オードリー若林 コントの難しさを語る

オードリー若林 コントの難しさを語る オードリーのオールナイトニッポン

オードリー若林さんが2021年11月27日放送のニッポン放送『オードリーのオールナイトニッポン』の中でコントの難しさについてトーク。春日さんと演じることについて話していました。

(若林正恭)それで俺、『しくじり先生』でコントを平子さんが書いてきてやるっていうのがあったんだけど。それも含めてなんだけど。あと、この間は『バチくる』で漫才やったでしょう? 一般の方と。で、山ちゃんとも『明日のたりないふたり』でやって、春日ともやってるけど。俺ね、やっぱりね、コントがちょっとね、もう……待ってられない。しゃべりたくて。

(春日俊彰)ああ、なるへそ。

(若林正恭)だってアドリブが浮かんでも、言っちゃいけないじゃん? 時間帯とか、あるじゃん。グラスを磨いてて、だんだん「変だな」って気づいてくる時の頭の方って、グラスを磨いてなきゃいけないじゃん。しかも結構それはちゃんとバーの雰囲気を出すために。あれがもう、耐えられない。俺。「いや、それでさ……」って言いたくなる(笑)。

(春日俊彰)そうするとやっぱりね、雰囲気が。世界観が崩れたりもするから。たしかにね。

(若林正恭)世界観、大事じゃん。漫才がやりたいな(笑)。

(春日俊彰)そうだね。待ってるってあんまりないもんね。たしかにそうだね。その違いはあるか。

(若林正恭)そうだね。その違いはちょっとあるんだよね。漫才とコントだったら、どっちが好き? やるの。

(春日俊彰)うーん。まあ、漫才かな?

(若林正恭)待ってられないでしょう?

(春日俊彰)待ってられないし、なんかちょっと……自分がなにをやっているのか、わかんない(笑)。

(若林正恭)いやいや、それはそれはないだろう? コントだよ?

(春日俊彰)いや、あるある。コントの場合。春日ってあるじゃん。で、「なんかやってみよう」ってなって別の役をやっていても春日で行けるけど。コントって今、春日なのか、与えられたその役のやつなのか……「今、誰なんですか?」っていう。上手い人は声を変えたりとかさ、するじゃない? 地声じゃなくて。「こういう性格のやつだから、こういう声だろう」とかさ、「こういう姿勢だろう」っていうのでキャラを作るじゃん? わかんなくなるのよ。わかんないの、だから。

(若林正恭)だから星野源さんとかさ、『逃げるは恥だが』と『MIU404』で全然違うじゃん? ああいうの、すごいよな。あれ、すごいよな。俺、だから『コレアリ』でモンスターヒラタってやっていたんだよ。あれ、たぶんこのラジオを聞いてる人で「見たことがある」っていう人はあんまりいないかもしれないけども。12年前だから。あれ、俺ありきで始まったからね。あの時の俺、普段の俺ありきで。俺の過去のバイトエピソードとか聞いて作られたコントだから。だから俺、安島さんにすごい褒められたのを覚えてるのよ。このラジオでも話したかな? 漫画喫茶って、個室に分かれてるじゃん? で、そのブースに入るところに、ひざ下ぐらいは見えるけど、扉があるでしょう?

(春日俊彰)あるね。あるある。

モンスターヒラタは褒められた

(若林正恭)で、それを漫画を2巻、3巻ずつぐらい取って読むならギリ、ルールの範囲内だけども。15巻とか取っちゃうと、「その読み方ってモラル的にどうなの?」っていうの、あるじゃん? でも、モンスターヒラタは15巻を全部取っちゃうやつだから、胸にいっぱい漫画を積んだまま、ブースに入ってくるんだけど。その扉を押す時に片手で漫画を持って、それを顎で押さえて。それで扉を押して入っていくっていう風に思ったの。台本にはそんなの、何も書いてない。ただ「入っていく」ってあって。それを、15巻持ったまま、手も肘も何も使わないで、そのままのモーションで入っていくっていうのを何の意識もせずにできるのよ。それは、俺だから(笑)。

(春日俊彰)なるへそ、なるへそ。はいはいはい。ああ、それを……ちょっと怖さがあるよね。そういうやつの方が。ちょっとヤバいやつ感はそれだけで演出されるよね。

(若林正恭)それをね、すごい安島さんに褒められたの。「今のってさ、そうやって入ろうって決めてたの?」って言われて。「えっ、手で開けた方がよかったですか?」って言ったら「いや、すごいよかった」って言われて。だから、それを覚えてるんだよね。

