星野源さんが2021年1月19日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で2020年大晦日に『紅白歌合戦』で披露した『うちで踊ろう(大晦日)』についてトーク。新たに追加された2番の歌詞について話していました。
(星野源)さあ、去年の年末、いろいろありましたね。『逃げ恥』の宣伝でいろいろテレビとか出させていただいたり。雑誌に出たりもしていたし。ミュージックステーションがあったりとか。ミュージックステーションの話はたしか、しましたよね。
(星野源)なので、『紅白歌合戦』のお話をしましょう。メールが来ております。東京都の方。「大晦日に放送された『紅白歌合戦』で初披露された『うちで踊ろう(大晦日)』を年越しそばを食べながらリアルタイムで拝見させていただきました」。ありがとうございます。年越しそばを食べながら紅白を見るってなんかいいよね。
「……2番の歌詞が付いただけではなく、新しいメロディーや転調も加わり、コロナの影響でつらいことの方が多かった2020年を思い出しながら聞いていると、気が付いたら涙があふれ返っていました。後半のサックスの竹嶋さんがソロで源さんがワンフレーズ、ハミングをされていましたが、あのフレーズはアース・ウィンド・アンド・ファイアーの『September』のサビに聞こえました。あのメロディーは『September』のオマージュだったのでしょうか?」。
そうですね。あれですよ。『おげんさん』の時に『うちで踊ろう』をやった時からそうなんですけど。なんかバンドリハをしてる時に、なんとなく歌を歌っている時に間奏の時とかに……なんか、歌ってみたらものすごくバチッとハマったんですよ。『September』のサビのメロディーが。で、それで気持ちよくて。僕がやると、だいたいみんなやってくれるんですよね。その音を。で、ギターの亮ちゃんがやってくれて、みたいな。
なので、それがたぶん残ってたでしょうね。紅白の本番の日はまず亮ちゃんがやったの。サックスソロ中に亮ちゃんがちょっとこう裏ソロみたいな感じで『September』のメロディーをやって。それを僕が真似したっていう。なんかそういう形でしたね。非常にそういうのは楽しい。で、『September』のメロディーもハマるし。あとは瑛人くんの『香水』もあれ、ハマります。「ドールチェ♪」っていうのもハマるんで。皆さん、ぜひやってみてください。
『September』や『香水』がハマる
(星野源)だから、『おげんさん』の時に大知くんと2人で弾き語りコントみたいなので『香水』をちょっとギャグっぽく歌わせてもらったんですけど。まあ、そこで歌ってたからっていうのもあって。『うちで踊ろう』にはめたら、メロディーもすごいきれいにはまっていて。これね、ぜひ皆さん、試してみてください。
続いて。「年末の紅白での『うちで踊ろう』を見ました。涙が止まりませんでした。『生きて踊ろう。僕らずっと独りだと諦め進もう』。その歌詞がお守りのような曲だなと思いました。結婚しても、子供がいても、拭えない孤独感がずっとあって。そのことで自分が許せなくて苦しくて仕方がありませんでした。でもこの曲を聞いて『そんな自分でもいいじゃん』と思いました。源さん、本当にありがとうございます。このお守り(勝手にお守りにしてすいません)を胸に今年も生きていきます。今年は源さんのライブ、行きたいな」という。僕もライブしたいですよ。ありがとうございます。
そうですね。この歌詞をいろんな人からメールが来ます。「いいね」って。で、「いいね」ってこんなに言ってもらえると思わなくてですね。非常に嬉しいです。ありがとうございます。なんかね、僕……なんかこれ、結構いろんな知り合いのライターさんだったり、知り合いじゃないライターさんもコラムみたいな感じで歌詞について書いてくれたりして。それを読んだりとかして。「ああ、面白いな。こんな捉え方をしてくれているな」って。あと、「自分の思いみたいなものは伝わっているな」っていう感じがあって。
それで、ああ、もちろん「伝わってないな」っていうのもあったんだけども(笑)。「伝わっているな」っていうのが知り合いとかから連絡で来て。「ああ、よかった、よかった」と思って。で、なんて言うんだろうな? 「僕らずっと独りだと諦め進もう」っていうのは僕はそんなに悪い意味で書いてないっていうか。なんて言うんだろうな? これって、「独りぼっちでいろ」っていうことじゃないんですよね。
「僕らずっと独りだと諦め進もう」
どうしても、自分と他人の境界線って人といるとちょっと薄くなってきちゃったりとか。慣れちゃったりしていくと、当たり前なんだけど「自分と他人って違うよね」っていうことを忘れがちになる時があって。それで、「なんでわかってくれないの?」とか、「なんでこんなこと言ってるに伝わらないの?」とかっていう気持ちになるんだけど。そもそも、自分と自分以外の人って全員、違うよねっていうことを改めて考えると、そういうことにイライラしなくなるっていうか。
「そうだよね。違うよね」っていう。で、改めて、「なるべく細かく説明しよう」と思う気持ちになるっていうか。だから、やっぱり「気のおけない」とか「何を言ってもいい」っていう友達とか、そういうのも本当に大事だと思うけど。でも、やっぱりその中には礼儀だったりとか、ある程度のルールってのはどう考えても必要だなと僕は思うので。だから、そういう「1人である。自分は自分である」っていう。でも、その中で人といるということがより豊かになるっていう。そういう意味合い、ニュアンスの方が自分の中では強いので。
