星野源『創造』MV撮影とファミコン・2コンマイクでの録音を語る

星野源『創造』に込めた思いを語る 星野源のオールナイトニッポン

星野源さんが2021年2月23日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で『創造』のミュージックビデオ撮影や楽曲制作についてトーク。ファミコンのコントローラー内蔵のマイクを使って歌を録った話などをしていました。

(星野源)さあ私、星野源の『創造』リリースされまして1週間が経ちました。本当にもう皆さん、たくさんの反応をいただきましてありがとうございます。感想がね、たくさん届いてるので、ちょっと読んでいこうかな。ぜひサブ作家の宮森、どんどん『創造』メールをもらえればと思っております。さあ、これはひとつ目。岡山県の23歳の方。「『創造』リリース&ミュージックビデオ公開おめでとうございます。『創造』を聞いた私は巨大キノコで大きくなったマリオがブロックごと敵をなぎ倒していくあの感覚で5年間、引きこもり続けた家から足を踏み出し、人生初のハローワークに行ってきました」。すごいね! すごいっ!

「私を家の中に押し込めてきた人の目や声がすべてハリボテだったというオチが今はただ面白くて、壁の向こう側、いまだ知らないところにこそ面白いことがあるんだと『創造』を通して教えてくださった源さん、本当に本当にありがとうございます。この経験があれば私は何度だって生まれ変わります」。すごい!

「昨年の『うちで踊ろう』をはじめとした源さんの数々の曲に、言葉の端ひとつひとつに表情、いつも元気をもらっています。まだまだ肌寒い日が続きますが何卒ご自愛ください。これからも源さんの『創造』を応援しています。大好きです」という。素晴らしい。ねぶり棒です!

5年間、引きこっていたのにハローワークに行くの、すげえ! すげえ! そうかそうか。じゃあ、人の目とかいろんな声が気になってたけども、全部幻想というか、ハリボテだったという風に思えたんだね。素晴らしいことです。これはもう……これだけで曲を作った甲斐がありますよ。素晴らしい。ありがとうございます。

山形県の方。「源さん、こんばんは。『創造』を聞きました。『あぶれては』『外れ者』という言葉に『世をずらせば真ん中』と当てはめた部分に涙が止まりませんでした。思えば、花いちもんめでは選ばれず、体育の時間に『ペアを作れ』と言われればあぶれていた私は、『自分がずれているんだ』と思い込んでいました。絵を書いたり妄想したりすることが好きで、幼いながらも創造を繰り返し、自分の世界を作っていたし、今でもそれが自分のベースとなっています。

1人だっていい。マイノリティーだって。いい命を遊び尽くせ。ポップさの中に溶け込んだメッセージがじわじわしみてきます。生きていることに花マルをもらった気持ちです。また素晴らしい楽曲が世に放たれましたね。ありがとう、源さん。なんか作りだそうぜ!」ということで。嬉しいですね。これもねぶり棒ですね。ありがとうございます!

嬉しいですね。なんだろうね。この体育の時間にペアを作れと言われてあぶれてしまうあるあるね。なんだろうね。割と僕もそういうタイプだったんですけど。作家の寺ちゃんもそういうタイプですよね。なんだろうね。そういう人がラジオに集まってくる傾向はちょっとありますよね(笑)。

(寺坂直毅)修学旅行のバス、隣に誰も座らないとか……(笑)。

(星野源)いやーっ! やめてーーーっ!

(寺坂直毅)保健室の先生が座っていました(笑)。

(星野源)僕に関しては、そういう旅行のバスでお腹が痛くなって。途中で降りて、それでみんなを待たせるっていう、地獄の時間ね。

(寺坂直毅)ありますよね(笑)。

(星野源)で、なんか先生が付き添いで来てくれるみたいな。先生とセットみたいになるんだよね。フフフ(笑)。いやー、俺、頑張ったな! フハハハハハハハハッ!

(寺坂直毅)フハハハハハハハハッ!

