町山智浩 アメリカを目指す中米移民キャラバンを語る

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町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でホンジュラス、グアテマラ、エルサルバドルなどからアメリカを目指し徒歩移動を続ける難民キャラバンについてトーク。メキシコ国境のアメリカの街で彼らに直接インタビューした際の模様について話していました。

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Photojournalist Kim Kyung-Hoon captured this image of a Honduran mother and her 5-year-old twin girls running away from tear gas at the US-Mexico border on Sunday. The family was among the migrants near the border when a few men tried to dismantle a wire fence and border officials unleashed tear gas, Kim said. "This has all the elements in one picture," the Reuters photojournalist told CNN. "We can see the border, the tear gas, the children using diapers, barefoot." The image also captured imaginations because the mother was wearing a shirt from Disney's "Frozen" — a movie in which a sister sets off on a journey for a better life. Immediately after the tear gas, the woman and girls fled to a migrant camp in Tijuana, about a 30-minute walk away. It's not clear what will happen to the family next. (📸: Kim Kyung-Hoon/Reuters)

CNNさん(@cnn)がシェアした投稿 –

(赤江珠緒)さあ、町山さん。今日は映画ではなくて町山さんが直接取材をされた話ということで。

(町山智浩)そうなんですよ。これね、実はもっと前に話をしたかったんですけども。なかなかいい映画がどんどん来ちゃったんでその話をしそこなったんで、もういましないとっていうことで。11月7日、僕はテキサス州のいちばん南の端の、いちばん下の海沿いのメキシコ湾岸の方にあるマッカレンという街に行ってきたんですよ。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)そこはね、メキシコとアメリカがはじめて接する、いちばんアメリカの中でメキシコに近いところなんですね。ええと、このへんなんですよ。

(赤江珠緒)いま、地図で見ていますけども。

(町山智浩)アメリカのいちばん南の端っこなんですよ。で、そこにどうして行ったのか?っていうと、最初に中米の方から上がってくるキャラバンの人たちがそこに最初に達するんですよ。そこからアメリカの国境内に入り始めるので。現在ではもっと上の方のカリフォルニア州のティファナという、カリフォルニア州とメキシコが接するあたりのところから大量に中米から入ってきた難民の人たちのキャラバンがやってきて問題になっているんですけども。それよりもはるかに前にここで先にキャッチしようということで、行ってきたんですね。

(赤江珠緒)はいはい。

(町山智浩)「先にキャッチしよう」って行ってきて、全然その番組がいつまでたっても放送されないっていうのは問題があるなって思うんですけども。やっぱりね、即時性がないメディアでいろいろと苦しんでいるんですけども。テレビで行ってきたんですよ。BS朝日の『町山智浩のアメリカの“いま”を知るTV』で。それで1ヶ月以上たってもまだ放送されないんですが(笑)。

(赤江珠緒)あらま!

(町山智浩)それで行ってきまして、実際に難民の人たちがどういう状況で入ってくるのか? なぜ入ってくるのか? 彼らはいったいどういう人たちなのか? そういうことを直接その人たちにインタビューして調べてきました。で、まずマッカレンっていう街について話しますと、もう完全にメキシコとの国境の街なんですね。で、すごく景気がいいです。

(赤江珠緒)景気がいい?

(町山智浩)景気、めっちゃいい。それはNAFTAっていうカナダとメキシコとアメリカの関税をかけないという条約が90年代にできまして。それ以降、たとえば国境のアメリカ側の経営者が国境を超えたメキシコ側に工場を持って、そこで安い人件費で商品を安く作らせて。それを関税がないからそのまま国境を越えてアメリカに持ってきて、アメリカ内で売るというようなビジネスをやってすごい利益をあげていて。

(赤江珠緒)そうか。国境ギリギリならではのビジネスですね。

(町山智浩)そうなんですよ。だから結構豪邸とかが建っていて、ものすごい高級レストランとかがあったりするんですけども。で、それとは逆にメキシコ側の人たちはそこの国境ギリギリのところに住みながらも、通勤はアメリカ側にするんですよ。で、通勤をする人たちに対する通行許可証があるんですよ。で、レストランから建設とか自動車とか、ありとあらゆる産業で働いて。夜になると国境を超えてメキシコ側に帰って家で寝るという。そうすると、生活費も安いし土地代も安いから、結構みんないい家に住んでいて。

(赤江珠緒)はー!

