルシェが見えたんですよ。「あ、ポルシェや。派手なポルシェやな」ってよう見たら、忌野清志郎やったんですよ。

(ビビる大木)運転してたんですか?

(東野幸治)1人で。「うわっ、東京や!」って思って。「忌野清志郎や!」って、めちゃめちゃ嬉しくて。「これからいろいろこんなこともあるんやろうな」って思ったら、清志郎さんはそのあたりから自転車にハマりだして。法螺貝と自転車に。それで、会うことはなかったんですよ。タイミングが悪かったなって(笑)。

(ビビる大木)タイミング、悪かったですね(笑)。

(東野幸治)自転車と法螺貝の時代になるのよ。もう、しょうがない。天才やから。「なんでそんなんしてんの?」って俺がマネージャーやったら言いたいんですけどもね。「ポルシェ、乗りましょうよ」って(笑)。

(ビビる大木)寛平さんにも曲、書いてましたからね(笑)。

(東野幸治)そうそうそう! 「いや、違うんですよ、清志郎さん! 寛平さんは悪くないよ。でも、いいんです。書かなくて。あなたはRCの忌野清志郎なんですから……」って。お父さんの歌とか、歌うやん? あんなん、いいんですよ。もう、歌わなくていいんですよ。アットホームなんていらないんですよ。っていう、初期のRCサクセションの『いい事ばかりはありゃしない』。大晦日にこの曲をかけて申し訳ありません。張り切って、どうぞ!

RCサクセション『いい事ばかりはありゃしない』


(東野幸治)どうですか? 大木さん。RCの『いい事ばかりはありゃしない』。

(ビビる大木)なんか歌詞を聞いちゃうと明日がお正月と思えないぐらい……。

(東野幸治)モーターヘッドからRCっていうね、ちょっと感情のゆらぎがね。

(ビビる大木)とんでもないです。4速から急にニュートラルになりましたから。アクセルを踏んでも、踏んでも……。

(東野幸治)だから本当に忌野清志郎さんが生きていらっしゃったら……本当に生放送で何を歌うのか。いきなりわけのわからんことを、リハとは違う歌を急に歌って問題になったじゃないですか。だから紅白歌合戦とかも生きていらっしゃったら……でもNHKはそんなの、生で出すような勇気はないでしょうね。

(ビビる大木)そうでしょうね。じゃないですかね。本人……どうなんでしょうかね?

(東野幸治)でも、僕らからするとね、見たいというか。なんか、やるんじゃないの、みたいなドキドキ感も込みで。

(ビビる大木)清志郎さんの時代は「出るのはロックじゃねえよ」って。きっとね。

(東野幸治)そうそう。だから「テレビに魂を売った」とか、周りのバンドマンとかに笑われたりするんでしょう? ダサいとかって。だって松山千春さんとかもベストテンとか、一切出えへんかったし。お願いされてしょうがなく1回だけ出るとかってことでしょう? だからそういう時代……すごい時代よね。うん。RCサクセションでございます。

(ビビる大木)かっこいいですね。

(東野幸治)いや、かっこいい。あらためて皆さん、RCの曲、たくさんございますので。ぜひぜひ聞いてほしいと思います。明日から正月だという時にこんな曲をかけて、すいませんでした!

(ビビる大木)「すいませんでした」っていうとまた、清志郎さんも浮かばれないじゃないですか(笑)。

(東野幸治)いやいや、俺はめちゃくちゃ好きやけど。たぶん、なんか仕事帰りに車に乗っているおっちゃんとかも1回、車を止めていると思うのよ。完全に。「そうか……俺の人生、ここまでかな。ゴール、見えたな。あとは子供のために頑張ろう……」って(笑)。

(ビビる大木)いやー、面白い(笑)。

<書き起こしおわり>

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