町山智浩『ミナリ』を語る

町山智浩『ミナリ』を語る たまむすび

町山智浩さんが2021年2月23日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中で映画『ミナリ』を紹介していました。

(町山智浩)今日も、もうすぐアカデミー賞……アカデミーは賞2ヶ月延びているんですけど。4月にはやりますので。また解説をさせてもらいますが。で、アカデミー賞最有力候補の作品を今日は紹介します。『ミナリ』というタイトルの映画です。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)これはですね、そのアカデミー賞の前の前哨戦と言われるゴールデングローブ賞でも外国語映画賞にノミネートされて。アカデミー賞では作品賞なんですよ。

(山里亮太)外国語映画賞?

(町山智浩)なぜかと言うと、この『ミナリ』という映画はセリフの半分以上は韓国語なんですよね。で、ゴールデングローブ賞には外国語映画賞っていう部門があるんで、そっちにノミネートをされているんです。ところが、アカデミー賞はそれをなくしたんですよ。つまり、外国語かどうかってことは関係ないから、国際映画賞みたいな形で。外国の映画に対しての賞はあるんですけども。この映画はセリフのほとんどが韓国語であるにも関わらず、完全なアメリカ映画なんです。出てくる人たちはみんな韓国系アメリカ人なんですよ。

(山里亮太)なるほど、なるほど。

(町山智浩)それでお金も全部アメリカで出していて。だからアメリカ映画としてアカデミー賞で作品賞にノミネートされているんですね。ただ、前は『パラサイト』が完全な韓国映画でアカデミー作品賞を取ったんで。もう関係ないんですけどね。国籍とか言葉っていうのは。で、まずこの監督はですね、韓国系アメリカ人のリー・アイザック・チョンという人で。現在、50歳ぐらいですけども。

この人が非常に注目されてるのは、日本のアニメのハリウッド映画化で『君の名は。』。あの作品のハリウッド実写版の監督をすることになっているんですよ。それで非常に注目されています。で、この『ミナリ』というタイトルの意味はですね、これは韓国語で「セリ」のことです。

(赤江珠緒)セリ……あのセリ、ナズナのセリですか?

(町山智浩)そうそうそう。仙台の方では、お鍋に入れたりする。セリ鍋にするあのセリのことで。それがタイトルになってるんですけど。これはこの監督のリー・アイザック・チョンさんの子供の頃……6歳ぐらいの頃に本当にあったことだけを集めて、彼が子供の頃に何があったのかっていうのを思い出したんですよ。で、それを映画にしたものなんですね。で、彼はアメリカで生まれたんですけれども、6歳ぐらいの時に……1980年代です。アーカンソーというアメリカのど田舎に一家で引っ越したんですね。で、それはお父さんがずっと貯めてきた貯金でアーカンソーに土地を買って。そこで農業を始めようとしたんですよ。

(赤江珠緒)ほう。

(町山智浩)で、これはものすごく韓国系の人にとっては珍しいことなんです。まず、韓国系の人のアメリカ移民というのは、1975年ぐらいから始まるんですね。で、1965年までね、アジア人はアメリカに移民しちゃいけなかったんですよ。

(赤江珠緒)えっ、65年までダメだったんですか?

(町山智浩)65年以前は差別があって。「アジア人はアメリカに入れるな」っていう法律があったんですね。でも65年からOKになって、70年代に入ってから韓国系の人とか中国……まあ、台湾系の人ですね。その人たちがアメリカに入ってくるんですけども。その時に入ってきた人たちは大抵、中国系の人たちはレストランを。そして韓国系の人たちはコンビニエンスストアというか、酒屋さんをやるんですよ。

(赤江珠緒)へー! うん。

(町山智浩)アメリカって非常に治安の悪いところってありますよね? そういうところにある酒屋さんがものすごく安く売ってるんで、その権利を買ってその経営を韓国系の人たちがしたんですよ。日本もそうなんですけど、酒屋の認可権ってその住所に下りるんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)ご存知なかったですか?

