星野源さんが2021年2月25日配信の文化放送超!A&G+『杉田智和のアニゲラ!ディドゥーーン』にゲスト出演。杉田智和さん、マフィア梶田さんと自身の楽曲『創造』について話していました。
今夜のアニゲラも星野源さんがゲストです!
お聴き逃しなく!#anigera #星野源 #創造 #転載禁止 pic.twitter.com/yopP9YdjkV— マフィア梶田 (@mafia_kajita) February 25, 2021
(杉田智和)それで、星野源さんをお招きするのに大義名分が必要だなと思って。一応、文化放送ってちゃんとした放送局なので。「なんか呼べるみたいだから、呼ぼうぜ!」じゃなくて、なんか必要だっていうことで。そんなわけでニューシング『創造』が配信中でございます。そしてですね、これは星野さん自身もCMに出演している『スーパーマリオブラザーズ』35年のテーマソング!
(星野源)そうなんですよ。
(杉田智和)スーパーマリオが35周年。めでたいことですし、大抜擢ですよね。
(星野源)めちゃくちゃ嬉しかったですし。その昔、僕はSAKEROCKっていうインストバンドを組んでいて。そこで『GUNPEI』っていう曲を自分で作ったんですよ。というぐらい、任天堂の諸々がすごい好きで。それで今回、35周年でしかも自分が一番最初にやったゲームが『スーパーマリオブラザーズ』だったんで。そういうすごい思い入れのある作品の35周年で曲を作ってもらいたいっていうのと、あとCMにも出てもらいたいっていうのが来て。「やったぜ!」って思って。「もう全力でやろう!」という感じで。何か自分のものづくりへの思いというものを中心にしながら、任天堂へのリスペクトと、あとは音的にマリオを感じられるような工夫をいっぱい込めようと思って作りました。
(杉田智和)それは先行して曲を聞いた印象がまさにそれで。ちゃんとマリオが音からわかる・わからないレベルで入ってたり……わかるレベルでも入っていたりもするんですけども。あと、歌詞ですね。自分自身も歌詞を書くからわかるんですけども。すごく的確にものを捉えた上で、直接表現じゃなくてもそれっぽく聞こえるみたいな。『ドラえもん』の時もそうだったんですよ。「ここだとこれは彼のことを言ってるんだな」とか「この子のことを言っているんだな」とか。それで全体を通すと1個のドラマがちゃんとできてるなっていうのが見ていて思いました。
(星野源)嬉しい!
(マフィア梶田)本当に『創造』の歌詞はもう幾重にも多重構造になっていて。結構、その考察が捗るというか……。
(星野源)うんうん!
(マフィア梶田)「ここってどこのことを言ってるのかな?」とか。聞けば聞くほどに出てくるっていう印象ですね。
考察が捗る楽曲
(星野源)すげえ嬉しいですね。昨日、ちょうど発表されて。収録的には昨日、発売して。ものすごいゲームファンの方がYouTubeのコメント欄で「ここはこれだ!」っていうのをガーッと一覧で上げていて。「さすが!」って思ってすごく嬉しかったですね。なんか、そういうのが好きで。歌詞の中に1個の文章として成り立っているんだけども。「これが実はこの表現をしていて……」っていうのがすごい好きで。『ドラえもん』もそうですけども。
でも『ドラえもん』で1個、「ああっ……」って思ったのはキャラクターの特徴を文章の中にはちょっと隠しているところがあるんですけども。「落ちこぼれた君も」っていうところから始まって、それはのび太のことなんですけど。それが伝わらなくて。「のび太は落ちこぼれだ」ということが今、あんまりなかったことになっている感じが……なんか「のび太だけいないですね」って言われたことがあって。「いやいや、一番最初にいるよ!」って思って。なんかそれが「あれ? ちょっと変わってきているのかもしれない……」って。
(杉田智和)劇場版の補正と、新作の方での若干の改変があるんで。
(マフィア梶田)じゃあ、その「落ちこぼれ」っていう歌詞は誰を指してるって思ったんですかね?
(星野源)ねえ。誰なんだろう?(笑)。あの感じだから、やっぱり自分を投影できるんですよね。
(杉田智和)だから今、のび太は廊下にも立たされないし、ジャイアンにも殴られないし。なかなか……。
(星野源)そうかそうか。
(マフィア梶田)最近、テレビ放送を見てないから。言われてみると、そうなのかもしれないと思っちゃいますね。でも、そんなに変わってないとは思うんだけどな。
(杉田智和)たまに「えっ?」っていう表現があって。カニになる回っていうのがあって。
(マフィア梶田)カニになる? どういうこと?
