星野源「AよりもBが好き」という言い方をしたくない理由を語る

佐久間宣行 星野源ソロデビュー10周年お祝いコメント書き起こし 星野源のオールナイトニッポン

星野源さんが2020年放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』YouTubeライブアフタートークの中でリスナーから届いた「星野源から学んだことメール」を紹介。好きなものを紹介する際に「AよりもBが好き」という言い方をしたくない理由について話していました。

(星野源)大阪の17歳の方。「源さんに学んだこと。悪口を言わない。『AよりBが好き』と言うとBを好きな人のことを傷つける」。

(橋本直)これは勉強になりました。これ、僕も気をつけるようになりましたね。素敵なイズムというか。

(星野源)そうですか。ありがとうございます。「……貴重な中高時代に私の性格を形作ってくださったと言っても過言ではないです」。ああ! というか、ラジオってそういうものだよね。だから俺も中高の時に『コサキン』をずっと聞いてたんだよね。だからくだらないことばっかり言いたくなってしまうっていう、そういうのも含めて。うんうん。なるほどね。ありがとうございます。「本当に感謝しかない」と書いてあるの、本当に嬉しいです。ありがとう!

そうね。でも、悪口は言うよねー。フハハハハハハハハッ! 言っちゃうよね(笑)。いや、なんかさ、完全なオフラインっていうか、本当に気のおける友達とかだったら全然いいと思うんだよね。だからなんか、不特定多数の人に流れるようなのはなるべく本当、言わない方がいいよなとは思います。で、その「AよりBが好き」って言うことはなんかね、それもねすごく自問自答っていうか自分と向き合わざるをえない時間みたいのが僕は長くて。どうしても。

自分と向き合う時間が長かった

なんか、まあ高校の時も3ヶ月、学校行かなかったりとかいろいろあったし。あとね、頭の手術で入院したりとかもいろいろあったし。あと、まあハタチぐらいの時、一番貧乏な一人暮らしし始めた時とか、家でただ考えるしかなかったりとか(笑)。バイトに行くか、家で考えるかみたいな。そういうのしかなかったけど。なんていうか、たとえば人になにかものを勧める時に、たとえば今、流行ってる人を引き合いに出して「この人よりこの人の方がいいよ」って言うのって、それは自分のためでしかないなと思ったんですよね。

それでなんか自分の欲を満たすためっていうか。だからそれは、たとえば人になにかをお勧めしたい時に「今、これが流行っているけど、こんなのよりもこっちの方がいいよ」とか「こっちの方が本物だよ」みたいな言い方をする時って、なんていうかその好きなものへの愛なんじゃなくて、それを言ってる自分への自己愛なんですよ。だからそれってすごく恥ずかしいことで。ナルシズムなんですよね。

ただ、ここを引き合いに出す必要がないわけだから。で、あなたがこの立場だったら、それは普通にイラッとするでしょう?っていう話なわけで。というのを「あっ!」と思った時があって。でも、やっぱり「あっ!」て思った時から、やっぱりそういうことを言いたくなる時があるわけ。なんか話の流れで。それで言いたくなる時があるんだけど、なるべく我慢みたいな。

で、やっぱりそういうのを繰り返していくと、別にそもそも言いたくなくなるっていう。好きなことだけを言えばいいっていう。だから最近はそれこそSNSとか、いろんなところでそういう何か自分の好きなものを言うチャンスってあるけど。たとえば、そこですごくその人を判断できると思います。その人がその好きなものを語っている時、その「もの」が好きなのか、それともその人自身の「自分」が好きなのか。それだけで判断できるので。

そういう意味で「ああ、この人は自分が好きなんだな」って思うと、その人の話を話半分で聞けるようになるので。それはすごく人を見る時に、まあ実際に会ってもそういう判断ができるし、文字だけっていう……というか、SNSでなにかを判断するってすげえ難しいと思うから。基本的にはしない方がいいと思うんだけど。でも、その時にひとつの材料っていうか。「ああ、これをやってる人は、なるほどな」っていう判断材料になるというのは思います。

その人を判断する材料になる

(橋本直)結構、衝撃的っていうか。自分の教訓としてパッと入りましたね。「結構そういうことを言ってたな」と思って。

(星野源)いや、そう。だから僕もそういうのを言っていたから。なのでそれは「言っているやつはダメだ」っていうよりかは、だから基本的に僕が言っていることは自分の反省です(笑)。そう。で、やっぱりそれに気付くと恥ずかしくなるんだよね。その言っていた時が。「俺は何のためにそれをやってたんだろう?」って気持ちになるっていうか。そうなんですよね。

(橋本直)なんかマウント取っている感覚みたいな。

(星野源)ああ、そうそう! だからマウントでしかないんだよね。うん。

(橋本直)「なんだ、これは?」っていうので。だからこれは真理をついていて、めちゃくちゃ、ポロポロポロッて邪の角質みたいなのが取れました。

(星野源)アハハハハハハハハッ! 「邪の角質」ね!

(橋本直)これは……まあ、今でもたまにありますけど。「ああ、アカン! ちゃんと戻ろう」って。非常にこれは癖になっていたんで。やっぱりやっかんでしまうというか。あったんで。これは非常にためになっています。

(星野源)ありがとう。それはありがたいです。

<書き起こしおわり>

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