(荘子it)基本的にはそこに感知してないサイレントマジョリティーというのがめちゃめちゃいっぱいいたりして。だからなんか、そこがすごい難しいところで。これのもうひとつの問題点としては、だからそのフェミニズムの問題も、Black Lives Matterの人種問題にしても、そのグローバルな観点に立つと「シティズンシップ」っていうんだけども。つまり、市民としての意識を高く持つと、それは誰にとっての問題でもあるんだけど。でも、まず「アイデンティティー」という問題がまた別であって。
つまり黒人の方にとってBlack Lives Matterが問題であるのと、僕らがその情緒的に共感してそのBlack Lives Matterについての思うことっていうのはシチズンシップとして……つまり世界の市民としては、同じ世界を共有する市民としては同じ風に語れるんだけど、アイデンティティーの問題ってなるとかなりそこには距離があったりもするわけで。
また、その男性がフェミニズムについて語ることもそうだし、あとはフェミニズムっていうものが温存してきたいわゆるその男性と女性っていう区分は実はそんなに明確じゃないんじゃないか? とかっていう問題提起ももちろん可能だと思うし。まあ、それがさっき言った、最初に紹介しようかと思ったジュディス・バトラーっていう人の『ジェンダー・トラブル―フェミニズムとアイデンティティの攪乱』っていう。
それはつまり、今までのフェミニズムは男性を批判するために女性っていうのをすごく外部に作っちゃていたんだけど。それだといわゆる同性愛とかの問題からどんどんすり抜けちゃって。要は「異性愛」を基本にしたものになっちゃってるから。そういうところから考え直さいけいけないだろう、みたいな。つまり、まさに根本的な……。
(あっこゴリラ)そうなんですよね。トランス差別っていう部分もすごく問題に上がってくるんですよ。そうなってくると。ちょっとね、すごい突然ね、かなりモードが変わったよ。『SONAR MUSIC』(笑)。
(荘子it)フフフ、すごい話してますけども(笑)。
(あっこゴリラ)そう。でもね、時間がないからすごいね、聞きたかったことなんだけども。私もこの本はね、絶対に読みたいなって思ってるんですけど。
(荘子it)だから本当、章ごとに分かれていて。1日1章ペースで読んでいても、だから全部で17、8章かな? なので1ヶ月かからずに読めるわけだから。そんなに別に難しくもない。それは結構いいかなと思って。仕事が忙しいと思うんで、普通にパラパラと1章ずつぐらいでも読めるっていうのが一番いいバランスなんじゃないかなと思っていて。それで興味を持ったところを掘ってもらったらいいかなっていう感じがする。
(あっこゴリラ)そう。やっぱり読書ってさ、何も知らないと怖いじゃない? 「右、怖い」とか「左、怖い」とか。そういうのを知る……まず知るってことって超大前提の話なんだけど。それをやっぱりあんまり踏み込まない人が多いのかな?っていうのも思って。ちょっと踏み込んで行けてないところもあったもんな。自分も。そういう風にすごい思っていて。
「ルーツって何なんだろう?」
(荘子it)そうそうそう。だから保守……要は「ルーツって何なんだろう?」っていう話なんだけど。あっこゴリラが疑問に思ったのはまさにそういうところだと思うんだけど。自分たちのルーツって何なのか?って考えると、究極言うとルーツなんてないんですよ。極論を言っちゃうと。つまり、「日本人には日本人のこういうルーツがあるんだ」って指させるようなものはないんだけど。「ない」っていうことに向き合わなかったがゆえに、さっき言ったネット右翼の問題とかもまさにそうだけども。
このネット上の闇で「今まで、こんなこと知らなかったけどこんな事実があったのか!」っていうことにぶち当たった途端、それを指差して「これが問題だったんだ!」って言えてしまうから、極端なアイデンティティーのナショナリズムに絡め取られてしまうんだけども。つまり、日本人がいかにそういうバカげた喜劇じみたことを今までやってきたのか?っていうことがこの本とかを読むとすごくわかるわけ。
(あっこゴリラ)なるほどな。
(荘子it)だからそれを見極めていくことによって、だからそっちにハマるリスクも防げるし。自分がね。だし、なおかつ、自分がさらに左翼的な、あるいは革新的なリベラルな発言する時の構造をより強化することもできるっていう。
(あっこゴリラ)そうだね。解像度が上がるってことだね。
(荘子it)俺が大学の時に考えたのはつまり、「敵を知る」っていうこともそうだし。あとは普通に自分が何か言う時、単純に武器になるなっていうような感じで。
