R-指定とDJ松永 Creepy Nuts『シラフで酔狂』を語る

R-指定とDJ松永 Creepy Nuts『シラフで酔狂』を語る サウンドクリエイターズ・ファイル

R-指定さんとDJ松永さんが2020年9月13日放送のNHK FM『サウンドクリエイターズ・ファイル』の中でCreepy Nuts『シラフで酔狂』について話していました。

(R-指定)でもそんな、意気投合してね、出会いを果たして我々2人はね、その後にCreepy Nutsを結成することになるんですけど。ちょっと期間が空きます。18、19の時に出会って。で、俺はコッペパンっていうKOPERUとのグループをやっていたし、松永さんはソロでやっていたし。で、どのタイミングで松永さんは新潟から東京に出るんやったっけ? まだ新潟に住んでいた?

(DJ松永)そう。それで21ぐらいかな?

(R-指定)出会ってから2年後ぐらいに松永さんは東京に出ている。

(DJ松永)そうそう。東京に出ていって。そこからソロの活動をして。ソロでアルバムを2枚ぐらいリリースしているんだけども。

R-指定で、その間に俺もコッペパンを一旦活動休止して。途中でドイケンとかも入ってきたりもしたけど、活動を休止して。で、俺もソロで……MCバトルとかでは結構活躍して、その流れでソロでCDを出したりとかもしていくんですよね。その時は普通に俺も大阪に住んでいて。松永さんは東京に21の時に出てきて。そこから俺も東京での仕事がちょくちょくあるようになってきて。東京に来た時に松永さんと遊ぶみたいなのがめっちゃ増えたんですよね。

(DJ松永)そうそうそうそう。だからね、実は結成のきっかけっていうのがパキっとしたのがないんだよね。

(R-指定)なんかぼんやりしてるんですよね。

(DJ松永)ぼんやりしてる。だから俺が東京にいて1人で活動していて。Rがアルバムを作るために東京に出ていって。その中でよく遊ぶようになるんだよね。

(R-指定)そう。それで遊ぶようになっていく中で、やっぱり当然お互いラッパーとDJやから。松永さん、トラックメイクもしてるっていうのも知ってるから。「ちょっとトラック、聞かせてくださいよ」みたいなことを言うんですよ。で、松永さんにトラックを送ってもらって。で、やっぱり1発目の印象がすごい松永さんのトラックが好みやったんですよね。俺は。

なんか、すげえUSのメインストリームってわけでもないし、めちゃめちゃアンダーグラウンドってわけでもない。なんかすごい俺の好きな、性癖にグサッと来るようなネタ使いやし。おもろいところから引っ張ってくるし……っていう感じで俺は結構松永さんのトラックがすごい最初、好みやと思って。「このトラックはまず、たぶん俺のラップと超相性いいかも」っていうのはすごい思うんですよ。

(DJ松永)はいはい。

(R-指定)俺のラップもすごい日本語のラップなんで。めちゃめちゃアメリカっぽい音とかにはあんまり合わないっていうのはすごい自分の中でコンプレックスだったんですけど。「これこれ! このトラックやったらたぶん俺のこの和風のダシみたいなランプとすごい相性いいかも?」みたいな感じが俺は最初に直感でしてて。だから結構松永さんに「トラック、聞かせてください」って頻繁に言ってて。

(DJ松永)当時、mixi経由でトラック送ってたんだよね。

(R-指定)懐かしい! で、トラックを送ってもらって。俺も実家にいた時に電話して。「トラック、これとこれ、めっちゃかっこいいです!」みたいな。そこから2時間、3時間長電話したりとかね、しましたよね。

(DJ松永)やってたよね。だから組んだきっかけっていうのも普通に2人で遊んでいて。で、流れて「なんかまあ、2人でやってみるか?」みたいな感じの。お互い声を掛けたというよりは、もうなんか流れで。ノリで……みたいな感じに近かった。でもそれが実は俺、一番正しい形だなとか思ってて。またちょっと熱い話、していい?

(R-指定)ああ、うん。なになに?

