町山智浩『ミッドナイト・トラベラー』を語る

町山智浩『ミッドナイト・トラベラー』を語る たまむすび

町山智浩さんが2021年8月31日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中で映画『ミッドナイト・トラベラー』を紹介していました。

(町山智浩)アメリカが今日、アフガニスタンから完全撤退しましたね。2001年から続いた……もう本当に20年間続いた戦争がほとんど何の成果も上げられずに終わりましたね。

(赤江珠緒)アメリカ史上でも最も長いと言ってもいいぐらいの、ねえ。

(町山智浩)そうなんですよ。元々、全然戦争をする気がなくて、ほったらかしにしてた国だったんですけどね。アメリカにとってアフガニスタンは。そこでウサーマ・ビン・ラーディンというテロリストがアメリカを攻撃しましたので。9.11テロでね。そこで引き渡しを要求したところ、タリバン政権が引き渡しを拒否したのでアメリカと戦争になったという形なんですが。攻め込んだ以上ですね、タリバンを倒して民主的な国を作らなければならないということで、それを20年間、アメリカはやってきたんですが、全くそういう国に育たなかったですね。アフガニスタンはね。

(赤江珠緒)本当ですね。

(町山智浩)それはね、アメリカのやり方も悪かったんですけれども。今後、どうなるのかということですね。それで今、一番問題なのはそのアメリカに協力した人たちが非常に危険なことになっていると。アメリカはずっと学校を作ったりしていたんですけれども、それに協力したアフガニスタンの人たちがタリバン政権に何をされるかわからないということがまずひとつと。あとはタリバン政権の時代、女性たちが完全に人権を奪われていたので、またその同じ状態に戻る危険があるんですね。で、タリバン政権で女性がどういう形で扱われていたのかということをパッと知るにはですね、いい映画があります。

Netflixというところで見れる映画なんですけれども。『生きのびるために(The Breadwinner)』というアニメがあるんですよ。子供向けの。それにすごく詳しく描かれてますけども。それは普通の家族がタリバン政権でお父さんが政治犯みたいな形で逮捕されてしまうんですよね。ところが、そこには娘とそのお母さんしかいないわけです。その家には。お父さんがいないから。で、アフガニスタンのタリバン政権は女性が外出することを禁止してるんですよ。だから、家に女しかいないから、収入がゼロになっちゃうんですよ。

(赤江珠緒)そうですね。徹底して女性の権利がないですもんね。

(町山智浩)はい。女性が働くことも禁止してるんですよ。で、女性は自分の銀行口座を持つことはできなくて。だから、結婚をする以外に生きる道がないんですね。で、一夫多妻で、少女婚と言われてる、生理が来たばかりの女の子を嫁にやるみたいなことが行われていて。恋愛結婚もできない。その中で、その娘が生きていくためには髪の毛を切って男として働きに出なければならないというアニメがその『生きのびるために』なんですけれども。このお父さんがね、またアニメの最初の方で子供たちに読み書きを教えてるんですけれども。タリバン政権下では女性が勉強することは許されなかったんですね。だから完全にもう無知の状態に置かれるわけですけれども。これがまた、アフガニスタンに戻ってくると大変なことになるということですよ。

(赤江珠緒)そうですね。厄介ですよね。タリバン政権、その上層部は「前回とは違うようにする」とかね、広報の方は仰ってますけど。末端のあたりにそれは全然行き届いてないというのが現実だっていうニュースを日本でも見ますよね。

(町山智浩)そうなんですよ。要するに女性を無理やり嫁にしたりしても何も言われない状態ですからね。で、婚外交渉みたいなものは禁じられてますが、婚外交渉をしても殺されるのは女の人だけですからね。だからそういう状況にまた戻ると非常に危険なんですが、さらにややこしいことに今回、タリバンはトランプ政権と取引をしたんですよ。去年、トランプ政権とタリバンが取引して、アメリカが撤退するという形で……まあ、バイデンさんが決めたわけじゃなくて、トランプ政権を決めたことなんですが。ただ、それに関して「タリバンはアメリカと妥協した」と言って怒っている人たちがいるんですよ。

(赤江珠緒)そうなんですよね。また混沌としてきてるでしょう?

