佐久間宣行 退職願提出までの長い道のりを語る

佐久間宣行 退職願提出までの長い道のりを語る 佐久間宣行のオールナイトニッポン0

佐久間宣行さんが2021年3月3日放送のニッポン放送『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』の中でテレビ東京退職のために退職願を提出しに行った際のエピソードを紹介していました。

(佐久間宣行)それでね、まあ、そういうのがあったけど、結局そこからテレビ東京と話し合って。それでまあ、ある程度条件がまとまったと言うか。4月以降もやらせてもらえることになったし、退社するっていうことも上司から会社の偉い人みんなにも伝わって了承を得て。あとは形式的なもの。「そうなると……」って制作局長に言われて。「じゃあ、そうなるとさ、佐久間。話もまとまったら、辞表を出してくれ」って言われて。「ああ、そうかそうか。俺、辞表を出すんだ」ってなって。

「お前、辞表出したことないだろう? たぶん一生で一度じゃん? だからちゃんと書いてきてよ」って言われて。で、その時点では会社では会社の上司と、あと制作局の局長とかぐらいしか知らない状態ね。制作局で言うと。だから「○日の○時にいるから。そこに持ってきて」って言われて。「ああ、俺、でもその日、『あちこちオードリー』の収録なんで。来て、デスクに置いておきますよ」って言ったら「誰にも言ってない状態でお前の退職届が俺のデスクにあって。それを若手が見たらどうするんだ?」っつって。「ああ、そうっすね! すいません」って。

「だから待ち合わせ。『あちこちオードリー』収録が16時だろう? だから15時に待ち合わせ。そこに持ってこい。そしたらそれを人事部に提出に行くから」って言われて。「わかりました」「書き方、わかるのか?」「わかんないからちょっとググってみます」っつって。家に帰ってね、パソコンで「退職願 失礼じゃない」で検索して。フハハハハハハハハッ!

「退職願 失礼じゃない 簡単」で調べたんだけども(笑)。で、調べたら、「白い紙に書く」とかってあって。なんか、わかんないけどそういう縁起とかもひっくるめて。それで家に白い紙があったから、そこに書く文章。「退職願」って書いて、そこに「私儀」って書いて。それで「一身上の都合により……」とかって書いて。それで自分の部署をちゃんと書いて、名前を書いて。誰に宛てるか……まあ、この場合はたぶん社長になるんだけど。それで印鑑を押すとか書いてあって。「なるほど、なるほど。わかった。これを書けばいいのね」って。それで何回か……さすがに最初、万年筆で書き始めたんだけども、万年筆だと滑っちゃうから。ボールペンで書いて。それで字を間違えたりしながら、何回か失敗しながら書き上げたの。で、書き上げてそれを奥さんに見せたの。「書いたよ」って。

それで見せたら「ちょっと待ってよ。これ、コピー用紙じゃん」「えっ、コピー用紙じゃダメなの? 『白い紙』って書いてあったよ?」「コピー用紙に辞表を書いて出すやつなんかいないから!」って言われて。「えっ、きれいな白だよ?」っつって(笑)。「違うのよ! コピー用紙ってツルツルじゃん。こういうのじゃなくて、こういう場合は白い便箋なの」って言われて。うちの奥さん、人事畑だから詳しくて。「白い便箋なの?」って。「そうそう。ちゃんとしたいい紙に書いて出すのよ」「えっ、そうなの? 家になくない?」「いや、あるある。私、別で手紙を書いた時のがあるから。5枚だけ残ってるのがあるから。白い便箋。でも、5枚しかないからね。間違えないでね」って言われて。

「わかった」っつって、書いて。「佐久間宣行」って一生懸命、ちゃんとまた書いたの白い便箋にね。で、便箋のこの隙間がわかんないから、ちゃんときっちり合うようにってやって書いて。それで印鑑を押すってなったら、パソコンデスクで作業してたんだけど。印鑑をしっかり押そうとした瞬間にマウスにぶつかって。その印鑑がグググッとズレて。印鑑のその「佐久間」って名前がさ、マトリックスみたいになっちゃって。分身してる状態になっちゃって。「うわーっ!」ってなるんだけども。そういう時、本当にテンションが下がるよね。