(星野源)今、俺ラジオやってるなー(笑)。そう。だから俺、その中学の時に公立じゃなくて、割と自由な学校にも入れたんで。そこで随分楽になりつつも。そこから、ラジオを聞き始めて。でも、ベースはやっぱりあんまり変わらないわけなので。「コミュニケーション苦手だな」とか「なんかあぶれちゃうな」とかは結局変わらないので。でもその中で、ラジオを聞いて……そのコサキンの皆さんの楽しそうな感じとか聞いてて、「あっち側に行きたいな」ってぼんやり思ってたんですよ。

だからそれを……そのこっち側に来れたっていうのはね、本当に嬉しいことです。ありがとうございますね。じゃあ、続いて。長崎県の方。「『創造』、リリースされてから毎日、聞いてます。起動音から始まって随所随所にゲームの音が入っているので、最後はまるでひとつのゲームを全クリしたような気持ちになりました。隠れキャラも出ていらっしゃいますしね」。うん? これはニセさんのことですか?(笑)。

「もう少し暖かくなったら窓を開けてドライブに行く時にかけたいなと思います。Bダッシュしそうです。初めのピコーンは何かをひらめいた時の音にも聞こえますね」。ああ、そうですね。ミュージックビデオの方だけ、ピコーンっていう音が入っています。まあ、その場で自分がフェンダーローズっていうエレピで弾いてるんですけども。

「『創造』を聞いてたくさんの素敵なものが作られているなとTwitterやインスタを見ると思います。私も毎日の生活が楽しくなるよう、創意工夫をしていきたいなと思います。ミュージックビデオも『水平』とか『真ん中』とか『直接に』表現されていて楽しさ満載で撮影もとても楽しかっただろうなと思います。撮影のこととか奥山さんとのお話も聞いてみたいです」。

そうですね。今回、ミュージックビデオの監督が奥山くんという方で。僕は『MUSICA』っていう雑誌ですごく前に……もう2012年かな? 12年に雑誌『MUSICA』でご一緒しまして。で、その後に僕が倒れちゃったりとかして。その後も1回、ご一緒するんですけど、しばらく空いて僕の『YELLOW MAGAZINE』というイヤーブックを出すようになってから「奥山くんとまた一緒に仕事したいな」と思って。何号か表紙も含めて写真を撮ってもらったりしました。

奥山由之監督

(星野源)で、あのミュージックビデオの監督、映像の方も奥山くんはやっていて。僕が『MIU404』というドラマをやっていた時に主題歌が米津玄師くんの『感電』という曲で。奥山くんがその曲のミュージックビデオをやってたんですよ。

(星野源)で、僕がそのミュージックビデオを本当に素晴らしいと思ったので。奥山くんに「めちゃめちゃ素晴らしかった!」っていう風に感想を送って。そしたら「ありがとうございます!」って返事をいただいて。で、「源さんとやりたいことがあるんです。アイデアがすごいあって」って。で、その奥山くんが元々ラジオとかで自分でしゃべっていてくれたことなんだけど。僕が本当に一番最初に撮影をした時……それこそ2012年の頃。そこで僕が言ったことでショックを受けたらしくて。「それでいろいろ学びました」みたいな。僕は正直、そのことはあんまり覚えてないんだけども(笑)。なんか、よい影響があったようで。なんかすごく大事に思ってくれていて。

だから、なんて言えばいいんだろう? 「なんかすごいやりたいんですけど、源さんとやるならめっちゃ緊張するんで。時間がある時、ぜひやれたらいいと思います!」っていう、そういう子なんですよ(笑)。熱くかわいい子で。なんだけど今回、『創造』って曲を作った時に、なんかおっくんの映像がすごく……あとパッションみたいなものが合いそうだなと思ったんで、「時間はあんまりないけど今、やらない?」っていう話をして。「じゃあ、お願いします!」みたいな感じで受けてくれて。