(町山智浩)そう。タリバンよりもさらに過激な勢力が今回、無差別テロを起こして。100人以上のアフガニスタンの人たちを殺したんですね。

(赤江珠緒)ISね。

(町山智浩)はい。ISですけども。その時に殺されたアメリカ兵13人っていうのは、タリバンの人たちと協力しながら、そこにいたアフガニスタンの人たちを逃がすという救援活動を行なっている最中に自爆テロで殺されたんですよ、みんな。まあ人として大抵のことをやられたんですけれども。それに対して、アメリカ軍が報復ということでドローン、無人攻撃機で攻撃したんですが、それに今度は子供が巻き込まれているんですよ。こういった、また泥沼に引きずり込むというのがISの目的なんで。見事にそういうことになってしまっているという。もう大変なことが今、起こっているんで。

で、この間紹介した映画でね、『アイダよ、何処へ?』というもうすぐ公開の映画を紹介しましたけども。あれがね、国連がユーゴスラビアであった民族間の内紛状態に入っていって。結局、解決できないから逃げちゃったっていう話だったんですよね。

(赤江珠緒)そうでしたね。

町山智浩『アイダよ、何処へ?』を語る
町山智浩さんが2021年8月17日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中で映画『アイダよ、何処へ?』について話していました。

(町山智浩)あれがまたすごい話でね。実話なんですけれども。まあ国連軍とかアメリカ軍とかが行っても、結局自分たちの国じゃないからそこまで命かけて守れないっていうことで逃げちゃう。それでその後、そこに残されていった人たちがどうなるか?っていうので映画でしたけども。『アイダよ、何処へ?』はね。それが繰り返されてる状態ですね。すごいんですが。

それで今回、紹介する映画が来週、9月11日から日本で公開される映画で『ミッドナイト・トラベラー』という、「真夜中の旅人たち」というタイトルの映画なんですが。これがね、アフガニスタンを脱出した家族のドキュメンタリーなんですよ。『ミッドナイト・トラベラー』というのはね、夜中しか移動できないんですね。彼ら、みんな不法入国で次から次に……要するにアフガニスタンから隣のイランに行って。イランからトルコに抜けて。トルコからブルガリアに抜けて……っていう、その5600キロを移動した4人家族の話なんですけど。その移動のほとんどが山の中の国境の、なんというか、道路とかがない山の中の国境地帯を抜けていくんですよ。不法なんで。

(赤江珠緒)見つからないように。

(町山智浩)見つからないようにね。だから真夜中に移動するんで『ミッドナイト・トラベラー』っていうタイトルになってますけど。これね、アフガニスタンの公共テレビでディレクターをやっていたハッサン・ファジリという人が逃げた人なんですね。で、2015年にアフガンから脱出するんですけども、その間ずっとスマホで撮影したものをまとめたのがこの『ミッドナイト・トラベラー』です。

(赤江珠緒)もう2015年に。

アフガニスタンから脱出

(町山智浩)はい。それから3年間、かかってるんですよ。彼らがやっと難民として受け入れられるまで。その3年間に渡る、5600キロの旅を圧縮した映画なんですね。で、このファジリさんはですね、なぜ逃げなきゃなんなくなったかっていうと、そのアフガンの公共テレビでドキュメンタリーをやっていて。タリバンの指揮官が降伏するというドキュメンタリーだったんですね。「これ以上、戦ってもしょうがない」っていうことで。で、そのインタビューをしたんですけれども。そしたら、「敵に妥協した」っていうことでそのインタビューに答えた元タリバンの人が暗殺されちゃったんですよ。タリバンに。で、更にその番組を作ったっていうことでファジリさんも賞金首になっちゃったんですね。

(赤江珠緒)ええっ? 作った方も?

(町山智浩)作った方も。「このディレクターを殺したら金をやる」っていう風になっちゃったんです。それが、タリバンにいた自分の友達なんですよ。ファジリさんの昔からの友達の1人が、もう崩壊しましたがアメリカが支援したそのアフガニスタンの政権。「政権があまりにも腐敗している。自分で私腹を肥やしたりしているから許せない!」って言ってタリバンに入っちゃったんですね。その人が友達だからファジリさんに電話をしてきて。「君の名前が処刑リストに載ってるから、今すぐ脱出しろ」っていう電話してくれたんですよ。その彼も死んじゃうんですけど。

(赤江珠緒)ええっ?