最後の最後で印鑑ミス

なんか、1回も間違えなくて印鑑でミスったから。だから次ね、俺は先に印鑑を押したの。印鑑を押した紙を2枚、用意しておいて。それで間違えなきゃいいと思って。それで「退職願 私儀」って書いて。バーッて書いいって。最後、「佐久間宣行」って書くじゃん? 「佐久間宣行」の「宣」のところで緊張して。俺、普通自分の名前なんか間違えたことないのに。「宣行」の「宣」の横棒を3本ぐらい書いちゃって。2本だったらまだわかるのよ。1本多いだけだから。でも俺、3本書いちゃって(笑)。それで「うわーっ!」ってなって。それは破って。それで何回か、間違えて書き直して。あ、違う。その名前を間違えた時点で「これ、もしかしたら……でも、わかんないんじゃないか? 俺の名前まで見ないだろう?」と思って。奥さんのところに持っていったの。

「これでいいですか?」って言ったら一発で「名前、違うじゃん」って(笑)。「ダメ、ダメ。バカか!」って言われて(笑)。で、奥さんチェックが何回かあって。それでやっと書き終えて。その後、ググってみたら……それの折り方もあるのね。三つ折りにして、白い封筒に入れる。それで持っていく。白い封筒のところには「退職願」って書く。それで後ろに自分の名前を書いて。三つ折りにして入れて。「よし、これで完璧だ」ってなって。そしたら奥さんがノックしてきて。「書けた?」って。心配して俺のところに来たのよ。

「書けたよ。書きました。白い封筒にも入れました」「ちょっと待ってよ……」「えっ、なになに?」って。「またかよ!」って思って。「なんなんだよ? 書いてるじゃん?」って。中身も見せて。「ちゃんと書けているじゃん!」って言ったら「封筒! それ、テレ東の封筒じゃん!」っつって(笑)。「どこの世界に自分がこれから辞める会社のロゴがデカデカと入った封筒に『退職願』って書いてもっていくやつがいるのよ? 請求書じゃないんだから!」って言われて。「えっ、ダメなの? 白い封筒って家にこれしかなかったんだけど……」っつったら、「だからって辞める会社、テレ東のロゴが入っている封筒に『退職願』って書いて出しに行くなんて……それ、一生のもんなんだからね?」って言われて。

「わかりました。じゃあ、どうすればいいんですか?」っつって。「どうすればいいんですか? 面倒くさいですよ」という顔で。フハハハハハハハハッ! そう言ったら奥さんが「『辞める』っつったのはあんたじゃん!」って(笑)。そう言われながら……「ちょっと早めに出て、文房具屋に寄って。待ち合わせの前に文房具屋で白い封筒。二重の中が見えないやつを買って。それに入れて持っていって渡せばいいんだよ。B5のサイズが合うやつがあるから」って言われて。「わかりました」っつって。

それで当日。制作局長と待ち合わせの時間の1時間前ぐらいに六本木の文房具屋に寄ってさ、その封筒を買って。ちゃんと名前も書いて、しまって。ポケットに入れて。それでテレ東に着いたわけ。それで制作局長に渡すんだけど、よく考えたら誰にも言ってないから。「これ、バレたらダメだな。怒られちゃうな」と思って、制作局長に「着きました」ってメールを送って。「じゃあ、俺もデスクに行く」「わかりました」って。で、デスクにいる制作局長の方にちょっとずつ、ゆっくりと近づいていって。きょろきょろしながら近づいていって。

もう、ヤバいブツを渡さなきゃいけないわけだから。こっちは。俺のね(笑)。で、制作局長にきょろきょろしながら……たまたま、周りの人が少ないところだったから。テーブルとかに誰もいなかったから。制作局長にパッと渡して。局長も「わかった、わかった。これ、人事に持っていくわ」っつって。もう、社内恋愛ですよ。フハハハハハハハハッ! 制作局長に手紙を渡して。で、パッて離れて。遠くから「おお、読んでる、読んでる」って思って見ていたら、制作局長が離れてるんだけど。離れてるところから俺の携帯が鳴ったのよ。

