高田文夫 渡哲也を追悼する

高田文夫 渡哲也を追悼する ラジオビバリー昼ズ

高田文夫さんが2020年8月16日放送のニッポン放送『高田文夫のラジオビバリー昼ズ』の中で亡くなった渡哲也さんを追悼していました。

(高田文夫)いやー、本当だよね。渡哲也さんが亡くなっちゃったのはショックだよな。

(松本明子)寂しかったですね。

(高田文夫)でもどうもさ、8月っつーのは昔はさ、楽しくて。若者の季節だったじゃない? 8月っつーと元気で前向きでさ。なんかさ、涙が似合う季節になってきたね。俺ぐらいの歳になると。終戦記念日があってさ。それで御巣鷹山があるじゃん? それで甲子園もあるんだけど。ちょっと涙がさ、逆に8月っつーと似合うようになっちゃったね。それで渡さんが亡くなったりさ。8月っつーとさ、俺なんかは坂本九さんも御巣鷹山で亡くなっているからね。

(松本明子)そうですね。

(高田文夫)なんか8月っていうのは昔は楽しくて「ワーッ!」ってやったもんだけど。どうなのよ? 昨日なんて誰も電車も乗ってないんだよ。新幹線も。

(松本明子)ねえ。お盆の帰省も皆さんね、ちょっと控えてらっしゃる感じで。

(高田文夫)親もみんな「帰ってこないで」って。こんな季節、ないよね。何がどうなってるのかね。しかし、まあ渡さんはかっこいいね。あの男気は。やっぱり石原裕次郎という人に惚れたらさ、最後の最後までちゃんと筋を通すっていう。いないよ。やっぱり昭和のさ、一番かっこいい男の生き方だよね。青学の空手部だから。

それの後輩っていうのを俺、何人か知ってるんだよ。元日刊スポーツの人とかさ。「本当、渡先輩は強くてかっこいいんですよ!」って。縦社会だからもう、学生時代からピシッとしているんだよ。青学の空手なんてすごいんだから。「ウリャーッ!」って。後輩なんかたまらないよ。「渡さん、渡さん!」って。ピシッと。

(松本明子)男性が惚れますもんね。

男が惚れる男

(高田文夫)男が惚れる。その渡さんがやっぱり裕次郎と日活で出会ってさ。食堂でもって裕次郎さんの方が立ち上がって手を差し出して。「石原裕次郎です」って言われたんだろう? 「新人の渡です」って言ったらさ、立ち上がって寄って来て。そういうの、なかなかできないよ? 新人に対して。なあ。それでもう「この人だ!」と思ったんだよ。

(松本明子)ついていこうと決めて。

(高田文夫)そう。だからその頃、日活って言ったら僕ら、少年時代は映画……でもさ、すごかったんだよ。勢いがあって。石原裕次郎、小林旭、二谷英明。日活ダイヤモンドラインでいろいろとあってさ。宍戸錠さんが悪役ではいるから。もう最高だったんだよ。それが、赤木圭一郎さんなんかがゴーカートで死んじゃってさ。それでだんだん映画産業が、あの日活でさえだんだんと下がってきちゃったんだよ。1970年ぐらいかな?

そしたら日活は本当もう食べていかなきゃいけないから……って、日活のアクション路線からなにから全部を変えて、ロマンポルノを撮りだしたわけだよ。それでみんなでロマンポルノを作っていくという。食うために。そしたらロマンポルノはロマンポルノで結構入るんだけども、でも今まで日活の映画やっていた人は方向転換で仕事場がないなと思うじゃん。で、裕次郎さんはもっと前に辞めて石原プロを作っているんだけども。それで映画が失敗しちゃって、借金すごい抱えているんだよ。71年ぐらいだろ? 

で、裕次郎が借金を抱えて困っているところで、渡哲也さんが日活からやってきて。それでもってさ、180万をポンと渡して「お菓子代に使ってください」って。現金だよ?

(松本明子)ええーっ?

(高田文夫)それが昨日、やっていたんだけども。それでもさすがの裕次郎さんも「それはできないから」って。でも、「いいから」って。そんなさ、会社が困ってるからってさ、そういう……20いくつでだよ? 「これをお菓子代に使ってください」って。石原プロが傾いているところに。それで「いいから」って断ったら、ある日現れて。「私を入社させてください。私を使ってください」って。それで立て直しちゃうんだから。石原プロをさ。それで、映画から離れてテレビに移行して。それで『西部警察』だよ!

(松本明子)『西部警察』ですね!

(高田文夫)大門軍団だから。だから元々は大門軍団なんだよ。大門軍団って言っていたから、「石原軍団」という名称になっていったんだよ。だから元々はドラマの中の、渡さんの大門軍団からだったんだよ。それで石原軍団になって。それでそれを「よし、パクろう!」ってやったのがたけし軍団だよ。

(松本明子)アハハハハハハハハッ!

(高田文夫)「いただいこう!」ってやったのがたけし軍団。「いいね、たけちゃん。たけし軍団でいいんじゃない?」「いけるねえ!」みたいな。で、それをパクって失敗したのが「軍団山本」なんだよ(笑)。今回の。あれ、ダメなんだよ。軍団山本って。「山本軍団」にしないと。そしたら今回な、クラスターみたいになっちゃったろう? みんなで生配信かなんかやってな。軍団山本は何をやっても失敗するんだよ(笑)。筋を通してくれないと。やっぱりさ(笑)。

それでさ、そう。石原軍団になっていって。それで裕次郎さんが亡くなる時に遺言でさ、「俺が作ったプロダクション、会社だから。俺が死んだらもう畳んでくれ」って言って裕次郎さん、亡くなるんだよ。そしたら渡哲也さんが「私が二代目をやります。継ぎます」っつって30何年、ここまで引っ張って。それで段取りして来年、畳みますっていうことの段取りをして亡くなっていったんだよ。素晴らしいよ。最後の最後まで仕事をキチッとしてさ。

「舘ひろしはこうして、こうして……」とかさ。「事務所はこうして……」とか全部やって。段取りが終わって亡くなっていって。それで誰にも告げずに、家族だけで密葬をして。それでこの季節だろう? みんなに迷惑がかかるからって。みんなに対する気の遣い方がすごいんだよ。ここでお葬式をやったら逆に迷惑がかかっちゃうっていう。コロナもあるしな。そういう、いろんなことに気を遣いすぎるんだよ。

(松本明子)気配りがすごいですよね。

気遣いの人

(高田文夫)それで強くてさ。男前だろう? あんな男前、いないんだから。きれいな顔をしてる人。実は。日本一の男前なんだよ。やっぱりすごいね。渡哲也は。もう素晴らしいよ。

(松本明子)震災の時も焼きそば焼いたり、炊き出しをやって。

(高田文夫)炊き出しだってすごいんだよ。みんなを引き連れて。あれ、モヤシ代だ毛でも大変だろう? モヤシだけでもこんなに買ってくるんだから。おはぎの差し入れだって大変だよ? もうみんなやっちゃうんだから。さすが石原軍団だよね。でも裕次郎という人がそれを惚れさせたんだから。裕次郎っていう人がよっぽどすごいんだろうな。今日のゲストのヒデちゃんも裕次郎が好きで芸能界に入ったんだろう?

(松本明子)石原裕次郎さんに憧れて。

(高田文夫)裕次郎一門になろうと思って。あれ、門弟になろうとしたんだろう? やっぱりあるんだな。みんな、それぞれな。

<書き起こしおわり>

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