プチ鹿島 検察庁法改正案見送り・新聞記事読み比べ

プチ鹿島 検察庁法改正案見送り・新聞記事読み比べ YBSキックス

プチ鹿島さんが2020年5月19日放送のYBS『キックス』の中で検察庁法改正案の見送りについて報じる新聞各紙の記事を読み比べていました。

(プチ鹿島)この1週間、コロナももちろんなんですが、検察のね、検察庁法改正案というのが先週のオープニングでも話しましたけども。昨日ですよね。「見送り」っていうことになりましたよね。

プチ鹿島「#検察庁法改正案に抗議します」新聞記事読み比べ
プチ鹿島さんが2020年5月12日放送のYBS『キックス』の中でTwitter上で広がった「#検察庁法改正案に抗議します」運動について報じる新聞記事を読み比べながら話していました。 (プチ鹿島)そんな中、相変わらずコロナ関連のニュース一色な...

(海野紀恵)はい。

(プチ鹿島)たとえば今日の東京新聞なんかを見ますと、「こちら特報部」というネットでは公開されてない、まあ言ってみれば東京新聞の売りなんですよ。これを見ると、「ロッキード世代」っていう文字があって。「検察庁法改正案に反旗」っていう。まあTwitterとか、いわゆる一般のそういう声も大きかったんですけども、いろいろと新聞を読み比べてみると、なんといってもこの検察OBが「何だよ、これ?」って言ったのが永田町にも大きかったんじゃないかという見解が多いですよね。

(プチ鹿島)それをまとめて「ロッキード世代」っていう。これを読みますと……「1976年に田中角栄元首相らを逮捕したロッキード事件の世代を名乗る、そういう人たちが危機感を表明したのが大きかった」という。ロッキード世代って……今、お笑い第七世代ってありますけどもね。こっちはロッキード世代。大御所たちが動いたという。

(海野紀恵)ええ。

(プチ鹿島)だからTwitter上で芸能人に対して「意味をわかって抗議してるのか?」みたいな、そういう批判みたいなものがありましたけど、結果的にはこの危機感、芸能人と検察OBたちと同じなわけですよ。ここでもそれが証明されたのかなと。で、新聞の読み方としてお話ししますと、面白いなと思うのが読売新聞ですよね。昨日、週明け月曜日。一面トップで「検察庁法案、見送り検討」と。これをドカンと出したわけですよね。

これで「ああ、そうなんだ」と。まあ僕はよく「一塁側三塁側理論」っていうのを言ってますけどね。読売は安倍スタジアムではホーム側、一塁側に位置していると思うので。まあ政権情報に強いと僕は思ってるわけですよ。だからそれが書いてきたっていう。言ってみればこれ、スクープですよね。で、実はやっぱりこういう時期って、その是非は置いておいても、政権情報に強い新聞っていうのはスクープがどんどん出てくるわけですよね。昨日なんかもこの「検察庁法、見送り検討」って一面トップでドカンと出してきて、これがみんな話題になりましたけど。

「検察庁法、見送り検討」(読売新聞)

その隣の一面を見ると「介護コロナ手当助成」というので。これは厚労省がそういうことを考えてるよっていう。コロナ手当を助成するという。介護現場を支援するための助成を考えてるよっていう。これもオンラインで出したりする時には「独自」って書くんですけど。「独自」っていうのはイコール「スクープ」ですから。これってやっぱり政権、もしくはその周りに強くないと。だいたい今回のコロナ対応とかでも読売が最初に書いて、その後を他社が追う。後押し記事を書くっていう、そういう傾向がありますのでね。やっぱり僕はこれはこれで見ておく必要があるのかなと思うんです。

(海野紀恵)うんうん。

(プチ鹿島)で、そんな読売新聞ですよ。だから僕は最近、もう一面トップで読売は何を書いてくるのか?っていうが読みどころのひとつでね。僕はある意味で一面トップのことを「読売ドラフト1位」って呼んでるんですよ。「今日は読売、ドライチは誰なのか?」っていう。読売ジャイアンツがドラフト会議での誰を1位指名するのか?って今はともかく、昔はいろんな駆け引きとか、いろんな「スクープ」とか……桑田真澄さんをいきなり1位にしたりとか。「読売はこれで来たか!」っていう。その楽しみが今、やっぱり僕は読売の一面トップにあるわけですよ。

