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プチ鹿島 新型コロナウィルス問題と情報発信を語る

プチ鹿島 新型コロナウィルス問題と情報発信を語る YBSキックス
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プチ鹿島さんが2020年3月10日放送のYBS『キックス』の中で新型コロナウィルスについてトーク。様々な「情報発信」について話していました。

(プチ鹿島)本日は先週のオープニングの続きみたいな感じですけど。今ね、このコロナウィルスでその政府の情報発信。これ、やっぱりちゃんと見ておくべきじゃないか?っていうのの続きなんですが。今日、また火曜日ですので『キックス』のために新宿駅からあずさに乗って甲府までやってくるんですけども。やっぱり新宿の駅で山日(山梨日日新聞)。ご当地ですよね。あと信濃毎日新聞も売っているわけですよ。松本方面まで行きますからね。

で、この信濃毎日新聞の本日の一面のコラム。だから山日で言うと「風林火山」。朝日新聞で言うと「天声人語」みたいな。そのコラムがすごく面白かったんです。ちょっと紹介しますね。冒頭。「自分は何でもできる。望むなら何にでもなれる。幼い時のそんな万能感は大切だ」と。万能感……まあたしかに幼い時とか、あと10代の時のね、「俺は何でもできる。私は何でもできる」とか。ちょっとイキった感じの。まあ、それはありますよね。

(海野紀恵)ありましたね。

(プチ鹿島)だからこのあとに続くのは、「万能感を失って人は大人になる」っていう。さあ、これは何のことかな?っていう。つまり大人になるっていうことは成長の過程で挫折を重ねて「できないことが多い」と知る。万能感を失って大人になるって、何のネタかなと思って次の行を読むと、「安倍首相が未成熟な人とは言わない。だが言葉を振り返れば万能感に酔っていないかと疑う」って書いてあります。

これ、いつのことを言っているんだろうか? 今のことを言ってるのかな?って思ったら、たとえば安保法制をめぐる党首討論の発言をまたここに提示してきて。あの時に首相がなんとおっしゃっていたのか。「我々が提出する法律についての説明は全く正しいと思いますよ。私は総理大臣名なんですから」って。たしかに5年前、こんなことをおっしゃっていた。

(海野紀恵)うん。

(プチ鹿島)それでさあ、このコラム。ここからですよ。今につながるんですね。「新型コロナへの対応が後手だと批判が強まると、たとえば学校の一斉休校や、中国、韓国両国からの入国制限を五月雨式に打ち出した。専門家の意見は聞かず『私の責任で判断した』と臆面もなく言う。根拠が経過は説明しない」っていうので。それで、ノンフィクション作家の保阪正康さんは「普通の政治家は反対意見とかがあれば『自分にも間違いはないか?』と立ち止まり、考えるが今の首相はなかなかそういうことはせず、『私が責任者だから』と言って対論を拒否する」という。保阪正康さんはかつて、そう評していたという。

これを見て、「その万能感からの『自分は正しい、自分の判断は正しい』ということを疑わない危なっかしさ」みたいなことを書いていて、すごい面白かったんですよ。いろんなエピソードを持ってきてるなっていう。だからこそ、先週のオープニングでも言いましたけど、議事録とかが大事なんですよね。公文書ってね。もっと言うと、政治決断をしたならば「ではなんでそういう判断をしたのか?」っていうことを速やかに説明してくれた方が僕らは納得できるじゃないですか。

政治決断したなら、速やかに説明を

でも、その速やかな説明をなかなかしないと、こちらもどんどん疑心暗鬼になる。それで不安になるという、そういう悪循環になるんじゃないか?っていう。情報発信がちゃんとしてないとね。さあ、そんな中で昨日、起きたのは「歴史的緊急事態だ」っていうことで。まあ、これに関してのその文章……緊急事態だから議事録など文書を残してこうっていう。行政文書の管理に関するガイドラインが定める「歴史的緊急事態」に今回の新型コロナウィルスの感染拡大をめぐる事態を10日も指定するということで。

これをやるとどうなるのかというと、これまで議事録とかね、そういうものを全部残さなくちゃいけないことになる。関連会議の議事録作成などが義務付けられるという。そういう判断をおっしゃいましたよね。で、これって元々、皆さんご存知ですかね? 東日本大震災の時に旧民主党政権が決定過程を記録していなかったという反省から、2012年に公文書管理法に基づく行政文書の管理に関するガイドラインっていうものに盛り込まれた。だからもう民主党だろうが自民党だろうが、やっぱりとその時のね……まあ東日本大震災でてんてこ舞いだったかもしれないけど、やっぱり議事録とか、それは残しておかないと未来の人が困りますよね。だから僕はそれは本当に思うわけ。