いつも遊んでいるノリでCreepy Nuts結成

(DJ松永)また熱い話、していい? Rが好きな話、していい? 俺、元々RHYMESTERに憧れていたじゃないですか。で、俺はDJを始めたけど、DJ人口の9割9分はさ、「クラブDJ」って言って。クラブで選曲してフロアを踊らせるっていうのが主なクラブDJなんだけど、俺はRHYMESTERに憧れていたから。DJだけど、曲を作ってライブをしたかったんですよ。つまり、ラッパーと組みたかったんですよ。元々そうしたくて。で、そのまま活動していったんだよね。

そんな中、でもクラブDJっていうのはみんなやってるかやらないといけないなと思って。「目の前にあることだからやっていこう」ぐらいのノリで。「でも、絶対に曲を作ってライブして。グループをやってRHYMESTERみたいな活動をしたい」っていうのをずっと抱えながらやっていて。で、俺が学校サボりながら行っていたワンループレコードっていうレコード屋の店主の人。カズオくんっていうんだけども。カズオくんにずっと世話になってたから。カズオくんに結構ずっと、いろいろと相談をしていたんだけども。

当時、マイスペースっていうミュージシャンが使うSNSみたいなのがあったんだよね。それに曲を上げて、ミュージシャン同士で繋がって一緒に曲作ったり……みたいな。そういうのがあって。で、マイスペースを開いて県内の新潟にいるラッパーを調べまくって。「一番かっこいいやつは誰だ?」って調べまくって。検索して。「ああ、これなら組みたいと思えるかも?」みたいなラップの上手い人を見つけたんだよね。で、当時カズオくんに「かっこいいラッパー、見つけました。やっと俺、ラッパーと組んで活動できるかもしれません」みたいな感じで報告をして。それを聞かせて。

カズオくんが「お前、それBUDDHA BRANDよりかっこいいと思ってるの?」って言われて。「えっ、何ですか?」って。BUDDHA BRANDっていうのはヒップホップのレジェンドのグループね。それで俺、当時BUDDHA BRANDが超好きだったから。そんなの、BUDDHA BRANDと比べてかっこいいわけがないじゃん。そんなわけない。地方のMCが。「そんなわけないじゃないですか」って言ったら「BUDDHA BRANDよりかっこいいと思えないと、組んじゃダメだろう?」って言われて。「かっけー!」って……。

(R-指定)かっけー!

(DJ松永)「かっけー!」ってなって。「ああ、そうか。無理やり組むという目的のために相方をガシガシ探していくんじゃなくて。今は自分で爪を研いで牙を磨いて、ひたすら己を高めてやっていけば、世界も広がるし、出会う人も増えるし。よりかっけーラッパーと自然に出会って、自然と仲良くなって、その先に組むのが一番正しい姿なんだな」っていうのはそこで気付いて。そこから、ソロでアルバムを作り始めたんですよ。トラックから始めて。

(R-指定)じゃあ、ちょっと話を整理させてもらうと……ということは、松永さん的に俺はBUDDHA BRANDよりもかっこいいという?

(DJ松永)……正解!

(R-指定)この話、好きやねん! 毎回させんねん(笑)。

(DJ松永)気持ち悪い(笑)。これ、いい?

(R-指定)これ、ジジイになっても言ってな? これ、ええねん(笑)。

(DJ松永)これ、落ち込んだ時に言うっていう(笑)。

(R-指定)フハハハハハハハハッ! でもやっぱりお互いがお互いの技術に「いいな」と思ってたわけですよね。で、そのまま友達でずっと遊んでたから。「じゃあ、もう一緒にやりますか?」みたいな感じになったんすね。

(DJ松永)そうそう。結局ね、そういう流れでやった方が一番頑張れるかなとか思えるよね。

(R-指定)たしかに。お互いがお互いの音とラップを好きじゃないとできないですもんね。

(DJ松永)そうそう。「お互いの各々の目的達成のために組む」とかじゃなかったからね。

(R-指定)そういう打算的なというよりかは、普通にね。でも、それで「一緒にやりまししょうよ」ってなって。そこから「グループ名みたいなのを決めないと……」ってなったんですよね。それで、松永さんの家でなんか夜中にずっと、言葉調べて……みたいな。俺が好きな映画から持ってきたりとか。「これ、どうすか? これ、どうすか?」とかって。

(DJ松永)あと、バカみたいに「ヒップホップ スラング」ってGoogleで打って。夜中にね(笑)。

(R-指定)夜中にね、やってましたからね。で、結局「Creepy Nuts」という言葉になったんですよね。

(DJ松永)それはね、そういう中2心満載の夜中のテンションで付けましたね。

(R-指定)だからほぼ「R-指定」と同じようなノリでつけたというか。

(DJ松永)だから意味合いは各々で検索してください。

(R-指定)それでがっかりしてくださいっていうことでね。

(DJ松永)だからここでCreepy Nutsで初めて作った曲をかけたいと思っているんですよ。

(R-指定)ああ、いいですね。これ、初めて作った曲。

(DJ松永)どうですか? これ、まず聞いてもらおうか? Creepy Nutsで『シラフで酔狂』。

Creepy Nuts『シラフで酔狂』

(R-指定)お送りしたのはCreepy Nutsで『シラフで酔狂』でした。

(DJ松永)こちらの曲ね、なんでこの曲を作るに至ったかというと、当時「POPGROUP」っていうヒップホップのレコード会社があって。そこで『KAIKOO』っていうコンピレーションアルバムが出てたんだけれども。そこにたまたま、そのPOPGROUPの人と別のところで働いてらっしゃったオオシロさんという方がいらっしゃって。オオシロさんから「なんかR-指定とやるんだよね? 1曲、コンピレーションに書き下ろしてよ」って言われて。

