宇多丸さんが2023年5月22日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中でRHYMESTERの新作アルバム『Open The Window』に収録される新曲3曲と、アルバムリリースに合わせたツアー開催を発表。そしてツアーのファイナルでRHYMESTERとしては17年ぶりの日本武道館公演を行うと話していました。
(宇多丸)で、何の話かといいますと、RHYMESTER。私が所属しております結成……だから今年で結成34年目になるという。もう、げっそりするようなね。本当にもううんざりだ!っていうぐらい、長くやっているRHYMESTERというグループがありまして。3人組でございます。
私ともう1人のラッパー、Mummy-D。そしてDJのDJ JIN。3人でやってきてるRHYMESTERが6年ぶりに発売する12枚目のフルアルバム『Open The Window』。これ、6月21日(水)に発売が決定したという話を以前、この番組で発表させていただきました。で、それに続いての情報解禁第二弾。前はね、「アルバムが出ますよ。全11曲ですよ」とか、そんなことしか言ってないんですけど。で、「新曲が3曲だけ入りますよ」とか「既発曲も1曲、作りなおしたのがありますよ」って。まあ今時のアルバムとしては十分だと思うんですけども。先行曲が多かったんで。
で、「その中身に関しては追って発表します」ていうことで。まず今日、発表すること……だから重大事項が三つ、あると思ってください。ひとつは、その6月21日に発売。今、後ろで流れている『After 6』。これのフルバージョンも入ります。
(宇多丸)この番組のテーマ曲のフルバージョンも入りますというニューアルバム『Open The Window』の新曲のタイトルと、今回、ちょっとアルバムの全体のコンセプトを通じて、いわゆるコラボ曲が多いんですね。要するに、今までやったことがない人とか、やったことないジャンルとか。たとえば子供向けの曲を作るとかね。社歌を作るなんてことまであるわけですけども。
この番組テーマ曲を作るも全然、大きな挑戦なんですけど。今までにやったことないことをやるというのがひとつ、大きなテーマという中で。3曲とも今まで組んだことない人とやったことない何かに挑戦するというようなテーマがありまして。3曲、これがまた作って、それぞれがすごい曲になったんですが。
まず、その3曲のタイトルと、誰とやったのか。これは重要ですよね。今回のアルバム、この新曲3曲入ることでものすごく色がバキッと明確になったんですけども。非常にこれ、大きな情報だという風に自負しています。まず、これの発表がひとつね。新曲が何か? あと、ツアーの発表をいたします。ツアーがいつから始まってね、チケットがいつから発売して。何ヶ所回りますよ、みたいな発表をします。
で、もうひとつ、とある、お知らせという。この三つですね。ただ、もう既に(放送開始から)12分になってますんでね。この三つ目までたどり着くかどうか、というところですよね。
(熊崎風斗)今の話だと三つ目がね、何の話だかわからないですけども。たどり着いてほしい。
(宇多丸)そうですね。この時点で引き返せば、何も言わなかったも同然ですからね。
(熊崎風斗)でも「三つ目」って言っちゃってるもんだから、みんな気になっちゃって。
(宇多丸)そうですね。観測されなければね、それは事象としてあれしないという。量子力学的なあれで言うと観測されないけど、もう予告しちゃってるんで。これはシュレディンガーの猫ではないですね? じゃあね、行きますね。新曲の話をします。『Open The Window』の全11曲中、3曲が今回のアルバムに向けて……もちろん、全部アルバムの曲なんすけど。今回、アルバムを並びで聞いていくと、より「ああ、アルバムだな」っていうことがちゃんとわかっていただける作りになってると思うんですが。その中で非常に重要な役割を果たすが新曲3曲ということで。
じゃあ収録順に発表していこうかな。メンツとタイトルみたいな。まず、新曲1曲目。お相手、feat. Reiさんです。Reiさん、この番組に3回ぐらい、ライブで来ていただいてるかな? シンガーソングライターでギタリストのReiさん。めっちゃくちゃかっこいいライブ。初年度ぐらいから、やっていただいてるかな? とにかく目の前で生演奏とかもしていただいて。めっちゃかっこいいギタリストであり、シンガーソングライターのReiさんとRHYMESTERが曲を作りました。