(町山智浩)アメリカに歩いて通勤して、メキシコ側でいい暮らしをする、みたいな。

(赤江珠緒)ああ、なるほど。じゃあお互いにそれぞれ、いい感じなんですね。

(町山智浩)完全にWIN-WINです。だからそこで会ったメキシコに国籍のある人たちにいろいろと聞くと、「アメリカに移民しようなんて絶対に思わないよ。だって損しちゃうじゃん。なんの得もないじゃないか。俺たちは国境を越えていくことで利益を得ているわけだから」っていうことで。で、テキサスでも南の方はそういう形で潤っているので、反トランプなんですね。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)ものすごく反トランプで。というのは、トランプはそのNAFTAというメキシコとの間に関税をかけないというものに対して反対をしている人なので、それをやられると彼らの利益が全部吹っ飛んじゃいますから。だからものすごく反トランプで。テキサスって上の方は石油産業なんですけど、南の方はメキシコとの貿易とかが中心なんで、南の方が圧倒的に反トランプで南北が完全に分かれているんですよ。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)そこも面白かったんですけど、その中に難民の人が入ってくるんですが。だからまず、勘違いしている人がアメリカにも日本にも多いんですが、難民の人たちはまったくメキシコとは関係のない人たちなんです。彼らはまったく関係なくて、メキシコよりもさらに南の方の中米3ヶ国から来ているんですね。

(赤江珠緒)メキシコを通って来ているだけであって、メキシコの人じゃないっていう。

(町山智浩)完全に関係ないんですよ。で、具体的にはグアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドルから来ています。で、圧倒的にホンジュラスの人が多かったです。で、その人たちがメキシコを……もうすごい距離を移動して入ってきて。で、いちばん最初にテキサスとの国境に接するんですけども、そこに国境の壁があるんですね。で、「国境の壁を作れ!」とかトランプ大統領は言って大統領になったわけなんですけど、もうそこには壁があるんですよ。すごい頑丈な壁があります。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)ただ、その壁には穴がたくさん空いているんですよ。どうしてか?っていうと、実際の国境というのはリオ・グランデ川という川なんですね。で、その川はものすごくグチャグチャに蛇行しているんですよ。

(赤江珠緒)ああ、曲がりくねって。蛇行していますね。

(町山智浩)で、これが国境で、国境線はその川の中心、真ん中のところにあるんですよ。

(赤江珠緒)川の中にあるんだ。

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国境の壁に穴が空いている理由

(町山智浩)それがグニャグニャしていて、壁を作るのは不可能なんですよ。あまりにも細かく蛇行しているから。もう目で見ただけでもグニャグニャに曲がっているんですよ。だから実際の壁はその川のアメリカ側の岸辺にこういう風に建っているんですよ。

(山里亮太)川沿いに。

(町山智浩)そう。川沿いにほとんど直線に近い形でゆるい曲線で建っているんですね。ところがこの川と壁の部分っていうのはアメリカの領土なんですけども。ここはほとんどが私有地なんですよ。

(赤江珠緒)誰の? 私有地?

(町山智浩)農家なんですよ。で、農家がこういう風に土地を持っていて、その壁の両端に持っているので。それで壁の両端ともアメリカ側なんですけど、川ギリギリまで農地なんで、彼らはその川ギリギリの川側の農地に行くためにこの穴を通り抜けて行くんで、壁があっても穴だらけなんですよ。

(赤江珠緒)あーっ! じゃあ、アメリカの土地を持っている人が自分で行くために穴をあけているっていう?

(町山智浩)そうです。ほとんど私有地です。農家です。農地です。だからその壁の穴を通って入ってきちゃうんですよ。難民の人たちが。

(赤江珠緒)ああ、そうかそうか。

(町山智浩)だからもし壁を、本当にこの穴を完全にふさぐとしたなら、その川と壁の間の私有地を全部アメリカが借款するか買わなきゃならないんですよ。

(赤江珠緒)ああ、そういうことになりますね。個人の財産が少し減るわけですね。

(町山智浩)そうなんです。だからこれ、大変な金額になるんですよ。だから、不可能なんですよ。だから本当にこれを視察して、トランプ政権はそれを見て言っているのか? これは不可能だろう?って思いました。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)で、その川を越えてきた人たちはそこでボーダーパトロール(国境警備隊)の人たちに捕まるんですけども、それはわざと捕まるんですよ。

(山里亮太)えっ?

