町山智浩 TVドラマ『The Handmaid’s Tale(侍女の物語)』を語る

町山智浩 TVドラマ『The Handmaid’s Tale(侍女の物語)』を語る たまむすび

町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でテレビドラマシリーズ『The Handmaid’s Tale(侍女の物語)』について話していました。

(町山智浩)先週、アメリカのネット配信ドラマがケーブルとかよりもすごくなってきているという話をちょっとしたんですけども。今日もネット配信ドラマで、アメリカでいまものすごい論争になっている、でもすごい人気にもなっているドラマがありまして。その話をします。

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町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でテレビドラマシリーズ『ツイン・ピークス』の25年ぶりの続編『ツイン・ピークス The Return』について話していました。 Hey, that's TONIGHT?! #TwinPe

(山里亮太)お願いします。

(町山智浩)タイトルは『The Handmaid’s Tale』というタイトルなんですが。「Handmaid」っていうのは貴族の家とかで身の回りの世話をしたりする、いわゆる「侍女さん」っていうやつですね。その『The Handmaid’s Tale(侍女の物語)』というタイトルのドラマがアメリカでいますごい話題になっているんですけども。ちょっと主題歌を聞いていただけますか?

Lesley Gore『You Don’t Own Me』

(町山智浩)はい。この歌はレスリー・ゴアという女性歌手が歌っている『You Don’t Own Me』という歌なんですね。これは非常に昔の歌なんですけども。これはアメリカのポップスの歴史の中で非常に画期的で。これは、『スーサイド・スクワッド』でも使われていたんですね。ハーレイ・クインが出てくるところでこれがかかるんですけども。

(山里亮太)ああーっ! 檻の中にハーレイ・クインが入っている時だ。

(町山智浩)そうです。そうです。この歌は「私に指図しないで」って女性が自分の恋人の男性に対して歌っている歌なんですよ。「私はあなたのおもちゃじゃないし、私を見せびらかして自慢しないで。私は私であなたの所有物じゃないのよ」っていう歌なんですよ。で、これはいま聞くと普通のことなんですけど、当時のアメリカのポップスの中ではじめてそれを言ったんですよ。

(山里亮太)はー、なるほど。

(町山智浩)それまでは女性は「私はあなたのものよ」って歌っていたんです。「あなたについて行くわ」って歌っていたんですよ。だからこれは非常に画期的だったんです。これを歌っていたレスリー・ゴアっていう人は実際にレズビアンだったことが後でわかっていますけどね。非常にアメリカ最初のフェミニズムソングと言われている歌なんですが、これがかかるのがこの『The Handmaid’s Tale(侍女の物語)』っていうドラマなんですね。

(山里亮太)うん。

(町山智浩)で、どういう話か?っていうと、アメリカがキリスト教原理主義の独裁宗教国家になって、全ての女性が家畜や奴隷のように扱われるというドラマなんですよ。

(山里亮太)うわー……。

(町山智浩)で、これ、原作は1984年に出版された『侍女の物語』という小説で、マーガレット・アトウッドという女性作家が書いたものなんですけども。一度、映画化されていますけども。その映画化はちょっとぬるかったんですよ。

侍女の物語 (ハヤカワepi文庫)
Posted with Amakuri at 2018.3.21
マーガレット アトウッド, Margaret Atwood
早川書房

(海保知里)ぬるかった?

(町山智浩)ぬるかったんですよ。内容が。で、今回これはHuluというネット配信のサービスで配信されているんですけど、その映画化のぬるかった部分を徹底的にやったのが今回のドラマなんですよ。だから、これ先に言っちゃいますと、テレビはスポンサーがチェックしますよね? あと、放送倫理については政府とかが許認可制度があるんで、政府機関がチェックしているわけですね。

(山里亮太)はい。

(町山智浩)で、映画の方はMPAAという、日本の映倫にあたるところが自主規制をするんですよ。で、アメリカのMPAAは日本の映倫と違って、中にカトリックとかの宗教家が入ってきているんですよ。だからこの『侍女の物語』は全く映画でもテレビでもできないようなことをやっているんですよ。今回の『侍女の物語』というドラマは。で、どういう話か?っていいますと、まず回想形式で「どうしてそんな国になってしまったのか?」が描かれるんですけども。

(山里亮太)うん。

(町山智浩)まず、アメリカが普通の状態で、主人公のヒロインのジューンという30代の女性が普通に会社で働いているんですね。で、結婚をして、3才ぐらいのかわいい娘もできて幸せに暮らしているんですけども。ただ、このジューンという女性は非常にその時には珍しい存在なんですよ。

(山里亮太)珍しい?

