星野源と荻上チキ 2021年衆議院選挙と最高裁判所裁判官国民審査を語る

星野源と荻上チキ 2021年衆議院選挙と最高裁判所裁判官国民審査を語る 星野源のオールナイトニッポン

(中略)

(荻上チキ)投票に行くと、やっぱり達成感はあると思いますよ。それでその人が通らなかったら「次はどうしようか?」って考える材料になるし。通ったけどその人がロクでもなかったってなったら「じゃあ、次は落とそうか」っていうことにもなるし。そういう人が結構いい仕事をしてたら「じゃあ、ちょっと今度は講演会とか……仕事ぶりとかを『前に1票、入れたけどよかった』よってもし会えたら言おうか」とか。

それはかならず未来につながるので。投票に行くっていうこと自体の気分の向上というものはやっぱりそれなりに味わってもいいと思いますね。逆に「学習性無力感」っていうのが一番怖いもので。学習性無力感って人は「何をやってもダメだ」っていうことを学ばされてしまうと「今はできるよ」っていう状況を与えられたとしても、もう何もしなくなってしまうっていう。たとえば犬とかに電気ショックとかを与えて柵から逃げられないようにすると、いざ電気も流しません。柵も取り払いましたってなっても、もうその犬は動かなくなっちゃうんですよね。で、人間もそういう学習性無力感っていうのがあって。

「学習性無力感」が一番怖い

(荻上チキ)たとえば学校の校則とかで先生から理不尽に叱られ続けた。で、いきなり「選挙に行け」って言われても「お上なんて言うことを聞いてくれないでしょ?」みたいな感じとか。あと、「前に投票に行ったけど、票を入れた人が通らなかった」とか。「前に入れた人が当選したけども、全然いい仕事してくれなかった」とかで「もう、いいや」ってなると何か勝つのか? その選挙制度の中でただ単に威張りたい人とか、ロクでもない政治をする人たち。その人たちをもう落とせなくなっちゃうんですよね。だから「行ったぞ! やったったぞ! 1票分、かさ増ししてやったぞ!」みたいな。それだけでも十分な参加なので。そういった「学習性無力感に飼い慣らされないぞ!」っていうぐらいの気持ちだけで行くのもいいと思いますね。

(星野源)うんうん。やっぱりどうしても、学校の校則って自分の場合は「あるものだ」と勝手に思っちゃっていて。生まれてきた時からあるから、何か知らないけどこう、「従わないといけないのかな」みたいな。で、それを僕の場合は親が「たぶんこいつはそれに順応できないだろうな」って思って、自由な学校に……校則がほぼない学校……自由の森学園っていう学校に中高と入れてくれたんですよ。そのおかげで、なんかそういう感覚がちょっと薄れていったというか。

たとえば学校の中で……今はちょっとわからないですよ。今、どうだかはわからないですけど、学校の中で何か問題があった時に、ホームルームの時間に各クラスが話すんですよ。で、それは「結論を出す」のではなくて「ただ話す」んですよ。「どう思う?」って。で、「先生はこう思うんだけど」「私はこう思うんだけど」「えっ、それ違くない?」「でも、こうなんだ」「ああ、じゃあそうか。それはわかるわ」とかで。で、延々とただ話すんですよ。議論じゃなくて。「議論」っていうと、なんとなくその「どっちかがどっちかを打ち負かす」みたいなイメージがありますけど。

(荻上チキ)まあ「対話」みたいな感じですね。

(星野源)はい。僕の中ではなんか、ただ話して。いろんな人の話を聞いて考えるっていう時間っていうか。なんかそれが自分の中に何となく根付いていて。だから考えるのが好きなんですよね。あと、話を聞くとか。「ああ、こういう風に思っているんだ。面白いわ」とかっていうのが。だからなんか自分はそういう、学校の校則で「もう、これです」っていうのじゃない学校で中高と育てたのはなんかよかったのかなと思いつつ。だからなんか、でも学校とかで「もう、これです」ってなったりとか。それで自分は「なんか理不尽だと思うんだけどな」っていうので叱られちゃったりとか。なんかそういうのがあると、その癖がついてしまったりするような……。

(荻上チキ)つきますよね。

(星野源)ありますよね。

(荻上チキ)だから学校の校則の話でも、理不尽なことがいっぱいあると思うんですけど。その理不尽さっていうものは「慣れるもの」じゃなくて「変えるもの」なんだっていうことを伝え続けているんですよね。ルールは守らなきゃいけないものじゃなくて、問題があったらそのルールは変えていい。それは国レベルでも学校レベルでもそうなので。そういったような感覚というのはまず持ってほしいですよね。でもその選挙とかっていうものをあんまり固くとらえずに、これぐらいカジュアルに話して。お菓子とかをつまみながら楽しめるもので。その間に音楽の話とか、脱線してもいいし。っていうぐらいの温度感を伝えたいですよね。一番ね。

