オードリー若林さんがTBSラジオ『山里亮太の不毛な議論』に出演。山里さんと若い頃と現在の自身の漫才のテンポの違いやコント55号、『たりないふたり』などについて話していました。
(山里亮太)さあ、もう一通。神奈川県の方。(「スピリッツ 今週のQにあの人が答えたら?」、「2019年の自分にご褒美をあげるとしたら何をあげますか?」への回答として……)「ミルクボーイの答え。『コーンフレークに飽きたのでチョコワがいいですね』」。
(若林正恭)フフフ(笑)。
(山里亮太)コーンフレーク……株価、上がったらしいよ?
(若林正恭)そうだよね。あれはすごいね。
(山里亮太)ミルクボーイはさ、若ちゃん見ててどうだったの?
(若林正恭)いや、もう何だろう? あれはさ、自分が逆立ちしてもできない漫才じゃない? まあ、なんか「あれが相方とできるって、すごいいいな」って。
(山里亮太)でもさ、イタコの漫才さ、面白いじゃん?
(若林正恭)ああ、そう?(笑)。
(山里亮太)やっててめちゃくちゃ楽しくない? だってあれ、フル尺だと1時間ぐらいあるんだっけ?
(若林正恭)30分かな?
(山里亮太)でも、いくらでもできるもんね。
(若林正恭)まあね。あのシステムならね。なんかもうその4分で短距離でバーッて走る漫才って感じじゃないじゃない。お互い、作り方が。
(山里亮太)もう4分とかの短距離って無理になってこない?
(若林正恭)無理になってくるよ、あれ。
(山里亮太)ねえ。やっぱりすごいもんね。現役の走りの人たちって。
(若林正恭)だから俺さ、同期にみんな言っているんだけどさ、テンポがさ……若い時の、見てみ? テンポがちょっと遅くなっているんだよね。
(山里亮太)ああ、今と比べて? 昔の方がちょっと早いっていうこと?
(若林正恭)南キャンもちょっと早いんじゃないかな?
(山里亮太)4分以内にぶち込む練習ばっかりしていたから。
若い時よりも漫才のテンポが少し遅くなった
(若林正恭)そういうのもあるけど、ちょっと見てみ? 昔の方がちょっと入りとかも早いと思うよ。
(山里亮太)ああ、そう? たしかにな。「遊ぶ」っていうことをできてなかったもんね、昔は。
(若林正恭)もしくは、それもあると思うし、若さとかだったら嫌だなと思っているけども。でも、やっぱりテンポってそういうのあるのかなとは想うよね。
(山里亮太)変わってきてるんだろうね。
(若林正恭)ラジオとかも若い時の方がちょっと早くない? 10年前、どうだろう?
(山里亮太)めちゃくちゃ詰め込んでたよ。一生懸命。台本に書いて。俺、早かったもん。
(若林正恭)ああ、それはわかる。そういうのもあるよね。そういうのもあるのかなと思うよね。
(山里亮太)でもさ、今のスピード感の方が漫才、楽しいと思う時の方が多くない?
(若林正恭)楽しいと思う時、多い。今の方が。あと、楽しませてやらせてくれるよね。番組も。
(山里亮太)そうなんだよ。あんだけ尺をくれたりとかさ。「最悪、編集とかすることもあるかもしれませんけど……」みたいなことも言いながら、「どうぞ!」って言ってくれるところ、多いじゃない?
昔よりも漫才が楽しいと思う時が増えた
(若林正恭)そうだよね。あと、しずちゃんもアドリブを言うようになったから余計に楽しいんじゃない?
(山里亮太)それはね、ありがたい。楽しい。
(若林正恭)昔、アドリブを許さなかったのは山ちゃんなんだけどね。そういう体制でやってたから。
(山里亮太)そうね。「てにおは」を間違うだけで俺は怒鳴り散らすからね。
(若林正恭)フフフ、それ、自分から言ってくるんだね(笑)。
(山里亮太)これに関してはもう否定はしない。それはがんじがらめ、アドリブも言わなくなるよっていう。今、思えばね。今、あれだけ楽しそうに漫才やってる相方を見ると。
(若林正恭)うんうん。本当だよな。
(山里亮太)春日は大丈夫?
(若林正恭)春日は……だからね、アドリブを入れざるをえないシステムにしてるのよ。
(山里亮太)ああー! もうすごい、コント55号じゃん、やり方。もう。
(若林正恭)それが、ネットでコント55号ばっかり見ていたのよ。30本、40本見たいと思うよ。もう自分たちが楽しくないと嫌だなと思って。それで……たぶんほとんど見たと思う。
(山里亮太)すげえな。あれ、ムキムキの(坂上)二郎さんじゃん(笑)。
(若林正恭)っていうかさ、萩本欽一さんってさ、クレイジーだね。
若萩本欽一さんのクレイジーさ
(山里亮太)らしいね。ネタなんか、そうでしょう。えっ、見てて気づくの? そのクレイジーさに。
(若林正恭)ドSもドSで。ぶっ飛んでいるよ。あれで舞台に上がって……あれはちょっとぶっ飛んでいるよ、あの人。
(山里亮太)で、二郎さんに無茶なことバンバンバンバン振っていって。でも二郎さんはそれに応えていくわけでしょう?