(町山智浩)その世界では、全世界で赤ん坊がほとんど生まれなくなっているんです。出生率がゼロ近くに下がって、もう全世界が大変に深刻な少子化に苦しんでいるんですね。で、原因は化学物質か放射能らしい……みたいなことだけ言われて、具体的にはあまりそのドラマの中では出てこないんですけども。で、その後に、首都ワシントンがテロリストの攻撃で沈黙をしちゃうんですよ。

(山里亮太)うん。

(町山智浩)で、どうも大統領とかが殺されたらしいと。で、戒厳令がアメリカに敷かれるんですね。で、それがいつの間にかキリスト教原理主義の教団によって政権が乗っ取られていくんですよ。で、ギレアデ(Gilead)っていう国名になるんですね。聖書に出てくる地名なんですけども。ただ、すごくなにが起こっているかわかりにくいんですけど。これはジューンというヒロインの見た目からしか描いていないんで。ただ、彼女が言うには「変化は最初は『テロの対策のために少しずつ法律を厳しくするよ』と言われたんで仕方がないと思って最初は我慢していたんだけども、気がつかないうちに大変なことになっていた」って言うんですね。

(山里亮太)ほう。

(町山智浩)だから、まず最初に彼女が買い物に行くと、クレジットカードが使えなくなっているんですよ。で、それは「サイバーテロから女性の資産を守るため」とか説明がされて、「一時的なものだろう」と思って我慢しているんですけど……すると今度は、彼女は会社をクビになります。

(山里亮太)えっ?

(海保知里)突然?

(町山智浩)全ての女子社員が解雇されます。全会社において。で、上司は「これは仕方がない。政府の決定なんだ。我々は逆らえないんだ」と。で、女性は抵抗するんですけど、そこに、会社の中に武装警官が入ってきて、もう強制的に女性を排除します。で、女性たちは全ての銀行口座も凍結されてしまいます。だから経済的に全く、働けないし、銀行の資産も扱えないんで、完全に経済的に無力の状態にされちゃうんですよ。アメリカで、全ての女性が。自立する権利をまず奪われるんですね。経済的に。で、その後に選挙権も奪われます。

(山里亮太)うわっ。

(町山智浩)で、教育を受ける権利も奪われて。それどころか、本を読むことも禁じられます。で、服を自由に着ることもできなくなって。服は決められます。同じものしか着れなくなるんです。で、体の線を隠した、すっぽりと被るカトリックの修道女みたいな服で。外に出る時には顔を隠さなきゃならないんです。大きな帽子で。で、女性は1人で外出することは絶対に許されないんです。

#handmaidstale #handmaidstalecostumes #allofushandmaids #underhiseye #nolitetebastardescarborundorum ? A.C. @anecrabtree

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(海保知里)ええーっ……。

(町山智浩)で、化粧も許されないです。それだけじゃなくて、もっと恐ろしいことが始まって。このジューンさんみたいに妊娠したことのある女性は全て、全米から駆り集められて、完全に自由を奪われるんですよ。

(山里亮太)ええっ?

(町山智浩)で、どうも全米に数百人しかいないらしいんですよ。子供が産める女性が。

(山里亮太)ああ、その世界観の中では。はいはい。

(町山智浩)だからものすごく大事だから、国家財産として彼女たちを管理することになるんですよ。

(海保知里)ええーっ……。

(町山智浩)で、それが「Handmaids(侍女)」という存在になるんですが。だから、そんなことになったら大変だからということで、ジューンさんは夫と娘を連れてカナダに脱出しようとするんですけども、国境警備隊に襲われて。それで、旦那の方は死んだらしくて。娘は政府にさらわれてしまうんですね。で、ジューンさんはそこで逮捕されて、侍女を作るための教育施設に強制収容されるんですよ。で、そこに集められた女性たちはまず耳にね、パンチでタグをつけられるんですよ。

