町山智浩『海辺の彼女たち』を語る

町山智浩『海辺の彼女たち』を語る たまむすび

町山智浩さんが2021年5月4日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中でベトナム人技能実習生たちの姿を描く映画『海辺の彼女たち』を紹介していました。

(町山智浩)『ミナリ』っていう映画がアメリカに来た韓国系移民の物語で。セリフの半分以上が韓国語だったんですけども、アメリカ映画として認められたんですけどね。日本でもそういう映画ができて、先週から公開かな? 『海辺の彼女たち』っていう映画があったんですよ。藤元明緒さんという人が監督なんですけど。これがねベトナムから来た技能実習生の人たちの話で。このセリフの半分以上がベトナム語なんですね。で、技能実習生っていうのは今、問題になってる、「技能実習生」という名目で日本に来る最低賃金労働者の人たちのことで。「技能」とか言いながらも、本当に単純労働しかさせてもらえないし。で、しかも日本に来る際にブローカーに1人あたり100万円とか払っているんですよね。

(赤江珠緒)そうそう。そういうニュース、聞きますね。

(町山智浩)で、日本で最低賃金で働いている間、住み込みの実費とかも全部、その給料から抜かれて。最初の100万円というのは借金になっているんですよね。それで、もうほとんどお金はもらえなくて。国の家族に仕送りもしなきゃなんなくて……っていう、もうボロボロの奴隷労働の実態がいろいろ暴かれて問題になっていますけどね。その人たちを描いている映画がこの『海辺の彼女たち』という作品なんですけど。これなんかベトナム人の人たちのベトナム語での話だけど、これは紛れもなく日本映画なんですよね。現在の日本の現実を描いているんでね。

だからそういう幅が日本の映画でも広がっていってるし。やっぱりね、日本ではその技能実習生の人たちは移民の人たちじゃない。移民労働者ではないということになっていますけども。でも、これだけ少子化が進むと、もう最低賃金の労働の部分ていうのものは外国の人に頼らざるをえないっていう現実があってね。だから「アメリカが移民国家だからだ」っていう風に言ってられないことが起こってきてるんで。ぜひ。その『海辺の彼女たち』は今、ポレポレ東中野で公開中なんで。見ていただきたいんだと思うんですが。

『海辺の彼女たち』予告

<書き起こしおわり>

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