(町山智浩)そうなんですよ。で、とにかく娘がいるから脱出をしようっていうことになるんですけど、脱出をしようとする時にちょろっと彼が悩んでいる時に、娘さんたち……娘さん、上の子は8歳で下の子は5歳だったかな? こういう風に聞くんです。「大きくなったら何になりたい?」って聞くんですね。娘たちに。で、そこで答えが返ってこないんですけど。この質問というのはタリバン政権下では、あり得ないんですよ。

(赤江珠緒)ああ、そうか。女の子にそんな選択の自由はないということか。

(町山智浩)女の子に職業は存在しないのでね。扶養家族以外の生き方がないので。だからこの質問を彼がした段階で「もうこれはこの国を出るしかない」って決意をするんですね。「この子たちの将来のために」って。で、1度ね、タジキスタンっていう北の方の国に脱出して、そこで難民申請をしたら強制送還されちゃうんですね。受け入れられなくて。で、いろんな国に対して難民申請を出すんですけど、全然受け入れられないのでもう諦めて、アフガニスタンとイランとの国境を不法に突破して。

もうとにかく、どんどん不法で突破していって、そこで難民申請をそれぞれの国でして、受け入れられたらそこに定着するっていう宛のない旅に出るんです。ところが子供は8歳と5歳ですよ? ねえ。で、その頃はまだタリバン政権じゃないんだから、アフガニスタンの政権に頼ればいいじゃないかっていう気もするんですが。彼自身がね、アートカフェというのを奥さんとやっていて。奥さんも映画作家なんですけども。ビデオの撮り方とか、そういうのをいろんな人たちに教えてたんですよ。「自分たちでアートや表現ができるんだよ」って。

で、それがタリバンにとっては許せないことで。「映画を作るなんてことは許せないんだ!」っていうことで攻撃をされて。そしたら、その当時にガニ政権、要するにアメリカ側の政権が「タリバンと揉めるから、君のところの店は閉じてくれ」って言って圧力をかけてお店を閉ざされちゃったんですよ。

(赤江珠緒)それは当時の世紀も助けてくれなかった?

(町山智浩)助けてくれなかった。タリバンに妥協していて。で、「これは守られないんだ」っていうことで、もう完全に諦めて脱出をするんですけどね。で、どこに行っても居場所はないんですよ。その間、ほとんどが野宿で。山の中を本当に雨水とかを飲んで越えていくんですね。果物とかを食べながら。で、その間もスマホで撮っているんですけども、電池が切れちゃうんで時々、画がなくなっちゃうんですけども。で、命がけでそうやってイランを抜けて。あと、車のトランクに入れてもらったりするシーンも出てきますね。

でね、お金を払っていて。ブルガリアかなんかの逃し屋に払うと、逃しルートみたいなものを教えてくれて。それで難民の人たちをまあ、密輸みたいなことをしてるんですね。で、それにかなりお金をぶち込んで。向こうでキャッチしてくれるっていうことでね。それを頼って行くんですけれども……ブルガリアに着くと、そこで大変なことになっちゃうんですよ。「ここから先はお金をもっと出さないと連れていかないよ」って言われるんですね。その逃し屋に。ところが、もう既に全財産を渡しちゃっているんですよ。それでお金がなくて。「お金、ない」って言うと「じゃあ、お前の娘を売るから」って言われるんですよ。

(赤江珠緒)ええっ? ブルガリアまで来てるのに?