で、作りました。撮影もとても楽しくてですね。でも結構、奥山くんが写真を撮る時もですね、すごくおっくん自体がテンションを上げて……いろんなカメラマンさんがいるし、いろんな現場があるので、あれなんですけど。割とカメラマンの方が「動いてください」とか「こうやってください」とか言う方の中では珍しいタイプっていうか。演者だけにテンションを上げさせない人なんですよ。自分がまずテンションをガーッと上げて。ものすごく変な動きをして。それにつられて演者がテンションが上がるようにしてくれる人で。奥山くんは。

なので、僕はいろんな動きをミュージックビデオの中でしてますけど。それを口で説明を……「次、これをやってください!」「これっ、次っ、やってくださいっ!」ってすごい声が飛び交ってるような現場で。すごいそれも含めて楽しかったですね。で、今回『創造』という曲は『スーパーマリオブラザーズ』の35周年のテーマソングなので。そういうのもあって、改めて1からちょっと説明しますと……まず、マリオとか任天堂とかはとりあえず一旦は置いておいて。「なんかクソヤベえ!」みたいなものが作りたいなと。

で、いろんなジャンルを好きな人たちがいてさ。その世代でも好きな音楽っていうのが分かれていて。そういうものを全部ぶち壊して、どの世代にも、どんな音楽の趣味の人にも、「なんかわかんないけどめちゃめちゃヤバい!」みたいに思ってもらえるぐらい、とんでもないもの。それをまず、作りたいっていうのは思って。そういう自分が思う音楽の音像だったり、勢いだったり、イメージっていうものに、その自分のものづくりっていうものへの思いみたいなものをしたためて。そこの自分の思いっていうものと任天堂だったり、『スーパーマリオ』だったり、そういうものの共通点を探して、それを曲の中に全部込めていくっていうような。重ねていくっていう。そういう楽曲にしようと思って作り始めました。

なので、今回本当にいろんなところで話題にしていただいて。いろんなマリオの要素とか、任天堂の要素が入っているって言ってくださっていて。「これ、たぶん全部は気づかないだろうな」って思ったんだけども……ものの見事に皆さんが見つけてくれて。本当に僕は嬉しくて。でも、その見つけてくれるのも嬉しいんだけど、さっき言ったように「なんかわかんないけどヤバい」っていうものをまずは作りたかったんで。そういう感想もとても嬉しいんですよね。

あとね、やっぱりタイアップだったりそういうものってね、たとえば5年経ったりとか10年経ったりとかすると、そのタイアップ感みたいなものはだんだん消えてくるんですよ。その記憶って薄れていくので、当たり前だけどその曲の強靭さみたいな、強さみたいなものって、タイアップ先に依存しちゃいけないと思っているので。音として、あとは歌詞として。星野源の歌う歌として、強いものをしっかり作りたいなと思っておりました。その上で、こういういろんなオマージュだったりとか、そういうものに気づいてもらえば非常に嬉しいなと。

なので、「もう僕が説明しなくていいな」って思いました。YouTubeのコメント欄を見てください(笑)。YouTubeのコメント欄とか、あとはなんか考察っていうか、解説とかしてるいろいろなサイトがすでにあるんで。もうだいたい、その通りなので。ぜひ、それを見ていただければその通りなんで。気持ちがいいですね。「伝わったな」っていう。

あとは、そういう部分もあって……この間もちょっと話したっけな? ゲームの音はほとんど使ってません。「ほとんど」とかいうか、もう使ってないです。マリオの……たとえば、『ドンキーコング』とか。『ドンキーコング』というゲームにマリオは『スーパーマリオ』とかが出る前に、マリオがまだ「マリオ」っていう名前になる前のキャラクターとして出てるゲームなんですけど。

そこで主人公のそのマリオが……その時はまだ「おっさん」とかだったかな? なんか違う名前があったと思うんですけど。それで当たっちゃってミスした時の音みたいな、そういうものを楽曲に組み込んだりとかしていて。それもでも、ちゃんと全部80年代初頭だったり、70年代終わりぐらいのアナログシンセで手で弾いています。「テケテケテケテケ……デーデーデー♪」とか、そういうのを僕、全部自分で一生懸命弾いていてですね(笑)。それを録音して曲に組み込んだりとか。

