武田砂鉄と澤田大樹 政治家たちが夜の会食をやめられない理由を語る

武田砂鉄と澤田大樹 政治家たちが夜の会食をやめられない理由を語る アシタノカレッジ

武田砂鉄さんと澤田大樹さんが2021年2月5日放送のTBSラジオ『アシタノカレッジ』アフタートークの中で緊急事態宣言下でも夜の会合・会食をやめられない政治家たちについて話していました。

(武田砂鉄)今週1週間は実はその森さんのお話だけじゃなくて。まあ、あらゆることがいろいろあって。あれもう本当に1週間前、10日前なんじゃないかということが実は今週だったりしましたけども。

(澤田大樹)砂鉄さんもツイートされてましたけど。今週、実は国会議員が2人辞めて、3人離党してるんですけど。皆さん、誰か覚えていますか?っていう話をしようと思うんですけど。先週、ちょっと触れたんですけど。元々の問題の始まりは週刊誌報道だったんですけども。与党・公明党の遠山清彦幹事長代理という方が1月に銀座の高級クラブで11時過ぎまで滞在したという風に報じられまして

(武田砂鉄)なんかちょっと懐かしいけどね。

(澤田大樹)2週間ぐらい前ですからね。「隣に女性が座る店ですか?」と記者から聞かれて「初めてうかがったのでどういうお店かはわかりません」って言っていて。「いや、クラブかどうか、行ったらわかるでしょう?」っていう。

(武田砂鉄)当然覚えてるだろうな。

(澤田大樹)認知に歪みがあるのかなという話もしましたけども。先週末、「幹事長代理」っていう党の役職は辞職をしていたんですけども。で、週明けて今週の月曜になって「国民の皆様の政治への信頼を深く傷つけてしまった。公明党や私の政治活動を振り返り、重たい決断をした」と会見で言って議員辞職という。

(武田砂鉄)これはでも、幹事長代理という立場で比較的お若い方って考えると、かなり党の中でも期待されていた方?

(澤田大樹)「ホープ」と呼ばれていた方ですね。ゆくゆくは本当に大幹部になると言われていた方です。

(武田砂鉄)でもそうすると、これはまあいろんな報道もされてますけれども。この公明党の支持母体である創価学会のいろんな、婦人部であるとか、いろんなところが「こういったことはやっぱり許しません」という力が強かったと想像されるんですけども。

(澤田大樹)そうですね。金曜日に役職を辞職して。土日の間に何かが起こった。日曜の夕方にはもう「辞職する」っていうことを言ったということですから。本当に1日半ぐらいで何かが起こったっていうことですね。

(武田砂鉄)かなり素早いな。

(澤田大樹)で、もう1人、記事になってたのが自民党の松本純国体委員長代理。

(武田砂鉄)「マツジュン」って言われていて。かわいそうですけどね。嵐の松潤さんは。名前が一緒なだけで。

「政界のマツジュン」

(澤田大樹)「政界のマツジュン」という。元国家公安委員長で麻生さんの側近と言われている方ですけども。緊急事態宣言下の先月18日に都内にイタリア料理店で9時過ぎまで食事をして。その後も2軒のクラブをはしごしたということですね。その最初に記者団に問われたときは「私の行動自体が少し軽かったかなと反省している」と言いながらも、「要望を承るためにクラブに行ったんです」と言っていて。「じゃあ、その要望とはなんですか?」って言われたら、「言えません」という。

(武田砂鉄)「少し軽かったかな」って自分で言ってるというね。

(澤田大樹)で、その後には「お店には誰かと行ったんですか?」「いや、1人で行きました」という風に先週末では言ってたんですが、週を明けたらそれが嘘だと判明。それはね、「誰かと行った」とは言えないですね。

(武田砂鉄)まあでも、往々にして週刊誌っていうのは第1弾、第2弾というのを用意しているから。それはたぶん政治家の中では周知されていることだと思うので。「バレる」と思わなかったのかなと感じちゃいますけどね。

(澤田大樹)それで、一緒にいたのは誰か? 同じく自民党の大塚高司衆院議員と田野瀬太道衆院議員。1軒目と3軒目の店に同席したことが今週、明らかになりました。で、自民党は3人に対して離党勧告を出して、3人はそれに応じて離党したという。これ、午前中にさっきの遠山さんが議員辞職。で、その間に僕が自民党のある議員に聞いていたら、「いやー、遠山さんがやめちゃうと松本純さんはどうするんだろうね?」って言ってたら、松本さんだけじゃなくて3人いて。「どうしよう?」ってなって。まあ、離党になったという。

(武田砂鉄)でも、議員辞職と離党っていうのは全く違うし。「議員辞職」っていうのは「国民に対して申し訳ない」ってなるけども、「離党」っていうのは「党に対して申し訳ない」だから。全く違いますよね?

(澤田大樹)そうですね。で、その嘘をついた理由について松本議員は「有望な後輩をかばいたいと思った」っていう。

(武田砂鉄)なにをここに来てちょっとカッコつけてんだよ?って思いますけどね。

(澤田大樹)で、田野瀬議員は当時、文部科学副大臣を務めていまして。今、受験生とかが大変な時期ですけども。総理からは「あってはならないことだ」と叱責されて更迭、クビということですね、で、今後について聞かれた3人は「後援会と相談していきたい」という話でした。

(武田砂鉄)TBSラジオのTwitterでこの3人の会見。あれは澤田さんが撮っていんですか?