(R-指定)大仕事やんな。

(DJ松永)「えっ、『KAIKOO』のコンピに曲を入れられるの? ヤバッ!」って思って。で、それで気合入れて作って。当時やっぱり、もう収録されるアーティストが全員俺らより有名で。大御所ばっかりで。たぶんそこまで期待されてなかったと思うんだよね。でも、トラックのデモとかをオオシロさんに渡したりとかしたんだけど。オオシロさん、その段階ではそんなにピンと来てなかったんだよね。だから他のアーティストが結構豪華だったから。「大丈夫?」みたいなことを言ってて。

(R-指定)だからやっぱ俺が松永さんのトラックの……俺の中での松永のトラックのツボがやっぱりヘンテコなメロディーやったんですよ。で、やっぱりあんまりヘンテコなメロディーを選ぶラッパーっていなかったし。今はもしかしたらちょっと違うかもしれないけど、当時なんかは特にいなかったんですよね。当時はもうちょっとパキッとしたというか。

(DJ松永)あとは渋めとかね。で、俺のストックはそういうトラックもいっぱいあったんですよ。いっぱいあって。それでRが選んだのがそのちょっとヘンテコなやつで。で、俺も実はそれでいいのか、ちゃんと確証を持ててなかったんだよね。で、それでまあまあ、「そうか。でもちょっとこれで一旦進めますわ」って言って。R-指定のボーカルが初めて俺のトラックに乗っかってできたら「あれ? 俺が聞いたことないやつ、できたかも?」と思ったの。

(R-指定)イエーッ!

(DJ松永)そう。初めて。このトラックにこのラップの組み合わせって今までにないし。俺が初めて……なんか自分たちで初めて作ったんだけど、「生み出した」っていう実感があったんだよね。『シラフで酔狂』は。

(R-指定)完全にその1発目で俺らの、たぶん他の誰も真似できへんようなところみたいなのができたっていうか。

(DJ松永)バチッと方向性。俺らの指針みたいなのが1発でバチッと示す曲ができた。で、オオシロさんにレコーディングしてすぐに送ったら、オオシロさんが「これ、めっちゃいいじゃん! 感動したよ!」みたいな感じで返ってきて。すげえオオシロさん、喜んでくれて。俺も超嬉しくて。「やった!」ってなって。で、そのコンピの中で俺らがダントツで無名だったけれども。発売して、当時iTunesストアで売っていて。一番売れた曲みたいなのがね、わかるようになっているんですよ。売れた順が出るんですけど。しばらく経ったら、俺らの曲が一番売れていたんですよ。

(R-指定)シャーッ!

(DJ松永)「なんあ俺ら、頑張っていいのかも?」ってそこで思ったんですよね。『シラフで酔狂』を出した時に。

(R-指定)その時、俺も微妙な時期で。ソロアルバムとか作って、「やっぱり洋楽っぽいラップじゃないとダメなのかな?」みたいな。すごくコンプレックスがあって。洋楽っぽいメロディーとか洋楽っぽい譜割りのラップとかずっと考えてたんですけど。やっぱり俺の得意なのはそうじゃなかったんですよ。で、「それでいいのかな?」と思っていたら、松永さんが「いや、Rのそういう歌謡曲っぽいところとか変な感じ、めっちゃいい」っていうことを言ってくれていて。

それで思い切ってこの『シラフで酔狂』を作る時にそっちに全振りしたんですよね。そしたら、なんかホンマに俺らの味の曲ができた。だからお互いにたぶん自分の特性に微妙なコンプレックスや不安要素を持っていたと思うんですよ。松永さんもヘンテコなトラックに「これでいいのか?」って確証を持てなくて。俺もこの歌謡曲っぽいところに「いいのかな?」って確証を持てていなかったけど。2人がそれを組み合わせたら、めっちゃいいのができたみたいな。それがね、嬉しかったですね。

(DJ松永)ねえ。「このまま進んでいってよさそうだな」って思えたのは収穫だったね。

(R-指定)あの曲でね。

<書き起こしおわり>

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