(山里亮太)うわーっ……。ひどいな。

(町山智浩)これはいわゆる「耳標(じひょう)」というやつで、牛や羊につけるやつなんですね。で、そこで徹底的に男性に対して従順になるように矯正されるんですよ。ちょっとでも逆らうと、サーカスで動物の調教に使う電撃棒で電気ショックを食らうんです。

(海保知里)いやー……。

(町山智浩)すごいドラマなんですよ、これ。だから映画版の方ではそういうところが全然なかったんですよね。で、それで徹底的に心を打ち砕かれてしまった侍女たちはですね、それから政府と財界の支配階級の家庭に子供を産むために配給されます。割り当てられるんですよ。

(海保知里)ええーっ!

(町山智浩)それで、このジューンはフレッドという政府の幹部の家に住み込むことになるんですけど、新しい名前を与えられます。それは「オブフレッド(Offred)」っていう名前なんですね。オブフレッドっていうのは「フレッドの物・所有物(Of-Fred)」っていう意味なんですよ。

(海保知里)いやー……。

(町山智浩)で、そのフレッドっていうのは政府の幹部で、コマンダーと言われているんですけど。このフレッドというコマンダーは実際にこのキリスト教革命を起こした張本人なんですよ。で、この男尊女卑社会を作った男でもあるんですよ。だから最も憎むべき男なんですけども、ジューンはこれから毎晩毎晩この男にレイプされなきゃいけないんですよ。

(海保知里)ええーっ……。

ネット配信でしかできない表現

(町山智浩)というドラマなんですよ。これ、テレビではできないですね。だって途中でコマーシャルが入って、コマーシャルを見る気になれないですよね。これね。それで映画の方はこれ、宗教が完全に恐ろしいものとして描かれているから、MPAA内部で検閲を宗教家を呼んでやっているんですけどもね、彼らがたぶん許可しないですね。

(山里亮太)そうですね。

(町山智浩)だから、これはネット配信以外ではたぶん見れないものなんですよ。で、侍女の中には普通に人間がいると5%から10%ぐらいは同性愛の人がいるんですけども。まあ、侍女にされた人の中でレズビアンの人もいるわけですね。で、その同性愛的な行為をしていることが発覚すると、クリトリスを切除されます。

(山里亮太)うわっ……。

(町山智浩)要するに女性は子供を産むための道具であって、性的な性欲を持ってはいけない存在とされているんですよ。この国の中では。いわゆる「女子割礼」っていうやつですね。で、またこの中から脱出しようとした女性は、民衆によって石を投げつけられて公開処刑されます。

(山里亮太)えっ!?

(町山智浩)で、もっとひどいのは子供をそうやって産まされるんですけど、産まれた子供は全部取り上げられて、育てることができません。

(山里・海保)ええーっ!

(町山智浩)国家財産みたいなものになるんですね。だからもうひどいから、侍女はカナダに脱出したり、自殺したりしているんですけども、このヒロインは耐えるしかないんですよ。どこかに生き別れになった娘がいるんで。

(海保知里)ああー、そうかそうか。

(町山智浩)彼女を助け出すまでは、この国。ひどいところでがんばらなきゃならないんですよ。で、その状況で完全に監視されている中で、なんとかそれを脱出して娘を助け出そうとする話なんですね。これ。これはものすごいんですけど、まずこのカナダの女性作家マーガレット・アトウッドが1984年にこれを書いた理由っていうのは、当時アメリカはロナルド・レーガン政権だったんですけども。レーガン大統領はアメリカの人口の25%いるキリスト教原理主義とか福音派とか言われている保守的キリスト教徒の票を得るために、彼らの要求に従って……具体的には「人工中絶を法律で禁止する」という公約をしたんですよ。彼は。

(山里亮太)うんうんうん。

(町山智浩)それで票をたくさんもらって。彼自身はキリスト教福音派じゃなかったんですけども、それで大統領になれた人なんですね。で、それを見ていたマーガレット・アトウッドは、「もしアメリカがこのままキリスト教原理主義に乗っ取られたらどうなるだろう?」って考えて、この小説『侍女の物語』を書いたんですよ。

(海保知里)女性が書いているんですね。

(町山智浩)はい。これね、監督も5人がこのドラマを監督しているんですけど、そのうちの4人が女性です。

(山里亮太)へー!

