オードリー若林さんが2021年9月7日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で星野源さんと創作や表現をする中でゾーンに入り、「アメーバ状になる」瞬間を求めて生きているという話をしていました。
今夜の #星野源ANN はゲストにオードリー・若林正恭さんが登場!
番組前半は“花束”のお話などで距離感がさらに近付き、後半には、弾き語りで若林さんと「Pop Virus feat. MC.waka」をお届けしました!
若林さん、最高のお話とラップをありがとうございました!https://t.co/PnYHoizErx pic.twitter.com/p9oyqEjTrK— 星野源 Gen Hoshino (@gen_senden) September 7, 2021
(星野源)メール、来ました。愛知県の方。「星野さん、若林さんが徐々に『星野さん』から『源さん』呼びになっていることにお気づきですか? 若林さん、『源ちゃん』呼びするなら今です!」。
(若林正恭)いや、そこを言うとさ、言いにくくなるじゃん、また? 俺だって「あと15分ぐらいかな?」って思っていたんだよ?
(星野源)フハハハハハハハハッ!
(若林正恭)言うんじゃないよ(笑)。
(星野源)ちょっと無粋ですよね?
(若林正恭)無粋よ、それは(笑)。
(星野源)そうよ。今日の目標は「源ちゃん・若様」なんだから。ちょっと言わないでおいてよ。僕もラジオ、聞いてるし。織り込み済みなのよ(笑)。
(若林正恭)アハハハハハハハハッ!
(星野源)ええと、いろいろと質問が来ているので読ませていただきます。静岡県の方。「お二人の話、別の場所でそれぞれお話されているのをうかがっていて、物事の捉え方が似てるのかな? 共鳴しているなと思うことがあるんですが、ビビッと来た瞬間や『もっとお話したい』と思われたのはいつごろだったのでしょうか? きっかけがあったのでしょうか?」。
(若林正恭)俺はたくさん……ラジオを聞いててもあって。あと僕、星野さんのエッセイが大好きなんで、それを読んでいても思ったし。で、またその自分との微妙な差異っていうか。それを聞いてみたいなとか、エッセイを読んでいても思ったけど。そうだな。たぶん本当に今日……今日じゃないと無理だったかもしれないですね。
(星野源)なんかちょっと土曜日も「もっと早く出会いたかった」って言ってましたけど。でも、たぶん今がちょうどいいんだろうなっていうか。
(若林正恭)ちょうどいいんだろうなって。俺と星野さんの勘ってやっぱりすごくて。ヒカルちゃんの勘は間違ってましたね。やっぱね。
(星野源)フハハハハハハハハッ!
(若林正恭)やっぱりね、あるのよ。それは(笑)。
今がちょうどいいタイミング
(星野源)そうですね。ちょっと早いというか。焦っちゃうタイプ。で、僕はオールナイトニッポンを始めた頃は「やったるで! やるぞ!」みたいな感じだったので。「他のラジオは聞かない」みたいなことをやっていたんですよ。
(若林正恭)わかります。
(星野源)それ、「わかります」って前におっしゃってくれたじゃないですか。だからたぶんその頃に「一緒にやってよ」っていうのだと、たぶんちょっと違ったんだろうなって。で、あとオールナイトニッポンで通し企画があったじゃないですか。あれに対して「うーん……」って思っていたという話をされていて。僕もすごいそれ、思っていたんですよ(笑)。
(若林正恭)フハハハハハハハハッ!
