朝井リョウさんが2020年12月6日放送のニッポン放送『高橋みなみと朝井リョウ ヨブンのこと』の中で渡辺直美さんのYouTube動画『1人で誕生日会in New York』についてトーク。渡辺直美さんが披露した恋愛話を聞いて考えたことを話していました。
(朝井リョウ)ラジオニュース番外編!
(高橋みなみ)ああ、また来た。たまに出てくるやつ!
(朝井リョウ)第2回にして番外編ですが……今回は私が最近聞いた中で一番、声を出して笑った。かつ、感銘を受けたというお話がありまして。渡辺直美さん。YouTubeでたまに生配信をされるですけれども。その中での『1人で誕生日会in New York』っていう動画が上がっているんですね。で、それがすごい長いの。2時間ぐらいある動画なんだけども。私、(スープの作り置き用に)野菜切る時、電話の相手が見つからなかったらラジオを流したりとか、誰かの生配信的なものを流したりしながら切ってるんですけど。
(朝井リョウ)その渡辺直美さんの『1人で誕生日会in New York』の1時間6分40秒ぐらいから30分ぐらいかけて、1個のフリートーク的な感じで渡辺直美さんがニューヨークであった恋のお話をしてくれているの。
(高橋みなみ)おおーっ!
(朝井リョウ)で、その30分のトークが私、ここ最近聞いた中で一番面白かったですよ。で、それがそのどういう内容かっていうと、恋愛の話をする……ラジオとかでフリートークで恋愛の話をする方って芸人さんとかでもいらっしゃるじゃないですか。でも基本的にやっぱり男性芸人さんが「狙っている女性がいる」とか。そういうなにかエッチなハプニングの話をするみたいなのを聞くことは多いけれども、渡辺直美さんの話がもう、「女性が狙いに行く」っていう話だったの。もう「この日の夜にそういうことをする」って決めて。
(高橋みなみ)うわっ、すごい!
(朝井リョウ)そう。もう脱毛に行ったりとか。もちろん全身。
(高橋みなみ)リアルですね(笑)。
(朝井リョウ)でも、その話をすごい事細かにさ……「ニューヨークの人だから、サイズがわからないからコンドームも何種類か買って……」みたいな。すごい赤裸々に話していてさ。しかも、内容もめちゃめちゃ面白くて。でも最後、「そんな話もするの!?」っていうのを、結構もう普通に。でも、それがすごい個人的に感動だったの。女性が「絶対に私、この日に狙う」って思いながら、逆算していろんな行動をする。「あれも買っておいて、準備しておいて……」とかやる話って意外とさ、公共の場で聞くことってないじゃない?
(高橋みなみ)ないね。
(朝井リョウ)あっても……渡辺直美さんは芸人さんだけど、ポジション的になんていうの? 元々そういうのを売りにしている人ではないというか……シモネタを話すことも多いけど。渡辺直美さんって。でも、なんかその中でも今まで聞いたことある話の中ですごい斬新だったのよ。で、内容もちゃんと面白いしさ。それで私、それを聞いてすごい思ったのは、きっとそれって「シモネタ」っていう風に括られてしまう内容じゃない? 話してる時にも本人が「これ、大丈夫かな?」とか「BANされないかな? でも、まあいいか」とか言って。「乳首からツインテールぐらい毛が生えていて」みたいなことを話しながら……(笑)。
(高橋みなみ)アハハハハハハハハッ!
(朝井リョウ)それでまた後半のオチが超面白いから。それは言わないでおきますけど。でも、そういう話をしているとさ、なんていうの? シモネタって括られちゃうことがきっと多いだろうなって思ったんですけど、私はそれを聞きながらーー僭越ながら私の排便の話も含ませていただきますがーー「真剣に話したことはシモネタじゃないんじゃないか?」という仮説が私の中で浮かんだんですね。
(高橋みなみ)ああ、それは話し手の温度感っていうこと?
「真剣に話したことはシモネタじゃないんじゃないか?」という仮説
(朝井リョウ)なんていうの? だから「シモネタを話しますよ」っていうことじゃなくて、渡辺さんの場合は「最近、ちょっとあった恋の話をするね」っていうことで、出会いから話してくれて。最後に、最終的に「この日にする」と決めた夜がどうなったか?っていう話なんだけど。だから、「恋の話をするね」から始まった先にあったとんでもない出来事だったんですけど。
だからなんか私も、その「ウンコで笑わせてやろう」じゃなくて、人生で本当に自分にとってとても大きなこととして起きた話が、世の中的に見たらシモネタとして括られてしまうことなのかもしれないという。だから「下品」とか「シモネタ」っていうことの定義を考えたいの。私は。そう思ったの。その渡辺直美さんのお話を聞いて。これが全然下品じゃなかったの。で、出てくる単語はすごい下品よ。でも、別に全然下品じゃないの。全体として。
でも、これがそうどういうことなのか?っていうことを考えたくて。私、ちょっと前に……結構前ですけど。ザ・ギースの高佐さんが大喜利だけめちゃめちゃやっているチャンネルがあるっていう話をしたでしょう? で、その時にすごく、何て言うのかな? そのギースの高佐さんが持っている品の良さについてちょっとお話をしたと思っていて。で、その回をね、高佐さんが聞いてくれていたの。
で、その後にちょっと30分ぐらい話す動画の時に、「品の良さを言ってくれたけど、朝井さんはもしかしたら僕がシモネタとかをすごい話してるところを聞いたことがないかもしれないから。がっかりさせちゃうかもしれない。そんな品のいい人間ではないですよ」っていう風に言っていたんですけど。
私はギースの高佐さんがすごいシモネタ、えげつないシモネタを話していたとしても、品のいい人間だと思うんですよ。それはなぜかというと、そのYouTubeの中ですごく流行るものをやるんじゃなくて。もう大喜利の、本当に好きなものをとにかく追求しているというそのチャンネルに品があるから。だからそこでたとえばとんでもないシモネタの回答とかを出したとしても、その単語自体は品がないかもしれないけど、そのチャンネルは下品じゃないですよって思うの。ということを高佐さんにも伝えたかったの。もう絶対聞いてないけどね(笑)。
(高橋みなみ)「伝えたかったの」(笑)。
(朝井リョウ)絶対に聞いてない。そうやって「朝井さん、でも僕がシモネタを話してるのを聞いたらショックを受けちゃうかもしれない」って……「受けないよ! あなたには品があるから。それはそのチャンネルが物語っているから!」って。
(高橋みなみ)「人間性という枠による」っていうことですか?
(朝井リョウ)なんか、でもこの話をすると逆に「じゃあ、あの人は品じゃないってことですね?」っていう風に思われてしまう可能性があるので、これ以上は話さないようにしているんですが。その、渡辺さんとか高佐さんのお話で品とか下品とかシモネタとか、果たしてそれは本当はどういう意味なのか?」っていうことを考えたということが、このラジオニュースでお伝えしたかったことです。皆さん、ぜひ『1人で誕生日会in New York』の1時間6分40秒ぐらいから30分ぐらいあるので。聞いてみてください。
(高橋みなみ)気になるな!
渡辺直美『1人で誕生日会in New York』
<書き起こしおわり>