朝井リョウと宇多丸 『武道館』とつんく楽曲を語る

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朝井リョウさんがTBSラジオ『アフター6ジャンクション』にゲスト出演。宇多丸さん、宇垣美里さんとドラマ『眠れぬ真珠』や小説『武道館』、そしてつんくさん楽曲の魅力について話していました。

(宇垣美里)今夜登場するのは小説家の朝井リョウさんです。

(朝井リョウ)よろしくお願いします。

(宇多丸)はじめまして。お会いしたかったです。

(朝井リョウ)こちらこそ。ありがとうございます。

(宇多丸)噂以上にシュッとした美青年で。

(宇垣美里)シュッとしていますよね。

(朝井リョウ)あっ、悪口言われました。いま。

(宇多丸)えっ、なんで?

(朝井リョウ)私、なんか年下の人に会う時、「この人、特徴ないな」っていう時に「シュッとしてますね」って言ってしまうので……。

(宇多丸)いやいや! それは朝井さんが意地悪なだけじゃないですか!(笑)。

(朝井リョウ)本当、申し訳ない。「シュッとしている」って言わせてしまって。

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「シュッとしている」=ディス

(宇多丸)これ、でも後ほど話題に出てくるあのお方もたしか、某小説のあとがきで「シュッとした」って書かれていたと思うんですけどね。

(宇垣美里)フフフ(笑)。シュッとしてますよね。

(朝井リョウ)やっぱり顔に特徴がないんですよね。

(宇多丸)いやいや、違いますよ! スッとしているんですよ!

(朝井リョウ)がんばります。凸凹したいんで。私は。

(宇多丸)凸凹ね。いやいや、彫りもしっかりしていますよ。なんで顔の造作の話を(笑)。

(朝井リョウ)いろんな人の従兄弟に似ているって言われるんです。でも、がんばります。

(宇多丸)アハハハハハッ! でもこの繊細な感受性こと、実は朝井さんの小説のイズムかもしれませんね。ということで朝井さん、本日はどのようなお話をしてくださるんでしょうか?

(朝井リョウ)僕の小説とつんくさんの話をしに来ました。

(宇多丸)おおっ、つんくさん。まさにそのつんくさんが朝井さんの『武道館』という小説のあとがきを書かれていて。その中で「シュッとした好青年」って。つんくさんだって書いているのに。

(宇垣美里)フフフ、悪口じゃないですよ(笑)。

(朝井リョウ)危ないですね。ちゃんと受け止めます。私はシュッとしている。

(宇多丸)アハハハハハッ!

(宇垣美里)では、まず朝井リョウさんのご紹介をさせていただきますね。1989年生まれの岐阜県出身。早稲田大学在学中の2009年に『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞し小説家デビューされました。2013年、就職活動中の大学生5人の人間模様を描いた『何者』で第148回直木賞を受賞。直木賞史上初の平成生まれの受賞者で男性受賞者としては最年少ということです。

(朝井リョウ)はい。あと1年しか持たない肩書ですね。

(宇垣美里)そうですね。(平成が)もう終わっちゃいますからね。

(朝井リョウ)そうなんですよ。

(宇多丸)まあ、たしかに逆に旧世代感が出てしまうっていう。この、とにかく鋭敏な感じですね。朝井さんね。

(朝井リョウ)アハハハハハッ!

(宇多丸)ちなみにリスナーの方からメッセージをいただいていて。これ、読んでいいですか?

(朝井リョウ)うれしいです。

(宇多丸)「宇多丸さん、宇垣さん、そして朝井さん、こんばんは。他局(有楽町方面)の番組なのであまり大きくは言えませんが朝井さんのラジオを毎週チェックしている身としては今回のゲスト出演、非常に楽しみにしておりました。小説家であり無類のラジオ好きでもある朝井さんのトーク、期待しています」ということで。

(朝井リョウ)ああー、緊張させますね。

(宇垣美里)フフフ、でもね、先ほどの「シュッとしている=悪口」説もそうなんですけど、私はこの朝井さんの意地悪な目線が大好きなんですよね(笑)。

(宇多丸)うんうん。

(朝井リョウ)いや、本当にね、宇垣さんには私、ラジオに呼んでいたいだことがあって。で、きちんとお話をさせていただく機会があったんですけども。私、昨年すごくかじりつきで見ていたドラマがあったんですよ。

(宇垣美里)フフフフフッ!(笑)。

(朝井リョウ)で、そのドラマを他に現実世界で見ている人は――ネットではすごい話題になっていたんですけど――現実世界で見ている人がいなくて。なかなか話せないなって思っていたところで、宇垣さんはそのドラマを見ていて。

(宇多丸)ほうほう。

(朝井リョウ)それはかなり意地悪な目線で世界を見ている人じゃないとラテ欄で見つけられないドラマだったんですよ。

(宇多丸)えっ、ドラマでですか? そんなドラマ、あります?

