プチ鹿島 緊急事態宣言直前の新聞各紙読み比べ

プチ鹿島 緊急事態宣言直前の新聞各紙読み比べ YBSキックス

プチ鹿島さんが2020年4月7日放送のYBS『キックス』の中で新型コロナウイルス対策のための緊急事態宣言を目前に控えた新聞各紙の読み比べをしていました。

(プチ鹿島)(YBS社員食堂の様子を聞いて)山梨もじゃあ、厳戒態勢ですね。

(海野紀恵)いよいよ……山梨県内も感染者の数、本当に毎日増えてきているので。もう本当に他人事じゃないなというのを実感しているところです。

(プチ鹿島)本当そうです。だから緊急事態宣言が今日出るみたいな感じで言われてますけども。やっぱり今日の新聞各紙の一面もね、やっぱりそればっかりで。たとえばですが、じゃあどうなるのか?っていうことで。東京都……山梨からもすごく注目してるでしょうけども。具体的その都の対応案というのが出ていて。「基本的に休止、お休みを要請する施設」というのがあってね。いろいろあるわけですよ。ゴルフ練習場とか劇場、映画館、ライブハウス。博物館もそう。それで「あれ?」って思ったのが図書館。まあ、でもこれ人が来るからなと思うんですけど。でも図書館って静かだよね?

(海野紀恵)そうですよね、おしゃべりは基本的にしないですもんね。

(プチ鹿島)それで意外と机、離れてるもんね。それでやっぱり今、こういう過ごし方をするとやっぱり図書館も閉めなくちゃいけないのかなとも思うし。あと理髪店にも基本的にお休みを要請するんですって。だから、ゴールデンウィーク明けぐらいまでみんな、もうボサボサになっちゃう可能性もありますよね。

(海野紀恵)そうですね。たしかにハサミ……清潔ですけどね。使い回したりする器具も多いっていうこともあるでしょうか?

(プチ鹿島)だから実際に「密接」だからなのかな? あと質屋さん。質屋さんなんて逆に必要な人、いるんじゃないですか? あと、その他には個室ビデオ、パチンコ店、ゲームセンターとかあるんですけど。じゃあ、これはお休みを要請する施設だったんですけども。「社会生活を維持する上で必要として休業を求めない施設」。これは病院とか薬局、スーパーマーケット、コンビニ、ホテル、タクシー、電車、物流サービスなど、いろいろあるんです。まあ銭湯なんかもそうですね。あとは飲食店。これは夜間・休日など営業時間の短縮。ただし、居酒屋さんはお休みの要請をするとということなんですね。

じゃあ今日の社説。もう王道ですけど、社説読み比べをしましょうか。もうタイトルだけでも違いが分かって面白いと思うんですけど。まあ緊急事態宣言が出るぞということで、各紙社説で何を書いてきたのか? 読売新聞は「患者の不安軽減する対策を」ということで。「医療崩壊を食い止めなければならない」という、そういうテーマでした。

各紙社説の読み比べ

毎日新聞も同じく「医療崩壊を全力で防ごう」ということで。それがテーマですね。

日経新聞は「国を挙げて危機に立ち向かう時だ」っていうね。まあまあ、「国を挙げて全力で立ち向かえ」ということを書いています。

朝日新聞はですね、「克服へ政治の責任示せ」っていう。だから「緊急事態宣言を出すに当たって、首相や知事はビジョンを明確に語り、社会の理解と合意を取り付ける必要がある。情報を適切に公開し、政治家の責任と覚悟に裏打ちされた施策を示すことによって宣言は意味を持つ」っていう風に書いていますね。

それで東京新聞は、これもちょっと朝日と似てるんですけど。「必要性を丁寧に語れ」という。「緊急事態の発令には十分な根拠と国民の理解が不可欠になる。専門家の知見も含め根拠を明確に説明すべきだ」ということでね。

だからあの一斉休校を安倍さんが出した時。あれは「政治判断」だったじゃないですか。で、専門家の知見や意見というのを元にしなかったという。で、「政治的判断をしたならば、その判断根拠とかを求めた方がいいんじゃないか?」っていう声が出ましたよね。そして安倍さん今度は「専門家の判断を仰ぐ」っておっしゃってましたよね。だからまあ今日、専門家会議を招集して……という、そういうことになるんでしょうけど。ちょっと変わっていたのがですね、産経新聞の本日の社説。「外出の自粛 スターの発信に期待する」っていう。

