プチ鹿島 木村花さんの訃報を語る

プチ鹿島 木村花さんの訃報を語る YBSキックス

プチ鹿島さんが2020年5月26日放送のYBS『キックス』の中で亡くなった女子プロレスラーの木村花さんについて話していました。

(海野紀恵)では、こちらに行きます。ラジオネーム「よっきゅん」さんからの嘘見出しです。「長州力、切れてますよ! SNSの誹謗中傷に」ということで。長州力さん、木村花さんの件でコメントを出されていたということでニュースにもなっていましたが。

(プチ鹿島)いやー、これはもう本当に深刻な話で。木村花さんって、実はお母さんが木村響子さんという元女子レスラーの方で。まあ「お母さん」って言っても40代前半で全然お若いんですよ。僕なんかよりも全然若くて。で、僕も木村響子さん、ずっと見ていて、ファンでね。いいヒールでもあったんですよ、お母さんも。それで数年前に引退をされて、それと入れ替わるように娘さん、花さんですよ。

で、この花さん、どういうレスラーかというと、昨日の日刊スポーツで記者の方が書いていますけどもね。女子プロレスって本来、男性ファンが多かったんですけども、この花さんには特に女性ファンが多かったっていうんです。で、実際に団体も新規の女性ファンを増やしたいということで、それを象徴するレスラーだったんですよね。で、もちろん、それこそ武藤敬司さんのプロレス学校の出身で。だから武藤さんもかわいがっていて、その素質を認めていた人なんですよね。

(海野紀恵)へー!

(プチ鹿島)で、「メイクはドラァグクイーンの方を参考にして、男性受けを一切無視したビジュアルを普段からしている。でも、それによって、女性から『かわいい』っていう声を頂いたり、メイクをまねしてもらったり……」ということで、本当に女性ファンが多かったんですよね。だから今回の『テラスハウス』への出演というのも「認知度アップだけでなく、業界の旧体質を変える狙いもあった」という。

「たとえば恋愛とかだって有名人、女子プロレスラーだったら今までは公にしないものだったけど、それすら見せたっていいじゃないか」ということで。だから、「偏見にとらわれず、自由な考えを持つ木村花という選手は、新しい女子プロレスの象徴にふさわしかった」っていう風に記者が書いていたんですが、まさにこの通りなんですよね。

(海野紀恵)うん……。

「新しい女子プロレスの象徴にふさわしかった」

(プチ鹿島)いや、だから本当にショックだし。なんかね……また、ああいうリアリティーショーっていうのがすごく今、受けているんでしょう? じゃあ、僕はちょっと話のついでなんですが。リアリティーショー……「リアルとリアリティーってなにか?」っていうのを僕、2014年に出した『教養としてのプロレス』という本でちょっと考えたことがあって。その時に劇団ポツドール主催の劇作家、三浦大輔さんと直接お話をしたことがあるんです。というのは、三浦さんのやっている劇団のお芝居が大好きで。それは舞台上でものすごい過激なラブシーンをしたりするわけですよ。

(海野紀恵)へー!

(プチ鹿島)で、それはどこまで描くのか?っていうリアルなんですよ。「あの描き方ってなんですか?」って三浦さんにたずねたら「セミドキュメントだ」って言うんですね。「演劇的なストーリーやセリフを排除して、舞台上で本当のことを見せるということにこだわった。役を取っ払って、舞台上の役者たちの元々の素の姿とか人間関係を見せよう」という。「要は舞台上で舞台裏の話をぶっちゃけてもOKみたいな、そういうセミドキュメントを最初はしていた」という。

ただ、この方法っていうのは行き詰まるんですって。「やっぱり偶発的に受けることはあっても、長続きはしない。その後は基本的な演出をすることになった。ただ、そのセミドキュメントの爆発力はすごかったので、今でも取り入れています」というようなことを……これは6年前の時点での情報なんですけども。

(プチ鹿島)だからここからわかることというのを僕、まとめてみたんですけども。リアルを追求しても、かならずしもエンタメは面白くなるわけではないということ。あと、リアルでありさえすればよいのであれば、別に技術がなくても成り立ってもしまうという危険性や可能性があること。あとはリアルはハマった時の爆発力や爽快感がすごい。生の感情を開放すること、晒すことで開き直れるということで。だからリアルっぽさというものを見せることがいかに爆発力があるのかっていうのを僕は教えてもらったんですよね。

だから今回、「リアリティーショー」ってよく言われますけども。あくまでも「リアリティーショー」であって「リアル」ではないわけですよね。だから、リアルっぽく見せるその手段というものが……でも、どうしても今はSNSと直でつながってしまうから。なんだったら今、そういう番組ってSNSを巻き込んでナンボみたいな考え方もあっただろうから。だからね、そこがもう、ちょっと考えちゃいますね。

(海野紀恵)そうですね。

「リアリティーショー」は「リアル」ではない

(プチ鹿島)本当は受け手がそれを考えて楽しめばよかったんだけど……でも、やっぱりね、直撃しちゃう人もいちゃうだろうからね。

(藤原専務)また、これでSNSのあり方とかも変わってきそうですね。結構ね、いろいろと激しくしゃべる人もいますけども。でも、やっぱり匿名でも最終的には100%、わかりますからね。そのへんは気をつけた方がいいかもしれませんね。

(プチ鹿島)結局、僕が子供の頃もね、やっぱりそういう誹謗中傷とか考えられない行為をする人っていたんですよ。たとえばプロレスでいわゆる「悪役」を引き受けていた人の家に石を投げたり。その結果、その方の飼っていた犬が心を病んでしまって。ペットがやられてしまうという悲しい話もあったんです。だから当時もそういうことがあって。それで今、SNSという直接的に石をぶつけられるものができてしまったわけじゃないですか。だから人間は変わっていないのに媒体が変わってしまって……ならばテレビも含めて、なんとかしていくしかないのかなと思うんですけどね。

<書き起こしおわり>

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