漫画家の服部昇大さんがTBSラジオ『アフター6ジャンクション』に出演。宇多丸さんと『日ポン語ラップの美ー子ちゃん』について話していました。
(宇多丸)その最初にお会いした時にはこの『未来は俺等の手の中』を書かれたぐらいで……その前かな? ああ、後か。で、ヒップホップとかも好きなそういう世代の漫画家の人がいますよっていうことで構成作家の古川耕さんからも紹介をされてっていう段階だったんだけど。まさかその後に服部さんがこんな感じでブレイクするとは!っていう感じで。服部さんが後に大評判を呼んだ作品がございまして。それが『日ポン語ラップの美ー子ちゃん』という作品。これは昨年、単行本が宝島社から出たんですけども。これ、最初は僕の記憶の中ではWEBで、インターネット上でこういう漫画を書いている人がいるっていう。要は昔の日ペンの美子ちゃんのパロディー調で、でも書いてあることは異常にマニアックな日本語ラップの……。
(服部昇大)そうですね(笑)。
(宇多丸)その説明の説明がされているんだけど、ちょっと皮肉がきいていたりして。これはただごとじゃねえぞ!っていうのが評判になりまして。
(服部昇大)ありがとうございます。
(宇多丸)これはWEBが最初ですか?
(服部昇大)そうですね。これは特にTwitterで発表をしていまして。
(宇多丸)それはご自分で自主で発表されていたという?
(服部昇大)そうですね。これは本当に趣味で発表していた漫画で。
(宇多丸)で、それをいったん同人誌化してというか。
(服部昇大)はい。結構反響があったので、まとめて。それこそコミティアとかM3で販売しようと思って出しました。
(宇多丸)で、それがさらに評判を呼んで、宝島社から単行本で発売されたということで。なんでこんな漫画を書こうと思ったんですか?
(服部昇大)もともと古い少女漫画風の絵が好きだったので。で、ラップの漫画を書きたいと思っていたんですけど、なかなか、じゃあどういうのを書けばいいんだ?っていうのを長年思っていまして。それをちょっと……「そういえば、日ペンの美子ちゃんっていうのがあったな」って思って。「あれ風に紹介漫画を書いたら、読んでもらえるんじゃないかな?」っていう風に。
(宇多丸)まあね、ミスマッチも甚だしい(笑)。
(服部昇大)ちょっとサンプリング精神的な感じで。
(宇多丸)そうなんですけど、やっぱり僕もそのシーンの当事者としても、すごい書いてあることが鋭いというか、的確なんですよ。あと、僕的には嬉しくなるのは美ー子ちゃんが世間の偏見とかに対して……ありがちな、もうネットとかで繰り返し繰り返しわいてくる、「またその話かよ!」っていうやつらに対して痛烈な一撃を次々とね。これはもう私が繰り返しやっているお仕事でもありまして。非常に「ああ、いいことをやってくれるな!」なんて思って。
(服部昇大)本当に、『ガラパゴス』とかも扱って。モロに。
『ガラパゴス』編
日ポン語ラップの美ー子ちゃん ガラパゴス編 pic.twitter.com/Ed6CbwAxpA
— 服部昇大/映子さん単行本発売中 (@hattorixxx) 2015年12月23日
(宇多丸)そうなんですよ。それでね、すごい人がいるなって。で、僕の中では最初にお会いした時の『未来は俺等の手の中』の服部さんとイマイチそこがつながっていなくて。で、あとから「あの人ですよ」って古川さんから教わって。で、単行本も普通に買ったんですよ。で、ワクワクして読み始めたら、これがうれしいじゃないですか。一発目に扱ってくれているのがRHYMESTERですよ。これ、すいませんね!
(山本匠晃)ああ、本当だ!
(服部昇大)やっぱりRHYMESTERじゃないですか?(笑)。
(宇多丸)言わせているみたいで、ねえ(笑)。
(服部昇大)2000年代後半から2010年代の中心は。
(宇多丸)本当にすいません。でも、僕らだけじゃなくてちゃんと日本語ラップの様々な……すごく新しい人も取り上げられているし。あとは結構マイナーな、こんなところも取り上げられるの?っていうところまでちゃんと。TOJIN BATTLE ROYALの解説まできっちり入っていますから。
(服部昇大)結構TOJINは力を入れて。やりたいな!っていう。
(宇多丸)「マキのペニ皮」とは何か?っていうね。詳しい解説をね。「相撲オヤジ」とは誰か?っていうところまでちゃんと(笑)。絵付きでちゃんと解説しているから(笑)。
(服部昇大)相撲オヤジの秘密をちょっと追求していこう、みたいな。
(宇多丸)つまり、本当に冗談抜きでこれを読めば最良の日本語ラップの、たとえばディスクガイドにもなっているし。素晴らしい1冊だと思います。
(山本匠晃)チェックしていただきたいと思いますけども。
(宇多丸)改めてタイトルを言うと、『日ポン語ラップの美ー子ちゃん』という本です。宝島社から出ております。
<書き起こしおわり>