(杉田智和)いや、ドラえもんとのび太がカニになるのよ。
(マフィア梶田)えっ、それはなりたくてカニになったんですか?
(杉田智和)そういう道具があるんじゃないの? それはTwitterの『ドラえもん』の公式アカウントがあって。「今日の放送は、これ!」っていうのでカニになったドラえもんが「わーっ!」って言いながら子供たちに追いかけられている画が出て。「これ、なんの回なの?」っていう(笑)。あらすじを読むと、どうものび太もカニになるらしくて。
(マフィア梶田)ほう。
(星野源)ぶっ飛んでいて逆にいいですね。
『ドラえもん』(271話, 2013年1月18日)「カニ食べたい!」は、放送当時にもちょっとした話題になった伝説のカニアニメ。「モドキスプレー」で誤ってタラバガニになってしまったドラえもんとのび太が、気づいてもらおう、元に戻ろうとして四苦八苦するオリジナル作品。#カニの出るアニメ pic.twitter.com/VefuikYHs2
— Dr. BacKBearD@大槌町 (@BackBearDBehinD) April 8, 2017
(杉田智和)「そんな回、あったっけな?」って思って(笑)。
(星野源)フフフ、ごめんなさい。話がそれちゃった。で、これは、なんて言うんだろうな? 最初は『独創』っていうタイトルにしようかなと思ったんですよ。その任天堂の経営理念で「独創」っていうのがあるんですけど。でも、それだとちょっと社歌みたいになっちゃうなと思って(笑)。
(杉田智和)マリオではなくて任天堂がテーマになってしまうっていう。
(星野源)そうなんです。なんで、ちゃんと自分の歌にしようと思って。なので、ものづくりの歌っていうことにして。その中で、僕は1回、倒れたりとかして。人生の中で結構何回か生き返るっていうか。復活じゃないけど。あと、自分が生まれ変わるみたいな瞬間が結構あったので。それとマリオがリスポーンして何回も何回も挑戦して先に進んでいくみたいな。そういうのを重ねながら歌詞を書いたりとか。あと、自分の大好きな任天堂の岩田さんが株主総会じゃなくて、会社説明会みたいなところで言った言葉で「私たちはこれからも非常識な提案をしていく。それが任天堂という会社のありようです」っていうような、めちゃくちゃかっこいい言葉があって。それを歌詞に入れたりとか。あとは「枯れた技術の水平思考」とか。そういう言葉を歌詞に入れたりしました。
(マフィア梶田)もう本当に俺らが喜ぶツボを心得ている!
(杉田智和)そうだね。こんな言い方もなんですけど、キモオタって輝ける世界に対して引いちゃうんですよ。「行ってはいけないところだ」って。僕なんかだと萎縮してしまって。「あっ、近寄らないようにしよう」って。「あっちでクリスマスパーティーをしているらしいぞ。じゃあ、人と会わないように帰りますね」っていう。「開催するのはいいんですよ。『リア充、爆発しろ!』とか『死ね!』とかそういうことは言わないんですけど、ただ、僕のことも放っておいてほしい」っていう。
(星野源)わかる(笑)。
(マフィア梶田)わかるんだよなー!
(星野源)いや、「放っておいてほしい」は本当に思いますね。
(杉田智和)そう。そんな、羨ましいって思うけど、でもかといって関わりようがないから。それはわかってほしいなって。ただ、星野源さんっていう概念、存在はその僕らの見えない壁とか、飛べないハードルを下げてくれるんですよ。
(星野源)それはよかった(笑)。
(マフィア梶田)いや、出会った時に本当にそう思いましたよ。
(杉田智和)「この方は今までにないタイプの人だ」と思って。
(星野源)いや、嬉しいです。
(マフィア梶田)懐がすごく広いというのを感じていて。
(杉田智和)優しさ……北風みたいな人は結構出会いましたよ。「そんなこと、ねえぜ! 一緒に頑張ろうぜ! ガーッ!」って思いっきり僕を……「あっ、うっ、ぐっ! あ、アニメ、最高……」って。
(星野源)フハハハハハハハハッ! 言わざるを得ないっていう(笑)。
(杉田智和)「頑張ろうぜ!」っていう北風タイプの人。もちろん、いい人なんですよ。だけど時々、僕の体はちょっと千切れそうになるんですよ。
(マフィア梶田)わかるわかる。