(星野源)で、曲の本当に最後の方にマリオが甲羅を踏む音とか、あとはクッパが炎を出す音とか、そういうのを入れて、それがちょっと聞こえるんですけども。それはただ鳴らしているんじゃなくて、それでリズムを組んでですね。音だけを鳴らすとちょっとボサノバみたいなリズムを組んでるんですけど。それを気持ちよく組めたので、それをこっそり重ねていたりとかですね。後はマリオシリーズだけじゃなくて、『マリオカート』だったりとか、いろんなゲーム。あと、僕がね、もうめっちゃ好きな『スーパーマリオランド』の地上ステージの音楽とかね。そういうのをこっそり入れたりとか。そういう風にしています。

で、ミュージックビデオもそういう部分がちょこちょこっとあったりとか。それほどぜひ見て……知ってる人はぜひ見ていただきたいですし、知らない方はそれはそれでもう、「なんか面白い」と思ってもらえたら幸いでございます。それでね、そうだ。まだ言っていないことがあって。これはすごく……これができた時にですね、「いやー、面白い!」ってすごく思ったんだけど。2番2番のAメロの「死の淵から帰った」だったかな? そのAメロと、あれは何メロなんだろう?

今回、たぶんAメロとかBメロとか、サビとかも含めるとたぶんFメロぐらいまであるんですよ(笑)。いつもだったらもうちょっとシンプルに、「歌いやすいように」とか「カバーをしやすいように」とかちょっと考えたりするんだけども。そういうのも全部、リミットを全部取っ払って、とにかく好きに作るっていう感じだったんで。EメロとかFメロぐらいまであるんですけど。

その中で、ちょっと静かにピアノが鳴っているところの後の歌の部分。「笑顔見せて」のところとか。ミュージックビデオだとニセさんが出てるところですね。そこの2ヶ所。2Aと、その後のDメロかな? Dメロのところは僕の歌をファミコンの2コンのマイクで録音してます。

ファミコンの2コントローラーマイクで歌を録音

(星野源)それでファミコンの2コンってね、マイクがついてるんですよ。正代赤白ファミコンって。それで2コンのマイクで録音できないかな?って思って。「それができたら最高だな」と思ったら、できました!(笑)。そう。あのマイクさ、勝手にダイナミックマイクだと思っていたんだけど、コンデンサーマイクでですね。めちゃくちゃいい音がするんですよ。

(星野源)で、聞いても分かるように、とてもいい音なんです。でもなにかちょっと、ファミコンをとちゃんと通してる音がするんですよね。そう。それをぜひ、じっくり聞いていただきたいです。本当にいい音。だから歌詞の中でも僕が好きな言葉があって。「枯れた技術の水平思考」という、横井軍平さんという方の言葉。元々、任天堂にいらっしゃって。その後に自分の会社を作られた、もう亡くなられた方なんですけども。その方が言った言葉があって。

たとえば、いろんな技術が発展していくと、高スペックなものとか、新しいものにみんなは飛びつきたくなるし。特にゲーム機なんかはどんどんどんどんハイグレードになっていくものだけど。そっちに飛びつきたくなるんだけど、新しい技術はまだ量産体制が整ってなかったりとか、コストが高かったりとかする。そうじゃなくて、もうすでにみんなに使い古されて、量産しきっている枯れた技術だと思われてるものを新しいものと水平に捉えて、その中で平等に取り入れていく。考えていく。そういうような考え方がすごく好きで。

だからマイクだったり、録音環境だったり。そういうものも水平に捉えていく。そういう思いみたいなものを音楽の中でもしっかりできたんじゃないかなっていうのはすごく思います。なので……ちょっとこれ、今はラジオ経由なんで。音がそこまではっきり聞こえるか分からないけど。ぜひ皆さん、ダウンロードしたりとか、サブスクリプションで聞いたりとかしてみてください。めっちゃ音がいいですからね。ぜひ、その違いも聞いてみてください。それではかけましょう。皆さん、ぜひボリュームを上げてください。星野源の新曲です。『創造』。

