SKY-HIとSAKIKO『SHOW ME THE MONEY』を語る

SKY-HIとSAKIKO『SHOW ME THE MONEY』を語る J-WAVE

『BLOOMINT MUSIC』運営者のSAKIKOさんがJ-WAVE『IMASIA』に出演。SKY-HIさんと韓国の人気ラップサバイバル番組『SHOW ME THE MONEY』について話していました。

(SKY-HI)このコーナーは僕、SKY-HIがヒップホップ、ラップミュージック……世界の音楽シーンの7割を占めると言われているこのラップミュージックの中でもアジアがね、特に今、面白いぞということで。アジアのアーティストだったり、アジア発のラップミュージック、カルチャー、価値観とか、そういうものに迫っていくわけなんですけれども。韓国のヒップホップがすごいぞ!っていう話はもうこの番組でも何回もしているんですが。その中でもさらに更に局所的に、テレビ番組『SHOW ME THE MONEY』を特集していくということで。番組でもね、何回も『SHOW ME THE MONEY』っていうワード自体は出てきたりとか。

(SKY-HI)本当に一般生活でも聞く回数が割とあったりする人もいるのでは……と思うので。いなかったらごめんなさいなんですけど(笑)。でも、いると思うので。韓国のヒップホップ事情ならこの方という、韓国のヒップホップ・R&Bを中心としたとWEBマガジン『BLOOMINT MUSIC』運営者のSAKIKOさんにリモートで登場していただいて、ご解説いただこうと思っております。咲子さん、よろしくお願いします!

(SAKIKO)よろしくお願いします。

(SKY-HI)いかがおすごしですか?

(SAKIKO)ステイホームです(笑)。

(SKY-HI)そうですよね(笑)。でも実際に日本でね、韓国のコンテンツを楽しむっていう風になったら、結局インターネット、オンラインを使ってのものになっていたとは思うんですが。実際、そういったコンテンツのひとつ、『SHOW ME THE MONEY』のシーズン9の放送が下半期にスタートということで。『SHOW ME THE MONEY』、改めてどういう番組なのかを教えていただいてもよろしいでしょうか?

(SAKIKO)はい。『SHOW ME THE MONEY』っていうのは一言で言うとラップバトル番組なんですけど。ラッパーたちがいろんなミッションでバトルをしながら優勝争いをするっていう内容で。だいたい毎年夏から秋ぐらいの間に全10回ぐらいで放送されて。今年は9年目ということなんですけども。元々はオーディション番組とか新人発掘っていう意味合いで始まったんですけど、今となってはもう完全にプロ・アマ問わずごちゃまぜで出てきて競っていて。

(SKY-HI)そうですよね。

(SAKIKO)だから小学生とか中学生もたくさん出るし。本当、そこがすごい面白いんですけど。あとは今、めちゃくちゃ旬の売れ筋ラッパーも出るし、あと韓国ヒップホップシーンを20年前に築き上げたレジェンドクラスの人とかも出たりして。その全員が同じ土俵で戦うっていう。

(SKY-HI)あれ、面白いですよね!

(SAKIKO)そうなんですよ。でも、だから結局プロばっかりどうしても勝ち残っちゃうっていうところがあるんですけど。とはいえ、でもアマチュアなのに強い印象を残せたり、あとは最後まで勝ち残ったりとかしていくと、もうすごい注目度が上がって一気に人気者になっちゃうみたいな。

(SKY-HI)そうですよね。実際、楽曲制作のドキュメンタリーとしての面白さみたいなのもあるし。

(SAKIKO)そうそう。そうなんですよ。まさにそうで。普通、ラップバトル番組って言ったら1対1でバトルして勝ち残っていくみたいなのばかり想像すると思うんですけども。

(SKY-HI)特に日本だと、そういった番組があったこともあって、そういう風にイメージされる方もいるかもしれないですけども。

(SAKIKO)見たことがないと、たぶんそういう風に思うんだろうなとは思うんですが……『SHOW ME THE MONEY』は最初の方はバトルじゃなくて、ひたすら個人審査が続くんですよね。で、まずは1人1人のラップのスキルを見たり、あと作詞で自分だけのストーリーを聞かせる力があるかとか。あとはラップのスタイルに新しさがあるかとか。そういうのを審査されて、勝ち残っていくとバトルに進んでいくんですけど。そのバトルも個人戦だけじゃなくて、今SKY-HIさんがおっしゃったようにチーム戦っていって。みんなで一緒に曲を作っていったりとか。