(星野源)すっげえわかる(笑)。
(杉田智和)だけど、星野源さんは太陽なんですよね。「どうもー」って。「僕も好きですー。わーい」って言って。
(星野源)「わーい」って(笑)。
(マフィア梶田)「あなたは僕の太陽です」って告白みたいですね(笑)。
(杉田智和)いやいや、そういうイメージですから。
(マフィア梶田)たしかにそうですね。
(星野源)嬉しい。
(杉田智和)そういうのっていいなって。
(マフィア梶田)話していてすごく俺らの世界の話も星野さん世界の話もシームレスに、壁なく混ざり合うというか。
(杉田智和)どんな人もさ、見上げると太陽って見えるから。平等なんだよ。でも、なんか近づきすぎるとジュッて燃えちゃうんだけども。そんな人っていないじゃん。人の個人の1人の力でそれはできないから。ただ、見上げるとみんなちゃんとあるから。これは平等に見れるなっていう。もちろん天気って変わるんだけども。
(マフィア梶田)でも、そうですよね。星野さんもいろんな楽曲を作る中で、明るいのもあれば、トーンの暗いやつもあり。いろんな表情を見せてくださいますし。俺、この『創造』の歌詞でめっちゃ好きなのが「進化を君に 外れ者に授ける」っていうこのくだり。やっぱりこの歳になって恥ずかしいですけど。「自分のことを歌ってくれてる!」って思っちゃうんですね。
(杉田智和)共感だね。
(マフィア梶田)そう。
「進化を君に 外れ者に授ける」
(星野源)この間、梶田くんと話していて。とある経緯で友達になって。その後、杉田さんともお食事をさせてもらったりしましたけども。この間、また別で梶田くんと話した時に、自分が学校の帰り道、4人とかで帰ったりする時に、なんだか知らないけど自分1人だけが後ろにいることが多いっていう。あぶれる……それは別に、何か明確な理由があるわけじゃないんだけど、なんだか知らないけど俺1人、ちょっと後ろにいてついていくみたいな現象があって。それでたまに通学路で帰ってる小学生たちを見て、「ああ、あれは俺だ」って思う時があるんですけど。なんかそういう、「あぶれる」っていうことをいつも経験していて。
ずっと、どの世界にいても、なんかそのコミュニティーに入ろうと頑張るんだけど、なんかはみ出ちゃって、そこに染まれなくて。「寂しいな」って思って。でも、よく考えたら生き物って海にいっぱい生き物がいて。その中の環境でし烈な競争があって。そこの中にいれなかったやつが「もう陸に行くしかない!」ってなって。それで陸に上がって進化したんですよね。だからそれを人間も繰り返して。いろんな場所に行って、自分の場所を見つけて。それが多様性と進化に繋がっていったと思うと、やっぱりあぶれるやつが今の世の中を作っていってるんだっていう。
(マフィア梶田)そう!
(杉田智和)とっかかりはそれなんですよ。でも、その後にいいものができたら、そのあぶれ元に戻って。ちゃんと僕は分け与えるんで。
(星野源)それは素晴らしいですね。それ、本当に大事ですよね。
(杉田智和)それをしないと……もちろん海にいるやつらが「そんないいものがあるのに、なんで今まで言わなかったんだ!」って言ってくるから。「まあまあまあ、一緒に食おうよ」っていう(笑)。
(マフィア梶田)まあ、それが一番、平和への道のりですね。
(杉田智和)そこで「お前ら、ざまあ見ろ! ずっと海の中にいろ!」って言ってツバを吐いちゃうとヤバいんで。別に恨んでるわけじゃないけど。僕は自分で「こういうところがあるんだな」っていう。「なんでみんな、こんなアニメとマンガとゲームをバカにするんだろうな?」っていう風に中学生の頃に……。なんとなく「こっそり見るものだ」と思ってたんですよ。
(星野源)僕らの世代はそうですね。
(杉田智和)でも、「これ、すごい可能性があるから。僕はこれを一生の仕事にできないだろうか?」って思って。ただ、絵は上手くないし。「じゃあ、ゲームを作る仕事に就けばいいのかな?」とか。でも、なんかやっぱり才能のあるやつって、もういるんですよ。すごいアイデアが優れてるやつとか、絵が上手いやつとか。楽器ができるやつっているんですよ。「じゃあ、自分にしかできないことってなんだろうな?」っていうんで突き詰めて、現在の僕です。
(星野源)へー!