(宇垣美里)あったんですね。

(朝井リョウ)年末にどさくさに紛れて2週連続で放送された『眠れぬ真珠』っていうドラマなんですけども。

(宇垣美里)フフフ(笑)。あ、吹いちゃった(笑)。

(宇多丸)もう宇垣さんが完全に鼻から何かを吹いていますけども。

ドラマ『眠れぬ真珠』

(宇垣美里)いや、これが本当にラテ欄というかテレビの紹介のところを見ただけで「これは! これは、やりおる!」って思ってみたら、やっていましたね。

(朝井リョウ)やっていました。

(宇多丸)数少ないそういうキャッチできるアンテナを持っている人のみが見ている……ああ、これですか?

(宇垣美里)「これはおそらくトンチキ」っていう感じが本当に……フフフ(笑)。

(朝井リョウ)もうセンター試験とかで答えが浮いて見えるっていう状態にラテ欄を見た時になっていたんですけども。

(宇多丸)フフフ(笑)。

(宇垣美里)「これはトンチキ!」って思ったら本当にトンチキだったんですよ。

(朝井リョウ)素晴らしかったですよね。大好きなドラマです。

(宇多丸)宇垣さんは「トンチキ」っていうフレーズを出しちゃってますけども。朝井さんは言葉を選んでいるんだから!(笑)。

(宇垣美里)ごめんなさい。でも、突っ込みながら見る楽しみってあると思うんですけども。あんなに楽しめるドラマって、あります?(笑)。

(宇多丸)一応、これ読んでもいいですか? コピーを。「恥じらいよりも素直に感じたい。17才も年下の彼にこんなにも惹かれていく。欲望のままに生きる大人の女性限定のラブストーリー」というね。

(朝井・宇垣)(拍手)

(宇多丸)これはやはり、香ばしい香りを……。

(宇垣美里)また、この主役を張ってらっしゃるのが藤原紀香さん!

(朝井リョウ)すごかったんですよ。

(宇多丸)ああ、なるほどね! いまのフレーズで藤原さんと来ると、かなり味の濃さというか。

(朝井リョウ)そうなんですよ。更年期障害が白血病のように出てくるという……。

(宇多丸)フハハハハハッ!

(宇垣美里)キラーワードですね(笑)。

(朝井リョウ)本当にすっごい楽しくて。この話ができた、本当に唯一ぐらいの方が宇垣さんっていう。

(宇多丸)ああ、これは私、ちょっとスルーという。節穴でございました。フシアナトーキョーでございます。

(宇垣美里)意地が悪い人じゃないとなかなか見られないという。

(朝井リョウ)まあ、楽しい人ですよね。世間を楽しく見ているという。

(宇多丸)ああ、写真……ヤバいですね。これはちょっとね。で、宇垣さんがこの間、いろいろと番組の企画を立てていて。こうやって駄話をしている時に朝井さんの名前が挙がって。そしたら、「ああ、私連絡先を知っているんで」って。

(宇垣美里)「お会いしたことがあります」っていう話は。

(宇多丸)で、「連絡しておきます」みたいに。すごくライトに……。

(宇垣美里)違いますよ。藤井隆さんがいらっしゃるということで、「あっ、教えて差し上げなければ」ってなって。

(宇多丸)藤井さん?

(朝井リョウ)本当に藤井さんの曲が大好きなんで。宇多丸さんのおかげで藤井さんもまた歌の活動をされたりっていうお話もあって。勝手に私も感謝をしていて。藤井さんを通して祈りを捧げていたので。本当に感謝です。(拝む)。

(宇多丸)本当に拝むのやめてくださいよ。私、いろいろとそういうのが似合いすぎるもんだいもありますので。ありがとうございます(笑)。油断も隙もないですね!