(海野紀恵)はい。

(プチ鹿島)ただですね、これにはミソがあって。「どこまでの記録を残すかは政府判断の余地が大きい」っていう。だから、たとえば非公式の連絡会議の内容が議事録に残されるのかどうか? たとえば首相が非公式の連絡会議っていうところで数人で決めた場合。でも、そこで大事なことを決めてしまったら、そこのプロセスは残るのかどうか?っていう。これ、「政府判断の余地が大きい」んですって。だから一歩前進したと言えば前進なんだけれども、さあ、ちゃんとしようねっていう。だから今日の各紙の社説が逆の意味で面白くてね。

たとえば朝日新聞にはこんなことが書いてます。「森友・加計学園や桜を見る会をめぐる問題など、この政権で公文書の改ざんやずさんな管理が続いてきたことを思えば一定の前進ではあろう」っていう。こんな褒められ方をしている(笑)。こんな褒められ方もあるかなと思って。昨日の宣言に対してね。それで毎日新聞の一面コラム。「文書については信用のない政権だが、危機に臨んでの意思決定の記録を約束したのはよしとすべきだろう」っていう。またこんな変な褒められ方をしているんですよ。

(海野紀恵)また低いところで……。

(プチ鹿島)そうそうそう。でも、やっぱり一番面白かったのが信毎のこのね、「自分の万能感に酔っちゃダメだよ」っていう。逆に「だからこそ『自分の責任で判断した』って臆面もなく言うんだったら、そのプロセスもちゃんと明らかにしてね」っていうのがすごく僕は読み応えがあったんですよね。で、これがまあ先週のオープニングと続くかなっていうことなんですが。

あともうひとつだけ、ちょっと追加をさせてもらうと昨日書いた原稿が今日、文春オンラインで上がっていてですね。今、結構読んでいただいてるみたいなんですが。それで何を書いたか?って言うと、政府のTwitterね。たとえば内閣官房の公式Twitterアカウントとかがもうテレビ番組を名指しで反論をし始めたという。これ、いくつかあるんですが。たとえば3月5日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』。羽鳥さん、やってますね。

Twitterで名指しで反論

そこで新型インフルエンザ等対策特別措置法にこだわった政府の狙いについて、コメンテーターの政治アナリストの方がその狙いを話していて。それは「後手に回った対応への批判を払拭するため、『これは総理主導で進んでいるんんだ』ということをアピールしたいんだ」という風に解説、もしくは自分の意見・見解を述べたら、内閣官房国際感染症対策調整室っていうのがあるんですけど。そこの公式Twitterが「法律改正をする理由はそうではありません。あらゆる事態に備えて打てる手はすべて打つという考えです」と投稿して。そのコメンテーターの言った内容を否定したっていうんですよ。

(プチ鹿島)で、菅官房長官も「いや、事実関係の誤りを指摘するのは自由な論評を阻害することではありません」っていう風に発言をしているわけですよ。でもこれ、結構怖いことだなと思って。だって、ということは「政府の公式見解が絶対だ」っていうことになるわけじゃないですか。それに対して「いや、こう思います」っていう論評ができなくなるっていうことじゃないですか。それで、ここからなんですよ。僕はやっぱり新聞の読み比べやってますから。なにか論評する、コメントするっていうことは何か、根拠や論拠があって。それで人は見立てるわけじゃないですか。実はこれまでの新聞を読むと、その論拠となる政府内部の声っていうが新聞にはぼろぼろ出ているんですね。

(海野紀恵)うんうん。

(プチ鹿島)たとえばご説明しますと、政府自民党、厚労省などからそういう声がぼろぼろ出ていて。毎日新聞3月5日の記事を読むと、「政府自民党内には『現行の特措法でも適用できる。これを使うほどの非常事態ではない』とも声もあるが、厚労省関係者は『官邸が法改正したいというので仕方がない』と話す」という。内部からの声を紹介していて。そうなると、毎日新聞は言っているわけですよ。「これは野党を引き込む道具として、官邸主導で法改正を打ち出したようだ」っていう。これも論評ですよね。

(海野紀恵)はい。

政府内部や厚労省からの声

(プチ鹿島)それで「法改正で野党の協力が得られれば、政権批判も緩むだろう」と。だって一緒に協力してるわけだから。「そして、ウィルスと戦う姿勢のアピールにもなる」という。こういう論評があるわけですよ。これ、実は民主党政権時代にできたこの特措法には対象とする疾病の条件が3つあって。そのうちのひとつに「新感染症」っていうのがあるんです。「新しい感染症が出た場合にも、この法律は適用します」っていう。「なんで今回の新型コロナウィルスに適用しないの? すればいいのに……」っていうことはずっと前から言われていたことなんですよ。

そうしたら、これは朝日新聞に載っていることなんですが。与党内からの声として「今更、『適用する』とは言えない。『なぜもっと早く適用しなかったのか?』と批判されるから」という。あとは公明党のベテランの声も載せてるわけですよ。となると当然、こういう風な証言ががあるんだったら、やっぱり「直接野党に法改正の協力を求めたっていうのは政権批判をかわすためという狙いもあるんじゃないか?」みたいな論評って成り立ちますよね? 

