星野源 菅田将暉の魅力を語る

星野源 菅田将暉の魅力を語る 星野源のオールナイトニッポン

菅田将暉さんが2021年10月19日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』に出演。星野源さんと仕事のスイッチの入れ方などについて話していく中で、星野さんが菅田さんの欲のない魅力についても語っていました。

(星野源)今日は僕、実は……後ほどちょっとその話もしたいんですけど。『CUBE』っていう今回菅田くんが主演された映画の主題歌で『Cube』という曲を僕が書きおろしさせていただいたんですけど。そのミュージックビデオの編集を今まで、ちょっと立ち合いも含めてやってまして。それで今、割と何て言うんですかね? 温泉に浸かった後みたいな。グーッと集中して、その後の状態で。恐らく菅田くんも今日、たぶんなにか仕事をされて。で、だいたい仕事してからオールナイトニッポン、1時からスタートするまでの間って、ちょっと休んだりとか。1回、ちょっとスイッチをオフにして。それでラジオの1時ぐらいにチューニングが合うように、たぶんもう体がなっているじゃない?

(菅田将暉)なっていますね(笑)。

(星野源)それで(収録をしている)今は夜11時……10時半とか11時ぐらいの間だと一番オフっている時間じゃない?

(菅田将暉)そうなんですよ。これ、マジでそうなんですよ。俺もちょっと鼻声ですもん。なんか。

(星野源)そうだよね? あと、帽子もかぶってて、メガネもしていて。で、うちのおじいちゃんって八百屋だったんですよ。そのうちのおじいちゃんに今、そっくりです(笑)。

(菅田将暉)そっくりですか(笑)。

(星野源)青い星で、市場のプレート、あるでしょう? いつもそのプレート付きの青い帽子をかぶっていて、すごいそっくりで今、ほっこりしているんで(笑)。

(菅田将暉)アハハハハハハハハッ! 恥ずかしい(笑)。

帽子がおじいちゃんっぽい

(星野源)そう。だからそういうテンションで今日は菅田くんとダラダラと話せたらなと思ってるんですよ。

(菅田将暉)そうか。いつもだと、そうですよね。1時からだから。まだ全然スイッチ入れてない時間ですね。でも、スイッチとか入れます?

(星野源)僕はなんか前は自然と入るっていうつもりで、もう何も考えないで本番に入ることが多かったんですよ。だけど、だんだんやっぱりそれだと体も追いついていかないし、そそれがね、前は本番始まった途端にグッとラジオスイッチが入っていたんだけど。もう何年もやってるとね、3時ぐらいになってやっと入るんですよ。もう終わりぐらい「ああ、元気になった! また来週!」みたいな感じになっちゃうので。なんかこう、一旦スイッチを入れるみたいな気持ちで。それで最近、ビフォートークっていうYouTubeで音声だけ、本番前に5分だけやってるんですよ。そのおかげもあって、ちょっとスイッチが早めに入るようになったの。菅田くんはどうですか?

(菅田将暉)僕は……ガンガンになんか本番10秒前ぐらいに、それこそ野上さんからインカムで「よろしくお願いします」みたいなのがあって。ここのBTってやつを押しながら「お願いします」って言ってから。

(星野源)じゃあ、もうパキッと?

(菅田将暉)そこからちょっとスイッチを入れなきゃなっていうか。だから星野さん、そこが不思議で。前に共演した時も思ったんですけど。『MIU404』の時もそうだし、ラジオでお邪魔した時も、普通に聞いてる時もそうですけど。このなんか……スイッチを入れてるのか、入れてないのか。その感じ、すごくないですか? でも、かといってなんかオンとオフが一緒ってわけでもないし。でもなんか、違うわけでもない。なんかそのナチュラルさは初めて見る人だなと思います。

(星野源)ああ、嬉しい。なんか感覚としてはボールがあって。ボールを高く、ちょっと前方に投げて、そこに走って行って受け取るみたいな。だからなんか100パーセント、心の底からスイッチが入ってないんだけど。たとえば声の高さとか、形みたいなものだけ一旦、上にバーン!って投げておいて。そうすると自然にそこにグーッと時間をかけて上がっていくみたいな。それを前は2時間かけてやっていたんだけど。それじゃいかんなということで、ちょっと短くなるようになっているっていう感じで。いや、でもそうか。菅田くんはパキッと早いのか。

(菅田将暉)でも、それは結構理想なんですけどね。パキッと入れると、角度が行き過ぎたりするんで。

(星野源)ああ、なるほど。ちょっと上に上滑りっていうと、言い方はよくないけど。グッとテンションが高すぎちゃうみたいなことがあったり?

(菅田将暉)高すぎちゃったりとか。逆に、なんか朝イチからすごい大暴れしなきゃ、みたいな日は、もうわざと最初、上滑りして。それでもう限界を1回、なくして。ゴリゴリに滑ってから調節していくとか、ありますけど。

(星野源)ちなみにその朝イチっていうのはじゃあ、俳優の仕事の時っていうこと?

