朝井リョウ 藤原紀香主演・舞台版『サザエさん』を語る

朝井リョウ 藤原紀香主演・舞台版『サザエさん』を語る 高橋みなみと朝井リョウ ヨブンのこと

朝井リョウさんが2019年10月13日放送のニッポン放送『高橋みなみと朝井リョウ ヨブンのこと』の中で明治座で藤原紀香さん主演の舞台版『サザエさん』を見に行った話をしていました。

(朝井リョウ)まあ高橋さんが6万円のワンピースで目をひんむいている頃、私は藤原紀香主演の『サザエさん』の舞台に1万2000円を払い……やっぱり私たち、お金あるね! そうやって考えると。

(高橋みなみ)そうね。お金あるね、うちらね(笑)。

(朝井リョウ)お金ある人の使い方だよね。

(高橋みなみ)どうだった?

(朝井リョウ)もう最高のハッピータイムをお届けしていただきましたよ。紀香先生に。やっぱり。作家3人で行って。もう、名前は伏せますが隣の人はずっと見ながら「どうしよう……どうしよう……どうしよう……」って(笑)。

(高橋みなみ)舞台を見ながら「どうしよう」って言うこと、あんまりないよ?

(朝井リョウ)すっごい息が荒くなっていて。「もう友近が飛びついたのが見える……友近が全部真似する未来が見える!」ってすごい焦っていました。

(高橋みなみ)えっ、それはいわゆる紀香様が演じられるサザエさんのインパクトがお強かった?

(朝井リョウ)すごい強かった。もうビックバン! ビックバン、発生! 東京でビックバンよ!

(高橋みなみ)宇宙が……ビックバンや!

(朝井リョウ)ビックバン発生するぐらいすごかったんですけども。やっぱり紀香さんって私、結構長い間追っていまして。現場主義になってから長く経つんですが。私の中で1個、結論が出ていたんですよ。というのは、舞台という1個上の世界……地平じゃないところでさらにまた別世界の話をやっているっていうのが彼女にはいちばん合うなって思ったんですよ。

(高橋みなみ)ああ、合っているなと。

(朝井リョウ)そう。前に見に行った舞台も『花盛り四人姉妹』っていう作品で。それは、「枝垂れ桜が咲き乱れて、季節もこんなことになって。私たち、どうなっちゃうんだろう?」みたいなのを全部口で言うような世界の話で。

明治座『花盛り四人姉妹~吉野まほろば物語~』

(高橋みなみ)おおー。

(朝井リョウ)もう関係性も全部口で説明してくれるし、起きる出来事も全部すごい素敵!っていう感じだったので、逆に紀香さんの存在感が紛れられたというか。そういう中にいるとすごいスッと見ることができるんですけども。今回、サザエさんという東京の下町でみんなで暮らすという世界観にあのナイスバディが!

(高橋みなみ)ああ、そうか。そうだね。

(朝井リョウ)降り立つということでのこの「ぐうっ、ど、どういう気持になればいいんだ?」っていうのがまず、いちばんはじめにあります。

(高橋みなみ)ああー。

(朝井リョウ)で、サザエさんの服を着ているんですよ。エプロンをして。で、胸がめっちゃ張った紀香が胸元に「S」ってワッペン。「サザエ」の「S」。その「S」も……。

(高橋みなみ)立体感が?

(朝井リョウ)そう。立体感。形も変わるぐらいですよ。というのがあったりとかして、ドキドキしながら見ていたんですけども。

(高橋みなみ)うんうん。

(朝井リョウ)でも、また構造としてもなんか不思議な点があってさ。サザエさんって15分のアニメだから成り立っていたオチがあるというか。

(高橋みなみ)そうだね。

(朝井リョウ)なんか、「カツオがタバコを吸っていた」みたいな……たとえばよ。それで家族が「ええっ? カツオがタバコ!?」みたいなのでお父さんとかみんなを巻き込んで。それが実はお菓子のココアシガレットだったよみたいな。それで「なんだー!」みたいなので。あのアニメってだいたいそうじゃん? 展開って。勘違いから大騒動が始まって……みたいな。で、その勘違いもちっちゃい勘違いで。それで最後、窓に映る一家団欒のシルエットみたいな感じじゃないですか。

(高橋みなみ)うんうん。

(朝井リョウ)で、明治座の舞台って三部構成で。休憩が30分ずつあって。で、1時間ずつぐらいやるから、もう4時間とか。

(高橋みなみ)結構なパッケージですね。

(朝井リョウ)もう見に行くことになったら1日がかりなんですよ。11時の回を見に行って終わったら15時とかだから。もう結構1日が終わったみたいな気持ちになるわけ。で、その時間の分量の物語をそのぐらいの勘違いで落とされたのね。わかる?

(高橋みなみ)ああ、そうか。そういうことか!