(赤江珠緒)それは知らなかったです。

(町山智浩)だからその店の権利を買うと、酒屋としての権利を買うことになるんですよ。日本もそうですよ。だから酒屋さんがコンビニエンスストアになるんですよ。

(山里亮太)なるほど。そのままお酒を取り扱えるから。

(町山智浩)はい。それで24時間、その非常に治安の悪いところで家族で交代で働いたんですよ。韓国人たちって。それがほとんどだったんですね。あとはクリーニング屋さんとか、カツラ屋さん。あのね、韓国系の人たちはカツラ用のいい髪の毛を手に入れることができるんですね。女の人が髪の毛を切るから。で、それを黒人の人に売るんですよ。黒人の女性はカツラを使う人が多いんですよ。直毛が好きなんで。それを買うんですね。

で、韓国系の人ってそういう商売が多かったんですけども、このお父さんはなぜか農業をやりたいと思ってアーカンソーっていうところに行くんですよ。それで、その時に5、6歳の子供だったのがこの監督自身で。この映画の中ではデヴィッドっていう名前になってるんですね。で、彼らは近くの養鶏場でニワトリのヒナの雄雌の鑑定師ってわかりますか?

(山里亮太)すごくパパパッと見るやつ。

(町山智浩)そうです。お股のところを見て。それを最低賃金の労働でやりながら、その農業を始めようとするという話なんですけども。ただ、その夫婦共働きで子供の面倒が見れないからってことで、韓国からおばあちゃんを呼ぶんですよ。そしたら、そのおばあちゃんが変なおばあちゃんだったんですよ。おばあちゃんとかって孫におもちゃを買ってくるじゃないですか。で、その持ってきたおもちゃが花札なんですよ。

(赤江珠緒)ほう(笑)。

ちょっと変わったおばあちゃん

(町山智浩)あの日本の花札ですよ。だから日本統治時代に育った人たちは花札を知ってるんですね。で、子供に博打を教えたりね。まあ、そういう風に、なんていうか不良なおばあちゃんなんですよ。ちょっと。で、最初は子供たち、すごく嫌がるんですよね。おばあちゃんのことを「韓国臭い」とか言ったりするんですよ。おばあちゃん独特の匂いってあるじゃないですか。それをね、「韓国の匂いがする」とか言って嫌ったりして。あと、おばあちゃんは子供に漢方薬を飲ませるんですよ。それでこの、デヴィッドくんは心臓が弱いんですよ。だからま苦い薬を飲ませるので、このおばあちゃんは嫌われるんですけど。ただこのおばあちゃんがすごくいい感じのおばあちゃんで。おばあちゃんっぽくないんですよ。ごちゃごちゃとうるさいことを言わないで。

(赤江珠緒)まあ、いきなり花札を与えるぐらいですからね。

(町山智浩)そうそうそう。あのね、すごく日本の樹木希林さんの役柄に似てるんですよね。

(赤江珠緒)ああいうイメージね。なるほど。

(町山智浩)そう。樹木希林さんが昔ね、TBSのドラマに出てる時にね、すごいなと思って。僕は子供の頃、見たんですね。彼女、おばあちゃんの役をやっていたんですよ。40歳ぐらいだったのに。で、ちっちゃい男の子のちんちんを指で弾きながら「これ、何だか知ってる?」って言うんですよ。すると男の子は「おしっこするもの」って言うんですよ。すると樹木希林さんはね、「もっといいことに使うから。あとで知ると嬉しいよ」って言うんですよ(笑)。

(赤江珠緒)アハハハハハハハハッ!