(町山智浩)国境を越えた後、道路でこうやってずっとしゃがんで待っているんですよ。国境パトロールの人が来るまで。で、彼らが捕まえられて、ディテンションセンターっていう一時的な難民センターに連れて行かれて。そこで難民申請をするんです。そこで彼らはイリーガル、だから不法移民と言われているんですけど、実は「不法」でもないんですよ。

(赤江珠緒)えっ?

(町山智浩)きちんとした書類を持っているんですよ。ほとんど全員が。自分たちの身元証明書も持っていて、アメリカ側の身元引受人の書類も全部持っています。

(赤江珠緒)ええーっ!

(町山智浩)で、身元引受人の照合もそこでするんですよ。国境警備隊の人が。で、照合された人たちは正式な難民の申請をしたということで、そこで解放されるわけです。

(赤江珠緒)ああ、釈放っていうか?

(町山智浩)釈放されるんです。で、ただその時、足首にGPSをつけられます。で、どこに行っても確実にわかる。で、毎日そのGPSが電源が切れないように充電(チャージ)し続けなければならないんですよ。で、その後に正式に難民として受け入れが決定されるまで、そのGPSを外すことはできません。

(赤江珠緒)はー!

(町山智浩)で、彼らはその自分の親戚とかがすでにアメリカで身元引受人をやっているところに行って、そこの地元の裁判所に難民申請をして。弁護士を雇って裁判をし続けるという形になるんですよ。ただ、大問題になっていたのはそこに行った人たちがほとんど、その場で放置されてしまって。英語ができない人も多いので、そのマッカレンという街中にあふれちゃったんですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)つまり、「難民申請をして受け入れました。じゃああなたたち、あとは任せました」って放置されるんですよ。

(赤江珠緒)そこから、その難民申請が通って……。

(町山智浩)身元引受人のところに行くことができないで右往左往しているんですよ。

(赤江珠緒)ほとんどの人が行けていないっていうことですか?

(町山智浩)行けていないんで、地元のボランティアの人たちが彼らをバスに乗せて……っていう作業をやっているんです。で、そこに行ってきました。で、地元のカトリックの教会のシスター・ノーマという人がボランティアでやっているんですけども、まあものすごい数なんですよ。毎日毎日、300人ぐらい来るんですよ。すごい数なんですよ。で、その人たちに食料とかミルクとかオムツとかそういうのを渡して。で、行き先へのバスのチケットは買ってやらないで。それはやっぱり自分たちで自力で買ってもらって。またはその身元引受人の人に買ってもらってバスに乗せて送り出すまでをやっているんですよ。すごい人数でやっていて。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)まあ次から次に来るんですよ。で、もうこれは政府がやっていなくて、完全にボランティアでやっているんですよ。

(赤江珠緒)でも、そここそが政府がやるべきじゃないですか。柵を作るとかよりも。

(町山智浩)そうなんですよ。だから政府がなにもしないのは、政府は「なんでそんな難民を引き受けるということに対して俺たちがお金を出さなきゃいけないんだ?」っていうことで、申請はしたんですけども却下されちゃったんですね。だから、もう本当に地元の人たちが自分たちのボランティアでやっているという状態です。そうしないと、そこで難民の人たちはたまっちゃうから。

(赤江珠緒)そりゃあ、そうなりますよね。

(町山智浩)で、彼らは英語ができないっていう問題があったりするんですけども、ただ彼らはそんなに貧しくはないんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)っていうのは、グアテマラとかホンジュラスからアメリカ国境に入るまでにかかるお金が非常に高くて。30万円とかかかるんですよ。闇業者とかに払ったりするお金とか。間に泊まったりするお金とか。いろんなことでお金がなんだかんだかかって、1人30万円ぐらいかかるんですよ。で、そのお金を工面してきた人たちなんですよ。

(赤江珠緒)じゃあ割とホンジュラスとかの国でも裕福な方の人たち?

(町山智浩)ある程度、お金がある人たちです。

(赤江珠緒)でも、そこまでお金をかけていても、ホンジュラスを出たいんですか?

(町山智浩)出たいんですよ。それで、彼らはお金がない人たちは親戚とかからお金を集めたり借金したり。まあ、多かったのは自分の持っていた農地を全部売っちゃうとか、そういう形で来ているんですけども。で、難民の人たちは100%子連れの親です。子供を連れないで来ている人はいませんでした。

(山里亮太)へー!

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