(あっこゴリラ)「自分自身を知る」ってことでもあるからね。この話はね、ちょっと続きはね、ポッドキャストやりたいな。時間を気にしないあれでやりたいよね。
(荘子it)まあまあ、今日はだから外堀の話をしたいから。そういう思想の考え方は身につくよってことでしかないから。本の内容には全く、ほぼ触れてないけど。すごいいろんなもののことが分かると思うんで。
(あっこゴリラ)こういう風にね、だからねちょっとした疑問を投げかけたらこうやって返してくれるから。ぜひね、リスナーのみんなも荘子itにレビューしてほしい本があったらガンガン投げちゃってください。琴線に触れたらね、きっとやってくれると思うので。
(荘子it)フフフ、琴線に触れなくてもそんな……やりますよ。そんな偉そうな(笑)。
(あっこゴリラ)リスナーから来ていたのがね、結構チャラ目のっていうか、ドラマ。それこそラブコメみたいなのを……。
(荘子it)ああ、うん。いいと思うよ。
(あっこゴリラ)でも逆にやってほしくて。
(荘子it)「逆に」っていうか、真っ当にやりたいよね。
(あっこゴリラ)『ロンバケ』とか『101回目のプロポーズ』とか。すごいやってほしい。荘子itにレビューを。じゃあ、次はドラマ?(笑)。今回、結構硬派だったから次はドラマっていうのもありですね。
(荘子it)硬派だったんだよね。だから面白いのが、やっぱり西部さんとかもすごいおっちゃんだからさ。これ、本当は番組なんだけど。3人で話してるところに本当は女性アナウンサーの人が1人いて。なんかね、それがもう本当、予期せずに最近流行りの「マンスプレイニング」構造みたいになっちゃってて。すごいね、パッと見、不快感を持つかもしれないけども。「物を知らない」っていう立ち位置の女性アナウンサーに対して「知ってますか?」「もちろん、知りません」みたいな感じになって、それで話が進んでいくんだけども。「これに対する批判意識、この人たちにはないのか?」って思っちゃうんだけど。
(あっこゴリラ)これ、あるあるなんだよね。マジで。
(荘子it)でもそれはね、むしろ……是としては捉えないけども、むしろ何でこうなってしまうのか?っていう問題を考えるためにも使えると思うし。
(あっこゴリラ)そういうのをね、俯瞰的に見ながらね。うんうん。
(荘子it)っていうかね、なんかいいなと思った。今時、SNSとかで情報収集をしても、何が正しいのか?っていうことを考える方の解像度ばかりを上げようとするんだけども。つまり、「自分たちが何を変えられなかったのか?」っていうことに向き合う時間っていうのもたぶん必要だと思うんだよね。
(あっこゴリラ)これはパンチラインですね。「何を変えられなかったのかを知る」っていうことはね、それはすごい大事なことだと思う。本当に。ちょっとね、また来て。荘子it(笑)。
「自分たちが何を変えられなかったのか?」
(荘子it)西部邁さん、最後は自殺しちゃったけど。それに対しての思想的な説明とかはさすがしないけど。でもある意味、世間的に保守の思想家って旗色は決して良くはなかったわけだけど。やっぱり革新派の、いわゆる左翼系の知識人の人とかも、お亡くなりになった時はすごい追悼の意を示していて。
本当、みんなからすごい愛されていた人なわけ。生前、ものすごく論争した相手とかからも結局、尊敬をされていたわけで。そういう意味ってすごい大事で。なんて言うんだろう? いわゆる「アーティストズ・アーティスト」ってよく言うじゃん? アーティストからすごい尊敬されるアーティストとか。いわゆる世論としては別にそれを大して形成しなかったりするんだけど、「やっぱりあいつはすごいよな」って。その存在としてやっぱりみんな、今、NOWで言わなきゃいけないことは別にあるだけど。
でも、なんかその存在としていたみたいなタイプの人なんだよね。なんだろうな? アーティストズ・アーティスト……俺が中学生の時はthe pillowsがそう呼ばれてたんだけど(笑)。ロキノンバンドにとってのアーティストズ・アーティストみたいな感じで(笑)。
(あっこゴリラ)なるほどね(笑)。じゃあちょっと気になった方は西部邁さんの『日本人とは、そも何者ぞ』という本を……私もちょっと読もうと思っているのでぜひ、一緒に読み進めていきましょう。ありがとう。また次回もぜひ、楽しみにしています。来月、またどこかでということで。じゃあ、次は「ラブ」をテーマに(笑)。
(荘子it)次は「ラブ」がテーマ(笑)。いいっすね。
(あっこゴリラ)そっちも壮大だからね。楽しみです。今日はありがとう。というわけでDos Monosの荘子itでしたー!
<書き起こしおわり>