星野源『創造』

(中略)

(星野源)たくさんメールが届いているので、ちょっと読んでいきたいなと思っております。石川県の方。「毎日、朝昼晩、仕事のトイレ休憩の隙にも何度も繰り返し見て、聞いて。私の毎日は『創造』に夢中です。創造主、星野源の遊びの面白さ、楽しさがとんでもなくヤバくて、目も耳もハッピーです。楽しくて仕方なくて、体も心も細胞も踊っています。数時間前、ベーシストのハマ・オカモトくんがインストライブをしていたのですが、『創造』は伊賀航さんのウッドベースとハマくんのエレキのダブルベースだとお話ししていました。今回、どうしてダブルベースにしたのでしょうか?」。

ええとですね、イントロっていうか、英語部分のところとさっき言っていた、ちょっと落ちるところ。リズムが一旦なくなって、ピアノがドゥーンと鳴るところ。そこが2つ、エレキベースではなくてウッドベースにしたいなと思っていて。で、ハマくんはエレキベースの方を全体で弾いてもらってるんだけども。ハマくんはウッドベースは弾かないので。ウッドベースを弾く人がいいなと思って。最近、伊賀さんとはご一緒してなかったんですけど。「久しぶりにお願いします」ということでやってもらいました。

なんで、そうですね。その場所ごとで楽器を変えるっていうのってあんまりないんですけど。なんか自分は結構そういうことをするのが好きでですね。よくやります。だから今回、3種類ベースが入ってますね。その英語部分とDメロのところのウッドベースと、あとは全体を通したエレキベースと。それからあと2番のAメロはシンセベースが入っています。なので、3種類入ってます。だからトリプルベースですね(笑)。まあ、シンセベースの方は打ち込んでるんですけどね。そんなのを聞き比べてみるのもぜひお勧めでございます。

神奈川県22歳の方。「リリース、おめでとうございます。Spotifyでイヤホンで大音量で聞いたり、車で流してドライブしながら歌ったりと毎日何回も何回もリピートしています。私には同い年の彼氏がいるのですが、彼は源さんの大大大ファンで、さらに来月からずっと憧れていたマリオの生みの親のあの企業に入社するんです」。すごい! すごいね。すごい倍率高いじゃないかしら? 「源さんとマリオの35周年のテーマソングが決まった時、『これはもう運命だ』と大喜びでした。『創造』のリリース時も大騒ぎをしていて『これはヤベえ、ヤベえ、ヤベえ!』とひたすら繰り返していました。興奮冷めやらぬ彼は先日も『創造』の考察の会を開いてくれました。たくさんの本を持参して、いかに星野源の任天堂愛がすさまじいものなのか、熱を持って語ってくれました」。

ああ、なるほどね。あれかな? 岩田さんの本とか横井さんの本とかかな? 「その中で彼は『進化を君に 外れ者に授ける』という歌詞について任天堂の横井軍平さんが入社当初、暇潰しで伸び縮みするおもちゃを作っているのがバレて、当時の社長に注意されるかと思いきや、商品化をすすめられ、ヒット商品を生み出すことになったというエピソードを表現しているのではないか?』と話していました。

ところが、その後にインタビュー記事を読んで『コミュニティーの輪に入れなかったとしても、作品を作ることでそれ面白いねと。僕は端っこにいたんだけども、創作をすることで僕が中心のコミュニティーができる。そういう過程を繰り返して人間は進化をしてきたのではないか』と、そういうメッセージを込めた歌詞であることを知りました。『なるほど。それであぶれては はみ出した 世をずらせば真ん中なんですね』と思いました。この彼の考察も知っていただければ……もし、源さんのこのエピソードを掛け合わせていたとしたら素敵だなと思い、メールをさせていただきました」という。ありがとうございます。

ええとですね、そこの歌詞に関しては「外れ者に授ける」っていうのはそこのエピソードを別に入れたわけでは全然ないんですね。先週も言ったような、そういうことですね。人間……僕の人生もそうですけど。僕はさっきも言ったけど、外れ者だって思うことが多くて。でも、そういう者が何かを生み出した時に、それが中心に……世の中がぐっとズレて中心になるってことがある。それを体験しているということ。あと人間とか生物って、なにかそもそも、そういう仕組みを持っているじゃないかということですよね。

