オークラ 星野源『アイデア』の影響で『ドラゴン桜』の脚本を引き受けた話

オークラ 星野源『アイデア』の影響で『ドラゴン桜』の脚本を引き受けた話 佐久間宣行のオールナイトニッポン0

オークラさんが2021年7月21日放送のニッポン放送『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』に出演。星野源さんの『アイデア』の影響で『ドラゴン桜』の脚本を引き受けたという話をしていました。

(佐久間宣行)だからオークラさん、あれでしょう? 星野源さんも大好きじゃない? だからもうさ、3週ぐらいにわたって『あちこちオードリー』の星野源回の感想をちょっとずつ言ってくるんだよ(笑)。

(オークラ)その……あとで話そうと思ったんですけども。『ドラゴン桜』をやる自分のモチベーションが実は僕、源くんにあるんですよ。

(佐久間宣行)へー。それはどういうことですか?

(オークラ)それは、実はあのちょうど『ウレロ』とかが終わったぐらいで「自分はテレビで何をやりたいんだっけな?」ってもいろいろ考えていた時期だったんですよ。それで結局、一番やりたいのって人を驚かせたいことじゃないですか。いろんな、こんな振りを作って『ウレロ』のシチュエーション・コメディでやったことが本当のドラマになったりとか、曲になったりとかして。そういうテレビの遊びっていうのがあった中、バラエティってだんだんそれが許されなくなってきたっていうか。

要は、すぐ数字を取らなきゃいけないっていうか。そんな回りくどいことをやるなっていうか。もう、見た瞬間から面白いものっていうか。情報があるものっていうのがあったじゃないですか。で、だんだんとそれを作んなきゃいけない。上になればなるほど、それを求められるじゃないですか。立場的に。「俺はこのままテレビ業界でずっとこういうことをやっていかなきゃいけないのかな?」ってずっと考えた時に……。

(佐久間宣行)「考えていた」っていうか、俺には言っていたけどね。「テレビバラエティをやっていくのはありがたいけど。このまま行ったら、本当にやりたいコントみたいなのは無理だから。『ゴッドタン』の企画としてやるか、別のものを見つけないとコントが出来ないな」って言っていたもんね。

(オークラ)それでたまに宮藤官九郎さんのドラマとかを見ると、仕掛けがいっぱいあるじゃないですか。宮藤さんのドラマって。

(佐久間宣行)ちゃんと感動もさせるけど、コントの要素もしっかりあって。ふざけているのがドラマの方になってきたんだよね。福田雄一さんもいるし。

(オークラ)すごい振ったりとかしていて。でも、これって宮藤さんっていうブランディング化されたものがあるから見てるお客さんもついてきてくれるから。一瞬、クエスチョンがついても「ああ、そういうことか」っていう風になるから。でも、そこを作り上げた人はすごいなと思って。で、じゃあ自分が今、テレビバラエティではそこは求められていない。もっと瞬間的な面白いものだから、そんなにつじつまなんか合ってなくてもいいし……っていう感じのものに対して、もう少し人を驚かせたいなって思って。「ドラマの方がそういう世界があるんだろうな。でも俺がドラマに行ったとて、別に宮藤さんみたいなああいうものは、宮藤さんっていうブランドがあるから耐えられるのであって……」とか、いろいろ考えてた時にちょうどね、『半分、青い。』。

(佐久間宣行)北川悦吏子さんの朝ドラ。

(オークラ)あれの主題歌が源くんの『アイデア』っていう曲で。あの曲って、あの『半分、青い。』って1週目が90秒。次の日から60秒になるんですね。たしか曲、オープニングタイトルが。それが、源くんが今までやってきた自分の曲のパターンとか、詞にもそういうのがあって。SAKEROCK時代からやってきたものとか、そういうものを全て落としこんだ、まさに星野源がそこまでに作ってきたような曲だったんですよ。そこまで作ってきたようなタイプの曲だったじゃないですか。で、そこから4ヶ月ぐらい経った時、初めて『アイデア』のフルバージョンが発表されるってなった時、その今までかかっていた曲を全部振りにして、2番から全く変わったじゃないですか。

(佐久間宣行)ダークなトーンになったっていうか。

(オークラ)使っている音とかも変わったりして。それで、これってテレビの企画とかじゃなくて、ある意味で源くんが1人で仕掛けたことじゃないですか。ということは、自分がテレビで遊ぶ気になれば、遊べるんだなって。

(佐久間宣行)ああ、テレビを振りにして。ちゃんとポップなメジャーもやりながら、本心も忍ばせていくっていうことね?