(SKY-HI)照明とかもね、ちゃんと凝って演出を作って……みたいな。

(SAKIKO)そうそうそう! なんか豪華なショーレベルのステージを一緒に作り上げるっていうミッションもあるから。照明もそうだし、衣装、セットとか。あとはステージでの表情とかモーションの見せ方とか。あと自分だけの世界観を見せるステージを作っているとか。そういうところも評価ポイントになるから、普通のバトルと違ってラップが上手いだけじゃダメだし。あとは、チームワークが苦手だと途中でダメになっちゃうみたいな(笑)。

(SKY-HI)チームワークに関してはまたあれですけど。でも、アーティシズムをすごい大事にしているところはすごいいいですよね。

(SAKIKO)そうですね。スキルだけじゃなくて、自分だけの個性をいかに見せられるとか。そこはすごい重要視されてますね。

(SKY-HI)『SHOW ME THE MONEY』、本当に俺も韓国語さえしゃべれたら……という気持ちが(笑)。

(SAKIKO)そうですね(笑)。出てほしい!

(SKY-HI)出たかった! くっそー、間に合わないんだよな。ハングルの習得が……(笑)。

(SAKIKO)じゃあ、今から1年間勉強して来年……(笑)。

(SKY-HI)有りだなー(笑)。いや、そして『SHOW ME THE MONEY』、もう1個のポイントなのは結局、その楽曲。作られたものが実際にチャートでものすごい上に行くっていうところもあると思うんですけど。

(SAKIKO)そうですね。

(SKY-HI)ちょっと『SHOW ME THE MONEY』の出演でブレイクしたアーティストの楽曲を聞かせていただきたいんですが。1曲、選んでいただいてもよろしいでしょうか?

(SAKIKO)はい。今、仰ったように『SHOW ME THE MONEY』の中で作られてチャートインした曲なんですが。一昨年のシーズン7の時にですね、チームバトルの中で作られた曲で。挑戦者としてはLoopyとKid MilliとpH-1の3人。そして、あと審査員として出演していたPaloaltoとCode Kunstっていう。この2人は今年もプロデューサーとして出ることになっているんですけども。で、この曲が番組で放送された時はめちゃくちゃヒットして。チャートで1位も取ったし。あと、サビで「ウヤーヤーヤーヤー♪」って歌うところがあるんですけども。そのおかげでPaloaltoさんには「ウヤ兄さん」っていうあだ名がついたほどすごい話題になったという曲です(笑)。

(SKY-HI)アハハハハハハハハッ!

(SAKIKO)では、聞いてください。『Good Day』です。

Loopy x Kid Milli x pH-1 feat. Paloalto『Good Day』


(SKY-HI)さあ、お送りしたのはLoopy x Kid Milli x pH-1 feat. Paloalto『Good Day』でした。ウヤ兄さんのウヤ力をね、聞いていただいたところで(笑)。

(SAKIKO)「ウヤ力」(笑)。

(SKY-HI)ウヤ力が高いっていうね(笑)。というわけで、『SHOW ME THE MONEY』はもう9回目ですけど。韓国のヒップホップシーンの盛り上がりとちょうど時期は重なってると思うんですけど。そういった影響……相互の影響の与え方ってどんな感じだったんですかね? たとえば『SHOW ME THE MONEY』が始まる前のヒップホップの状況と『SHOW ME THE MONEY』以降では?

(SAKIKO)やっぱりその『SHOW ME THE MONEY』によって一番韓国ヒップホップシーンが変わったなっていうのは、アンダーグラウンドとメジャーの垣根をなくしたということですかね。ヒップホップってそれまでももちろん韓国のメジャーシーンにずっとあったんですけど。やっぱりその大衆に向けたポップスとかバラードが多くて。そういうのを韓国では「歌謡ラップ」って呼んでたんですよ。PSYの『GANGNAM STYLE』とかはご存知だと思うんですけども。ああいう感じとかがメジャーのヒップホップ。それでアンダーグラウンドのラッパーたちはそういうのとはちょっと距離があって。言い方はあれですけども。いわゆる「リアルヒップホップ」みたいな。

(SKY-HI)まあ、アンダーグラウンド志向でしたもんね。

(SAKIKO)そうですね。でも、『SHOW ME THE MONEY』を通してアンダーとメジャーの両方のラッパーが混ざり合うようになったし。あと、それによって両方のシーンの音楽性にも差がなくなって。だからそこの垣根をなくしたっていうのが一番大きい影響かなと思いますね。

(SKY-HI)たしかに。そうですよね。実際にSAKIKOさんに何回か紹介していただいてる曲も、もちろんラップミュージック。純然たるヒップホップなんだけど、ポップスとしても強度が高いし。逆にもめちゃくちゃポップスの、それこそアイドルのラッパーとかがガチガチのヒップホップっていう。たしかにその垣根のなさみたいなのは魅力ですよね。

(SAKIKO)本当、まさにそれで。それ以前は音楽性が全然違ったんだけど。お互い、ちょうどいいところに落ちたみたいな感じがありますね。

(SKY-HI)そうですよね。あれは本当に楽しいなと思うところなんですけど。シーズンを重ねていくごとに派手になっていったりとか、『SHOW ME THE MONEY』のシーズンごとの変化ってありますか?