(宇垣美里)フフフ(笑)。

(朝井リョウ)楽しいですね(笑)。

(宇垣美里)そうなんです。大好きなんです(笑)。

(宇多丸)僕の方はもちろんお会いするのははじめてで、一方的にご本を読ませていただいている状態なんですけども。特にやっぱり映画化作品二作。土曜日にやっていた『ウィークエンド・シャッフル』で『桐島、部活やめるってよ』と『何者』という。この二作を並べても、とにかくみんな黙っていられないんですよね。とにかく見た人、読んだ人が。で、ついついいろんな人が、映画評以外にも「俺にもしゃべらせろ! 俺にもしゃべらせろ!」ってやってくるという。これはやっぱり朝井さんの作品力というか。

(朝井リョウ)いやいや、私は本当に映画化作品を褒められる時に音として聞いちゃうんですよね。

(宇多丸)まあ、ね。距離はね。

(朝井リョウ)そうなんです。監督さんと脚本家さんと俳優さんの作品だって思わないと調子に乗っちゃうんで。すごく抑えて抑えて……。

(宇多丸)でも間違いなくその根っこには朝井さんのこの視点ですよ。さっきから見え隠れする……。

(宇垣美里)意地悪さ。

(宇多丸)あのですね、さっきから宇垣さん、ワードの選び方がむき出しすぎるんです!(笑)。

(宇垣美里)違うんです、違うんです。私、本当にそこが……優しい小説もあるんです。そっちも私、大好きなんですけども。『何者』とか『桐島、部活やめるってよ』のあの徹底的にリアルをどんどんどんどん見せてきて「うっ! 見たくない……」っていうところまで見せてくる……。

何者 (新潮文庫)
Posted at 2018.5.16
朝井 リョウ
新潮社

(宇多丸)どっちも共通しているのは「うわっ!」っていう。「若さって、嫌だ」っていうか、「俺、よかった。48で! 逃げ切った!」みたいな。

(朝井リョウ)たしかに。

(宇垣美里)知っていたことをここまで言語化されると、なんて胸が痛いのだろうっていう。

(宇多丸)ねえ。

(朝井リョウ)気持ちいい時間でした。ありがとうございます。

(宇垣美里)フフフ(笑)。

(宇多丸)いやいや、本当ですよ。でも、まさに宇垣さんがおっしゃる通り、意地悪って言うけどその鋭敏さはベースにめちゃめちゃ優しくて繊細な魂があるから、やっぱり気づいちゃうんですよね。細かいことが。

(宇垣美里)一応優しい方の本も持ってきたんです。私。すごく好きなんですけど。『世界地図の下書き』っていう本もすごく優しいですし。

世界地図の下書き (集英社文庫)
Posted at 2018.5.16
朝井 リョウ
集英社

(宇多丸)はい。

(宇垣美里)『もういちど生まれる』とかもすごく好きで。

(朝井リョウ)ああ、ありがとうございます。いろいろ知ってくださって。本当に人と「あの人をどう懲らしめようか?」っていう話をしている時に、その人から「あなたは本当に児童文学の賞を取ったんだよね?」っていうことを聞かれまして。すごく申し訳ないなっていう。

もういちど生まれる (幻冬舎文庫)
Posted at 2018.5.16
朝井 リョウ
幻冬舎

(宇多丸)フフフ。「どう懲らしめようか」(笑)。なんか朝井さん、しゃべり方の内容とか感じが藤井さんとすっごく近いですよ。

(朝井リョウ)めっちゃうれしいんですけど、すごく恥ずかしくもあります。私、結構子供の頃から藤井さんの番組の暗記とかをしていたりして。

(宇多丸)暗記? 彼が言うこととかを?

(朝井リョウ)はい。

(宇垣美里)コピーイング的なことですね。

(朝井リョウ)とかで幼少期を過ごしてきていてっていうことがあったので、うれしいし、恥ずかしいです。

(宇多丸)いやいや、素晴らしいことですよね。品とその向こうにある全く油断のならなさ、譲る気のなさ(笑)。

(朝井リョウ)藤井さーん(笑)。

(宇多丸)「藤井さん、藤井さーん!」っていうね(笑)。といったあたりで本日は先ほど、朝井さんの小説とつんくさんの話をメインにっていうことで。ある意味、僕もハロプロ、いまもファンですし。初期ハロプロからのファンですし、藤井さんのファンですから。音楽の趣味もきっと合うと思うんですけど。

