(平野レミ)まだまだ! ちょっと待ちなさいよ! そしたらばさ、和田さんが3日か4日経ったらばさ、あの人、フランク・シナトラが大好きなんですよ。世界中で追っかけをやっちゃうの。で、「ニューヨークかどこかでシナトラがやるからちょっと行ってくる」って。で、見てすぐに帰ってきてさ。
(田中裕二)すげえな、それ……。
(平野レミ)すぐに帰ってきたの。で、「結婚しようか」っつったの。
(太田光)急に?
(平野レミ)うん。
(田中裕二)まだ付き合ってないんですね?
ニューヨーク帰りに「結婚しようか」
(平野レミ)なんにもない。えっ、ちょっとさ、「付き合う」ってどういうこと?
(太田光)キスしたり……。
(平野レミ)いや、やんない、やんない。なんにも……。
(太田光)ファーストキスはいつですか?
(平野レミ)フハハハハハハハハッ!
(太田光)急に照れるの、やめてくださいよ(笑)。今まで機関銃のようにしゃべっていたのに(笑)。急に何かを思い出して照れるの、やめてくださいよ(笑)。
(平野レミ)でも、最初にキスした時にはさ、あたしさ、その人にさ、「焦げたパンを食べてきた?」って聞いて。そしたら「食べてきた」って。
(田中裕二)匂いが……嗅覚がすごいんだね。
(平野レミ)和田さんじゃない人ね。
(田中裕二)和田さんじゃない人ね。それよりももっと前にね。
(太田光)フフフ、そうだったんだ(笑)。でも和田さんにはだんだん恋心を抱いて?
(平野レミ)いや、恋心の前にもう「結婚しようか」って。ニューヨークから帰ってきてすぐに「結婚しようか」って言うから「しましょう、しましょう!」って私もさ、言っちゃったの。
(太田光)えっ、なんで?
(平野レミ)それはね、もう違うのよ。わかるのよ。
(太田光)ああ、「この人だ」って?
(田中裕二)もう結婚するって思ったんですね。平野さんも。恋愛感情の前に?
(平野レミ)「この人しかいない!」って。
(太田光)いやー、そんなことがあるんだね!
(田中裕二)なんだろうね? たまにそういうの、あるけど。はじめて会ったぐらいのレベルで。
(平野レミ)あのね、扁平足って知っている?? あの足がベタンとついちゃう。その扁平足みたいにね、もう地べたに足がビタッとついていてね、動じない感じがしたの。
(太田光)ああ、和田さんね。扁平足だったんだ。
(平野レミ)いや、扁平足じゃないよ!
(田中裕二)たとえでしょう!(笑)。
(太田光)フハハハハハハハハッ!(笑)。
(中略)
(田中裕二)今週のゲストは料理愛好家の平野レミさんです。いやー、もう和田さんとの馴れ初めとかも本当に面白いですね。
(太田光)すごいね。すさまじいね、やっぱり。
(平野レミ)「料理愛好家」っていう名前もさ、「研究家」じゃなくて。「どうしようか?」って言っていた時に和田さんが「愛好家じゃないの?」って言って。だから「愛好家」っていう名前も和田さんがつけてくれたの。
(太田光)だから和田さんと知り合って料理もやるようになって。
(平野レミ)それでさ、和田さんがさ、絶対に私が作ったものを「マズい」って言わなくて。それで「うん。ちょっとコクが足りないかな」みたいな言い方がすごくやる気になるの。「こんなもん食えねえよ」とか言われたら「じゃあやらねえよ」ってなるけど。それがならなくて。和田さんがいつもね、「美味しい、美味しい」って言ってくれて。ちょっとあれな時は「コクが足りないかな」って。その言い方が優しくて。だからどんどんどんどんのめり込んでいって。和田さんのおかげだね。
和田さんのおかげで料理にのめり込んだ
(太田光)でもさ、レミさんのその「平気、平気」っていうのと同じように、和田さんもやっぱり前向きだったんだね。お互いにぴったり合ったんでしょうね。
(平野レミ)合っちゃったね。和田さんもいい人でさ、お金が嫌いでさ。
(田中裕二)お金が嫌い?
(平野レミ)そう。もうみんなタダでやっちゃうの。だからうち、本当は大金持ちだったんだってさ。
(太田光)大金持ち? 本来なら、金を取っていれば。
(平野レミ)そう。で、息子が言うの。「お母さん、うち、本当は金持ちだったんだよ」って。だからうち、今貧乏なの。だってみんなタダでやっちゃうから。
(太田光)それはさ、最初のシャンソンの先生の教え通りだったんだね。「お金は汚らわしい」って。
(平野レミ)アハハハハハハハハッ! ああ、だから和田さんも取らなかったんだね! ポスターでもなんでも、みんなタダでやっちゃうからね。
(太田光)我々、1回和田さんに表紙を書いてもらったことがあるんですよ。僕らも。本当に嬉しかった!
(田中裕二)本当に嬉しかった。もう歴史に残ることだもん。
(太田光)ものすごい名誉なことだった。
(平野レミ)でもね、今さ、和田さんのものが1階、2階、3階って全部あるんだけどさ。いま、いろんなものがいーっぱいあるの。でもさ、全部多摩美に行っちゃうの。原画も全部。
(太田光)でもね、また和田誠展で見れるようにね。
<書き起こしおわり>