(菅田将暉)俳優の仕事の時ですね。はい。でも、ラジオとかもそうです。最初にガーン!って上げて、1回上滑りしてからCM中に落ち着くみたいな(笑)。

(星野源)アハハハハハハハハッ! でも、たしかにそれ以上は行かないもんね。1回、出しちゃうとね。

(菅田将暉)1回、恥ずかしいことがあるともう楽なんで。ということはやりますけど。本当はやりたくないんですけど。そんなことは。

(星野源)アハハハハハハハハッ! 一番、もう狙った通りのところに行ければ本当はいいんだけど、みたいな。

(菅田将暉)狙った通りにかっこよく行きたいけども……っていう。はい。

(星野源)『MIU404』の時にご一緒した時も……でも、あんまり実は同じシーンってすごい少なかったんだよね。だから僕は菅田くんと共演するのがすごい楽しみで。「いつかな? 会えるの、いつかな?」って思っていたら、結構画面越しとか、声だけとかで。で、あの繋がってる画としては画面をお互いに見てるんだけど、撮影の時は僕はいわゆるADさんの声でやってたり。そういうパターンもたまにあったりとかしたので。本当に最終話ぐらい? ちょい前ぐらいにやっと会えたのかな? だから実質数日みたいな感じだった記憶があるんだけども。

(菅田将暉)ですね。3日も一緒だったかな、ぐらいっすね。

『MIU404』での共演シーン

(星野源)でも僕はすごく、すごく素敵な思い出として。あの船の上の大変な1日を思っていて。すごく楽しかったんですよ。菅田くんとお芝居をしている時が。なんか、それこそ菅田くんのスイッチの入り方が僕にはものすごくナチュラルに見えて。パキッと変わっているんだけど、なんていうか、その変わり方が面が常に菅田くんっていろいろあるなと思っていて。

その面がパチッと変わっているだけで。なんか、いわゆるなんていうかな? そもそもいろんな面を持っている方っていうイメージがあったので。でも、確実に違う人に見える。菅田将暉ではなくて、久住っていう人になるっていう。なんか、ナチュラルなんだけど全然違くて。だから相対する自分が勝手に志摩になるんですよね。その、役にクッとなるっていうか。

(菅田将暉)はいはい。相手がいると……っていうのはありますね。

(星野源)うんうん。だからそれがすごく僕は楽しくて。

(菅田将暉)たしかに。僕も現場で逃げていく……僕が逃げていった方から星野さんがブワーッと来た時に、なんかちょっとね、そのエネルギーを受けるとまた役ができるっていう感じってありますよね。

(星野源)ああ、それは嬉しいですね。

(菅田将暉)あの時に、クランクアップかな? もうこれで星野さんのシーン、最後だなっていう時に星野さんが「コメディ、やりたいね」って言ってくれて。

(星野源)ああ、覚えている? あの控室っていうか。

(菅田将暉)話してくれたのが嬉しかったですね。

(星野源)うんうん! あれだよね。病院のシーン。いや、それを覚えててくれいて、嬉しいです。

(菅田将暉)いやいや、だから本当に「楽しませるのが好きだな」と思って。

(星野源)どういうこと?

(菅田将暉)なんか星野さんはこう、常に次のこと、次のことっていうのを……。

(星野源)ああー。何かをやってる間に次のことが思いつくのが自分の中で健全な状態で。なんか……僕は『POP VIRUS』っていうアルバムを出して、ドームツアーをやった時に1回、ちょっと燃え尽き症候群みたいになってしまったんだけど。

(菅田将暉)やっぱりそういう時もあるんですね。

(星野源)そうなんですよ。その時は本当に何にも思いつかなくって。で、思いつかないまま『罪の声』っていう……それはでも、ちょうどありがたいことに役者の仕事がガッツリ入ってたので、もう役に集中できて。

(菅田将暉)『罪の声』もまたね、見ましたけども。小栗さんとのあれでね。

(星野源)あれも素晴らしい……土井さんが監督で。『花束』の監督でもある。だから、すごい楽しかったんで。その後に「そういえば俺、海外に行ってねえ」と思ってワールドツアーに行ったりとかっていう。だからなんかそういう風に、なんかをやってる時に次のを思いつくと健全で、あの時はちょっと疲れていたっていうか、ちょっと病んでいたのかな?っていう感じはあって。菅田くんはそういう時、ありますか? なんていうか、燃え尽きるっていうか、もう何もできないとか、何もしたくないとか。

(菅田将暉)ええーっ? なんか、ずっとあるような気もしますしね。ずっとないような感じもするし。なんでしょうね?

(星野源)僕、一番最初に会ったのがアカデミー賞の新人俳優賞で一緒だったんですよ。

(菅田将暉)うわーっ、それこそ、それこそ綾野剛くんも一緒でしたよね?