でも、その横井さん……あれですよね。ウルトラハンドってわかる? こう、クロスしているおもちゃで、遠くのものが取れるみたいな。あれを横井軍平さんが特に何の仕事でもなく、ただ趣味で遊びとして、暇潰しで作っていたら、社長さん山内さんっていう方。顔を見ると死ぬほど怖そうな人がいるんですけども。その人に呼び出されて。サボっていたから怒られるんじゃないかと思って行ったら「それを商品化しなさい」と言われて。そこから開発をするようになって……っていう、そういうエピソードがあって。

(星野源)でも、それってそういうことですよね。その企業というものの中にいるんだけど、違った視点を持ってる人。そういう人が、最初は花札を作ったりとか、もっと前は違うお仕事だったらしいんですけども。でも、花札っていうもので任天堂は広く知られるようになって。でもそこから、花札からゲームっていうのはずいぶん遠いわけで。でも、その中の飛躍っていうものをその中にいる人たちが……たとえば職人さんもいただろうし。花札をずっと作っていた人たちも絶対いたと思うんですよ。

だけど「ゲームを作ろう!」っていう風にして。その、職人さんたちの中ではゲームを作ったりとか、そういうウルトラハンドを作るみたいな感性ってもしかしたら外れ者だったかもしれないけど。それを社長さんが認めて、それを中心に持ってくることによってその企業が進化していくっていう。そういう……任天堂そのもの自体がやっぱりそういう仕組みを持って、どんどん大きくなっていったり、独自の道を行っているっていう。だからそれは繋がっているんだとは思うんですよね。で、任天堂に限らず、世の中の面白いものとか、今あるものっていうのはそういう風にしてできてるじゃないかなって思うんですよね。はい。そうなんです。そういうね、面白いよね。本当にいろいろ見ていったりとか聞いていったりすると。

富山県、18歳の方。「『創造』のリリースから1週間、毎日欠かさず聞いています。公式YouTubeの動画コメント欄には『この部分はゲームの起動音』など、そこまで詳しくない私が気づけなかったことが細かく、教えてくれるように解説があり、それを踏まえてこの曲を聞くとさらにヤバく楽しめるなと思いました。私もこの曲が公開されたと同時に気づいていたことがひとつあります。『進化を君に 外れ者に授ける』という部分で『者に』の歌詞の後、源さんは一瞬、鼻をつまみますよね? これもマリオのジャンプ音を出す動作として、わざとMVに取り入れたのでしょうか? 隠れミッキーならぬ、隠れマリオだったりするのかと思い、お尋ねしました。ご回答、よろしくお願いします」という。これはね、関係ないです(笑)。

でもね、こういうのって繋げようと思えばいろいろと繋げられちゃうんだと思うんだけど。全然、そんなことはないです。ただ鼻をちょっと触ってるだけなので。鼻をつまんでいるわけでもないっていう。でも、ありがとうございます。そこまで言ってくれてね。でも、本当にさっき言ったようにYouTubeのコメント欄とかにほぼ、だいたい書いてあるんで。

でも、やっぱりさすがに「2コンマイクで録音してる」っていうのはなかったね(笑)。そりゃ気づかないよっていう(笑)。なんて言うか、そこの2番のAメロとそのDメロだけ音を変えたかったんですよ。音の様子を変えたくて。たとえば今だったらフィルターだったり、イコライザーでいくらでもくぐらせたりとか、音を変えたりとかできるんだけど。なんとなく、それをしたくなくて。

もうPCの中に入ってる、そういう処理をするプラグインみたいなのがあるんだけども。ビット数を下げるみたいな。そういうのも今までもいっぱい使ってる部分もあるし。でも、それをなんていうか、「古い感じにしたいからビット数を下げてみましょう」ってなって下げてみるんだけども。まあ下がった感じがして、それで満足しちゃってOKするとよくなくて。下がっているん」だけど、その下がっていることは本当にいいのかどうかっていうのはちゃんと見極めないといけないんですよ。で、それがいい場合もあるし、そうじゃない部分もあって。