(町山智浩)そう。「お前の娘とその女房を売るから」って言われるんですよ。だから、ヤクザなんですよ。で、「これはどうしようもない」と思って自分たち、自ら警察に出頭するんですね。ファジリさんたちは。それで難民キャンプに入れてもらうんですね。不法移民センターに入って一応は助かるんですけど、ところが今度はそこにね、たくさんの暴徒が集まってくるんですよ。「難民は出ていけ!」ってやるんですよ。そのブルガリアの右翼とか愛国者とか民族主義の人たちが「イスラムの難民が来た」ってことで、石を投げたりね。で、このファジリさんも娘の前でボコボコにされちゃうんですよ。「難民野郎、出ていけ!」ってやるやつらのためにね。

(赤江珠緒)ひどいね……。

(町山智浩)で、「ここにもいられない」っていうことで、また逃げなきゃなんなくなってくるんですよ。これ、すごいんですけど。ただね、この子たち。この女の子2人がね、お父さんとお母さんが必死で自分たちのために命をかけてくれてるっていうことがなんとなくわかっているから。ものすごい健気に明るく振る舞い続けるんですよ。

(赤江珠緒)そんなちっちゃいのに?

明るく振る舞い続ける娘たち

(町山智浩)ちっちゃいのに。勘でわかるんですね。で、このお姉ちゃんの方は特にね、「妹がいるから私は絶対にくじけちゃいけないんだ」っていうことでね。野宿をしなきゃらならない山の中を越えている時も「見て。きれいな山よ」とか言ったりするんですよ。「あっ、鳥が鳴いてる。鳥さんだよ!」とか言って、すごく明るく楽しく振る舞おうとするんですよ。でね、また生まれて初めて黒海っていう海を見るんですけど、それが生まれて初めて見る海なんですね。で、アフガニスタンに普通に暮らしてたら、海なんか見れないんですよ。あと、自転車に乗るシーンもあって。これもすごいですね。女の人、自転車にも乗れないんですよ。

(赤江珠緒)そういうことですよね。

(町山智浩)一生、自転車なんか乗れないんですよ。そういうところをちゃんとやらせてあげることによって、彼女たちに自由っていうものを謳歌させるんですけれども。ただね、やっぱりこの子たちが一生懸命頑張ってるのが、本当に見ていると泣けてくるんですよね。でもやっぱりね、途中で心が折れちゃうんですよ。このお姉ちゃんも。あと下の子もね。それはやっぱり、みんなに石をぶつけられたりね、自分のお父さんが目の前でボコボコにされたりするんですよ。で、どこに行っても居場所がないんですね。でも、やっぱり偉くて。難民センターにすら入れない時があって、そうすると窓も何もない廃虚でこの家族4人が寝るシーンとかもあるんですけども、雪が吹き込んでくるんですけどね。でも、この子たちは本当に泣かないんだ。頑張って。

(赤江珠緒)しかし、ゴールがないっていうのが本当につらいですね。どこに行けばいいんだ?っていうね。

(町山智浩)見えないんですよ。それで結局、ブルガリアも出てセルビアに抜けるんですけども。セルビアの難民キャンプでもまたやっぱりね、「難民は出ていけ!」っていう人たちがいてね。この間の映画『アイダよ、何処へ?』も出てきましたけど、セルビアの人たちはイスラム教徒が嫌いですからね。虐殺までしてるぐらいですから。で、どこまでもどこまでも逃げていくという話なんですけど。ただ、その中でね、いろいろとすごく深いところがあって。

たとえばこの夫婦が夫婦ゲンカするところがあるんですよ。それで彼、ファジリさんが他の女の子に「最近、きれいになったね」みたいなこと言っちゃうんですよ。一緒に逃げてきた難民の女の子にね。すると、奥さんがすごく怒るわけですよ。「よその女の子に『きれいになったね』なんて……気持ち悪いわね!」なんて言うんですよ。「それは俺は映画監督だからね。君だって映画を作ってるんだから。たとえばお芝居とかで君が別の男性と恋人同士とか結婚してるとかという役で。2人でキスしたりすることもあるだろう?」って言うんですけども。

それを言われたその奥さんが考え込んでね、「ああ、映画ってそうよね」って言うんですよ。「だからタリバンは映画を許せないのね」って言うんですよ。すごくよく分かるんですよね。それがね。タリバンが許せないのは、そういうことなんですよね。だって女の人は、一夫多妻で男のものにならなきゃいけない世界なんだから。映画とか演劇ってものはあり得ないんですよ。