だから、僕の詞の書き方っていうか……「進もう」で終わっているっていうのはそういうことですね。「諦めよう」で終わってしまうとマイナスの歌詞なんだけども。僕のは「諦め進もう」なので。そこは前向きな歌詞なんですよね。自分の中では。なので、お守りのように思ってもらえて非常に嬉しいです。ありがとうございます。
そうですね。本当にたくさんいろんなメールをもらって。ありがたいですね。続いて。「YouTubeで公開された紅白での『うちで踊ろう』フルバージョン、すごいですね。ふと再生回数を見てみたら、すでに100万回を超えていました。源さん、気づきましたか?」。いや、気づいてませんでした。
「……公開されてから間もないのに、びっくりです。そんな私も毎日のようにスマホを開け、家事をしながら、通勤のお供に、休日の癒しに見て聞いています。イヤホンで聞くのも最高です。バンドメンバーとの音の重なりがより強く聞こえて、心が温まります。息苦しい毎日ですが、音楽の力に日々癒されたり、元気をもらえたり。まだまだ当たり前の日常が戻ってくる日がいつかわからなくて、終わりが見えなくてつらいけれど。この『うちで踊ろう(大晦日)』を見て聞いて口ずさんで心の内で踊りながら、いつかライブで一緒に歌える日が来るまで、私も私の生活を頑張ろうと思います」という。ありがとうございます。
そうですね。今、NHKの公式YouTubeチャンネルでですね、僕を歌った『うちで踊ろう』が公開されているので、ぜひ皆さん。見てない方は見てください。で、あれですよ。その紅白の歌唱をYouTubeで聞けるっていうのはすごいですよね。どうですか? 紅白大好きマニアの寺ちゃんからしたら。
(寺坂直毅)かつてないんじゃないかな?って。やっぱり紅白ってね、終わったらもう、終わりですから。放送だから。
(星野源)あとはね、オンデマンドとかね、そういうところでは見れたりもするけども。たしかにね。あんまりないよね。だからそういうこともね、そのNHKさんがね、決定してくれたのも嬉しいし。まあ本当にそこでしか今、あの曲ってフルでやってないから。だからそれをね、聞いてもらえるのは嬉しいし。でも本当に「リリースしてください」っていう声がものすごくて。なので、どこかでリリースします。今度はちゃんとお金を取ろうと思います(笑)。今まで全然お金を取ってないから。今度はね、一応フルというのもありますし。どこかでね、リリースできたらと思っております。どこかのタイミングで。
それで、そうですね。これはあれなんですよ。この間ね、インタビューみたいなのをしていてひとつ思ったことがあって。『うちで踊ろう』を作った頃に、いつも自分の近くでいろいろ動いてくれて。働いてくれているスタッフの人に今回、インタビューしてもらったのね。で、その時に僕はすっかり忘れてたんだけど。『うちで踊ろう』を割とできた直後ぐらいに「もし、これが『紅白で歌ってください』っていうオファーが来たら、その時に詞を増やして紅白で歌うのも面白いかもね、みたいなことを言ってたんですよ」って言われて。「ああ、そうか。言ってたか」と思って。
漠然と考えていた紅白での新歌詞追加
でもなんか、そういう風に漠然とは思ってたんですよ。まあ、でもこれ、売ってないから。売ってない曲って紅白で歌えるの?って思って(笑)。だからそれが歌えたというか、オファーをいただけたので。「おお、すごいな。嬉しいな!」と思い。それで「どう歌いますかね?」っていう話になった時に……『おげんさん』の時に2倍ぐらいにして。同じ歌詞でみんなで歌うっていうのやっていたけども。今回は僕1人なので。「じゃあ、前々からちょっとやりたかったので……」って言って。新しく詞を書くという。
それで「紅白に向けて」というよりも、その『うちで踊ろう』というものから去年、2020年の4月3日の深夜から8ヶ月ぐらい。12月ぐらいまで、いろいろと……いろんな人にカバーしてもらったりとか。いろんな展開があったとか。そういうのも含めて、何か作品をもう1個、作れるんじゃないかなと。それであと、「紅白で新曲をやる」ってないと思うんですよね(笑)。「それって、面白くない?」って思って。この間、「そういうのってドキドキしませんでした? 怖くなかったですか?」って言われたんだけども。でも、怖いわけがないよね。だって、そんなことをやらせてもらうっていうことがないわけじゃない?
で、面白さしかないっていうか。だってあんなに……だって4000万人ぐらいが見ている番組じゃないですか。そこに向けて、その日にその年の総決算であるということを全員が思っていて。見ている側も。で、出る側も「今年1年」っていうものを思いながら出るわけじゃない? そこに向けて、いわゆる普通の出場っていうのはその年にリリースして、ヒットしたりとか。あとはその人の代表曲とかっていうので出場をするわけだから。その年1年を思って、歌詞に含められることってたぶんほとんどないと思うんですよ。
まあ、年末ギリギリに出たものとかはあるかもしれないけど。しかも、そこで初披露して。その瞬間のために作れるっていうのはないし。それができるってなんて……もうワクワク。武者震いみたいな。どんな言葉をつづろうか?っていうのが楽しみでしょうがなくて。非常に楽しく作りました。なので、すごい詞を書いてる時も楽しかったし。
その曲の編曲の展開を作って。新しいメロディーを作ったりした時も非常に楽しかったし。なので皆さん、ぜひたくさん聞いてください。YouTube、NHKの公式で上がっていますから。それで、どこかでリリースできたらと思っています。
星野源『うちで踊ろう(大晦日)』フル・バージョン
<書き起こしおわり>