(星野源)みんなで同じ企画をやるみたいなの、あったじゃないですか。で、それこそ若林さんも……僕もそうですけど。昔、ニッポン放送がちょっと大変だったじゃないですか。で、本当に生き残るために大変だったっていうか。だから本当にもう死ぬ気でやらないとダメな場所なのに、なぜ同じ企画を? みたいな……(笑)。でも、今は全くそれは思わないっていう。
(若林正恭)俺も思わない。今は。
(星野源)そうなんですよ。なんか一緒にできるんだったら、面白いと思うし。だからそれを岡村さんとかはもうその域になっていて。「一緒にやろうよ」っていう風に言ってくださっていたんだなと思うと、「大人だな」と思うし。自分もこれからはそういうの、やっていきたいなとは思うんですけど。だからやっぱり時期っていうのがきっとあるんだろうなっていうのはすごく思います。
(若林正恭)なんか、角度で表すと上り坂で。絶対それを登らなきゃいけないとか、苦しい時とかで。それがなだらかになって、ちょっとこうお互いしゃべれるとかっていうのがあるのかもしれないですね。
(星野源)そうですね。たぶんいろんなタイミングみたいなものがあったのかなっていう感じがしますね。僕は、前からいろいろ見てはいる中で、春日さんのいろいろな事件があった時のオードリーさんのラジオを聞いて……。
(若林正恭)はいはい。不倫ですね。
(星野源)アハハハハハハハハッ! いや、不倫じゃなくて浮気なんですけども。
(若林正恭)なんで星野さんが言うのよ?(笑)。
(星野源)そこはちょっと、やっぱり結構違いがあるので(笑)。
(若林正恭)それ、春日が言うやつですよ(笑)。
(星野源)その時のラジオがあまりにも素晴らしいというか、すごかったので。それがきっかけでというか、「自分ななぜ、他のラジオを聞かないようにしていたんだろう?」って思って。「もっとちゃんと聞かなきゃ」と思って。で、毎週聞くようになったりとか。でも、それまでも単純に楽しんで若林さんのテレビ番組を見ていた中で、その見方というものがまたちょっと深まってきたりとか。いろいろある中で思いが深くなっていったというか。そういう感じですね。
(若林正恭)嬉しいですね。俺も『YELLOW MAGAZINE』の撮影の時に結構、経験したことない撮影で。サングラスが楽屋に並んでるっていうのはなくて。で、やっぱり芸人だから「誰かにいじられるんじゃないか?」っていうのを思っちゃうんですよ。ああいうのって。で、出来上がりを見て。あと星野さんが『あちこちオードリー』に来てくれて。「希望です」って言ってくれた時に「いやいや、そんな……」って言おうかなとも思ったけども。「でもこれは、若林は星野さんとしゃべっていいんだと思おう」って思いましたね(笑)。
(星野源)いや、しゃべっていいですよ(笑)。
(若林正恭)もうちょい前だったら、もうちょい卑屈だったと思うんですよね。
(星野源)でもなんか、そういうのは自分にもあります。
(若林正恭)ああ、本当ですか?
(星野源)なんか「俺でいいのかな?」みたいな。そういうのはすごくあります。
(若林正恭)そこを吹っ飛ばして楽しくなる時ってありますもんね。やっぱりね。
(星野源)あります。なにかが……でも、僕は『あちこちオードリー』の時に何かが吹っ飛んだ感じがすごくして。
(若林正恭)あの時は吹っ飛んでましたね。お互いに(笑)。
なにかが吹っ飛んでいた『あちこちオードリー』
(星野源)そうですね。なんか、若林さんのいろいろな活動を見ていく中で、さっきもちょっとCM中にお話をされていましたけども。フィーリングというか、そういうところで動くことが多いっていう風におっしゃってましたけども。で、その時にやっぱりエッセイとかでもいろんな思考を巡らせているエッセイだと思うので。やっぱり、いろんな……たとえば「どういうわけで」とかというのを聞きたくなるのかもしれないですねっていう話をされていたじゃないですか。
なんか若林さんって僕がなんとなく見ていて……間違っていたら本当に申し訳ないですけども。なんとなく思うのは、なんか4層ぐらいある感じがして。いわゆる若林さんの誤解も含めて独り歩きしてるパブリックな若林さんと、若林さんが「たぶんこういう風に見えるだろうな」って思っているの、ギリで独り歩きがしていない、「こういう風にしてます」っていう若林さん。あと、素の若林さんで、いろいろと生きていく中で、さっきも仰ってたような否定されたりとか、いろいろ阻まれたりとか。
でも、成功したりとか。いろんなものがある中で肉付けされてきた素の若林さんと、あとはイノセント若林さんがいて。で、そこのイノセント若林さんはすごいフィーリングで動く感じの人なんだろうなっていう感じがして。それが、そのイノセント若林さんがたまにいろんなところで出ていたりとか。あと、その素の若林さんの中にそもそもいたりとか。そんなイメージがあるんですよね。
(若林正恭)ああ、そうですね。でも、それは嬉しいし、なんかそのイノセントな部分が出て、相手もそういうゾーンに入った時ってその時間の感覚とかがなくなったり。まあライブが多いですけど。まあ、そういうことを心待ちにしてるっていうか。基本はそこが軸なんですよね。俺は。漫才でもそうですけど。
(星野源)なるほど。じゃあ、たとえばキューバに行った時に、いろんなしがらみとかを置いていった時とかってそういう気持ちになるものなんですか?
(若林正恭)そうですね。やっぱり歩いたことがない景色を歩いて。いろんな人が海のハバナ湾沿いでアコーディオンだの、ギターだのっていうのをやっているのを見たら時間を忘れるじゃないですか。なんか、そういうことをずっと待っているっていう感じですね。
(星野源)それを自分で作り出す時に漫才だったりっていうことなんですね。
(若林正恭)漫才。だからそこを……漫才で、そこまで春日と行けない時ってやっぱりあるんですよね。やっていて。で、そこに行けた時はいい漫才で、行けなかった時はあんまりよくないとか。なんかもう、そればっかり。そのイノセントな時間……時間というか空間? ゾーンばっかりですね。目指しているのは。
(星野源)すごいそれ、わかるんですけども。自分がライブだったり、演劇だったりをやっている時に一番好きな瞬間があって。それがそのライブだったら、なんて言うか、いろんなことを普段、考えてるじゃないですか。バランスを取ろうと。社会的なところとか、あとは音楽だったら間違えないようにしようとか。次の歌詞を忘れないようにしようとか。なんか、そういうのが全部なくなって、ステージ側の自分とお客さんの間もなくなって。全部がアメーバ状になるっていうか。なんていうんだろう? 「無」になるっていうか。
(若林正恭)ええっ? そんな話、できちゃうの? すごい、嬉しいなあ!