(赤江珠緒)そうか。夫以外には化粧も見せないっていうね。

(町山智浩)そう。あり得ないんです。だから映画そのものが憎まれてるんだっていうことがそこで分かるんですよね。でね、あと彼はずっと映画を撮り続けてるんですけど、自分の家族も危険に晒されてるわけですよ。それこそ奥さんとか娘も死ぬかもしれないような状況なわけですよ。でもね、彼はそれを撮っていることにすごく興奮している自分に気がつくシーンがあるんですよ。「俺は映画作家として、他の人がほとんど経験できないようなすごいことをしている」と。それで彼が自分を責めるシーンもあるんですよ。「俺は自分の家族の命を危険に晒しているのに、映画作家としてすげえシーンが撮れるかもしれないと思っている。なんて罪深い男なんだ!」って思うところもあって。

(赤江珠緒)そこは気持ちの矛盾もありますもんね。

(町山智浩)そう。すごい映画ですね、これはね。あと、この女の子が7、8歳で1年間に渡ってずっと難民キャンプを転々とするわけですから。で、難民キャンプっていうのはいろんな国の人たちがいるから、中ではみんな、英語でしゃべるんですね。言葉、みんなばらばらですから。で、特にキャンプを運営したりしている人たちは英語でしゃべるんですけど。だからね、あっという間に英語を覚えちゃったんですね。で、英語をしゃべってるんですよ。お父さんとお母さんはしゃべっていないので、あんまりしゃべれないと思うんですけども。そこはやっぱりね、子供っていうのはすごいですよね。覚えるスピードがね。で、マイケル・ジャクソンの歌を聞くんですよ。お姉ちゃんの方がね。で、今聞こえてるかな? マイケル・ジャクソンの歌が。

Michael Jackson『They Don’t Care About Us』

(町山智浩)これね、マイケル・ジャクソンの『They Don’t Care About Us』っていう歌なんですよ。これ、どういう歌かっていうと、「やつらは僕たちのことなんか気にしちゃいないんだ」っていう歌なんですよ。だからこれはまさに……彼女がわかって歌っているのかどうかはわからないと思うんですけど。この娘さんがね。でも、彼らの置かれてる状況そのものなんですよね。

(赤江珠緒)そうですね。

(町山智浩)「私たち難民のことを世界中の人は誰もなんとも思ってないんだ」っていう風に聞こえるですよ。そのへんもね、今ね、アフガンの日本大使館で働いていたアフガニスタンの人500人が脱出できない状態であると報道されましたね? 日本は日本のために働いてくれた彼らを救う義務があると思いますよ。この間の『アイダよ、何処へ?』も全くそうでしたけども。

あれも通訳として国連のために働いている女性の家族が殺されるかもしれない。でも、それを国連は助けなかったっていう話なんですね。全く同じ状況がその日本大使館で働いていた500人の人にも今、あるわけでね。本当に日本政府はこれを助ける義務があると思います。というすごい映画がこの『ミッドナイト・トラベラー』で。しかもこれだけの映画をスマホひとつで撮っているというところもすごいですね。

(赤江珠緒)同じようなことが今、まさに。

(町山智浩)今、起こっている。日本にとっても全く他人事ではないです。こういう人たちを日本は500人、日本政府のために働いた人が今、アフガンに取り残されているんです。

(赤江珠緒)やっぱり難民に対してどういう風に考えて、どういう風に自分たちが行動をするのかっていうのを考えなきゃいけない世界ですね。本当にね。

(町山智浩)本当にそうです。「難民なんか来させるんじゃない!」って言ってる人は映画でこの子たちに石を投げていたブルガリアの人と同じですからね。

(赤江珠緒)「自分たちは永遠に関係ない」とはどこの国も言えないじゃないかという状況ですもんね。
(町山智浩)そうなんですよ。だからこのマイケル・ジャクソンの歌がね、すごく響いてくる映画でした。

(赤江珠緒)『ミッドナイト・トラベラー』は9月11日からシアターイメージフォーラムほか、全国順次ロードショーとなります。町山さん、ありがとうございました。

(町山智浩)どもでした。

『ミッドナイト・トラベラー』予告編

<書き起こしおわり>

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