(朝井リョウ)うれしいです。

(宇多丸)なぜ、このタイミングでつんくさんの話かな?っていうのは……。

(朝井リョウ)はい。まあ小説の『武道館』っていうのが文庫として春に出させていただいて。帯と解説を書いていただいたっていうのもあるんですけども。

武道館 (文春文庫)
Posted at 2018.5.16
朝井 リョウ
文藝春秋

(宇多丸)はい。

(朝井リョウ)先ほど、宇垣さんがおっしゃった嫌なところというか見たくないよっていうところを突きつけてくるっていう人が私にとっては結構つんくさんの書く楽曲がそれに当てはまるというところがあるんですよね。結構執筆で二の足を踏みそうになった時、甘くなってしまいそうになった時に私はつんくさんの曲をよく聞くんですけども。つんくさんって不都合にしておいた方が、言葉にしない方がうまくスムーズに物が進むよねっていうことを言葉にしてくださる方だなっていう風に思っていて。アイドルの曲なんだけど性欲だったり食欲だったり。「欲」をすごくむき出しにして歌ってくださるとか。

(宇多丸)ああー。

つんく楽曲の魅力

(朝井リョウ)あと、夏だからって夏ソングみたいなことをしないというか。世間が求めるものよりも自分が作りたい曲を作って出していく強さみたいなものも感じますし。創作者としてひとつ、ある種目指すべき姿みたいなところがあるような気がしていて。すごいおまじないのように聞いています。

(宇多丸)ほう。具体的にたとえばつんくさんの曲とかで言うと?

(朝井リョウ)たとえば、℃-uteっていう解散してしまったグループがあって。その最後のアルバムにいろんな人が℃-uteのラストソングを書いているんですけども、つんくさんが『全部終わった帰り道』っていう曲を書かれていて。

(宇多丸)はい。

(朝井リョウ)その内容が他の方は「アイドルが終わって未来へ向かって……」っていう感じの曲なんですけど、つんくさんの曲は「終わってすぐにコンビニでめちゃめちゃ大量にお菓子を買ってみんなですごく食べるんだけど、ご飯物を買うのを忘れちゃったからまだお腹が空いている」っていう歌だったんですよ。

℃-ute『全部終わった帰り道』

(宇多丸)ほうほう。

(朝井リョウ)なんか、そう言われると逆に℃-uteはいなくなっていないんだっていう風に思えるっていうか。

(宇多丸)まだ人生は続いている。

(朝井リョウ)そうなんです。すごいきれいな演出でコンサートが終わったので、ある種いなくなっちゃったのかな?っていうぐらいの気持ちを抱かせるコンサートだったんですけど、その後につんくさんの曲を聞くと「ああ、食欲は続いているし、人間の営みが℃-uteの中では続いているんだな」っていうことを思い知らされたりとか。地に足をつけてくれる感じがいたるところでするんですよね。

(宇多丸)うんうん。

(宇垣美里)なんかこの『武道館』という本を読ませていただいてすごく思ったのが、朝井リョウさんがアイドルの欲に対してなんて優しい目線を持ってらっしゃるんだろうって私はすごく思って。それが表に出る人間に対してなのかはわからないですけど、すごく……そうだよね。みんな「『ない』ものにしなきゃならない」っていう目線を持っている方が多い中で、「あって当然だよね」ってきっと言ってくれているんじゃないかな? みたいな気持ちになって読みました。

(朝井リョウ)そうですね。『武道館』の中ではかけ離れているべき2つの側面がどっちも自分であるっていうことをすごい書きたかったんですけども。世の中でもいろんな事件が起きた後に「あの人があんなことをやるなんて思わなかった」って……たとえば学校の先生がクスリを使ってしまったみたいなケースがあった時、すごい驚かれますけども。私は、言葉は悪いけど、すごくその方が自然に見えてしまう時があって。人にずっと何かを教えなきゃいけない、人の手本にならなきゃいけない時間を長く過ごしている人って、その分なにかまた別の時間があるんじゃないか? そっちの方が自然じゃないのか?って思うところが……アイドルを見ていてもやっぱり思うんですよね。

(宇多丸)うんうん。

(朝井リョウ)すごいキラキラしていて夢を見せてくれているけども、そうじゃない時間があっていいし、その時間が自分の中にあることを認めてねっていうことを小説で書きたかったというところはあります。

(宇多丸)なるほど。そもそもね、つんくさんがたとえばモーニング娘。とかアイドル的なるものをプロデュースするに至るきっかけの最初のモーニング娘。って、全く『ASAYAN』というオーディション番組を通じてものすごい生身の人間として……しかも、オーディションを落ちた組として登場してきて。しかも、全くアイドル……安倍なつみさんというナチュラルボーンアイドルタイプ入るけど、その他のメンバーはどっちかっていうと非アイドル的なメンツを集めてやってくるというところから始めてっていう。だからそもそも生身の人間がいてっていうところからたしかにつんくさんのプロデュースワークって始まっているし。