(山里亮太)真っ先に出てくるシーンがそれなんですね(笑)。

(町山智浩)そう。そういうおばあちゃんだったですよね。

(赤江珠緒)ああ、そうですか(笑)。

(町山智浩)樹木希林さんは。そういう茶目っ気のあるおばあちゃんで、すごいかわいいんですけども。

(赤江珠緒)何を言ってるんだ?っていう。

(町山智浩)そうそうそう。そのおばあちゃんの思い出を描いた映画なんですけれども。ただ、恐ろしいことにその土地はまったく農業に向かない土地だったんですよ。そのせっかく買った土地が。元々、アーカンソーってあんまり農業に向いてないところなんですよね。地面が石灰質で。で、自分で井戸を掘ったりもするんですけど、井戸はすぐに枯れちゃうし。で、地元の人がその土地でおはらいをしてるんですよ。「なんでおはらいをしてるの?」って聞くと「いや、ちょっとここで人が死んだんで……」みたいな話をするんですよ。「なんで?」って聞いていくと「いやー、君もあんな土地で農業やろうなんて、大したもんだね。前、そこでやろうとしたヤやつ、失敗して死んだよ」とか言うんですよ(笑)。

(山里亮太)ええっ?

(町山智浩)「うわっ!」みたいな。要するに、まあ掴まされちゃったんですよ。とんでもないブツを。で、お父さんはどんどんその土地にお金をつぎ込んで、崩壊していくんですね。で、お母さんとも仲が悪くなっていって。で、その夫婦仲が悪いから、ストレスでデヴィッドくんはおねしょしちゃうし。っていうね、どんどん困った事態になってくって話がこの『ミナリ』なんですけど。これが今、アメリカでものすごい人気なんですよ。この映画が。

(山里亮太)なんでなんだろう?

(町山智浩)で、それはなにかっていうと、この監督自身の個人的な話。しかも1980年代の韓国系移民の話にも関わらず、見たアメリカの人たちがみんな「これは私たちの物語だ」って言うんですよ。それはね、元々この監督のリー・アイザック・チョンさんが元々映画化しようとしたのが別の話で。1918年に書かれた小説『マイ・アントニーア』という小説を映画化しようと思ってたんですよ。それは日本で最近、翻訳が出たんですけど。ウィラ・キャザーという当時の作家が書いたもので。その作家がネブラスカっていう荒野で開拓をしてたんですね。その一家が。

その自分の子供の頃の思い出を書いた話が『マイ・アントニーア』っていう本だったんですよ。それはチェコから来た少女、アントニーアが騙されて農業に向かえない土地を親が掴まされて。それでドロドロになって苦労しながら井戸を掘ったりするっていう話だったんですよ。で、それを映画化したいと思ってやっていたら、途中で気がついたですが。この原作者のウィラ・キャザーっていう人は「絶対に私の小説を映画化するな」っていう遺言を残して死んでたんですよ。

(赤江珠緒)ええっ? そうなの? ダメなんですか?

(町山智浩)そう(笑)。で、「うわっ!」って思ってこのアイザック・チョンさんは「これ、映画化できねえじゃん!」と思ったんですけど。「でも、よく考えたら僕も全くこういう育ち方をしていた」と思ったんですよ。「同じだ。じゃあ、僕の話を映画化すればいいんだ」っていうことで、その自分の思い出をつづっていったそうです。

(赤江珠緒)なるほど。じゃあ多くのアメリカ人の人にとってはDNA的にデジャヴ感があるんですね。

(町山智浩)そうなんです。誰もが移民なので。だから「うちのおばあちゃんの話だよ!」みたいな感じで、非常に……その韓国語だからとか、韓国人の話だからってことじゃなくて、アメリカ人に広く見られてるんですね。でね、またそのおばあちゃんがすごくいいんですけれども。今、ちょうど似たような映画が日本で公開されてるんですけども。『フェアウェル』っていう映画が日本でちょうど今、公開中なんですね。これがね、やっぱり同じぐらい……1980年代にアメリカに移民した中国系の家族の話なんですよ。これもね、ルル・ワンさんという監督に実際にあったことを映画化したものなんですよね。この『フェアウェル』っていう映画は。

(赤江珠緒)うんうん。

『フェアウェル』

(町山智浩)で、これもおばあちゃんの話なんですよ。でね、このルル・ワンさんという方は監督になりたいからニューヨークでいろいろ、アート系のことをして頑張っていたんですけど、上手くいかなくて。それで「どうしよう?」と思ってたところで、そのおばあちゃんがガンになっちゃったっていう連絡が来るんですね。で、おばあちゃんは中国本土にいるんですね。それで、日本とか中国……たぶん韓国もそうなんですけど。ガンで死を宣告された時に、そのことを本人に宣告しないんですよね。