(町山智浩)だから完全に女性の視点から書かれたドラマ、作られているドラマなんですよ。で、これね、やっぱりこういう内容だから、アンチ・キリスト教のドラマじゃないか?っていうことでものすごく叩かれているんですよ。キリスト教の福音派の人たちから。ただね、この原作者で今回も脚本に参加しているアトウッドさんは、「これはそうじゃなくて、女性差別に宗教を利用している人たちを批判しているんだよ」って言っているんですよ。

(山里亮太)なるほど。

(町山智浩)たしかに、新約聖書を読むと「女性は教会で口をきいちゃいけない」とかね、「女性は従うべきものなんだ」とか書いてあるんでね。ひどいんですけども。ただ、ユダヤ教もひどいんですよ。女性差別って。

(海保知里)ああ、そうでしたっけ?

(町山智浩)だから、ヤコブという人が子供をたくさん作らなきゃならないんで、まあ4人の妻を妊娠させたりとか、いろんなひどい話が出てくるんです。で、あとイスラム教はもちろんひどいですよね。女性に関しては、いろいろと。でも、仏教もひどいことを書いているんですよ。

(山里亮太)えっ?

(町山智浩)仏教においては「女性はそのまま仏にはなれないので、1回男性にならなければ仏になれない」って書いてあるんですよ。あと、儒教だと朱子学も女性差別がひどいですよね。で、イスラムもキリスト教もユダヤ教も、宗教の総本山の幹部は全部男性で占められていますよね。だって、女性はローマ法王になれないじゃないですか。

(山里亮太)うんうん。

(町山智浩)だから、ほとんど全ての宗教が男尊女卑だっていうことは、宗教に理由があるわけじゃなくて、逆に男たちが宗教を利用してそういうシステムを構築しようとしたわけですよ。さっき言った女子割礼とか女性を石打ちする刑っていうのは実は宗教が始まるもっと前からあるんですよ。

(山里亮太)へー!

(町山智浩)それこそ2000年、3000年前からやっているんですよ。だから宗教は関係ないんですね。もともと男尊女卑の方が先にあるわけですね。だから、ここでアトウッドが言っているのは、「私が『侍女の物語』で描いたひどい女性虐待の数々は、私が自分で想像したものはひとつもないです」って言っているんですよ。

(海保知里)いやー、そうなんだ。

(町山智浩)「全て世界のどこかでいつか行われたこと、またはいまも行われていることです」って言っているんですね。たとえばさっき言った女子割礼は、毎年200万人以上が切除されている状況があったりするし。あと、イスラム原理主義の非常に厳しいところでは、みんな知っているように女性は全身を隠して、1人で外出できないし。経済的、法的な自立もできないですよね。自分で訴訟を起こせなかったりするんですよ。

(山里亮太)ふーん!

(町山智浩)あと、パスポートを持てないんですね。で、時々レイプされた時に男性の方ではなくて、被害者の女性の方が鞭打ちされたり、石打ちで処刑されるというニュースが報道されますよね。で、それでいながら一夫多妻でしょう? で、結婚は基本的には親同士で決めて。で、いたいけな少女がジジイと無理やり結婚させられる世界じゃないですか。

(山里亮太)そうなんだ……。

(町山智浩)でも、それがイスラムが悪いのか?っていうと、そうでもなくて。だからカトリックの厳しいアイルランドでは、1996年まで未婚の母はマグダレン修道院(洗濯所)っていうところに監禁されて強制労働を扠せられた上に、そこで生まれた子供は殺されるか、母親から引き離されて金銭で売られていたんですよ。

(海保知里)ええーっ!?

(山里亮太)すごい。いま映画の話じゃなくて、実際の話ですね。

(町山智浩)実際の話なの。これ、映画になっています。『あなたを抱きしめる日まで』とか『マグダレンの祈り』っていう映画になっていますね。1996年までですよ、これ。

(山里亮太)はー!

