対馬芳昭 音楽関係者たちへの自己資金2000万円寄付を語る

対馬芳昭 音楽関係者たちへの自己資金2000万円寄付を語る INSIDE OUT

(対馬芳昭)そうですね。本当に個人でやってるものなんで、大きなものではないがゆえに、結構会話がダイレクトになされることが多くて。「今、状況はどう?」みたいな。こっちから逆によく聞いたりもするんですよ。なんだろう? それこそ僕もアーティストに聞く時に「なんだ、お前? 俺が困ってるように見えるのか?」っていう風に思われちゃったら嫌だとか思いつつも、でも、そんなことを言ってる場合じゃないし。

もう嫌われても……嫌われたら嫌われたでもう終わりだし。それまでだと思ってるし。僕はもう心配だから、結構みんなに、今まで世話になった人に「今、こういうのを立ち上げたから、よかったら……」みたいな話をすると、結構そこでラリーが始まるっていうか。そうするとやっぱりしばらく会ってなかった人に子供が生まれていたりとか。なんかこうすごい、救われるんですよね。いろんな……すごく僕のことに感謝してくれる人もいっぱいいるし。なんか自分がちょっと救われてるっていうか。

むしろなんか会話がすごい今、多くて。事務所で今、1人で。スタッフは全部、自宅なんですけど。家族以外、本当に人に会っていないんですけども。ただ、すごいみんなから逆に元気もらったりとか。

(DJ YANATAKE)うんうん。なるほど。

会話をすることで逆に元気をもらう

(対馬芳昭)そうですね。やってよかったなっていうのは、逆に僕がよかったな、みたいな感じですかね。

(DJ YANATAKE)なるほどね。そうか。そんな風に思えるの、本当にすごいな(笑)。

(対馬芳昭)でも本当、なんか家賃とかがもうヤバいみたいな人とかが、ある程度の金額を振り込んだ時に、それでとりあえず1ヶ月は安心できるじゃないですか。

(DJ YANATAKE)そうですね。

(対馬芳昭)逆に考えると、それがなくてもし、たとえば屋根のないところに……ってなってた方が、本当に僕が世話になってたし、自分がミュージシャン、アーティストになれなかった人間なので。ライブ見てて本当にいつも惚れ惚れするっていうか、そういう人たちがいっぱい周りにいて。それでそういう人たちがなんでそんな風にならなきゃいけないのか?って、もう想像するだけでそっちの方がしんどいっていうか。

(DJ YANATAKE)いやー、なるほど! すごいな。そう思えるの、本当にすごいです。でも、その話聞いて僕も勇気をもらえます。本当に。

(対馬芳昭)本当ですか。いや、そうなんですよね。だから音楽ってそういうものだから。それを自分が売ってるのに、それを自分が行動に移せない方が嫌だなっていう感じですよね。

(DJ YANATAKE)なるほど。ありがとうございます。なんかすごい……なんだろう? ピュアな気持ちがいっぱい詰まっていて、すごいな。ありがとうございます。それで、他にもいっぱい話したいことがあるんですけども、意外と時間があれなので。次の議題に。この2000万円の話は一旦、終了なんですが。なにか付け加えておきたいこと、ありますか?

(対馬芳昭)1個、あるとすれば2000万円のうちの半分は今、そういう風に使っていて。半分はこれからの音楽のためにっていうので残そうと思っていて。これはもう本当にシーンを作る……「今、チームしかない状態で。リーグがない」っていう風に僕は思っていて。Jリーグなり、ワールドカップなり、そういう敷居の高い大会がないとみんなモチベーションって上がらないし、楽しくないと思うんで。そのチームづくりじゃなくて、リーグづくりをこれからしたいなっていう風に思っていますかね。

(DJ YANATAKE)なるほど。たとえだけでもだいぶ気になりますけど。ちょっとそのへんはまたゆっくりとお願いします。それで次の議題に移らしていただきたいですけども。origami PRODUCTIONSとしてもですね、またひとつ面白い動きを先にされていて。「origami Home Sessions」というものがあるんですけど、これのご説明もお願いできますか?

origami Home Sessions

(対馬芳昭)はい。これはですね、さっきもちょっと話したんですけど、アーティストがその「ライブができない」という状況の中で唯一やれることってレコーディングしたものを売って、その売り上げで生活していくっていうことは家にいながらもどうにかできることなんですよね。で、僕らはいつも裏方でプロデューサーだったりバックバンドをやらせてもらって、いつもアーティストのシンガーさんだったりラッパーの方にお世話になっていて。そのお返しとして今、何かできないかな?っていう風に思ったんですね。

それで具体的にやったこととしては、うちのアーティストがみんな1曲ずつ持ち寄って、ネット上にあげたんですね。これはいわゆるインストデータとか、あとはアカペラのデータとかを上げて。それをダウンロードして、その上で……たとえばインストの上で歌ったり、ラップしたり自由にやって。それで好きにリリースしてその収益を自分で得て。うちにはその収益は戻す必要はないですよっていうプロジェクトですね。

(DJ YANATAKE)なるほど。これ……すごいな。今、星野源さんの「#うちで踊ろう」とかもバズッてますけども。そこにね、mabanuaさんが参加された時も「うおーっ!」と思いましたけど。

(対馬芳昭)ああ、上げてくれてましたね(笑)。

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(DJ YANATAKE)いえいえ。で、そういうのをプロダクション全体として動きでやっていらっしゃるってことですよね?