で、昨日の読売ドライチが「見送り検討」って。「これは読売が書くんだから」って。「読売は桑田を評価しているんだから、これはすげえんだろうな」みたいな。そう思ったら、やっぱり昨日1日でそういう動きになりましたよね。実際、昨日の記事の読みどころ、僕はどこにあったかといえば、「見送り検討」っていうのもいいんだけど、記事の最後の方にこんなことが書いてあるんですよ。「ただ、次期国会で世論の反発が収まっているかどうかは見通せず、『今国会で一気に処理した方が傷が浅い』(閣僚経験者)との声もある。首相はこうした情勢を見極めてから、最終決断する見通しだ。」っていう。これ、昨日の朝の時点です。だから、いずれにしろその基本姿勢は変わっていないっていうことですよね。

「傷が浅いうちにやってしまえ」っていう……それでいろいろと二階さんとかの意見も聞いて、「でも今の国会ではやめておこう」っていう判断になったという。だからあくまでも「今国会見送り」なんですよね。だから実際、今日の読売のドラフト1位。ドライチ、一面トップを見てみると何が書いてあるかっていうと……「検察庁法案、国会見送り」っていう。これ、面白いですね。昨日は「見送り検討」。今日は「見送り」となるわけですよ。ただリード文を最後、読んでみると「秋の臨時国会での成立を目指す考えだ」という風にはっきりと書いてあるわけです。で、首相は「丁寧に説明する」と言っているということで。だからこれは政権情報に強いということを考えると、また秋の臨時国会で出してくるということは現時点ではほぼ確実なんでしょうね。

というのが新聞の読み方からすると、読売を見ていたらこういうことになっているということがわかるんですね。で、ちょっと戻りまして、今回は芸能人や著名人が声を上げたということで。まあ「声を上げない」ということだって自由なんですが、そこで「声を上げた」ということに関してもう一度、考えてみたいんですね。きゃりーぱみゅぱみゅさんが象徴的な例で、その彼女に対して「歌手をやっていて知らないかもしれないけれど」とか「本当にわかっているのか?」みたいな、そういう批判がありましたよね。

声を上げた著名人に対する批判

でもこれ、考えてみたんですよ。「なんでそういうこと言うだろうな?」って。だってそもそも、僕はよく言うんですが。魚屋さんには魚屋さんの本分があってね、八百屋さんには八百屋さんの本分があって。営業マンには営業マンの本分があって、芸人には芸人の本分があって、ラッパーにはラッパーの本分があって……いろいろ、それぞれに本業があるわけですよね。で、みんな本業で忙しいから、自分たちの代わりに国会で議論をして、大事なことを決めてくれる人を選ぶわけですよ。だから衆議院議員なんて「代わりに議論する人」っていうことで「代議士」って言いますよね。

もし、この代議士……間接民主制というものがなければ、僕らが本業があるにも関わらず、政治の全ての大事なことを直接、全員で話し合って決めなくちゃいけないわけですよ。これ、ものすごい重荷ですよ。

(海野紀恵)そうですよね。できない。

(プチ鹿島)だってどの法案も完璧に理解して、完璧に議論をできる知識を持って話し合いに臨むしかないんですよ。これ、ものすごい膨大な時間と労力がかかりますよ。それで、何度も言いますけど、みんなそこまでの時間がないんですよ。忙しいから。本業があるから。汗水を垂らして本職をみんな、やってるでしょう? その本業以外にも、全ての法案を理解して議論をするなんていう時間がないから、それを代議士さんにお任せするわけですよ。自分たちで選挙で選んで「この人なら信用できるかな」っていう人をね。で、その代議士を選んで、「じゃあ、あとは国会でプロフェッショナルな、大事な、専門的な議論をお願いしますよ」っていうことで、その代議士を国会に送り出すわけじゃないですか。

その後、僕らは本業の仕事をしながら、でもニュースとか、それこそテレビやラジオなどで見守りながら自分でも時事問題を考えるわけでしょう? これでいいわけですよ。ただ、もしその自分が選んだ人たちが、まともな議論をしなかったらどうするか?っていう。だからその機能がうまく働かなかったら、それはもう「注意する」しかないですよね。だってもともとこの制度が機能しているっていう前提で自分の本業に精を出していたのに、自分たちが選んだ人たちがちゃんと議論をしてくれてないという。

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