(マフィア梶田)でも杉田さんについてはちょっと羨ましいのが、やっぱり地元にちゃんと理解者であるオタク友達がいたことですよね。
(杉田智和)こっそり遊んでくれるやつがいたっていう。だから、大事なんですよ。若い子に「同い年ぐらいの仲間を見つけよう」っていう。自分を映す鏡にもなるし、お互いが話すと、話しながら新しいことが思いつくから。で、1人が一番マズい。なんでかっていうと、結局マイナスのことにしか考えが至らないんですよね。
(マフィア梶田)俺はもう、そう言われると胸が痛みますけども。
(星野源)そうですね。僕らは1人だったから(笑)。共有者がいなかった。
(杉田智和)どこかになんか話す相手、いない?っていう。二次元でもいいって。
(マフィア梶田)その環境に存在するか否かはやっぱりその環境に左右されるんで。俺の場合は誰もいなかったですね。
(杉田智和)俺、女の子としゃべる人生っていうのはあまりなかったけども。コントローラーを握りながら、ギャルゲーの男の部分のセリフを読むことで会話したような気になったんで。
(マフィア梶田)それはやった!
(星野源)なるほど。でも、それが今の仕事にもつながってるわけですもんね。
(杉田智和)だから大事なんですよ。僕、ギャルゲーって。リスペクトがあるんですよ。
(星野源)僕はちなみにスーパーファミコンの全盛期にPCエンジンに行ったことによってゲームをやらなくなる時期がありました。その話は前にもしましたけど……(笑)。
(杉田智和)めちゃくちゃ面白かった。
(マフィア梶田)やむを得ないと思うんだよなー。
(星野源)そう。でも青春を取り戻すみたいな。そういう感じでしたね。
(マフィア梶田)ずっと心の中でオタクの炎は燃え続けていたんですよ。
(星野源)やっぱり消えないですよね。オタクってね、なりたくてなるわけじゃなくて、否が応でもなっちゃうものですよね。逃れられないっていう。
PCエンジンの拡張性にひかれた人たち
(マフィア梶田)PCエンジンのその拡張性にひかれるっていうのは結構当時としても早熟な子供たちが多くて。俺の周りにもその同じ道をたどった人がいっぱいいますけれども(笑)。
(星野源)ああ、います?
(マフィア梶田)います、います。まあ、中村悠一っていう人も……(笑)。
(星野源)ああ、そうだった(笑)。この間、話した(笑)。
(マフィア梶田)大概、そういう人たちってみんな同じように言うんですよね。「拡張性にひかれて買ったんだけれども、後々追いつけなくなって、ソフトが出なくなって……」っていう、そういうルートに陥るっていう。
(杉田智和)だからもう「セガサターンか、プレステか?」っていう時に梶田くんは3DOっていう。「おお、すごいところに行ったね?」っていう。
(マフィア梶田)いや、それは勘違いですよ。俺は3DO、ほしくなかったんですよ。
(杉田智和)お父さんが買ってきたんだよね?
(星野源)でも正直、出た瞬間はほしかったですからね。「すげえのが来たな!」っていう。
(マフィア梶田)最速で遊べる『スパ2X』はあのハードだけですからね。
(星野源)俺、埼玉だったんですけども。埼玉で100円とか渡すとゲームをさせてくれるっていうお店があって。
(マフィア梶田)当時、ギリギリの……(笑)。
(星野源)そう。たぶんね、ダメだったんじゃないかな? そこでPCエンジンで『加トちゃんケンちゃん』をやったりとかしていて。で、そこに3DOが来た時は「ヤベえ!」っつって。
(マフィア梶田)やりました?
(星野源)でも、みんなやりたいからやるんだけど。ロード時間が長すぎて全然回ってこないっていう(笑)。
(マフィア梶田)そうそうそう(笑)。
(杉田智和)僕は当時、発明だと思いましたよ。100円入れるところがあって。100円を入れるとテレビがつくっていう。
(星野源)わかる、わかる! 旅館のテレビ形式の……(笑)。
(杉田智和)そう。時間が来ると消えるっていう。あれ、誰が考えたんだろうな?(笑)。
(星野源)たしかに(笑)。
(マフィア梶田)それってさすがに俺の時代にはなかったんですけども。100円で何分、遊べるんですか?
(星野源)結構短かった気がするな。
(杉田智和)15分ぐらいかな? バツン!って電気が落ちて。
(星野源)そうそう。ブラウン管だから。チューンッ!って(笑)。
(マフィア梶田)当然、そこに置かれているのはセーブできるタイプのゲームじゃないですよね? 1回1回やるゲーム?
(杉田智和)そうそう。RPGなんか選択肢にないよ。時間かかるから。面白かったなー。
(マフィア梶田)では、そろそろ曲を聞いてもらいましょうかね。じゃあ、星野さん。曲振りをお願いします。
(星野源)はい。もう発売中でございます。YouTubeにもうミュージックビデオもあります。ぜひ皆さん、見て、聞いていただければと思います。星野源で『創造』。
星野源『創造』
<書き起こしおわり>