(山里亮太)へー。

(町山智浩)アメリカとかはするんですよ。でも、日本ではだいたい家族には言うんですけど、本人に言わない場合が多いんですよ。お医者さんがね。それで、家族はみんな知ってるんですけど、そのおばあちゃんだけはガンでもうすぐ亡くなるってことを知らないので。だけど、「亡くなる前に一族みんなに会わせてあげたいんだ」っていうことになって。だから一緒の生前葬みたいなことをしたいんだけど、それを本人には知らせないようにしなきゃならない。『フェアウェル』っていうタイトルは「さようなら」っていう意味ですけども。まあ、「お別れ」っていうことなんですね。

(赤江珠緒)ふーん。うんうん。

(町山智浩)それで、どうしよう?っていうことで、「じゃあ、孫の誰かが結婚するっていうことをでっち上げて、その結婚式をそこでするから……っていうことで一族を集めましょう」っていう話になるんですよ。で、そこで集まるのがまたみんな、世界中から来てるんですよね。

(赤江珠緒)へー! 一族があちこちに行ってるんですね?

(町山智浩)そうそう。日本にもいて。そのおばあちゃんのために実際は集まっていて。全然めでたくはないんですけど。結婚式っていう風に偽装してるから、めでたいふりをしなきゃならないんですよ。だからこの『フェアウェル』っていう映画はコメディなんですけど。だから主人公のそのオークワフィナっていうアメリカの女性コメディアンの人が……彼女はラッパーでもあって。オークワフィナという人はラッパーとしてのデビュー曲が『私のオ○ンコ』っていうひどいタイトルだったんですけど。それで大問題になった人なんですけども。

(町山智浩)でも、この映画ではすごくいい役をやっていて。おばあちゃんの前だから明るくしてなきゃいけないのに、「おばあちゃんが死んじゃう」と思うと悲しくて泣いちゃうっていう。それで戦いながら、おばあちゃんのために秘密の生前葬をするっていうコメディなんですけど。この映画もね、アメリカで大ヒットしたんですよ。

(山里亮太)これも?

(町山智浩)だから、「移民の物語」ということで、誰にとっても同じことなんで。顔がイタリア系だとかスペイン系だとかじゃなくて、アジア系になっているだけなんだっていう考え方なんですよね。で、もう本当やアメリカの中に居付いて、どうやって暮らしていくかみたいな問題と……あと「おばあちゃん」というのはその彼ら、移民の人たちの故郷を象徴するものなんですよ。だから、韓国から来たおばあちゃんが韓国の匂いがするっていう風に孫が言うのは非常に象徴的なんですよね。自分が全然知らない祖国。ほとんどよくわからない祖国。子供の頃からアメリカで育っているから。その文化とか、いろんなものを持ってきてくれる人がおばあちゃんなんですよ。

(赤江珠緒)ああ、そういうことか。

(町山智浩)で、そのおばあちゃんを好きになるっていうことは、その自分の祖国との繋がりができるってことで、すごく象徴的なんですね。しかも、そのおばあちゃんがどっちもすごくかわいくて茶目っ気があって。で、この『ミナリ』の方のおばあちゃんの役をやってる人は、この人だけは韓国から来た韓国の女優さんなんですけれども。アカデミー助演女優賞を取るだろうって言われてるんですよ。ユン・ヨジョンさんっていう人なんですけども。この人は1960年代からずっと韓国映画界にいる、まさに樹木希林さんと同じ超ベテランなんですよ。

(赤江珠緒)ああ、そうですか。

(町山智浩)だから、樹木希林さんだって取れたのにね。そういう風に思うんですけど。でね、この『ミナリ』。じゃあ、それはアメリカ人にとっての話だったら、日本人にとってはこれを見る意味があるのだろうか?っていう気になる人もいると思うんですよ。これはアメリカの、要するに移民国家にとっての大事な物語であることはわかるけど、じゃあ日本人には関係ないんじゃないの?っていう風に思う人もいると思うんですけど。それが実はすごく日本の人も見たら感動する話なんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)ちょっと今、音楽を聞いてほしいんですが。いいですか?