で、「うん? 制作局長からじゃん。なに? えっ? 直接言ってくれてもいいじゃん?」と思ってパッて取ったら……「佐久間さ、お前さ、お前のいる部署って『制作局クリエイティブビジネス制作チーム』っていうんだけども。お前、部署名、間違えてるよ?」「ええっ!?」「『クリエイティブビジネス部』って書いてあるよ? 『クリエイティブビジネス制作チーム』だから」「ああ、そのぐらいの違いですか?」「いや、でもダメだろ、これ? お前、だってこの世にない部署から辞めようとしてるから」って言われて(笑)。

「お前、部署名、間違えてるよ?」

「ええっ?」って思ってもう電話を切って。それで制作局長のところにツカツカって行って。「えっ、ダメですか?」って言ったら「ダメだよ。だってさ、こんな部署、うちの会社にないんだから! ない部署のやつを出したらダメだろ?」って言われて。心の中で「そうかー」と思いながらも、やっぱりもう本当、何回もミスってきていたから我慢ができなくて。「面倒くさいんすよ。今、家に帰ってこれ、もう1回書き直して持ってこなきゃいけないじゃないですか」って。「えっ、一生に一度の退職願だよ?」って言われて。「いや、なんとかなりませんか?」っつったらその制作局長、めちゃめちゃいい人で。優しいのよ。

俺がね、もう本当にブーッて顔で。「うーん……ダメっすか?」みたいなことを言ったら制作局長、俺の顔を見ながら「えっ、これ、残るんだよ?」「わかりますけど……」「面倒くさいの?」「面倒くさいです……」「……じゃあワンチャン、人事に持っていってみるか!」っつって。フハハハハハハハハッ! で、制作局長が「じゃあ、持っていってみるよ。わかったよ。ワンチャン、人事に……気づかないかもしれないから。今から人事に持っていってみます」っつって。「わかりました」って俺、自分のデスクで「たのむ……!」って思いながら。

それで制作局長が「今、持っていくから」って別の階に持っていって。それですぐにね、電話がかかってきて。もうどっちだかわからない。すぐに電話がかかってきたから。「通ったの? 通らなかったの?」って。わからないから。パッて電話を取ったら「めちゃくちゃ怒られたよ! 突き返されたよ!」って言われて。フハハハハハハハハッ! で、制作局長がもう大人が怒られた時の顔で戻ってきて。俺、座っているから。「これは謝りにいかないとな……」って思って制作局長のところまで行って。「すいません……」って。

で、お互いにバレちゃいけないから、ちょっと隠しながらダメな辞表を受け取って。で、「次、○日に僕、収録で会社に来るので」「じゃあ俺、その時に待っているから。持ってきて。ちゃんとしたやつ。『クリエイティブビジネス制作チーム』ね」「わかりました。間違えません。『制作部』だとダメですね。わかりました」っつって。そのまま戻って。で、そのまま『あちこちオードリー』の収録に向かったの。向かったんだけど、俺の中で面白くなってきちゃって。「俺、一生に一度の退職願、突き返されてるんだ」と思って。で、その時に『あちこちオードリー』に演出を一緒にやってる斉藤さんっていうディレクターの人がいて。その人には同じ番組の人だから「辞めます。辞めるための交渉中です」っていう話をしてたから。

その人と『あちこちオードリー』のスタジオの近くの廊下で会ったから。「いや、斉藤さん、聞いてよ。俺、退職願さ、さっき出しに行ったのよ」「えっ、そうなの?」「それがさ、俺、部署名を間違えて突き返されたんだよ。ゲラゲラゲラゲラッ!」「なにやってんのよ! ゲラゲラゲラゲラッ!」って斉藤さんと廊下で話していたら「ええっ?」っていう声が聞こえて。パッと見たら、俺の番組をやってるADが「佐久間さん、会社辞めるんですか?」って。で、俺、振り返って。「うわっ、俺、廊下でしゃべっていてADにバレた……」って思って。「お前、絶対に話すなよ?」っつって。だからたぶんそいつが週刊大衆に売ったと思うんだよね? フハハハハハハハハッ! あとね、うーん。俺、結構いろんな人に言ってるな。フハハハハハハハハッ!

<書き起こしおわり>

佐久間宣行 テレビ東京退社を語る
佐久間宣行さんが2021年3月3日放送のニッポン放送『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』の中でテレビ東京を3月31日付けで退社することになった話をしていました。
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