「外出の自粛 スターの発信に期待する」(産経新聞)

まあ、要は今、感染拡大が収まらない要因のひとつに若者の外出が止まらない事態が挙げられるという。じゃあ、若者が言うこと聞くのは誰なんだ?っていうことで、「スポーツや芸能の現場からその新型コロナウイルスとの戦いに強いメッセージが送られているのは心強い」という。たとえばサッカー元日本代表の本田さん。カズ。バドミントンの桃田さんなど、いろいろ発信している。星野源さんは自身のInstagramで『うちで踊ろ』という楽曲を公開して「お家にいよう」という、そういうメッセージを呼びかけているという。

DJ YANATAKE 星野源『#うちで踊ろう』チャレンジを語る
DJ YANATAKEさんが2020年4月6日放送のblock.fm『INSIDE OUT』の中で星野源さんが自宅待機中に楽しむために制作した楽曲『うちで踊ろう』と、そこから派生したムーブメントについて話していました。 (DJ YANATA...

まあ、「こういう事態だからこそ若者に訴求力がある選手や芸能人の発信に期待は大きい」という。それで最後が面白いんですよ。「ファンは真摯にこれを受け止めてほしい」っていうね。まあ、若い人は新聞を読んでるのかどうか、不安になるんですけどね。まあ、僕は受け止めましたけども……。

(海野紀恵)はいはい(笑)。

(プチ鹿島)まあ各紙、いろいろ切り口が違いますよね。で、これポイントなのが緊急事態宣言っていうのをまあずっと「いつ出すのか? まだ出さないのか?」みたいな声がありましたよね。じゃあなぜ今なのか?っていうことで。これを読んでいくと、これまで首相が宣言に慎重だったのは、やっぱり「経済に与える影響」を懸念していたという。これはどの新聞でも書いているんですよね。僕はてっきり「私権の制限」っていうのがあるじゃないですか。あれの影響を懸念していたのかなって思っていたら、そうじゃなくて経済だったっていう。

で、その経済に影響を与えることを考えていたんですが、ただやっぱりここに来て感染経路が不明の患者が増加したことに加え、専門家や各自治体の知事さんたちの不満が広がって発令せざるを得なくなったっていう。これは毎日新聞に書いてあったんですね。その記事のタイトルはズバリ、「外堀埋まった政権」という。やっぱり与野党から「出すのが遅いんじゃないか?」とか「出すなら補償とセットでするべきだ」とか。

自民党の若手議員とかも「一斉休校要請と同時期に出すべきだったんじゃないか?」とか。いろんな意見が出てたそうなんです。ただ一方で、「経済政策がまとまったから宣言を出すということだ」っていう。これは自民党の関係者の言葉。あとは首相周辺の言葉として「ただ宣言をすればいいのではなく、ちゃんとした経済対策を練り上げる時間が必要だった」っていう、そういう解説も毎日新聞に載っていたんですね。

「外堀埋まった政権」(毎日新聞)

ですので、これを読むとなんと言うか周りから突き上げられて、突っ込まれれば突っ込まれるほど慎重になっていたという姿も見られるんですが、一方で経済対策が108兆円ですか? まとまったということでドンと出してきたことによって、出遅れの懸念を相殺しようとする狙いがあるのかなっていうのが見えます。

(海野紀恵)なるほど。

(プチ鹿島)一方で東京新聞とかは、これは当然なんですが。権力者に力を与えるということはその力の恣意的な運用に懸念があるという。曖昧な発動要件が心配だっていう、そういう意見も当然あるんですけども。まあ、経済対策はきちんと出たから。「108兆円だぞ!」っていうとで、それがやっと出たっていう解説もありますね。ただ、その経済対策も中を見ていくと、もう皆さんもご存知のように、たとえば「1世帯あたり30万円の現金給付」というのがあるんですが、そこには厳しい条件が設定されてるんですよね。

たとえば「世帯主の2月から6月のいずれかの月収が新型コロナ発生前よりも減少し、個人住民税が非課税水準となる世帯だ」という。まあいろいろ難しいんですけど、具体例が書いてあって、これが分かりやすかった。「東京都23区内で専業主婦と2人暮らしのサラリーマンの場合」っていう具体例が書いてあって。それでは非課税になるのはどれぐらいかというと、「年収156万以下の人に限られる」っていうことなんですね。だから年収がたとえば700万円の人が年収が半減して350万円になっても、現金給付の対象にはならないということで。これ、現金を受けるのはなかなかこう厳しいなっていう。

