町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でドナルド・トランプ政権のオバマケア撤廃の失敗についてトーク。失敗した理由などについて話していました。
(赤江珠緒)さあ町山さん、また新しい本が週末に?
(町山智浩)自転車操業で本を出し続けている(笑)。働けど働けど楽にならず……ですが(笑)。新しい本を出しました。『実況中継 トランプのアメリカ征服』という本なんですけども。これは週刊文春にずっと連載しているコラムをまとめたものですね。で、内容は僕、ドナルド・トランプ大統領が選挙で選ばれて、大統領に就任するという現場に行って……大統領就任式とか、投票日の模様を中継していたんですよ。垂れ流しで。
(山里亮太)拝見しました(笑)。
(町山智浩)それを文章にまとめたものが多いです。
(赤江珠緒)おおーっ! いま、まさにね。
(町山智浩)もう、大変なことになっていますけどね。
(赤江珠緒)そうそう。昨日、小田嶋(隆)さんもおっしゃっていまして。「町山さんに聞いてほしい」って言ってた……「オバマケアとか、アメリカはあれどうなるんだろうな?」って。
オバマケア撤廃を却下される
(町山智浩)ああ、だからオバマケアという国民全員に医療保険を与えるというのをトランプ大統領が撤廃しようとしまして、却下されましたね(笑)。
(赤江珠緒)ああー。
(山里亮太)撤廃を却下されたと。
(町山智浩)はい。そうです。だから、一応安心。
(赤江珠緒)一応、ある。
(町山智浩)はい。やっぱり2000万人ぐらいが保険を失っちゃうことになるんで。やっぱりみんな強硬に反対して。議会の人たちが。で、結局オバマケアは安全な形で維持されると。
(赤江珠緒)ほー!
(山里亮太)トランプはでも、やることなすこと、「ウワーッ!」ってやって盛り上がった瞬間に「撤廃!」って。
(町山智浩)だから、根回しをしていないんでね。要するに。政治家としての能力っていうのはやっぱり根回しじゃないですか。それこそ昔、吉田茂さんとかそういうのが強かったですけども。ただ、全く根回しをしないで何かをぶつけて、それでそれに反対するか、賛成するかで人を判断させるというやり方を取っているんですよ。で、トランプケアというのを今回は出して。「トランプケアに反対したやつら、こいつらはとんでもないやつらだ!」とその人たちを印象づけることにはなるんだけども。でも、こんなに敵対していてケンカばっかりしていたら、じゃあ全然それは政治が前に進まないですよ。
(赤江珠緒)たしかに。
(町山智浩)やっぱり、前にリンカーン大統領の話をした時に、リンカーン大統領は奴隷制度を撤廃する時にどれだけ根回しをしたかっていう。それだけの映画が1本作られているんですよ。あれは反対勢力を潰すんじゃなくて、反対勢力をどれだけ丸め込むか。それが政治なんだと。で、リンカーンがやったことは奴隷解放という非常に大事なことだけど、それですらもまともにやるんじゃなくて、やっぱり政治の腹芸が必要なんだという、結構リアリズムの映画でしたよね。スピルバーグの(『リンカーン』は)。
(赤江珠緒)政治家の力って、そこですか。
(町山智浩)そこなんですよ。いわゆる「政治」っていう言葉って「根回し」とか「裏工作」っていう意味があるじゃないですか。悪い意味で。でも、いいことをするためにそういうことも必要だっていう映画があるぐらいで。でも、トランプさんはそういうことをあんまり……まあ、政治家じゃないですから(笑)。
(赤江珠緒)そうですね(笑)。突然来ましたからね。
(町山智浩)やらないですね。ということで、そういうことまで含めましたことをまとめた本が『実況中継 トランプのアメリカ征服』という本で、これをリスナーのみなさんにプレゼントします。
(中略)
(赤江珠緒)『実況中継 トランプのアメリカ征服 言霊USA2017』。文藝春秋から本体1000円で3月30日発売でございます。
(町山智浩)明後日ですね。よろしくお願いします。
<書き起こしおわり>
週刊文春の連載コラムの単行本第5弾が3月30日に出ます。町山智浩『実況中継 トランプのアメリカ征服 言霊USA2017』澤井健画伯の表紙がまた凶悪なんだ。ガガ似すぎ。 https://t.co/bJV1y4H9np @amazonJPさんから pic.twitter.com/ux2NhzCplL
— 町山智浩 (@TomoMachi) 2017年3月2日