(朝井リョウ)そう。サザエさんだからさ、マジの伏線とかあってもしょうがないじゃん。たしかに。あってもしょうがないんだけど、そのアニメの分量だからこそしっくりくるオチが最後に来て4時間……みたいになったりはしました。

(高橋みなみ)それじゃあ、あれなんだね。三部は三本立てじゃなくて?

(朝井リョウ)一本。一本につながった三部構成で。

(高橋みなみ)それ、すごくない?

(朝井リョウ)すごくない? でも、第一部の15分目ぐらいで気づいているの。「ああ、これは勘違いなんだろうな」って気づいて。

(高橋みなみ)早い段階だな(笑)。

(朝井リョウ)気づいているんですけど、それをポンポンポンッと4時間。

(高橋みなみ)休憩もあって。

(朝井リョウ)それもあって。まあ面白かったんですけど。でも、運営の人というか……サザエさんってこれまで、たくさんの人がやってきたのね。観月ありさがテレビシリーズでやったり。その前は浅野温子もやりました。で、今度はドラマで天海祐希がやります。で、その中で私はやっぱり紀香が継いでほしいんですよ。そのサザエの実写をやる時は紀香ですっていう風に。だから、サザエさんが紀香にとっての『放浪記』的な……20年やっていますみたいな感じになってほしいの。すごいちょうどいいと思うの。でも、唯一足りないのは『放浪記』でいうところのでんぐり返しみたいな。

(高橋みなみ)ああー、お決まりの、みたいな。

舞台版『サザエさん』は藤原紀香の『放浪記』になる

(朝井リョウ)そう。「これがあるよね、紀香のサザエには!」っていうのがちょっとなくて。

(高橋みなみ)側転しよう。じゃあ。

(朝井リョウ)ええっ?

(高橋みなみ)どう?

(朝井リョウ)えっ、でも頭のあれが潰れない? ギュッとならない?

(高橋みなみ)ええっ、なんかないかな?

(朝井リョウ)1個、でも「ああ、ここをそういう風にしたいのかな?」ってあったのは、その紀香が幻の……10年後か20年後が舞台だったんですけども。その10年前とか20年前の幻の一家を感じられるようになって。その幻の一家と1曲歌って踊るっていうめっちゃ怖い時間があったの。

(高橋みなみ)なになに? 幻の一家って、なに?

(朝井リョウ)幻の……「あの時間はもう過ぎてしまった……」みたいに紀香がシクシク泣いていて。パッとなったらなんか若くなったみんなが見えて。「やったー!」とかって言って1曲歌って踊るみたいな。

(高橋みなみ)めっちゃ怖い!

(朝井リョウ)めっちゃ怖いワンシーンが。「サザエの狂気」っていうワンシーンがあったんですけども。でもそこが一種、でんぐり返し的な風に思われているのであれば、あのシーンは思ったよりも怖かったっていう。それはちょっと運営の方に……。

(高橋みなみ)フフフ、めちゃくちゃ見たいわ!

(朝井リョウ)すごい面白かったです。

(高橋みなみ)なに、そのシーン!

(朝井リョウ)ちゃんと続けてほしいし、あれはきっと『放浪記』になる。

(高橋みなみ)今後に期待ですね。

(朝井リョウ)お願いします。

(CM明け)

(朝井リョウ)あ、そうだ。もう1個だけ言いたかったんだ。私、明治座はまだ3回目とかですけども。はじめてプロジェクションマッピングが使われてました(笑)。

(高橋みなみ)えっ? サザエさんの舞台で?

(朝井リョウ)はじめてです。プロジェクションマッピングが使われてまして。舞台全部に波平の顔が映るっていう……。

(高橋みなみ)フハハハハハハハッ!

(朝井リョウ)衝撃のマッピングが。波平……松平健さんがやられているんですけども。波平の先祖がバーン!って舞台全部に映って。その先祖と実際の波平が会話をするというシーンにプロジェクションマッピングが使われてました。

(高橋みなみ)サザエさんのその踊るシーンで使われるわけじゃないんだね。

(朝井リョウ)違います。あそこはすごい……すごかったです。すごい見ていてドキドキしました。素敵。でも紀香さんは『シカゴ』とかね、ミュージカルをやられたりっていうのもあるので。本当にみなさん、「紀香 シカゴ」でぜひ動画を検索してほしいんですけども。昔、やっていたEXILEの番組で紀香さんが出てきてその『シカゴ』を1曲歌うっていうのがあるので。

(高橋みなみ)へー!

(朝井リョウ)もうあれだけエンターテイメントを……LDH、「Love, Dream, Happiness」って言っているEXILEのみなさんがその紀香さんの1曲披露する『シカゴ』を受け止めきれてない動画がまだ残っているので。

EXILEが受け止めきれない藤原紀香

(高橋みなみ)めっちゃ見たいじゃん!

(朝井リョウ)すごく面白いです!

<書き起こしおわり>

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