Reiさん、出ていただくたびに僕も「実はちょっとReiさんとRHYMESTERでビジョンがあるんですけど」なんて。チラッと言ったのを皆さん、覚えてますかね? で、ReiさんはReiさんで「いつか、フィーチャリングしてください。してくれるまで私はこれを言うのをやめません」みたいなことをおっしゃっていただいていて。で、やっぱりもちろん、いろんな、出ていただいた方は皆さん、かっこいい優れたアーティストなんだけど。
なんかRHYMESTERと特に、ちょっと手が合うなっていう風に私、直感的に思いまして。で、DさんはDさんで別ルートで「Reiさん、すごい」なんつって、すごく注目してたりなんかしてて。で、一緒に作った曲がございます。タイトル。これはですね、結構私がこの番組とか通じてでも、日頃の心構えとして言ってるようなことを曲にしました。ちゃんと。『My Runway』という曲にしました。
『My Runway feat. Rei』
宇多丸:どんな時にも1人で道を歩く時ぐらいはランウェイを歩く気持ちで。つまり、モデルになって、最高の服を着て、最高に輝いた存在として歩いてる気持ちで道を歩くべき、みたいな。普通に生きてると、皆さんね、尊厳というのを踏みにじられるような思いというのはしがちだと思うんです。大なり小なり。という中で、やっぱり自分の気持ちを高く保つために、自分で自分の機嫌を良くする術を知っておくべきっていうか。誰も助けてくれないから、みたいな。自分を助けてくれるのは自分っていう、そういう心構えのもとに。
そして、これの曲調というか、どんな曲なのかはまた、これは……すいませんね。小出しに行きますけど。まだ発売まで1ヶ月あるから、小出しに行くけど。曲調、どんなのか? 結構Reiさんが今まで作ってきた曲。そしてRHYMESTERの曲っていう中でも意外な感じの曲調かもしれませんね。なんだけど、言っちゃえばすごく乗りやすい曲なんだけど。メッセージは、今言ったようにベースになるもの非常に重いし。
もっと言えばこれこそ初回限定盤の全120ページ以上にわたり、ものすごい字が小さいことになってしまった文庫本形式の……もう本当に本なんすけど。その中の楽曲解説を兼ねた座談会。Reiさんと一緒に座談会しているんですが。それとプラス、脚注で。実はここに込めた文化的文脈みたいなものもすごく込めた1曲ですのです。なので、パッと聞きは乗りやすいんだけど、実はちゃんと重く深いという曲になっているはずだと思っております。『My Runway feat. Rei』。これが1曲目です。
で、新曲2曲目に行きます。こちら、アルバムタイトルそのままです。『Open The Window』です、これ、アルバムタイトル曲。ということで、ある意味このアルバムの中の芯となる曲でございます。一緒にこの曲を作った、この曲のプロデューサーでもあるのがあの、NulbarichからJQさん。JQさんを招きいたしました。Nulbarichはね、Mummy-Dさんをフィーチャリングで『Be Alright』というすごい曲を作りまして。この番組にも来ていただいて、私も絶賛いたしましたが。
(宇多丸)まあ皆さんご存知、Nulbarich。なんていうか、本当に世界標準のポップミュージックみたいなものを作っている、すごい人たちでございます。それの頭脳というかね、プレーヤーでもあるJQがですね、実は担当のナガタニくんが同じだという。人を絞め落とす訓練に余念がないビクターのナガタニくんが、その絞め落とす訓練とは別にやってる活動として、ビクターの会社員というのがありまして。これ、同じ担当で。A&R担当なんですね。あ、今、本当にイライラしながらこっちを見ていますけれども。
で、とにかくJQと、言っちゃえばそうだな? だから今回の、俺たちの中でのさらにもう決めの1曲というか。ところがこれがね、ちょっと我々が想定してたのよりも重くでかい曲になってしまった。最終的にはこのアルバムタイトル曲になったという1曲で。
(熊崎風斗)元々、アルバムタイトルにするとかっていうことでは?