ところが、もっとえげつない具体的な言葉が載ってるんですよ。また公明党幹部のコメントが載ってるんですが。「法を改正しようという狙いは実態より対策のアピールが狙いだろう」っていう。自民党中堅議員も「首相が『これをやりました』と言いたいためのもの」と話すっていう。だからこういう情報、内部からの情報を読めば、政治アナリストが「総理主導で進んでいることをアピールしたいという狙いがあるんじゃないですか?」っていうコメントを出すのは自然だし、当然自由な解釈ですよね? だけど、わざわざこれを名指しで「いや、そうじゃありません」って。言ってみればお上の方から番組に指摘が来るわけですよ。

これ、なかなかちょっと怖いことかなと思うんですよね。だから「絶対的な見解がこれなんだから、他の解釈、指摘、論評はダメですよ」っていう。こういう論評、別に読売でも産経でも載ってるんですよ。いや、だからこれがちょっと不思議でね。もっと言うと、厚生労働省のTwitterもまた違う件で。またこれもモーニングショーに対してなんですけど、反論をしたんですが。ところが、その事実となるベースが間違ってたっていう、そういうギョッとする事態もあって。それでモーニングショーの本番でまた言い返されるみたいな。

(海野紀恵)うーん……。

(プチ鹿島)だからこれを見ると一方で、なにより不安なのが焦りが見えて危なっかしいんですよね。だってわざわざそれを名指しで言うっていうことは……これ、誰かに言わされてるのかな?って思っていたら、毎日新聞は「官邸の指示だ」っていう風にちゃんと書いちゃっているんですけども。やっぱりこう、ツッコミを許さない。「イーッ!」ってなっちゃうクセがまたここに出ているじゃないですか。

それで、こういう焦りが見えて危なっかしいっていうのは、逆にそういう苛立ちってこれ、野次馬案件なんだけども。「じゃあ緊急事態宣言やります!」ってそのまま、根拠もなく言われたりするとそれはこっちに跳ね返ってくるから。これはやっぱりちょっと警戒しなくちゃいけないし、「ちょっと落ち着いて、落ち着いて……」って言った方がいいと思うんですよね。

だからもう本当に、そもそもが新聞とかを見ると「政府」とか「自民党」とか「厚生労働省」のコメントが載ってるんですよ。その政府批判とまで言わないけど、身内からのそういう声が。これをもとにテレビでコメンテーターは言いますよね? 僕だって言いますよね? でもそれに対しても「いや、そんなことはないよ」っていう風にいちいち否定されたら、これはもう萎縮にもつながるし。

とんでもない牽制にもなるし。先週も言いましたけど『記者たち』っていうアメリカを僕、去年見たら。それはイラク戦争の時にアメリカのワシントンポストとかニューヨークタイムズとか大手の新聞が「イラクには大量破壊兵器がある!」っていうブッシュ大統領の言説にそのまま乗っかっていけて。それでイケイケドンドンでイラク戦争って起きたでしょう?

だけど結局、大量破壊兵器は見つからなかったじゃないですか。だからそういう大手の新聞まで行かなくても中堅の新聞がね、「いや、本当にイラクは大量破壊兵器を持ってるの?」でずっと言い続けて。コツコツコツコツ、政府のことをチェックしてたんですけど。結局、それが本当だったっていう。

映画『記者たち~衝撃と畏怖の真実~』

でも「今更、言われてもね……」っていうのがあるじゃないですか。今更、その新聞社が褒められても……っていう。その新聞社は偉かったんですよ。だからその新聞社の支局長の人が映画の中でいいセリフを言っているんですよ。「とにかく自分たちの役割っていうのは『この政府の言ってることは本当なのか? 真実なのか?』ととにかく疑うことだ。疑うのが俺たちの仕事なんだ」っていう。それはもう、自民党政権とか民主党政権とかは関係ないですよね。今が旧民主党政権だったとしても。「『それ、本当?』っていう風に疑うのが記者の仕事なんだ」って言ってるわけですよ。

それはもう全くその通りだなと思って。だからあの一斉休校。まあ「政治決断」だという。それならば「その判断のプロセスを言わないのはなんでなんですか?」とか、いちいち突っ込んでいかないとダメですよね。だから「もう国難なんだから! ほら、もうみんなで一緒に! ほら、もうそういう文句は言わない!」みたいなのは何かを隠す隠れ蓑にされちゃうだけだから。

僕はメディアはそういう態度ですべきだなと思うんですけどね。だからこういう公式Twitterで反論されたとしても、毅然としてほしいと思うんですよ。だって、そういう声が身内からあるんだから。という感じでやっぱり今週もちょっと情報発信についてしゃべってみました。プチ総論でした。

<書き起こしおわり>

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