(海野紀恵)そうですね。

(プチ鹿島)そういう現実が見えくる。あと面白かったのがですね、小池都知事の影。影響ですね。安倍さんがなぜ緊急事態宣言を出さなかったのか? 実は安倍さん、昨日の言葉でも「日本では緊急事態宣言を出しても、海外のように都市の封鎖を行うことはしないし、そういうことをする必要もない」っていう風に説明をされたわけですよね。それで朝日新聞にその背景が書いてあって面白かったのが、何で改めてこういうことをわざわざ言うのか? それは「小池都知事が3月23日の会見で『ロックダウン、首都封鎖』っていうのを強調したことが安倍首相らを困惑させた」っていうんですね。

(海野紀恵)ほう!

小池都知事の影

(プチ鹿島)つまりあれで「小池さんがいきなり強い言葉を出すことで、緊急事態宣言とロックダウンを同一視する見方が広がってしまって、スーパーなどで買い占めが起きてしまった。そうした事態に官邸からは『迷惑だ』との声が上がった」っていうですよ。、今日の記事を読んでみると。まあ、そうですよね。それで政府関係者はロックダウンのイメージの払拭をしなければまたパニックが起きるという。それで、さっきの話に戻るんだけれども。「経済へのダメージも計り知れない」ということで。小池さんがあの3月23日に急に出てきて「ロックダウン!」って言い始めた影響がやっぱりいろんなところに影響を及ぼしてるっていうね。「迷惑」って言われていたらしいですよ。

(海野紀恵)はー! そうですか。

(プチ鹿島)たしかにでも、小池さんは急になんか騒ぎ出した気がしますよね。

(海野紀恵)そうですよね。先週も「小池さんがはしゃぎ始めている」なんてことをプチさんもおっしゃっていましたけども。

(プチ鹿島)だから先週、紹介したのが3月27日の毎日新聞。あらためてその要点を出すと……そもそも都の対応はこれまで出遅れていたじゃないか。他の都市部は首長さんたちがもう強いメッセージを発していたのに、小池さんはメッセージを発する場面が乏しかった。姿勢が変わったのは東京五輪延期の流れが強まった時期と重なるじゃないか。もっと具体的に言うと、三連休には都内の花見の各所に多くのお客さんが訪れていたじゃないか。本来であればもっと注意喚起すべきだったっていう。ここですよね。

今、東京でも感染者数が毎日100人とかを超してきているんですけども。あれっていうのはその三連休の「ゆるんだ」と言われている結果。あの三連休で感染した結果が今、出ていると言われていますよね。あの時、小池さんは何を言っていたのか? 何も言ってないじゃないかっていう。安倍さんもそうですよね。あの三連休周りで記者会見をしなかった。国民に対してのメッセージを発っしなかった。あれ、森友学園問題を報じた週刊文春が出た直後だったから。政府高官の言葉でもそういう話がある。

だからやっぱりあの三連休の結果。あの時にリーダーたちがメッセージを直接国民や都民に発しなかったということ。それがやっぱり今にして思うとね……。だから小池さんは自分の出遅れを取り戻すために急に3月23日。もう東京五輪延期が強まった時にも「ロックダウン」っていう強い言葉を発して。まあ、その遅れの取り戻し、挽回をしてるように見えるという。それはもう各方面に影響を及ぼしているので。まあ本当にもう「おい、小池!」っていう感じですね。

(海野紀恵)フフフ、ポスターのね(笑)。

(プチ鹿島)一言で言うとね、「おい、小池!」っていう。それは官邸にも言われてるし、三連休のメッセージを出すべきところで黙っていたっていうのもちょっとどうなのかな?っていうのは思いますね。

(海野紀恵)そうですね。今、その影響が出てきているんですね。

(プチ鹿島)小池さん、まあ都知事選っていうのがありますからね。今、韓国も総選挙かなんかやっているんですけども、どうしてもこういう事態になると現職が強いんですよ。だって現職の発信していることが毎日、メディアとかに出るじゃないですか。そういう事態だと、新人候補の主張とかはなかなか取り上げられないっていうことで。だから小池さんとすればやっぱりもうテンションが上がってるのはそういう意味もあるんじゃないかな?っていうのが見えてきますよね。はい。

<書き起こしおわり>

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