『Open The Window feat. JQ from Nulbarich』
(宇多丸)違うんですよ。JQと一緒にやろうということで、トラックから作っていって。でもね、最初は「アンセムにしたいね。ビッグチューンにしたいね」みたいな、そういう薄ぼんやりしたことしか言えなかったんだけども。まあ、なんていうのかな? この間の世の中みたいなものがめちゃくちゃ入った1曲になりました。『Open The Window』。まあ端的に言えば、もちろん反戦メッセージとか。でも、それだけじゃないんですよね。
本当にこの番組を通じて、私も学んできましたし。そして同時に発信していきたいと思っているようなメッセージみたいなことというのが、もう練りに練ってというか、もう苦しみに苦しみ抜いて、作った……でもね、最終的に凄まじい1曲になった。もうJQの最終的なプロデュース力がヤバいっていうか。なんていうか、それ自体ではハードすぎるテーマがエンタメに昇華される瞬間っていうのを皆さん、目撃いただきたい。『Open The Window』という曲が新曲、2曲目でございます。
そして、3曲目。これ、たぶんですね、フィーチャリングの相手としてはたぶん一番意外な……意外だし、「ああっ!」ってなるところじゃないでしょうかね。3曲目、フィーチャリング相手から発表しますね。hy4_4yhです。feat. hy4_4yhでタイトルは『なめんなよ1989』です。トラックはDJ JINさんが作りました。
なんだけど一応、これはコ・プロデュースで私でございます。ハイパヨちゃん。この番組のエンディングでもいつもかけてる『LIVE&DIRECT~赤坂は夜の7時』とか。非常に僕らとか僕とかとも非常にゆかりが深い、女性グループ。アイドルアイドルですよ。ずっと活動しているハイパヨちゃん。生き残ってきたすさまじい人たちです。
(宇多丸)なんだけど、このコロナ禍にね、ずっと二人三脚でやってきたエザキマサルさんがコロナでお亡くなりになってしまうみたいなことがいろいろあって。そんな彼女たちの歴史と、我々の歴史と、もっと言えばその実際の1989年というのを軸にした一大個人史と巨大な歴史、近代史が絡み合う一大叙事詩『なめんなよ1989』。ハイパヨの2人、ゆかりんもチャンチャラも1989年生まれなんですよ。で、RHYMESTERも結成が1989年なんですよ。という、同じ1989年を起点としたそれぞれのものすごい熱いストーリー。特にハイパヨはもう、熱すぎる!
『なめんなよ1989 feat. hy4_4yh』
宇多丸:ちなみにハイパヨちゃんは今回の曲、初めて自作の歌詞に挑戦してもらいました。で、一緒にスタジオに入って。いろいろと、「ここはこうしたらいいんじゃないか?」とか、こうやってやりながら、練りに練り上げて一緒に作っていった作品で。ものすごい彼女たちの熱いストーリーと、そして俺たちRHYMESTERのストーリーと、もっと言えば、1989年とは世界史的にどういう年なのか、みたいな。そこまでもが浮かび上がってくるという。これまたスケールのデカい曲ができてしまいました。『なめんなよ1989』。この3曲が……ああ、もう20分になっちゃった。ヤバい!
大急ぎで言います。でね、アルバムを出すからツアーやるんだ。全国ツアー。15ヶ所、回ります。6月10日に先行抽選発売します。これ、それぞれに今回のアルバムの特性上、毎回ゲストが入って。ゲストとのセッションタイムなんかも入るっていう。今回の『Open The Window』にふさわしいライブなります。どの日にどのメンツが来るかは今、絶賛パズル中というか、組み合わせ中なんで。ちゃんと皆さん、買う段階ではわかるようになりますので。皆さん、ちょうどいいところに来ていただければと思います。
そして最後、もう1個、デカいお知らせです。行きますよ? 2024年、来年。2月16日(金)。このツアーがずっと回ってきたその流れの最後に、RHYMESTER、久しぶりに、武道館にやります。
(熊崎風斗)おおおーっ!
2024年2月16日、日本武道館公演開催
(宇多丸)詳細は追って。ツアーは西原商会さんプレゼンツ。協賛もいただいてお送りするということで。まあ、こんな感じですかね。今日、言えることはね。これ以上言うとぶっ飛ばされますんでね。
(熊崎風斗)日本武道館、熱いなー!
(宇多丸)今日発表した3曲、これからこの番組の中で宇宙初オンエアーを次々とさせていただきますので皆さん、よろしくお願いします!
<書き起こしおわり>