コンセプトだけでは意味がない

(星野源)ちゃんと音を聞かないといけないんだよね。その、コンセプトは面白くても、実際にあがったものが面白くないと意味がないので。今回はだから2コンで……2コンのマイクって本当に『たけしの挑戦状』ぐらいでしか使ったことないんだけど(笑)。『たけしの挑戦状』自体も使ってもそんなに……っていう(笑)。まあ、最高なんですけど。でも本当にあれ、なんでマイクがあるんだろうね?(笑)。でもたしか、理由があったような気がするんだけど。面白いよねー。その発想がさ。

(星野源)それで、マイクがあるんですけど。それで実現したら超面白いと思うじゃん? もう思いついた時に「これ、絶対に面白いんだけど!」って思うけど。でも、実際にその音がよくなかったら、それはやらない方がいいんですよ。それってやっぱり「どうです? このアイデア、面白いでしょう?」っていうだけのものになっちゃうから。でも、そうじゃなくて。自然にちゃんと音が変わって、それがちゃんといい音だったから。「これはもう100億点だ!」みたいな感じで。だからそういう風にして変えたものって、やっぱり今だとどうしても「パソコンで処理したんじゃないの?」って思っちゃうけど、そうじゃない雰囲気があるんだよね。

それって、なんかちょっとかじってる人って「なにかエフェクトをかけたのかな?」とか思っちゃうけども、全くそれを知らない人。そういうソフトがあるだんとか、そういう風にしているんだとかって知らない人にとっては、すごく純粋に空気が変わったなっていうのが感覚で伝わるはずなんですよね。だからそういうのを意識して曲は作りました。録音もね。もう本当に。それでピアノも最初は2コンで録ろうとしていたの。Dメロの。でも、録ってみたんだけども、それは全然よくなくて。

でも今、やりたいピアノの音色はもう120%できているんだけども。省二郎さんっていうエンジニアの方がものすごく工夫して、マイクの位置をやってくれて。で、めちゃくちゃいいマイクは使っているんだけど、いつものマイクの定位置じゃないっていう。きれいにピアノを録る定位置じゃない場所にマイクを置いて、独特の響きをすごく出していて。そういうのをですね、僕はもう一生やっていたいです(笑)。本当に。「これはもう一生できるね!」って言いながらシンセの音づくりも、こういう2コンで歌うとかっていう、そういう音の精査みたいなのが本当に好きで。もうマジで一生やっていたい(笑)。これを。いや、なんか本当にね、そういう風にして楽しんで作りました。

だからあれですよ。2コンで録音した曲はおそらく世界初なんじゃないでしょうか? わかんないけどね(笑)。もうアホなことを一生懸命やって。本当に楽しいですよ。そんな感じで、この後もうちょっと『創造』の感想とか質問とかを読んでいきたいと思います。皆さん、まだまだメールをください。そして『創造』、ぜひたくさん聞いてくださいね。サブスクもダウンロードもYouTubeもぜひどんどん見て聞いてください。

星野源 楽曲の再生回数カウントとチャート反映を語る
星野源さんが2021年2月23日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で様々な配信サービスや動画サイトなどでの楽曲の再生回数カウントについてトーク。そのチャートへの反映の仕組みを話していました。

(中略)

(星野源)メールです。「『創造』を聞きました。1曲なのにドラムのリズムや曲想がページをめくるように変わっていくのが聞いていてわくわくします。私は介護士をしていますがその中で『命と共に遊ぶ』という歌詞が先日、100歳でこの世を去られた利用者さんが長寿の秘訣で書いていた『楽しく遊びましょう』という1文とリンクして、『目の前のことを楽しみなさい』とその方に言われている感覚になりました。私にとって『前を向いて日々を作っていこう』と背中を押してくれる応援歌になりました。素晴らしい曲をありがとうございます。きっと源さんも長生きできると思います」。ありがとう!