(春日俊彰)なるへそ。そうだね。それはもう、自分の中のものを出しているわけだもんね。演技じゃないもんね。その人になり変わって、とかじゃなくて。なるへそ。それはたしかにそうだね。そっちの方が。だから、そういうやつをやってってなったら、難しい。その発想ないかもわかんないね。教えられないと、手を使って入っちゃうかもしれないね。

(若林正恭)そうそう。まあ、だからそういうことをさ、いっぱい頭の中にあるんだろうね。いろんな役ができる人って。すごいよな。

(春日俊彰)いや、本当よ。それを考えて、「そういうやつだったら手を使わないでそのままドアに漫画ごと当たっていくんだろうな」とかになっているんだろうね。

(若林正恭)なんかのドラマか映画を見てて。満島ひかりさんが靴紐を結びながらしゃべってるシーンがあるんだけど。そこにはね、なんか靴紐を結ぶっていうことに何の意味もないんだけどね、なんかそれがすごいリアルだったの。あれって、「靴紐を結びながらやろう」って決めてるのかな? それともたまたま解けてて、とかなのかな? でも、これで「靴紐を結びながら」ってト書きに書いてあったら恥ずかしいけどね(笑)。でもなんか、すごい……「どうなんだろう?」って思ったりしたんだよね。

(春日俊彰)でも、そう思わせる時点でってやっぱりすごいんじゃない? 書かれていたとしても。「あれはどっちなんだ?」って若林さんに思わせる時点で。書いてあったとしても、書いてなかったとしても、どっちにしてもすごいっていう話なんじゃない?

(若林正恭)そういうの、すごいよな。

(春日俊彰)役者の方ってそういうの、いっぱいあるだろうね。

(若林正恭)あのね、佐藤二朗さんって、俺、SKEとコントドラマみたいなのをやっていた時なんだけど。もう、めちゃくちゃだからね。あの人。台本通りに全然やらなくて。でも、それをすごい覚えているんだけど。あれ、アドリブなのかな? 「お前ってあの、お前、あの……」って。全然セリフを言わないの。「お前、あの……お前、あの、お前……」とか言いながら、ラジオディレクター役の俺の体をべたべた触ってくるの。「お前、お前、あれ……」って。それで最後、意味もなくビンタされて。俺が「これは、なんなんすか……?」ってアドリブで返したら、佐藤二朗さんも笑いそうになっちゃって。それでやっとセリフを言うみたいな(笑)。「お前、お前、あの……」って体をすごいべたべた触られて(笑)。で、それがOKなのよ。でも、下手な役者がやったらダメなんだろうな。「何やってんの?」ってなるんだろうな。

(春日俊彰)それをやろうとしてる人みたいな感じになるんじゃない?

(若林正恭)だからそれを許させちゃう何かとかがなきゃいけないのよ。現場で。

(春日俊彰)そうだろうね。その役の大きな枠からは出てないんだろうね。恐らくね。

堺雅人との共演

(若林正恭)俺さ、それでさ、動物のさ、『ひまわりと子犬の7日間』っていうの、やったじゃん? あれ、始まって1回、宮崎で撮って。2回目の収録日に……宮崎で撮っていて。飛行機で東京と何往復もしていたの。で、堺雅人さんとかは泊まっていたの。で、2回目か3回目ぐらいの時に堺雅人さんがアメリカの俳優が書いた「俳優というお仕事」みたいな本を俺にプレゼントしてくれたの。で、それはもう第1章が、「現場に遅刻をしないこと」みたいなことが書いてあって。だから1、2回やって「相当、できないぞ」ってあの時の堺雅人さんは思ったんじゃないかな?

(春日俊彰)フハハハハハハハハッ!

(若林正恭)映画が初めてだったし。で、俺はその本を読まなかったんだよね。

(春日俊彰)読みなさいよ!(笑)。

(若林正恭)それは、ごめん。その時、マジで忙しかった。ネタも書く、アンケートも書くっていう日々だったの。あの時は。飛行機の中でもずっとなにか書いていた。アンケートとか。

(春日俊彰)とにかく時間がないっていうことね。はいはい。

(若林正恭)「こやつは何ぞ?」と思われてのプレゼントだったんだなって、今から思うと、ちょっと思うんだよね。

(春日俊彰)そうかもね。教科書をくれたみたいなことなのかもしれんね。たしかにね。

<書き起こしおわり>

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