(町山智浩)だから宗教の問題じゃなくて、どの宗教も利用されてそういうことをしているんですよ。やろうとしているやつがいるんです。だから宗教がないところでもそうで。共産主義だったルーマニアでは人口を増やすために避妊も中絶も禁じられていて、全ての女性は子供を産むマシーンにさせられていて。で、全ての女性の月経の周期を警察が管理していたんですよ。

(海保知里)ええっ! そんな……。

(町山智浩)チャウシェスク政権ですけども。そういう世界なんで、まあそれを一箇所に圧縮して作ったのがこの『侍女の物語』なんですよ。だからものすごい強烈なドラマですよね。

(山里亮太)すごい……。

(町山智浩)で、いまこれがアメリカで作られてヒットしているのは、やっぱりトランプ政権のせいっていうのがあるんですね。

(海保知里)どうしてですか?

背景はトランプ政権の誕生

(町山智浩)副大統領はマイク・ペンスさんっていうキリスト教福音派の人なんですよ。で、教育長官のベッツィ・デボスさんもキリスト教福音派だし。で、オバマ政権の時と違って、閣僚が男ばっかりになりましたよね。ものすごく女性が減って。で、彼が出した大統領令とかで、たとえばオバマ政権の時に成立した法律がありまして。賃金平等と職場の安全法っていうのがあるんですよ。これは男女の賃金を平等にするということと、職場でのセクハラを禁止する法律だったんですけど、それをトランプ政権は撤廃しましたからね。

(海保知里)そうなんだ。

(町山智浩)そういう状況だから、このドラマは非常に切迫したものとしてあるんですね。で、やっぱり「こんなことになるわけがない」ってみんな思っているじゃないですか。でも、たとえばアメリカにある女性の……「反女性解放家」ていうのがいたんですよ。その人はフィリス・シュラフリーという人なんですけども、この人は男女機会平等法とか男女雇用平等法とか賃金平等に、キリスト教の立場から徹底的に反対した女性なんですよ。「男女の機会が平等になって、雇用が平等になって、賃金が平等になっちゃうと、みんな結婚をしなくなって子供を作らなくなるから、女性は低い地位に置いた方がいい」っていう主張をしていた人なんですよね。

(海保知里)ええーっ!

(町山智浩)この人、この間まで生きていましたよ。92才で。それで、トランプはこの人から推薦をもらっていたんです!

(山里亮太)うわーっ、つながったー!

(町山智浩)フィリス・シュラフリーっていう人から。だからみんな、切迫した感じでこのドラマを見ているんですよ。「怖い」っていうことで。たとえば、アフガニスタンでは1965年には女性の参政権があったのに、その後、タリバン政権をとった時に女性参政権を撤廃していますからね。

(山里亮太)うわーっ!

(町山智浩)だから日本だって参政権をとったのは1945年なんですよ。で、結局男が支配している世界なんですけども、でもいまも日本ってたとえば女性議員の割合って12%しかいなくて。世界189ヶ国の中で147位で、もうどん底なんですよ。政治における女性の数って、日本って。それから女性管理職の人数は10%しかいないんですよ。これも先進国中最低レベルなんですよ。で、女性の法律家が5%ですよ。日本は。ほとんど男性が支配していると言って間違いないんですよ。経済と法律と政治においては。

(山里亮太)そうなんだ……。

(町山智浩)だからこの『侍女の物語』はとんでもない話でもなくて、日本はかなり近いですよ。

(海保知里)ええーっ!

(山里亮太)ここに。いまさっき聞いたような恐ろしいことになる日が……。

(町山智浩)そうなんですよ。だからまあ、これはすごい。こんなものが出てくる時代っていうのは、やっぱりネット配信恐るべしと思いましたね。

(山里亮太)前だったらそんなのは見ることができなかった。

(海保知里)ですよね。

(町山智浩)できないですよ。だってもう、エンターテイメントを与えなきゃならなかったわけじゃないですか。テレビや映画は。これはエンターテイメントと言えるのか?って言ったら、難しいところですよね。

(山里亮太)すごい気持ちになっちゃいそう。

(海保知里)ねえ。これ、日本でもそのうちですか? 配信は。

(町山智浩)そのうちですね。Huluだからもう半年ぐらいしたらたぶん配信されると思います。強烈ですよ、これ。

(海保知里)うわー、ちょっとキツいけど、でも目を背けてはいけないといいますか。町山さん、今日はアメリカで話題になっているネット配信ドラマ『侍女の物語』についておうかがいしました。どうもありがとうございました。

(町山智浩)どうもでした。

<書き起こしおわり>

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