(星野源)そうそうそう。剛くんも一緒で。同じ円卓でスタンバイも一緒で。その時に、会話はたぶんほとんどしてないと思うんだけど。見てて思って。あと、その後に役者さんとして見るようになったから、何て言うか……役者って、役者に限らず、「欲」っていうのが見えるんですよ。僕は。「こうなりたい」とか「こういう位置に行きたい」とか「このぐらい有名になりたい」とか「こういう役をやれるようになりたい」とか。なんか、そういうのが一切、僕には見えなくって。目の前っていうか、その今……今を生きてるっていうか。今を生きて、今見えてる景色をただ見てるっていう。なんかそういう印象の俳優さんだなと思って……「好き!」ってなりました。

(菅田将暉)ああ、マジっすか?(笑)。いや、僕はあの時、「なんでこの綾野剛っていう人と星野源っていう人は新人なんだろうな?」とか思いながら……(笑)。

(星野源)アハハハハハハハハッ! もうその時点で30を超えているわけだからね(笑)。

(菅田将暉)俺は勝手にずっと見てたり聞いてたりしていた人だから。「本当、日本アカデミーはな……」とか思いながら(笑)。

(星野源)そう。なんかね、あれ仕組みがね、初めて取る人は新人賞にならなきゃいけないみたいなあれがあるんだよね(笑)。だからなんか、どうしてもやっぱり欲を感じる人が多いんだけど、それがなくて。なんか、その自分の感覚ってどういう感じなんですか?

欲はあんまりない

(菅田将暉)いや、でもなんかそれを言われてちょっとドキッとしましたね。そうかもしれないです。やっぱり。うん。あの、だからそういう欲はあんまりないですよね、僕。なんか……本当に目の前の1個の現場とか、目の前の人とのお芝居とか、音楽とか以外にあんまりだから興味がなかったりは結構しますね。だから家とか帰って、ずっと1人みたいな。で、なんかソファーでずっといると、たぶん僕はもうそのまま過ごせるんですよ。何にもなく。だから何か、逆に芸能界の仕事でアクションがあることによってしか転がっていかない感じというか。

(星野源)なるほど。なんかその感じが……でも、僕が感じるそういう特徴を持つ人って、たとえば自分の世界を大事にしたい人とか。なんかそういう人が多いような気がするんだけど、菅田くんって人をあまり拒まないっていうか。それこそ、その人の何かアクションによって転がっていくっていうのを基本的にほぼ全部受け入れるみたいな。なんかちょっとブッダ感っていうか(笑)。

(菅田将暉)いやいや、そんな大それたあれじゃないですよ(笑)。

(星野源)なんかちょっとタオニズムっていうか。なんていうんだろう? 流れっていうものがもし生まれたら、そのまま身を任せつつ。でもなんか、思い通りにしたいとか、そういうことでもないっていうか。

(菅田将暉)まあそうですね。やるからには理想はあるけど。でも、そうですね。なんか拒否するとか、「こっちが正解、こっちが不正解。こっちが善、こっちが悪」みたいなのはあんまりないんですよね。何事においても。うん。

(星野源)それが僕はすごく好きだし、すごく憧れる部分でもあって。

(菅田将暉)ああ、そうですか?

(星野源)僕は「これは嫌だ」と思うのがすごく多くて。いろんなところで。だから、そうじゃないことをしたいみたいな欲が僕はあるんだけど。でもなんか、もちろん俳優としても音楽家としても菅田くんという人は欲がないんだけど、その来たものに対してのたとえばアクションだったり、結果だったりっていうものがおざなりでは絶対にないっていうか。そのこだわりをとても感じるんだけど、でもなんか欲がないっていうか。「これは嫌だ」っていうのはもちろんあるんだろうけど。なんか人に対してそれをアピールすることがあまりないっていうような感じがすごいかっこいいし、すごい好きなところですね。

(菅田将暉)いや、本当に……めちゃくちゃ恥ずかしいな。なんか。割と俺の隠し続けてきた性質な気もしますね。

(星野源)ああ、本当に? そうなんだ。そうかそうか。

(菅田将暉)あんまりそこまで言われることもないし。うん。ですね。

(星野源)なんかそういうところがいろんな人から頼られる部分でもあると思うし、みんなが「今度は菅田くんにこういうことをやってほしい」っていうのを思うんじゃないかなっていう。俺ですら、思うもん。「菅田くんにこういうことをしてほしい」っていう。

(菅田将暉)いえいえ、それはすごく嬉しいですけどね。

(星野源)だからこそ、あの時の病室の控室で「コメディをやりたいね」っていう話を……もちろん、コメディをいろいろやってる中で。あの、『菅田将暉TV』の話をさ、して(笑)。

(菅田将暉)ああ、そうっすよね(笑)。唯一、俺の『菅田将暉TV』を楽しんでくれた人なんでね。

<書き起こしおわり>

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