(SAKIKO)すごいありますね。最初と今だと全然違う番組かな?っていうぐらいで変わっているんですけども。やっぱりね、番組が始まった一番最初はすごい批判が多かったんですよ。

(SKY-HI)『SHOW ME THE MONEY』自体にですか?

(SAKIKO)そう。なぜか?っていうと、ラッパーたちとかヒップホップメディアが、やっぱりヒップホップをよく知りもしないテレビマンがヒップホップをコンテンツ化して消費するとか。あと、ヒップホップの間違った解釈やイメージが世の中に拡がってしまうとか、そういうのを危惧していて。だからラッパーたちも『SHOW ME THE MONEY』をディスするような曲をたくさん出していたし。

(SKY-HI)ああ、なるほど!

(SAKIKO)あとは番組に反対しているラッパーが番組に出たラッパーをディスしたりとか。「お前ら、裏切った!」みたいな。そういうのもあったんだけど、やっぱり内容もいろいろそういう風に批判をされながらも、毎年改善していて。途中から番組の制作陣もヒップホップカルチャーがわかってる人に変わったりとか。

(SKY-HI)なるほどね。

(SAKIKO)で、ルールもやっぱり最初の頃は不備だらけで。「これはズルい」みたいな、炎上しまくったりとかしていたんですけども。そういうところも毎年、ルールが変わりながら改善されて行って。とはいえ、ちょっと去年のシーズン8はルールに不備が多くて、だいぶ炎上してたんですけど。

(SKY-HI)そうですよね(笑)。なんでこんなに韓国のテレビ制作がずっと発展し続けているんですか? 日本はやっぱり言ってもテレビバブルっていうのは過去にあったっていう風にみんな認識していて。たぶんこれをラジオで言っても、テレビのディスにはならないぐらい、なんとなくみんな、「テレビがすごい盛り上がっていた時代っていうのが昔、あったよね」っていう状態だと思うんですけど。韓国はいまだにテレビの面白さみたいなのをずっと語られてるじゃないですか。

(SAKIKO)そうですね。

(SKY-HI)なんでこんなにテレビ番組、しかも音楽番組がめちゃくちゃ面白い状態で盛り上がり続けているんですか? 私見でもいいので、理由みたいなものってなにかありますか?

(SAKIKO)なんだろう? まず地上波よりもケーブルテレビの方が元気っていうところがあって。ちょっと縛りが少ないっていうか。やりたいことが割とやれるみたいなところなのかな?っていう。『SHOW ME THE MONEY』が放送されているMnetもケーブルテレビの音楽専門チャンネルなんですけど。だからやっぱり音楽に特化できてるっていうと、あとはやっぱりお金をかけてますね。

(SKY-HI)あれ、何であんなにお金がかかっているんですかね? 本当に思うんですよね。

(SAKIKO)スポンサーがすごいんですよね。すごい相乗効果っていうか。番組もすごい人気で視聴率高い。そこにスポンサーで……たとえば『SHOW ME THE MONEY』ってスポーツメーカーがスポンサーに入っているんですよ。そうすると、出演者全員がその服を着てるんですね。で、見てる人もみんな、それを買うじゃないですか。

(SKY-HI)それで宣伝効果が高くなって……。

(SAKIKO)そうそう! だからすごい高額のスポンサー料を出すし。

スポーツメーカーが高額のスポンサー料を支払う

(SKY-HI)そうですよね。しかもMnetって世界中に契約者がいる状態になってしまっているから。ちょうど、だからすべてが繋がってる感じはしますね。K-POPの盛り上がりもやっぱり早い段階から、「内需から外需へ」っていうところでしたし。Mnetもそういうのに対応していて。なおかつ、番組もいろんなところでハネていって……っていう相乗効果がどんどん生まれているという感じですかね。

(SAKIKO)そんな感じがします。はい。

(SKY-HI)ありがとうございます。というわけで『SHOW ME THE MONEY』で今年の下半期からシーズン9がスタート。日本ではMnetで視聴できるということなので、気になった方はチェックしてみてください。というわけで今回はヒップホップサバイバル番組『SHOW ME THE MONEY』についてWEBマガジン『BLOOMINT MUSIC』運営者のSAKIKOさんに解説していただきました。ありがとうございました。

(SAKIKO)ありがとうございました!

<書き起こしおわり>

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