(オークラ)で、ちゃんと出した瞬間に驚きもやる。

(佐久間宣行)ちゃんとメジャーな仕事のことは1番でやって。それを振りにして、2番では「でも、俺だって世の中に対する嫌なことはあるけど、こうやっていくんだよ」っていうので最後、ひっくり返すんだよね。

(オークラ)「ああ、これはすげえな!」と思っていて。それで「これは自分の意志でちゃんと作れるんだな」って僕は思ったんですよ。

2番でガラッと変わる『アイデア』

(佐久間宣行)なるほど。メジャーな仕事だとできないことが多いかもしれないけど、メジャーの仕事の中でもできるんだなって。

(オークラ)だから、もっとそういう風に自分の中で仕掛けを作るというか。その自分のやり方によっていろいろ作れるんだなと思ったんで、『ドラゴン桜』みたいな仕事をした時に「これはやっておいた方がいいな」と思ったんですよ。で、これはまず、日曜劇場っていうのは自分が今までやってきたコントとは違うものだけど、それをやることによっていつか、そういうことができる自分の中でのスタンバイになるんじゃないかと思って。

(佐久間宣行)あと、『ドラゴン桜』とか日曜劇場の脚本家という人がになった方が、ふざけた時の振りが効くもんね。

(オークラ)振りが効くなと思ったんで。それですごい、もう自分次第だなってって感じたんですよね。

(佐久間宣行)だからその時、言っていたもんね。引き受けた時に「何があっても。どんなに大変でもやる」って。

(オークラ)そう。もう本当に大変でもやらなきゃいけないんだと思って。それがもしかしたら、次に生きるんじゃないかなと思ったので。

(佐久間宣行)だって、そうか。ほら、元々バカリズムだってさ、本当に実はさ、「多才だからあっちに行った」っていう風に簡単に言うけど。あの頃って、コントができなかったんだよね。だからバカリズムは……実は『素敵な選TAXI』ってバリバリのコントだもんね。

(オークラ)そうなんですよ。コントのフォーマットをドラマに持っていって。

(佐久間宣行)ドラマに持っていって。自分の持ってるアイデアが腐らないうちにドラマでどんどん試すという方法論を実は示しているんですよね。

(オークラ)コント番組をやらせてもらえないから。だったら、そこでやろうよっていう。

(佐久間宣行)そう考えると、本当にバカリズムの先見性と、あとは根性(笑)。

(オークラ)そう。根性がない人にはできないと思うんですよ。やっぱり「やってやろう」っていう気持ちがない限り、なかなかできないんですよね。

(佐久間宣行)できない。

(オークラ)だから一度はそういう名前を出さない限り、自分の遊びに付き合ってもらうことはできないとか、そういうのをいろいろ考えた末に、今後もいろいろやっていこうっていうのがその時、『ドラゴン桜』をやっているモチベーションだったんですよね。

(佐久間宣行)わかる。オークラさんもそうだし、バカリズムも……だから『架空OL日記』とか『素敵な選TAXI』とか『地獄の花園』って、最初からあの企画書を出しても通らないじゃないですか。だって『地獄の花園』なんて結構マジでコントで全編ふざけているから。なんだけど、やっぱりドラマと映画をあんだけやって。もう脚本家の振りがついたらあれがやれるっていうのだから俺、ちょっとなんか逆に『地獄の花園』を見ていてちょっと感動しちゃったんですね。「こんなにふざけても大丈夫な人になったんだな!」っていう。オークラさんも、だからそういうことですよね。

(オークラ)そうしたら、もしかしたらそれもまたバラエティに生きてきたりするんじゃないかなって。それはすごい、今後いろいろとやれることなんだなって思って。まだ全然、やれてないですけども。ここから行けるかなっていう。

(佐久間宣行)そこの間があってっていう。だから、そこの道のりの……俺とオークラさんが30代の時の『ゴッドタン』があって。で、マジ歌とか見つけつつ、『ウレロ』みたいなのがスタートしている時の、本当にテレビでお笑いやれない中、どうやるのか? その生き残りの……もう金を稼がないとダメだとか。そこのところのサバイブね。今のテレビ界のお笑いの量を見てると羨ましいけど。まあ、でもそこまで終わらなくてよかったなと思うよね。あれ、途中で終わってたら俺たち、今このお笑いの人たちが出てきた時に、本当に若い子しかできない状態になってたもんね。俺たちの世代は外されてたよね。たぶんね。

(オークラ)そうですね。それは本当に思います(笑)。そういう、いろんなきっかけになった『アイデア』はすごい自分の中でデカいなっていう。

星野源『アイデア』

<書き起こしおわり>

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