(星野源)その時が一番、気持ちいいっていうか。それに一番、なりたくて。
(若林正恭)星野さんのライブの映像を見ていて、それはやっぱり思いますもん。「ドームっていう大きなところですら、それができるんだ!」とか。
(星野源)なんか、それを目指してやって。でも、やれた実感はありました。ありました。すごく。
(若林正恭)いやー、すごいな。それ、生きていて一番の喜びですよね。
(星野源)そうですね。
(若林正恭)だからさっき、話していて。オープニングで申し訳ないんだけど。ライブを終わった後のアーカイブ期間延長とかいう大人の話が一番退屈なんですよね(笑)。
(星野源)フハハハハハハハハッ!
(若林正恭)それはそっちでやってくれよ?って思って。命、燃やしたからって思って(笑)。
(星野源)すいません、意気揚々と宣伝してしまいました(笑)。
(若林正恭)いや、ちょっと待って(笑)。星野さんに言ったわけじゃないですよ?(笑)。
(星野源)「延長でーす!」って。すごい意気揚々と宣伝をしちゃいましたけども(笑)。
(若林正恭)星野さんに言ったわけじゃないから。その話を大人とする時が退屈っていう(笑)。
(星野源)でも、たしかにあの日のあの時間、配信ライブのイベントのあの時間はまさにそういう時間だったなと思いますね。
(若林正恭)全員がキラキラしていましたもんね。本当にね。
(星野源)最後、並んでエンディングを撮る時、僕以外全員裏方の人だったんだけど、めちゃめちゃキラキラしてて。「すげえ素敵な風景だな」って思いました。
(若林正恭)なんかすごい、青春でしたね。パッと見、あの画は。でも、「アメーバ状」っていうのはすごい表現ですね。やっぱり、源さん。
「アメーバ状」になる瞬間
(星野源)やっぱりそういうのがあって。松重豊さんともそういう話になったんですけど。それですごい共通の思いがあるんだと思って。それは僕、演劇でも経験したことがあるし。ライブでもあって。あと、たまに作曲を1人でしてる時にも、そうなる時があるんですよ。なんか、壁が全部なくなって世の中と一旦、混ぜこぜになるっていうか。
(若林正恭)うわあ、すげえ……星野さんに会えてよかった! 俺、藤沢周さんっていう小説家の方が大好きで。『オレンジ・アンド・タール』っていうスケボーの小説を20年前に書かれているんですけども。それは少年が主人公で、スケボーでジャンプしてるその瞬間だけ、シャーッていうスケボーのタイヤの音が消えるんですよね。そのジャンプをしている間は、空中だから。で、そのことを「世界から一時停止されている」っていう表現で藤沢周さんは書いていたんですよ。で、そういう瞬間をずっと心待ちにしているから……。
(星野源)わかるぅーっ!(笑)。
(若林正恭)だから、春日とのラジオもそうだし、今日もそうだし。それだけを考えてるから。なんか、その「天下を取るとか、そういう退屈な話はやめて?」って思うんですよ(笑)。
(星野源)フハハハハハハハハッ! 平成ノブシコブシの吉村さんみたいな(笑)。その「天下を取る」とかじゃないと?
(若林正恭)そうですね(笑)。
(星野源)わかるーっ! でも、そういうのの……まあ、「天下を取る」の話とバランスを取るならば、そういうのの積み重ねで勝手にそういう場所に行くのはすげえいいなと思うんですけどね。
(若林正恭)それはもう、大きな祭になればなるほど、そのアメーバがデカければデカいほど、やっぱりみんなでアメーバ状になれたら、もうそれはすごく嬉しいですけどね。はい。
(星野源)だからこそね、またライブみたいなことが気軽にできるようになってほしいなっていうのは思いますけどね。
(若林正恭)本当ですね。
(星野源)ちょっと今日、若林さんにも選曲をしていただいたということで。なにか、かけたいなと思うんですが。
(若林正恭)そうですね。星野さんとラジオで一緒に聞きたいなと思った日本語ラップの曲で、自分が好きなやつをかけてもいいでしょうか? じゃあ、変態紳士倶楽部で『好きにやる』。
変態紳士クラブ『好きにやる』
<書き起こしおわり>