いやー、長生きしたい。長生きしたいです。それこそ倒れる前までは「いいものが作れたら、いつ死んでもいい」みたいなことを思っちゃってたんですよ。でも、その倒れて以降はですね、もうとにかく長生きしたいって思うようになりましたね。長生きしながら楽しいことをなるべくたくさんしたいと思っております。

兵庫県の方。「『創造』、大好きです。力がみなぎって来るように思うのです。ちょっとしたことなんですが、リリースしてから夕食の品数が増えました。もうちょい頑張ろう、そう思える音楽です」という。ありがとう。嬉しいね。たしかに料理を作ってる時に合いそうですね。曲がね。夕食ってクリエイティブですよ、マジで。日々のご飯……だって毎日ご飯を出すってとんでもなく大変でしょう? 「大変でしょう」っていうか、どう考えても大変だよ(笑)。そんなの。

いやー、なんかちっちゃい頃さ、それが当たり前に出ているような感じでどうしても思ってしまっていたけど。そうじゃないよね。考えなきゃいけないし。そう。『スッキリ』でね、近藤春菜さんがインタビューしてくれて。それで今日も流れましたけども。詳しく『創造』の話とか、自分の10周年の話とか、そういう話もしましたけど。その中でも言ったけど、本当にその人間って想像できる……イマジネーションの方の想像ね。想像する力があるってやっぱりすごいなと思うんですよね。

人がどう思ってるだろうって想像したりとか。あと、この世にはないものを想像したりとか。あとはキャラクターとか、絵とかもそうだと思うし。頭に何かを思い描く。そういうことをできるってすごいよな、人間って。面白いなって思うんだけど。やっぱりその想像をして、それを具現化するってすごく面白いなと思うし。本当になんか今、目の前にある全てのものが人間が作ってるわけじゃない? 人間が考えて、想像して。こういうのを作ろうって思ってそれを目の前に作っているわけで。

僕の目の前にこのあるマイクとかも、このマイクのシステム。マイクのところからこのマイクを支えている棒っていうか。それを支える土台から、その土台をの下にさらにあるゴムみたいなもの。そういうのも全部人が作っていて、人が全部設計してて。で、このテーブルの木の模様とかも全部そうだし。そういう風にしてみると、もうとにかく全部想像力に溢れていて。僕らの生活っていうのは。

で、いわゆる物もそうだけど、料理とかもそうだし。なんか、全部創造物に囲まれているような。僕はそういうのを意識した時に、すごいやる気が出るんですよね。「やってんな、人間!」みたいに思うっていうか(笑)。「むちゃくちゃやっているな!」みたいなね。なんかそういうところで、悪い方向に……たとえば環境破壊みたいな方にもどうしても行ってしまうから、よくない部分もたくさんあるんだろうけど。

でも、「なにかを作りたいな」と思って目の前に出して、それを愛でたりとか。面白がったり。それをみんなと共有して「面白いね」ってなったりとかって素晴らしい人間の文化だと思うし、特徴だと思うので。そういう風に「料理の品数が増えました」とか言ってもらうと本当に嬉しいですね。本当に料理はすごい。マジで。僕もあんまりできないからね。

神奈川県の18歳の方。「今日は第一志望の大学の合格発表でした。それを忘れていた私は母がスマホから流す爆音の『創造』でたたき起こされ、合格か否かを確認しました。結果は合格! これからも『創造』を聞くと今日のことを思い出すのかな、なんて思います」。おめでとうございます。ねぶり棒です! イエーイ! 素晴らしい。偉いね! そうだよね。受験のタイミングだったもんね。なんかいろいろ……っていうか、もう2月が終わるんだね。ヤベえな(笑)。早え……つらい! やらなきゃいけないこと、山ほどあるぅ~! ああーっ! ボーッとしたーい! 南国とかで(笑)。無理。それこそね、いろいろ作り出さないといけないんで、頑張っていこうと思います(笑)。

<書き起こしおわり>

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