石山蓮華さんとでか美ちゃんさんが2024年3月19日放送のTBSラジオ『こねくと』の中で映画『ゴールド・ボーイ』について話していました。
(町山智浩)映画『ゴールド・ボーイ』、ご覧なっていただきましたか?
(石山・でか美)見ましたよー!
(町山智浩)どうでした?
(でか美ちゃん)私はすごい好きな映画というか。面白かったですね。ただ、町山さんが言う「解説者泣かせ。何も知らずに見に行ってほしい」という意味がすごいわかったので。
(石山蓮華)すごいよくわかりましたね。
(でか美ちゃん)何をどう言えばいいんだろう?って思うんですが……私は出てる俳優のことがみんな、好きになりました。
(町山智浩)えっ、これを見て、好きになるか?(笑)。
(でか美ちゃん)なりますよ! 「みんな、めっちゃお芝居いい!」と思った。
(町山智浩)本当? 俺、これに出てる人が他でいい人の役とかやったら、もう全然信じられないよ?(笑)。
(でか美ちゃん)でもたしかに、それぐらい説得力のある……誰がいいやつ、悪いやつ的なね。
俳優陣の芝居がすごい
(町山智浩)まあ本当にやっぱりみんな、『ドライブ・マイ・カー』をみんなね、結構見てる人が多いと思うんで。あれを見てると「ああ、この人は……」って最初に思っちゃうでしょう? ねえ。
(でか美ちゃん)はいはい。
(町山智浩)で、岡田将生さんがね、もういきなりのっけから殺人鬼ですよ!
(石山蓮華)そうなんですよ。
(でか美ちゃん)そこは本当に物語の序章なんで、言っていい部分というか。あらすじとかに書かれてるような部分だと思うんですけど。私ね、岡田将生さんがちょっとそういう、なんだろうな? 天才すぎて人の心がない感じ、みたいな。まあ、犯罪者ではあるんですけど。そういう役どころ……なんかちょっと一般社会に馴染めない役どころをやってる時の岡田将生さんをすごい好きなんで。「キタキタ!」って。
(町山智浩)ああ、もう騙されて殺されちゃうよ?(笑)。もう役の中で、そういう役になっちゃっているから。
(でか美ちゃん)あと、衣装がよかった。岡田将生さんの。あの役柄、人柄みたいなのをすごい際立たせるYohji Yamamotoの。
(石山蓮華)いい感じのシャツ。ああ、Yohji Yamamotoなんだ。へー!
(でか美ちゃん)衣装、良かったですね。ただ、これ以上言うとなんか……。
(町山智浩)そう。それを上回る羽村仁成くんの、ねえ。
(でか美ちゃん)ねえ。本当ですよ!
(石山蓮華)すごかったです。あの子は何歳なんですか? 役だと13歳、14歳の役でしたけども。
(町山智浩)いや、わかいですよ。だってこの間まで彼、子役だったよ?
(でか美ちゃん)星乃あんなさんもすごかったしな。
(町山智浩)ああ! 悲しいんですけどね。
(でか美ちゃん)あと、前出燿志さん。子供たちの……「子供たち」って言うほど、子供の年齢でもないんだろうけど。
(町山智浩)中学生ぐらいですね。
(でか美ちゃん)私がお芝居の部分で「すごいな」って思ったのが、映画の中の『ゴールド・ボーイ』という世界としてのお芝居がめちゃめちゃ上手いっていうのもあるけど。その「子供が大人を騙す時の芝居」の芝居をするのがめっちゃ上手いと思いました。
(町山智浩)そうそう。この映画、芝居の芝居が多くて。すごい多重的な演技をしなきゃなんないんですよね。
(石山蓮華)なんか、どこから私たちは芝居と、芝居の芝居の差を見分けられていたんだろう?っていうことを考えると、ちょっともう1回、見たいかもしれない。それを考えると。
多重的な演技を求められる作品
(町山智浩)ああ、そうそう。最初の方から芝居の芝居の芝居をしてるようなもんだから。「あっ、騙された!」というね。でもね、この映画は本当に宣伝に苦労していてね。どういう映画だって言えないんで、お客さんはなんだかわからなくて。選びにくいんですよ。この映画を見に行きたいっていう風にね。だから劇場でちょっと苦戦してるところがあって。もうこれははっきり言って、とにかく面白くて、びっくりする大逆転映画なんでぜひ、ご覧なっていただきたいんですが。実はこれ、タイトルにね、トリックが隠されてるんですよ。
(石山蓮華)ええっ? 『ゴールド・ボーイ』?
(町山智浩)これね、スティーヴン・キングの小説で『ゴールデンボーイ』というものすごく怖い小説があるんですよ。これ、脚本のね、港岳彦さんが「そういうタイトルにしたら、『ゴールデンボーイ』を知ってる人だったらこの映画の恐ろしさがわかるはずだ」っていうことをツイートされてるんですよ。
(石山蓮華)へー!
「ゴールド・ボーイ」の題名会議で議題に上げたS・キングの名作「ゴールデン・ボーイ」は、10代の愛読書。現代アメリカの少年が、戦時中、非道な行いに耽溺してきたナチ戦犯の老人と歪んだ形で一体化していく様に「これが文学だろ…」と暗い興奮に陥ったものです。オマージュできて光栄!
— 港岳彦 (@minatotakehiko) March 13, 2024
(町山智浩)という風に言えば、たぶんスティーヴン・キングとかが好きな人は「えっ、そんな映画なの?」っていうことでね、『ゴールド・ボーイ』を見に行ってくれるかなと思うんですけど。はい。本当にでも、こういうねどんでん返し系の映画は、困るね。宣伝も評論も難しいし。
(石山蓮華)でも、やっぱりなにも聞かずに見てみてほしいですよね。
(でか美ちゃん)ねえ。うんうん。
(石山蓮華)「なにも聞かずに」とラジオで言うのもあれですが。
(町山智浩)でもね、じゃあ怖いだけの映画なのか?っていうと、そうじゃなくて。すごい切ない映画であって。本当にもう、うるっとするようなとこもちゃんとある。それが成立している……これは金子修介監督のタッチなんですよ。はい。みずみずしさかもちゃんと残っていて。まあ、あんまり言うとまたあれなので。とにかく『ゴールド・ボーイ』、今でも間に合いますんで。劇場でやっていますんで、ご覧になっていただきたいと思います。
<書き起こしおわり>