(澤田大樹)私が撮っています。

(武田砂鉄)まあ、そもそもあの3人のお詫びの会見を「国民のために働く」っていうあの菅さんのポスターの前でやるっていうのは、あのセレクトはどうだったんだ?っていう。つまり、3人が礼をすると後ろに菅さんが「国民のために働く」っていうのが出るという。

(澤田大樹)オチがつくみたいになってましたね。

(武田砂鉄)でも澤田さん、あれ、スマホですか? スマホのカメラでそのマツジュンの手元をズームしてたじゃないですか。一瞬。そしたらマツジュン、ちっちゃいメモで。最初のお詫び文すらもメモで読んでたという。あれは他のニュースでは映ってなかったので。

(澤田大樹)やっぱり気になっちゃうんですよね。「何を見てるのかな?」とかって。

お詫び文もメモを読む

(武田砂鉄)でも、あのニュースで伝えられる枠って割とこのバストアップの画だから。結構引きで見るとすごく見える光景っていうのがあって。あれもぜひ、TBSラジオニュースのTwitterで見ていただきたいなと。

(澤田大樹)ちまちまと、手元のスマホで撮っているのでぶれぶれだったりとか、音が聞こえづらいとかいろいろあるんですけど。

(武田砂鉄)ハンドメイドな感じ、出ていますよ。

(澤田大樹)完全にハンドメイドでやってるんですけど。で、与党の会食好きっていうのが止まらないなということで。でもこれ、たぶん野党もあるなというのは思うんですけど。

(武田砂鉄)今頃、ブルブルと震えてる人たちがどこかにいるかもしれない。

(澤田大樹)そんな噂が週の半ばぐらいに流れてまして。野党議員がビクビクしていたという。

(武田砂鉄)当然、週刊誌ってのは与党だろうが野党だろうがね、関係ないですから。取材っていうか、噂を聞き付ければ行くでしょうからね。

(澤田大樹)これを受けて菅総理、なんと言ったかっていうと、緊急事態宣言延長の会見。これもこ実は今週でした。

(武田砂鉄)本当? 先週木曜ぐらいじゃないっけ? あれ、7時40分からやったの、今週でしたっけ。

(澤田大樹)今週の火曜なんですよ。

(武田砂鉄)いや、すごいね。みんな、家でステイホームしているのに政治の人たちは詰め込んできて。まいっちゃうね。

(澤田大樹)で、「深夜まで会食していた問題はあってはならないことであります。素直にお詫びを申し上げる次第でございます」と謝罪しました。

(武田砂鉄)もう会食系はすぐに謝るというのが最近の菅さんですね。

(澤田大樹)で、「どうして会食をやめられないのかな?」っていうのを感じていて。野党もびくびくしてるっていうのはありますけども。これ、今問題になってるのみんな「男性」なんですよね。で、これに関連してアエラの元編集長でジャーナリストの浜田敬子さんがTwitterですごく腑に落ちることを書いていたのでご紹介したいんですけれども。「森氏発言と夜の会食問題の共通点は、昼間の会議で徹底的に議論をして意思決定をするというプロセスを軽んじていること。同質性の高い集団で、異論を唱える人を排除してなあなあで物事を決める文化は、政界、スポーツ界だけでなく企業にも根深い。その場から女性は排除され続けてきた」っていう風に触れていたんですね。

(武田砂鉄)まさにおっしゃる通りですね。

森氏発言と夜の会食問題の共通点

(武田砂鉄)「あれを決めようぜ」ってなったら「夜、集まろうぜ」ってなって。夜の料亭なり何なりで密談をして。「じゃあ、こういうことにしようぜ。明日、それ話そうぜ」っていう風になる。その場にはもちろん、たとえば子育てしてるとか、介護をしてるとか。そういった現場に女性が多いんだとしたら、そういう人たち。女性の議員さんはそこに行けないわけですよね?

(澤田大樹)そうですね。ある女性議員に聞いた際には「夜会合があることが女性議員が増えない理由だ」という風に言っていて。

(武田砂鉄)それはだから実社会のいろんな会社でもそうですよね。「ここでしゃべらないで、飲みニケーションにしちゃおうぜ」っていう。それはだから政治の世界も、いわゆる企業社会ってのも同じだけれども。政治の世界でやはりこれをずっとやってきたから、いざこういうことになっても「いや、そうは言ってもちょっと……ちょっと行こうよ」っていう風になって。そこで上下関係もあるから。上の人が「行こうぜ」って言ったら行っちゃうし。二階さんと菅さんの高級ステーキ店の時も、二階さんがやっている時に「菅さん、ちょっと来れないか?」っていうことで行ったという流れでしたけども。

(澤田大樹)菅さん、お酒飲めないのに。で、やっぱりさっきの女性が育児という話もありましたけども。男性が育児しててもいいんですけどもね。

(武田砂鉄)もちろんそう。だからそういう選択肢すら、彼らは頭にないから。でもたぶん、彼らにしてみたらその構造を守れば守るほど、いわゆる男性優位社会っていうのを保てるわけですよね。夜の会合で決めてしまえば。その感じっていうのが奇しくもこの緊急事態宣言下であらわになっちゃってるっていうのがありますよね。

(澤田大樹)で、やっぱりこれ、男性中心社会の問題があらわになった例っていうのはさっきの森さんの話とこれ、全部地続きなんだなっていうこの浜田さんの指摘、すごく唸らされるなって思いましたね。

<書き起こしおわり>

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