渡辺志保 J.Cole『Snow On Tha Bluff』・Noname『Song 33』論争を語る

渡辺志保 J.Cole『Snow On Tha Bluff』・Noname『Song 33』論争を語る INSIDE OUT

(渡辺志保)だから本当に繰り返すけど連帯、学び、教育とかが必要な時に、彼女は非常に自分が選んだ本なんかをもとに、その自分の知識を啓蒙しているアーティストでもあるから。そういった時に自分1人が攻撃される。しかも男性からそういう風に「あの口調、クイーントーンがイラッとするんだよ」とかって言われると、まあそりゃあムカつくわなっていうのは私個人の意見ですけれども、思いました。

で、彼女、ノーネームはこの『Song 33』っていう曲をリリースした後にTwitterでも「このことについてたくさん考えています。『Song 33』でアンサーをした自分のことを誇りには思っていないし、私が気にかけている問題に目を向けさせようと思って利用した曲なんです」っていう風に言っている。

でも、「この曲をアンサーとして返す必要はなかったですよね。この曲によってザワザワさせてしまうたら謝ります」っていうことをツイートしていて。その後に続けて「マッドリブがプロデューサーだからマッドリブがビートでキルしてくれたし。この私の言葉に共感してくれてる人もたくさんいるみたいなので、このままにしておきますけど、この曲で得た収入のいくつかは団体に寄付します」っていう。で、その後に「black radical unity」って書いて拳の絵文字をつけているっていう。ここでも「radical」っていうのが出ていますけども。

(渡辺志保)まあ、たぶんノーネーム的にはそのラジカルであることを誇りに思っている証なんでしょうし。これでおそらく……もちろんJ・コールもさ、「そんなことを言うならば、曲でそんなこと言わなかったらよかったじゃん」って思うんですけども。ツイートでさ、めっちゃ長文の、「ノーネームはめっちゃ素晴らしい女性なんで」みたいなのをワーッとつぶやいていて。

(渡辺志保)「じゃあ、なんでそんなクイーントーンとかって言っちゃうのかな?」って思っちゃうんですけども。まあ、そんなことがあったということです。で、この『Snow On Tha Bluff』がリリースされた時にTwitterでさ、「For You」っていう「あなた用のトレンドワード」みたいなが出てきて。そこの1位がリル・パンプだったんですよ。

で、「えっ? リル・パンプ? これ、どうした?」って思っていたら、そのJ・コールが以前、リル・パンプに向けて『1985』でしたっけ? アルバム『KOD』を出した時にそういう若手ラッパーにちょっと物申すみたいな曲を作って。それで元々、リル・パンプがJ・コールのことをちょっとディスっていたんですよね。「分かってねえオヤジだ」みたいな感じで。そしたらJ・コールが自分のスタジオにリル・パンプを呼んで対話するっていうインタビュー動画が出て。

リル・パンプとJ・コールの対話

だから「今回もリル・パンプの時みたいにやってくれるだろ、コールさんよ?」みたいなツイートがたくさんあったみたいで。それでトレンド入りしてたってわけなんですけども。なので、たしかにJ・コールとノーネームがこのまま対話してもいい方向に行くのか、100パーセントは分からないですけど。もちろんそういう機会があってもいいと思いますし。何かこれが本当にね、ちょっと胸クソ悪いみたいな出来事ではなくて、お互いの学びのきっかけというか。私もそうですけれども。そういったきっかけになれば一番いいのかなっていう風にも思いましたね。

(DJ YANATAKE)そうだね。いわゆるビーフみたいな話ともまた違うし。バン・Bさんが、OGが出てきて。「話すべき論点がズレないように」っていう注意もありつつですけど。でもこれをきっかけにね、今の志保の話とかでまた、学んだり勉強したりすることが増えたりするのもそれはそれでよかったんじゃないかなと思いますし。今、一応でもこの事態としては沈静化というか?

(渡辺志保)沈静化というか。お互いがたぶん納得していらっしゃるような感じなのかな?っていう風にも思うし。で、私はやっぱりノーネーム、前から好きで。『INSIDE OUT』でも何度も紹介してきたし。彼女の来日公演もWWWに見に行って本当に素晴らしい、彼女自身が向日葵の花のような素晴らしいライブだったし。で、今回やっぱりノーネームについて、私ももう1回、彼女のインタビューであるとか、そういったものをディグって。で、そのブッククラブの課題図書も買って、今ちょうど読んでるところなんですよ。だからま本当に私に関しては、もうこの曲、その騒動がきっかけでさらに本を買って読むまでになりましたので。ノーネーム、ありがとうっていう感じです。

(DJ YANATAKE)なるほど。本当に次から次へと難しい話題が出てきているかもしれないけども。

(渡辺志保)さっきまでシティ・ガールズの『Pussy Talk Feat. Doja Cat』の話をしていたはずなのにね(笑)。

(DJ YANATAKE)フフフ、でもね、日本語になっている記事もたくさんあるので。ちょっと今の話でも、難しいところがたくさんあったと思うけども。気になることをひとつでも調べてみるっていうね。なんか1個でも調べてみるっていうのが今回の大事な動きなのかなという風に思いますよ。

(渡辺志保)なのでここで2曲、続けて聞いてください。お願いします。

J. Cole『Snow On Tha Bluff』

Noname『Song 33』

(渡辺志保)今、お届けしたのはJ・コール『Snow On Tha Bluff』。そしてノーネームで『Song 33』でした。ちょっと1個、つけたしておくと、J・コールが『Snow On Tha Bluff』の中で「お前、全部のアンサー知ってるんだろ?(You got all the answers but how you gon’ reach?)」みたいな感じでラップしてたんですけども。

でも、ノーネームちゃんはたぶん超偶然なんだけど。5月29日のツイートで「none of us have the answers.」って言っていて。「私たちの誰もアンサーは持っていない。答えは分からないんだよ」っていうことをツイートしていて。

私もやっぱりこの関連の問題についてはもう、まさにこれだなんて思っていて。たぶんひとつの答えなんてないし、それぞれがそれぞれがそれぞれの意識を持って。学んでいくとか知識を付けていく。そしてそれを行動に移していくことしかないなという風に感じておりますので。それをひとつ付け加えさせていただければと思います。

(中略)

(DJ YANATAKE)最近ね、このBlack Lives Matter問題というか。それでいろんな新しいスローガンっていうかさ、そういうのを結構見かけて。白人の人なのかな? その人が掲げているのを見たんですけども。「I’m Sorry I’m Late. I Had a Lot To Learn」っていう。結構これ、いろんなところでこのスローガンを見るんですが。

(DJ YANATAKE)「ごめんなさい。遅くなってしまったけども、今からたくさんのことを学びます」っていう。そして「Black Lives Matter」って言っていて。まさにそんな感じかなと思います。なので、難しいんだけど。全部をね、理解できている人なんてなかなか世の中でもいないと思うし。何かひとつでもね。やっぱり学ぼうっていう気持ちが今回、大事なんじゃないかなという風に本当に思いました。

<書き起こしおわり>

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