佐久間宣行 空気階段の『キングオブコント』優勝を語る

鈴木もぐら 妻との離婚危機を『キングオブコント』優勝で乗り越えた話 佐久間宣行のオールナイトニッポン0

佐久間宣行さんが2021年10月6日放送のニッポン放送『オールナイトニッポン0』の中で空気階段が優勝した『キングオブコント』について話していました。

(佐久間宣行)『キングオブコント』が終わりまして。優勝は空気階段で。まあ、もうね、これは皆さんが言っているけども。全組面白かったなっていう気持ちもありながら、空気階段が図抜けたネタだったなって僕も思います。俺、なんか思い入れが……芸人としての思い入れも「面白い」っていうのであるんだけども。あれさ、『空気階段の踊り場』っていうラジオってさ、オークラさんの弟子の作家の永井っていうのがやっているんだけども。

だから、深夜3時の立ち上がりから空気階段のラジオの「大変なんすよ、空気階段!」っていう(笑)。その、面白いけど大変っていうのをずっと聞いていたから。俺、だからその空気階段のラジオもさ、深夜3時ぐらいから永井がやっていて聞いていたから。で、劇団ひとりも聞いていたから。単純にファンっていうのがまずあって(笑)。

単純に空気階段の踊り場のヘビーリスナー

(佐久間宣行)苦労をこう……もうヘビーリスナーだからさ(笑)。それが1枚、乗っちゃってるんだよね。俺が芸人さんのコントを見る時って、まずお笑いファンとしては見るんだけども。一緒に仕事をしているテレビディレクターとか演出家として見ちゃう人もいる。それは、蛙亭とかはそうなの。ゴッドタンで出会って1年間、いろんな企画でお世話になっていて。「やっぱりこいつら、面白いな」って思っていたのがそのまま出ているから。その場合は「ウケてくれ!」っていう気持ちがわくわけよ。それで「面白いな」っていうのもあるし。

マヂラブとかニューヨークみたいにもう本当、人気芸人さんの場合は人気芸人の上でここに立つということのすごさをたぶん普通の方よりは俺、わかるわけよ。特にニューヨークなんてさ、この忙しさで単独ライブやってあの新ネタを作って決勝に行くっていうだけで十分に偉業だから。その気持ちでもまだ見ちゃうの。「ウケる、ウケないじゃなくてあそこに立っただけですげえから!」みたいなのがあったりもするんだけども。

そういうのとは別に、空気階段はヘビリスだから(笑)。ヘビリスとして見ちゃうんだよね(笑)。だからお笑いファンの自分とテレビプロデューサーの自分といろいろとごちゃごちゃになりながら見ていたけど。でもまあ、面白かったなって思いますね。あと、ねえ。これも語り尽くされているけども。審査員がね、面白い中でもちゃんと審査傾向が分かれているっていうのが面白かったですね。

同年代ぐらいの4人ってなってくると、傾向が似ちゃうのかな?って思ったら、展開を大事にする飯塚さんと、キャラに1枚乗せてくることを大事にする秋山と、裏切りを大事にする人と……みたいに分かれていて。だから、本当にみんな、何で評価して、何で評価をされていなかったのか?っていうのが今回は伝わったから、みんな悔いはないんじゃないかなって。もちろん、悔いがある人はいるだろうけども、結果には納得ができるんじゃないかって思ったな。

あと、蛙亭の中野が一番最初に口から緑のやつを出した時に、今までの『キングオブコント』だったら結構怖いネタをやるとお客さんが……準決勝までの男性審査員がたくさんいた頃じゃなくて、この5年間の間は怖いネタをやると「キャーッ!」ってなって。それがちょっと変なノイズになった時期もあるんだけども。今回はあの緑のやつの一発で結構、本当にちゃんと笑いが来たから。あれは蛙亭のキャラクターがすごいのか、そこまでに持っていった前説のBKBがすごいのか(笑)。どっちなんだろうな?っていうのはあるんだよな(笑)。今回は全然お客さんが引かなかったからね。だからそれもすごいなって思ったな。

ネタがさ、今回、いろんなところで「優しい」だとか……だから、変なキャラクターがいて。そのキャラクターを受け入れているから「他者を認めているネタが多い」っていう風に言われていたりしたんだけども。それはもちろん、あると思うけど。でも、それはあんまり……なんだろうな? 面白いからちゃんと今までの定石というものを裏切ろうとしていったら、たまたまそういう時期が来たっていうだけだと思うよ。あの、なんでも……お笑い芸人ってとにかくウケることが第一で。で、今のお客さんにウケることを考えた時にネガティブなワードは外しつつ、じゃあ、どう裏切るのか?っていうことを繰り返していったら今回、少しそういうネタが増えた。

受け手の方に……今までだったらさ、ツッコミの方がずっとツッコミ続けて終わったじゃん? 変なキャラクターに出会ったら。で、その方がドッカンドッカンウケてたんだけども。でも、それだけだとお客さんが満足をしなくなって。ツッコミの方というか、変わったキャラクターに出会った方にも1枚、設定が乗っているっていうのが新しい展開になったっていう。

だからもう本当に現代美術みたいな感じなのよ。ここまで来る賞レースのお笑いのネタって。だからさ、マルセル・デュシャンがトイレに「泉」っていう名前をつけて「これはアートです」って言って。「すげえ!」ってなったからそっちの美術がまた売れるみたいなのと同じで。本当にだから解釈とのせめぎあいだから。

現代美術のようなお笑いの解釈

(佐久間宣行)今回の裏切りがもしかしたら、M-1でまた裏切られて。ガンガン突っ込むネタがめちゃくちゃウケたら、もう今年ウケた『キングオブコント』じゃなくて、M-1での死ぬほど突っ込むネタがウケた『キングオブコント』っていうものになっていたりもするかもしれないから。そのぐらいお笑いのスピードが早くなっているなっていうのを感じた……ここに立っている若手芸人はすげえなっていう風に感じました。

そんな『キングオブコント』でしたね。それで明日のオールナイトニッポン0はね、マヂカルラブリーっていうね(笑)。負けたというか、敗者コメントもかっこよかったけどね。野田くんは。野田くん、なんであんなにかっこいいんだろうね。なんか潔いコメントが……「今回は空気階段が圧勝だったからみんな、悔いはない」みたいなことを言っていたけども。それも全部ひっくるめて明日、何を話すのかな?っていうのはちょっと楽しみではありますけども。

(中略)

(佐久間宣行)メールが来ています。「ニューヨークですが決勝翌日にYouTubeのラジオで『嶋佐の目に貼るテープの色と角度にめちゃくちゃこだわっていたけど、あんなもん点数に何の関係もない』と反省をしていました。『キングオブコント』の決勝に行く人はそこまでこだわるんだと震えました」という。そりゃあこだわるでしょうね。

あの、もうちょっと配信とかやっているようなやつの顔にしたかったんでしょう? あれ。しかも怪しいっていう。いや、まあでもそうだと思うけど。でも、ああいうのってわからないんだよな。1個、はまらないともうズルッと行くから。その時の芸人たちの気持ちっていうのもね。

<書き起こしおわり>

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