(町山智浩)はい。この歌はですね、この『ミナリ』の主題歌で。主演のお母さん役の女優さんが歌ってる歌なんですけれども。今のメロディーをちょっと頭に入れておいてもらえますか? 韓国語で歌っているんですけども。で、これからもう1曲、別の曲を聞きますんで。比べてみてください。じゃあ、次の曲をお願いします。

(赤江珠緒)ああーっ!

(山里亮太)なるほど!

(赤江珠緒)うんうん。『北の国から』だ。

(町山智浩)はい。そっくりなんですよ。

(赤江珠緒)なるほど。なんかどこか落ち着くのにちょっと切なさもあるみたいなね。懐かしいような不思議な曲ですもんね。

(町山智浩)そうなんです。これ、なぜそっくりなのか分からないんですけど。この監督はアメリカで生まれてアメリカに育ってるんで、『北の国から』を見てると思えないんですけど。リー・アイザック・チョンさんは。でも、話がそっくりなんですよ。この『ミナリ』の方のお父さんはイケメンなんですけど。37歳のスティーヴン・ユァンっていう『ウォーキング・デッド』に出たらイケメンの人がやってるんですが。ただ無理やり、そのあまり農地に向かないところで苦労しながら、自然と戦いながら、なんとか農業をしようとするところが黒板五郎さんにそっくりなんですよ。田中邦衛さんに。で、子供もほら、男の子と女の子でしょう? 純と蛍みたいでしょう?

(赤江珠緒)うんうん!

『北の国から』との共通点

(町山智浩)それで、井戸を自分で一生懸命掘ったりするところもそっくりなんですよ! で、ある種意固地になってやろうとするじゃないですか。それで何度も失敗するじゃないですか。家が焼けちゃったりね。もう起こるエピソードがどれもいちいちよく似てるです。『北の国から』に。

(赤江珠緒)そういうことか。もうグッと身近なものになりましたね。たしかに。

(山里亮太)たしかに。見たさが倍増したな。

(町山智浩)そうなんです。だからこれはやっぱり人種とか民族とか国家を超えた、やっぱり家族の物語なんですよ。

(赤江珠緒)そういうことですね。じゃあ、全人類に刺さるものがあるんですね。これはね。

(町山智浩)刺さるものがあるんですよ。でね、その『ミナリ』っていうタイトルはセリなんですけども。これ、このおばあちゃんが韓国から持ってきたセリの種をね、川べりのところにまくんですよ。で、それは本当にあったことらしいんですよね。それで農業がうまくいかないっていうことで苦労をするんだけど、セリだけは簡単に育つんですよ。これね、この監督のリー・アイザック・チョンさんはその後、ここで育った後に名門のイェール大学に行って。それで映画監督になって。うまくいかなくて、いろいろ苦労して。それで結局、自分の育った農地に1回、戻るんですね。で、もうすでにそこでは農業の跡も何もなくなってるんですよ。自分が育った跡も。ただ、セリだけは育っていたそうです。

(赤江珠緒)セリは根付いているんだ。

(町山智浩)セリは根付いてるそうなんですよ。だからこの『ミナリ』、セリっていうタイトルはいろんなものの象徴なんですね。別の土地に根付いた韓国系移民の象徴でもあるし。おばあちゃんのたくましさや優しさの象徴でもあるし。

(赤江珠緒)すごいハートフルな映画な感じがしてきますね。うん。

(町山智浩)そういう非常に感動的な映画が『ミナリ』で。世界中の人たちの涙を絞っていくという。で、3月19日から日本公開ですね。

(赤江珠緒)はい。『ミナリ』は3月19日から全国ロードショー。『フェアウェル』は下高井戸シネマほかで現在公開中でございます。どっちもこれ、通じるものがありましたね。

(山里亮太)見たいですね。

(赤江珠緒)町山さん、ありがとうございました!

<書き起こしおわり>

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