星野源『柄本家のゴドー』を語る

星野源『柄本家のゴドー』を語る 星野源のオールナイトニッポン

星野源さんが2020年12月8日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で映画『柄本家のゴドー』について話していました。

(星野源)どうも、こんばんは。星野源です。最近は結構夜中に曲づくりをすることが多くて。曲づくりをするということは、もう夜ふかしをするということが毎回の恒例になっていまして。ドラマをずっと撮影しているような1年だったので、結構早起きすることが多い1年だったんですけれども。もう音楽制作体制の時間になっちゃうと、どうしても……どうしても夜中に活動する時が多くて。

夜、「あっ、ちょっと思いついたわ」なんつってやり始めてね。パソコンに向かったり、ギターを持って弾き始めたりすると、あっという間に3時間とか経っちゃって。もうなんか……それでまたお風呂に入ったりとかして「じゃあ、もう寝るか」なんていう時にはもう6時とかね。外が完全に明るくなってたりすることが多くて。

それでこのラジオも正直、原因のひとつなんですよ(笑)。そのやっぱり1時~3時っていうのはね、遅いですね。改めてやっぱりこの、もうすぐ40になる体を思うとですね、厳しい(笑)。だからこの後のオールナイトニッポン0の人たちはもっと大変だと思うんですけど。3時からスタートでね、4時半とか5時とかに終わるじゃない? で、そのやっている間はすごい楽しいんだけど、やっぱりラジオってやるとさ、興奮しちゃうんですよ。それで興奮すると帰って寝れないっていうね。

だから、お風呂に入って一旦落ち着いてさ。それでもやっぱり寝れなくて。本当はたぶんなにすごい美味しいものを「夜食です」ってガッと食べたら血糖値がガーッと上がってガッと眠くなるんだろうけど。それもできないとなるとですね、まあベッドで横になりながらスマホを見たり、本を読んだりとかってなっちゃうんですけど。時たま、テレビをいじったりとかしてて。それこそアマゾンプライム的なところを開いちゃって。あとはNetflix的なものを開いちゃってね。

それで見ると……なんとなく「これをちょっと見て、眠くなったら寝よう」みたいなのが、見ていてあまりにも面白くて寝れなくなるっていう時があって。それで今日はその年末のもろもろの番組的なのもありまして。リハーサルが今日、あったんですよ。だからあんまり夜ふかしはできないんだけど、結構遅い時間にまたちょっと「でもあんまり眠くないしな……」なんつってテレビをつけちゃって。で、そのアマゾンプライム的なのを開いちゃって。

新作のところをもう本当に死んだ目でダーッて見ていたんですよ。なんですかね? あの、アマゾンのFireStick的なのあるじゃない? あれを持ってる人は気持ちが分かるかな? あれを開いても、ただずっとスクロールしちゃうの。上から下まで。で、下までスクロールすると行き止まりになっなったりさ。あとはNetflixが今そうだったかわからないけど。頭に戻ったりするんだけど。それでまた死んだ目でずーっと……なんか琴線に触れるものはないかな?って思いながら。もうずっと順繰り、順繰りしている中で「えっ、何これ?」っていうのを見つけたのがドキュメンタリー映画だったですよ。

で、それが『柄本家のゴドー』っていうドキュメンタリー映画で。それは柄本明さん。東京乾電池という劇団の主催をやっていますけども。その息子さん2人。柄本佑くんと柄本時生くん。で、僕はでも時生くんはほとんど話したことはないんだけど、何度か……本当にちょこっとだけ話したことがあって。で、佑くんは映画ですごい昔にご一緒したりとかしたけど。でも、あまり実はそんなに話したことはないんだけど。一応、知っているっていう。

で、柄本さんには『ウォーターボーイズ』の時に一緒だったんだけど、それもほとんど話もできずというような感じで。あまりお話をしたこともないんですけど。その、柄本明さんがいて。それで佑くんと時生くんが今、演劇ユニットを兄弟で組んでいて。それの『ゴドーを待ちながら』っていうものすごく名作の不条理劇があって。すごい昔の、サミュエル・ベケットという人が書いた作品があって。それはもう、いろんなところでいろんな人が上演を重ねてきた、名作と言われている作品で。

それを兄弟2人でやる。で、その演出を柄本明さんがやるという。その舞台の稽古風景からずっと撮っているドキュメンタリー映画なんですけれども、これがめちゃくちゃ面白くてですね。まず、柄本さんの演出が見れるっていうのが……僕、『柄本家のゴドー』ってなった時に、再生した時も僕、この作品を知らなかったんで。だから『ゴドーを待ちながら』の本編が入ってるんだと思っていたんですよ。劇場の上演を映した作品だと思っていて。

でも、そうじゃなくて。もう稽古風景がずっと流れていて。あとはインタビューとかがあるドキュメンタリー映画で。でも、その柄本さんの演出をしている時の顔がすごくて! もう……なんて表現したらいいかわからない顔をしてるんですよ。目をすごい見開いて見ているんだけども、でも見るのに目を使ってないんですよね。なんか……なんて言えばいいんだろう? もうこうやって見ていて(笑)。

(寺坂直毅)フフフ(笑)。

演出をしている柄本明の顔

(星野源)これ、俺の目の前にいる放送作家の寺ちゃんの今のリアクションでなんとなく察してほしいんだけども。すごい……もう、なんていうか、審美眼みたいな。まあ、とにかくものすごく奥の方で何かを見つめていて。それで演出を付けていく様もすごく面白いし。で、その佑くんと時生くんのお芝居もそうだし。あとお芝居をした後に柄本明さんが演出を付けている時の2人の目とか。あと、演出を受けてお芝居を繰り返す時の変え方とか。「こんなに赤裸々に見せてくれるんだ!」っていうぐらい、演劇が立ち上がっていく姿みたいなものを見ることができて。

しばらく自分が演劇の舞台に立ってないっていうのもあるんですけど。なにか、ものすごくものすごく感動をしてしまいまして。これはすごくオススメな作品だなと思いますので、ちょっとお話ししました。ちょっとすごかったです。いやー、ぜひ演出しているところの顔を見てください。で、DVDとかはあるのかな? 僕が見たのはそのアマゾンプライムで配信であったので。もし見られる人はぜひ見てみてください。

演劇に全く興味がないという人もこの番組を聞いている人でいると思うんですけど。見たら、もしかしたらちょっと興味がわくかもしれないです。「演劇は見たことがないです。ドラマとか映画は見てるんですけど」みたいなことを言う人もいると思いますし。でも、そういう人ももしかしたら、たとえばテレビとか映画の特典映像とかで映画のメイキング……演出を受けてる様とかを見ることがあるかもしれないですけども。

また、その映像の演出と違うのかどうかはわからないけども。その演出をする人によって全く違うんだと思うんですけど。その演出のつけ方とか、演出をつけた後に一言付け足すその一言とか。だからそのもう全てがですね、あまりに面白くて。だからちょっと興味がわくのではないかということで。ぜひ見ていただきたいなと思った作品でした。

『柄本家のゴドー』予告編

<書き起こしおわり>

タイトルとURLをコピーしました