(朝井リョウ)はい。

(宇多丸)あと、歌詞でいうとさっきおっしゃったようなものすごいマクロなテーマを扱う時に描写がめちゃめちゃミクロみたいな。

(朝井リョウ)ああ、そう! 私、それ大好きなんですよ。

(宇多丸)『ザ☆ピース!』を歌う時、「選挙の日ってウチじゃなぜか投票行って外食するんだ」っていう。

(朝井リョウ)すごい! 本当にすごいと思う。命のことを歌う時に回転寿司でマグロが遠くから流れてくるのを歌うとか、やっぱりそういうところに個性が宿るっていうとあれですけども。なんて言うんでしょうか、隕石が落ちてきたらみんな文章を書くじゃないですか。なにか文献に残したいと思うから書くと思うんですけど、マグロが流れてくるとか、あの人だけ靴紐がほどけているとか、そういうみんなが書かないけど誰かは書くかもしれないことっていうのをつんくさんは拾ってくださっているような気がしていて。震度1でも書くっていうか。震度7だったらみんな残すと思うんですけど、震度1でも書くことを書き続けてくれている人っていう気がしますね。

(宇多丸)なるほどな。つんくさんってね、歌詞世界がおっしゃる通り本当に独特で。僕は割と『BUBKA』とかでとにかくあまりにもそのままを歌詞のタイトルにしすぎじゃないの?っていうか。タイトルがもう歌のタイトルとは思えないぐらい文章なんですよね。

(朝井リョウ)ありますよね。そういう時。

(宇多丸)ああいう独特な言語感覚みたいなの、朝井さん的にも刺激を受けるみたいな?

(朝井リョウ)大好きですね。あと、やっぱり怖がらないというか。たとえば最近、NHKの合唱の課題曲を書かれたんですけども。私も実はちょっと前に書かせていただいていて、ちょっと現代詩っぽいのを書くぞ、みたいな。

(宇垣美里)フフフ、日和っちゃう(笑)。

(朝井リョウ)わかりますか? 「金子みすゞ、行くぞ」みたいな。そんな気持ちで、「後世に残りたい」みたいな欲が出ちゃったんです。で、自分をちょっと変えちゃうじゃないですか。自分のスタイルを変えちゃうみたいなのがあったんですけど……。

(宇多丸)うんうん。

(朝井リョウ)つんくさんが今年書いたNHK合唱コンクールの課題曲のタイトルが『ポジティブ太郎』っていう。

(宇垣美里)アハハハハハッ!

(宇多丸)うわっ!っぽいなー!

(朝井リョウ)やっぱり気にしてないんだっていう。どこに曲を書くか? じゃなくて、自分の書きたい曲を書いているんだっていうことがビンビン伝わって。最高だな!って思ったんですよ。

(宇多丸)フフフ、っぽいですよねー!

(宇垣美里)『ポジティブ太郎』。

(宇多丸)たしかにだから、僕が言っている「まんまやないか!」こそがつんくさんの強みなのかもしれないですね。ついつい一ひねり、二ひねりするでしょうっていうのを、ズバーンと行くでしょうっていう。

(朝井リョウ)そうなんですよね。格好をつけない。

(宇垣美里)あと女の子の性欲っていう言い方が正しいかはわからないですけど。その、あられもない感情を言葉にしているなってすごく思うんですよね。

(宇多丸)あ、ちょっとね、あっという間に「曲に行け」っていう指示が来てしまって。つんくさんご本人とお会いした時のお話もうかがいたいんですが、まずは曲をチョイスしていただいたのがあるので。これを行きましょうかね。

(朝井リョウ)はい。私が選んだのは『TOUCH ME #4』。

(宇多丸)これ、『TOUCH ME』っていうつんくさんのソロ曲ですよね。唯一かな?