(星野源)うんうんうん。そうですね。その中で、やっぱりぷっちょにトライってしてみるというのもひとつ、ありますよね。

(荻上チキ)そう(笑)。ぷっちょを食べるとしゃべれなくなりますけど(笑)。

(星野源)ちょっとそれは南部(広美)さんにも試していただきたいですね(笑)。

(荻上チキ)明日、ぷっちょを静かに食べるみたいな(笑)。

(星野源)僕、南部さんの声が大好きで。

(荻上チキ)来週にします(笑)。今週ね、各党の方に次々と話を聞いてるので。ちょっとぷっちょの隙間がなくて(笑)。

(星野源)「ぷっちょの隙間がない」。そうですよね(笑)。

(荻上チキ)今週末に選挙特番があって。5時間ぐらいやるのかな? 選挙特番をやって。来週になったらちょっとぷっちょタイムを。南部さんにスッと……。

(星野源)南部さん、やってくれるのかな?(笑)。

(荻上チキ)時間帯によると思いますが(笑)。

(星野源)うんうん。いつもパーソナリティーとして一緒にやってらっしゃいますけど。南部さんがたまに自分の趣味のことで盛り上がる時、あるじゃないですか。音楽とか。あの瞬間がすごい好きで。その時になんか、ラジオで聞いてるだけなんだけど、目の中に星が見えるというか(笑)。『あまちゃん』の話とかをなんかする時に「これ、目がキラキラしてるんだろうな」みたいな。なんかそういう感じも好きだし。でも、すごくいろんなニュースを伝える時にすごくフラットに入ってくるっていうか。なんかあの声もすごい素敵だなっていつも思ってます。

(荻上チキ)はい。伝えておきます。というか、たぶん伝わってると思います。

(星野源)今、聞いてくれてますかね?

(荻上チキ)いつも他所様に行くと後でLINEをくれるんですよ。「聞いていたよ。こうだったね」っていう。すごいもう、家族というか、姉というか、仲間ですね。

(星野源)いや、素晴らしい。なのでぜひ、荻上チキさんの『Session』も聞いていただけたらと思います。じゃあ、そんな感じで。ちょっと短い時間でしたけれども。今日もありがとうございました。じゃあ、ちょっとここで1曲、お送りしたいと思います。僕の選曲でdodoという方の『bonsai』っていう曲なんですけど。なんとなく、その政治の話とかいろいろ……やっぱりどうしても、さっきチキさんが言ったみたいにちょっと固くなるっていうか。

でも、なんかその自分が一人間としていろいろぶち当たる、その「うーん……ホームページが読みにくい」とか。なんか「国民審査? なんじゃ、こりゃ!」とか。なんかそういう感覚みたいなものってずっとあると思っていて。でも、メディアでこういう話をしてしまうと、どうしても固くなりそうなんで。なんかそういう気持ちを思い出させてもらったし。あと、僕が作った『くせのうた』という曲をいつも歌う時に見える夕焼けがあるんですけど。僕はこの曲の中で同じ夕焼けを見たというdodoの曲です。『bonsai』。

dodo『bonsai』

(星野源)今日のゲストは荻上チキさんでした。ありがとうございました。

(荻上チキ)ありがとうございました。

(中略)

(星野源)メールが来ました。広島県21歳。「お恥ずかしながら選挙権を18歳で得てから、今まで選挙に足を運んだことがありませんでした。今日の放送を聞いて投票に行ってみようと思います。政治について知識は少ないですが、しっかり考えようと思います」。ぜひ! ねえ。もう1点突破でもいいですから。どんな方法でもね、どんな考えてもいいですから投票に行ってください。ただもう1人、ボスがいますので(笑)。投票所には隠れボスが出てくるのでね。まあ、それもぜひちょっと調べてみてください。

(中略)

(星野源)そして、ごめん。ちょっと『Cube』のミュージックビデオの話をしたかったのだが来週、ゆっくりさせていただきます。でも、ちょっと曲はぜひ聞いてください。星野源の新曲です。『Cube』

星野源『Cube』

(星野源)こうやって聞くと、今日の話の流れで行くと学習性無力感をぶん殴ってぶち壊す歌ですね。星野源で『Cube』でした。

(中略)

(星野源)メールが届いてます。横浜市の方。「何となく無力感を感じる世の中で光を感じた放送でした。私たち1人1人の声が届くといいなと願いながら、投票に行こうと思います。チキさん、源さん素敵な放送をありがとうございました」。こちらこそ、ありがとうございます。なんか楽しかったね。

(中略)

(星野源)ねえ。ちょっとね、楽しかったね。だからぜひ皆さん、いろんなね……もうどんな理由でもいいですから。自分の気になってることとか、そういう1個のことで判断してもいいですし。なんとなく行ってもいいと思いますし。それで知ることがいっぱいあると思いますしね。とりあえず、スケジュール表に期日前投票だったら「この日に行く」って、その期日前投票を行く日を。で、31日の選挙日っていうのも入れましょう。衆議院選挙ってね。いやー、入れた?(笑)。俺、じゃあ今、入れるわ。はい、入れました。入れましたー。だからね、これちょっと聞きたいな。

だから投票所で「まあーっ……」って言ってる人がいたら、報告してください(笑)。「まあーっ!」って言う人がいたらチキさんのセッションのリスナーか、星野源のオールナイトニッポンのリスナーの可能性があるんで。そしてあと、衆議院議員選挙の投票の後には隠れボスが隠れているので。そちらもぜひ、気を付けていきましょう(笑)。「気を付けていきましょう」っていうか、まあなんか、本当にお祭りにして。

帰りに楽しいことをするとか、なんか面白いこと……「これ、ずっとほしかった」っていうものを買うとか。僕は袋麺を2玉、食べますから(笑)。そんな感じで……あと、もういっぱいお菓子をありがとうございます。僕はちょっとチョコまみれとあと、メルティーキッスを持って帰りたいと思います。それでは、星野源でした。また来週! まあーっっっ!

<書き起こしおわり>

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