(対馬芳昭)そうですね。僕らの場合は「収益まで持っていっていいですよ」っていうのが……。

(DJ YANATAKE)そうですよね。それがすごいなと思って。だからこのトラックにラップ乗せて売っちゃっていいんですね?

(対馬芳昭)そういうことです。

(DJ YANATAKE)すごい! しかも一流のミュージシャンたちが演奏してるやつを?

(対馬芳昭)そうですね。それでパラデータも入ってて。パラっていうのはバラバラにデータが入っているので。たとえばギタリストが自分のギターを乗せたインスト曲を作りたかったら、ギターの部分だけ抜いて、その上に自分がギターを乗せたりとか。パーツだけ……mabanuaのドラムをもらって……とか、Shingo Suzukiのベースをもらって……とか。混ぜて使えるっていうのも面白いんですよね。

(DJ YANATAKE)すごい! 本当にこれはね、すごいんですよ。星野源さんも本当にいろいろ考えられていてすごい動きなんですけど。このorigami Home Sessionsもちょっと調べたらいろいろ出てくると思いますんで。ちょっとチャレンジしたいっていう人はぜひ、これチェックして損ないと思うんで。皆さん。一般の方もね、こういうことをやってるんだっていうのをね、ぜひ動きとして知っていただきたいなと思います。

(対馬芳昭)そうですね。

(DJ YANATAKE)それで、最後になってきたんですが、対馬さん的に俯瞰して今の音楽業界の現状、そして今後どうなっていくのかみたいので描いてる地図みたいなものがありますか?

(対馬芳昭)そうですね。あんまり先のことって実はそんなに考えられてなくて。どっちかっていうと何かが起きたらその場で対応、その場で対応みたいなことを積み重ねて今に至るみたいな感じなんで。まあ今回もそうだったんですけど。ただ、今後ひとつ言えるのはやっぱりこういうことが起きてしまって、これは音楽業界に限ったことじゃないと思うんですけど。みんな、もう方向転換せざるを得ないみたいな状況になってると思うので。そこでやっぱり奪い合いが始まったり、もうこの業界が終わるんじゃないかとか。

たとえば音楽業界に今いる人とかって、「娯楽はもう後回しにされるんじゃないか」とか、いろいろ不安だと思うんですけど。僕は全く真逆で。ここから、まさにそのエンターテイメントが必要とされるタイミングだと思っていて。その戦後の焼け野原みたいな時に、それぞれ、たとえば美空ひばりは歌が上手いから歌を歌って……みたいなことと一緒で。それぞれがそれぞれの持ち場にきっちり仕事をしていくっていうタイミングになってくると思うんですね。そうなると、そのクオリティーが高くないといけないというか、クオリティーが問われる時代が今度、来ると思うので。

(DJ YANATAKE)なるほど!

(対馬芳昭)音楽のレベルが今、やっと日本も世界レベルになっていくというか、元々そういう人たちが表に出れなかったっていうのもあるんですけど。本当にいい人が出れるみたいな時代が来るのかな?っていう。すごいチャンスだと思ってますね。

(DJ YANATAKE)なるほど。いや、非常に面白い意見、ありがとうございます。ちょっとね、まだまだお聞きしたかったですが、時間も迫ってきちゃって。あとひとつだけ、告知を。これ、告知されるのを対馬さんも悩まれていたんですが。僕、ちょっといろいろ決めてることあって。ラジオをいろいろやらせてもらってるですが、自粛期間が宣言されてるところ以外のものに関して、まだ中止が決まってないものは告知しようってことなんで。ぜひひとつ、告知をお願いしたいんですけども。

(対馬芳昭)はい。レーベルイベントがあって。origami PRODUCTIONSのレーベルイベント『origami SAI』っていうものなんですが。5月31日、渋谷O-EASTでやります。うちの所属アーティスト……Ovall、mabanua、Michael Kaneko、Kan Sanoなどが出るんですが。ゲストも実は出る予定が今のところあるので。また後日、発表されると思います。

(DJ YANATAKE)ありがとうございます。最後、駆け足になっちゃいましたけども対馬さん、本当に今日、ありがとうございました。また次の動きをされる時、ぜひご出演いただきたいなと思いますので。よろしくお願いします。

(対馬芳昭)よろしくお願いします。

(DJ YANATAKE)じゃあ、せっかくなんで最後もorigami PRODUCTIONSの曲を1曲、ご紹介いただいて番組を終わろうと思うのですが。最後はなににしましょうか?

(対馬芳昭)Nenashiというソウル・R&Bシンガーなんですが。フランスのヒップホップグループ、Hocus Pocusの20sylをフィーチャーした曲があるのでぜひ聞いてください。

(DJ YANATAKE)わかりました。対馬さん、今日は本当にありがとうございました。

(対馬芳昭)はい。ありがとうございました。

(DJ YANATAKE)では、最後に曲紹介をお願いします。

(対馬芳昭)はい。Nenashi『Be (Vis ta Vie) feat. 20syl from Hocus Pocus』を聞いてください。

Nenashi『Be (Vis ta Vie) feat. 20syl from Hocus Pocus』

<書き起こしおわり>

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