(朝井リョウ)いや、他にも『しょっぱいね』とかあるんですけども。

(宇多丸)で、『TOUCH ME』を選んできていただいて。僕は「ああ、朝井さん、『TOUCH ME』を選んできたんだ。でも『TOUCH ME』ってバージョンが3つかあるけど、どれなのかな?」みたいな。

TOUCH ME
Posted at 2018.5.16
TSUNKU
ZETIMA

(朝井リョウ)フフフ、お詳しい(笑)。

(宇多丸)で、僕はもし指定がないなら『#4』がいいと思う。っていうのはこれ、河野伸さんっていう名編曲家が編曲をされていて。菊地成孔さんとSPANK HAPPYとかをやられていて。これ、つんくさんのめちゃくちゃ音楽的趣味の良さも出ていると思うので。

(朝井リョウ)このアレンジはあまり聞いたことがなかったので。楽しみです。

(宇多丸)ああ、本当ですか? 勝手に……選曲していただいたのに、僕が選んじゃって。

(朝井リョウ)全然大丈夫です。

(宇垣美里)聞いていただきましょうか。

(宇多丸)じゃあ、つんくさんで『TOUCH ME #4』。

つんく『TOUCH ME #4』

(宇多丸)はい。ということでつんくさんの『TOUCH ME #4』。私が勝手に『#4』というバージョンをかけさせていただきましたが。

(朝井リョウ)最高でした。

(宇多丸)ということで、つんくさん、直接お会いしたことも……。

(朝井リョウ)あるんです(笑)。

(宇多丸)結構何度かあるんですか?

(朝井リョウ)いや2、3度なんですけども。忘れられない思い出となっております。私の中で。

(宇多丸)ご病気前ですか?

(朝井リョウ)後ですね。

(宇多丸)そうかそうか。ぜひね、そのお話とかもうかがいたいんですが、まず何よりも今日は朝井リョウさんがしゃべりも含めてすごすぎるっていう。

(宇垣美里)いや、もう私のこのドヤ感(笑)。「でしょう!」的な(笑)。

(宇多丸)逸材!

(宇垣美里)みなさんにお伝えしたくて。もちろん知っている方はたくさんいるとは思うんですが。

(宇多丸)これ、有楽町に取られているのはダメじゃね? 赤坂、これ。「チクショーッ!」っていま、橋Pが(笑)。

(宇垣美里)そうよ、そうよ!

(朝井リョウ)ボケ続ける文化人が嫌いなのに、自分がそうなりかけているのがすごい辛いんですよね。

(宇多丸)フハハハハハッ! いちいちパンチラインの濃度がすごいですよ!

(宇垣美里)さすがやっぱり言葉を職業にしてらっしゃるだけあって。もう(笑)。

(朝井リョウ)がんばります。

(宇多丸)ちょっとこれは、もちろんつんくさんとっていうお話もうかがいましたが。この番組的には朝井リョウさん、出演第一回記念ということで。今後ともぜひ、お願いしてもよろしいでしょうか?

(朝井リョウ)ぜひ、よろしくお願いします。こちらこそ。

(宇多丸)すいません(笑)。いやー、恐ろしい男だ。なにかお知らせごとなどありましたら。

(朝井リョウ)はい。いま小説BOCという小説誌で『死にがいを求めて生きているの』という、それも明るい小説を連載しておりますので。そちらの方を読んでいただけるとうれしいなと思います。

小説BOC9 (単行本)
Posted at 2018.5.16
小説BOC編集部
中央公論新社

(宇多丸)あとはもう、この際ですから有楽町の番組の宣伝もした方がいいんじゃないですか?

(朝井リョウ)あ、本当ですか? 『高橋みなみと朝井リョウ ヨブンのこと』というとてもワチャワチャしたすごくかわいらしい番組をやっています(笑)。

「余聞(ヨブン)」・・・「本筋とは離れた話」、「聞き漏らしていた話」、「こぼれ話」、「余話」。この番組は、高橋みなみ・朝井リョウの普段はなかなか聞くことのできない“こぼれ話”をお届けする30分である。

(宇垣美里)フフフ(笑)。

(宇多丸)あっ、自分の番組なのに悪意をみなぎらせるのはどういうことなんですか?

(朝井リョウ)意味がわかんないです(笑)。

(宇垣美里)本当に(笑)。

(朝井リョウ)ちゃんとします。

(宇垣美里)もう本当に面白い。どの作品も本当に面白いからみなさんにぜひ読んでいただきたいと思う。宣伝大使になりたいです。

(宇多丸)ぜひともまた、よろしくお願いします。

(朝井リョウ)よろしくお願いします。

(宇多丸)朝井リョウさんでした。ありがとうございます。

(朝井リョウ)ありがとうございました。

(宇垣美里)ありがとうございました。

<書き起こしおわり>

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