(若林正恭)そうじゃん? だからイメージはさ、家庭のお茶の間笑いのイメージで俺たちの世代なんかは見ちゃうじゃん? 欽ちゃんの平和の笑いを……っていう。いやー、欽ちゃん、いかれてるよ。
(山里亮太)めちゃめちゃ尖っているの?
(若林正恭)尖っている。あのシステムで……あんな変化球のシステム、ないと思うよ。それがスタンダードだったって変な時代だと思うし。二郎さん、たまんないよ、あんなの。
(山里亮太)急に目の前でずーっと無茶なことをされて。
(若林正恭)それで意地悪なフリをするの。たぶん欽ちゃんはその場で思いついているんだと思う。
(山里亮太)はー! お前もやっていたけどな!
(若林正恭)フフフ、でも、だから『たりないふたり』もできたのかも。
(山里亮太)ああ、それで下地があったんだ。脳内に浮かんだ「こいつってこうやって困ったら面白いだろうな」っていうゾクゾクをそのまま出しちゃうっていうこと?
(若林正恭)そう。だから安島さんがまず俺に確認したんだと思うんだよね。「これって9ヶ月会ってないっていうのもありますけど、一切会わずに当日っていうのは行けますかね?」って。そう聞いてくる時にはもう演出、決まってるだけどね。
(山里亮太)「それでやってくれ」っていう提案だと。
(若林正恭)そう。それをさ、「嫌だ」とは言えないじゃん? だから俺は「いいですね。面白いっすね」って言って。そう言ったの。ただ、山ちゃんが「NO」って言ってくれるだろうなと思ってたの。そしたら、やっぱりどうにか時間作って1回、2回は会えるかなっていう。スケジュールだって「やるよ」って始まったのは3週間ぐらい前だったじゃん? でも「山ちゃんもそれを飲んだ」っていうのが帰ってきてさ。「ナメんな、あの野郎!」って思って。
(山里亮太)「あの野郎」の対象はどっち? こっち?
(若林正恭)山ちゃん。
(山里亮太)俺はだって……それが決定事項として俺のところに下りてきたんだもん。
(若林正恭)ああ、そうなの? どうやって聞いたの? 第一声で。
(山里亮太)安島さんから「この際だからもう会わずにやりましょうっていうことで。若林くんはもう快諾してくれてます」って。
(若林正恭)「快諾」って……だからさ、あの人は変な龍馬ビジネスやってるんだよね。俺はさすがに快諾ではなかったな。だって我々、滑れないじゃん? だからもし、万が一があるじゃん。お互いのその日のギアが狂うだけで。アドリブだったら。
(山里亮太)たださ、でも安島さんの中にもあるし、俺もそれを引き受けたっていう中にはその回があったでしょう? もう時間がなさすぎてその場で作ってやるっていう。それがあったから俺はその日のことを思い出したわけさ。舞台上でちょっと会議して「こういう話でこういう風に展開しよう」って。それがあったから若ちゃん……もう正直、全幅の信頼があって。「これがもう1回できるんだったら、あのゾクゾク、あの楽しいのができる。舞台上でこんな面白いものを見せてくれるんだ。ここには今日、用意してきたこのワードを当てよう」とか、そんなのをやり取りしてできると思ったの。で、その打ち合わせを若ちゃんが取っ払った瞬間に俺、殺してやろうかと思ったよ!
(若林正恭)フハハハハハハハハッ! でも俺はやっぱり山ちゃんが面白い水が詰まった風船に見えたから……。
(山里亮太)「面白い水」じゃないよ。一生懸命、汗水たらしてノートにびっしり書いたツッコミワードを詰めた、ただの袋! その袋を……。
(若林正恭)フフフ、でもあの漫才のタイプでよくそれ、できたね? 「たぶんこういうことを言われるんじゃないかな?」みたいな?
(山里亮太)めちゃくちゃ考えたよ。「こういうことを言われるんじゃないかな?」って。
(若林正恭)そういうのって、「山ちゃんが結婚して闇がなくなった」みたいな、そんなダサいいじり方を俺はしないよ。
(山里亮太)そう。ダサいいじり方はしてこないと思ってたよ。それはわかってたけど、ワードをやっぱりいっぱい用意していたんだけど、全然使えなかった!
(若林正恭)フフフ、使えなかったでしょう?(笑)。
(山里亮太)使わなかった! あの展開になると思わなかったし。
(若林正恭)最初、「それをふんだんに使うよ」っていう目をしていたから、それは潰しておかなきゃと思って。
山ちゃんの用意したワードを封じ込める
(山里亮太)それだな。たしかにその俺の大事なさ、いっぱい言語を書いた紙が入った袋の中に水がバシャーッて入ってきたから。それで水風船みたいになったんだ?
(若林正恭)「そのノートに書いてあるみたいなのを止めろ!」ってオンで、漫才の中で言ってたもんね(笑)。
(山里亮太)あれさ、若ちゃんさ、俺の性格を知ってると思うけどさ。あれ、すごい俺、嫌だからね!
(若林正恭)そうだよね(笑)。
<書き起こしおわり>