尾崎世界観 クリープハイプのライブ延期・中止を語る

尾崎世界観 クリープハイプのライブ延期・中止を語る ACTION

尾崎世界観さんが2020年3月3日放送のTBSラジオ『ACTION』の中で新型コロナウィルスの流行により自身のバンド・クリープハイプのライブが延期・中止になっている件についてその思いを話していました。

(尾崎世界観)こんにちは。尾崎世界観です。

(幸坂理加)こんにちは。幸坂理加です。

(尾崎世界観)もうやってらんねえよ、本当に、もう……。

(幸坂理加)どうしましたか?

(尾崎世界観)ライブが……ライブがもう延期になったりして。

(幸坂理加)ええ、コロナの影響ですね。

(尾崎世界観)本当に……街を歩いていて小雨の時に傘をさしたいんだけど周りの人がさしていないとさしづらいっていう、あの感じ。あの感じがする。なんかね、自分は濡れたくないなと思ってるんだけど、ここでさしたら恥ずかしいと思われるのかな、みたいなね。そういうね感じがするんですよね。本当に。まあ、日常あってこそのエンタメっていうのは分かるんですけどね。健康と安全が確保された上で芸術を楽しむというのは理解できるんですけど。やっぱり……誰が悪いというわけではないけど、本心としてはね、やっぱり正直に言うとね、やりたいですよ。うん。嫌だ。延期にしたくないし、中止にしたくない。で、こういうことを言うことも変な感じじゃないですか、今。

(幸坂理加)今ね。

「ライブをしたい」と言えない空気

(尾崎世界観)だから、まあ結果的にクリープハイプっていう僕がやってるバンドはライブをずっと延期にしているし。あと台湾公演ね。この番組でもずっとプロジェクトで進めてきた初めての海外、台湾公演も……ええと、もう言っちゃうけど。まだ発表してないんですけど、中止になるんですよ。それはね、すごく悔しいですね、本当に。で、その中止にしたり延期にしたりはしてるけど、「ああ、悔しい!」とか「やっぱりやりたい!」とかも言っちゃいけない空気でしょう? それは、言いますよ。

やっぱり結果的に悔しい、苦渋の決断をしているけども、なんでそういう決断をしたのか。どういう気持ちで決断したのかっていうのはやっぱり言っていいと思うんですよ。で、チケットを持っていて楽しみにしていた人も、なんとなくね、我慢しなきゃいけない空気になってると思うんですけど。「行きたかった」って言えばいいと思うし。「見たい」っていう。そしたらね、そのアーティストも「ああ、そういうことがあるならやっぱり会場は取れないけど、頑張ってやろうかな」と思うかもしれないし。それで本当に会場が今、取れなくてね。オリンピックもあると思うんですけど。

ライブ会場が取れない

特にデカい会場、見てもらえば分かると思うんですけど。アリーナクラスはね、ほとんど延期じゃなくて中止になっちゃうんですね。あと僕らみたいなちっちゃな事務所、個人事務所の人たちっていうのはなかなかね、会場も抑えられないですよ。だから本当に苦労して今回の幕張メッセと大阪城ホールっていう一番大きな会場を後半で。最後、セミファイナルとファイナルで2本あるんですけど。その2本の会場を取るのにかなり苦労して。それで大阪城ホールなんて2年以上前から決まっていて。

で、どうやってそのデカい1万人キャパを埋めていくのか?っていうことでちょっとずつ、「このタイミングで発表して……」とかって、いろんな段取りを整えてやってきて。チケットも売り切れて……本当にね、支えだったですよね。そのチケットが幕張メッセもそうだけど、これだけのチケット。今まで売ったことない数のチケットですよ。いろんなつらいこととかがあっても「これだけチケットが売れてる。これだけ未来にかけてくれているお客さんがいるんだ」っていうのを支えにね。

だからもうエゴサーチ禁止されてるけど、この『ACTION』のでも「火曜日がつまんないから変わってくれないかな?」みたいなツイートとかを見つけた時にもね、「クソッ!」って思うけど。「いや、でも俺はこれだけチケットが売れてるライブがあるぞ!」っていうことを支えに頑張ってきたんですけどね。

だからまだね、その幕張メッセと大阪城ホールは分からないんですけど。やっぱりね、やりたいしね。「やりたい」って言っていかなきゃダメですね。これね。中止にしたらだって本当……事務所が潰れますよ。会場費とかがどうなるかっていうことだけじゃなくて、その払い戻しする手数料とかもね、すごい莫大なお金になるんですよ。何万人ってなってくると。

だからね、本当に単純にそのエンタメ業界で仕事をしてる人、いっぱいいますからね。やっぱりどうしても「楽しませる」っていうイメージがあるから、楽しいイメージで。仕事っていうところにね、簡単には結びつかないと思うんですけど。本当に出番直前まですごくシビアにね、頑張って準備して。いろんなことを考えてやっていく中でライブが始まったら楽しくやりますけども。やっぱりね、なかなか裏側を見せることがないから、そこを理解はしてもらえないとは思うんですけども、ものすごい数の人が仕事を失っているし。

ものすごい数の人が仕事を失っている

それで傘をさすのと一緒で、やっぱりそのライブのスタッフさんって大勢いると思うんですけど。なんとなくこう、「じゃあ、いいですよ。ギャラはいりませんよ」とかね、そのライブ会場の人とかも「今、こういう時期ですからお金は大丈夫ですよ」って言わざるをえない空気になってきますよね。だから、そこもね、本当に難しいところで。うーん……だから誰が悪いってわけじゃないんですけど、確実に苦しい人が増えてます。で、もちろんそのウィルスがね、流行して大変な思いをしている方もいるから。そっちもすごく大変だし。

だから、どういう落とし所を見つけたらいいのか、わかんないんだけど。うん。スポーツとかはね、まだ無観客で試合をしたりできるじゃないですか。で、プロ野球のオープン戦も始まって見ていたりしたんですけど。まあそれはそれですごく普段聞こえない音が聞こえたり、ベンチの声が聞こえたり、打球音だったり、そういうのが聞こえていいなと思うんですけど。

相撲も無観客になって。でもああいうのは相手がいるじゃないですか。やっぱりその悔しさとか虚しさというものを試合で、その勝負を通して晴らせたりすると思うんですけど。このライブとかそういうものはね、どこに向けていいのかわかんないんですよね。だから謝ることしかできないのが情けないし。

改めて、やっぱり無力だなってこういう時に思い知らされたんですけどね。ただやっぱりその、本当にさっきも言いましたけど。その思いっていうものはどんどん発信してもいいと思うし。言ったってしょうがないんですけど。でも単純に何も言わないで「中止になりました。延期になりました」って言うのと、「中止にしたくなかったし、納得できないけど中止しました」って言うのはね、子供じみてるとは思うんですけど。そういう、自分の内側にある思いまでも消す必要はないんじゃないかなと本当に思いますね。あとね、ライブとかに関しては生配信しているアーティストもね、結構いますよね。

アーティストの実力の差が出る

だからああいう時にやっぱり実力の差が出てきますよね。本当にすぐフットワーク軽く「じゃあ、配信しましょう」って言ってそこで配信して見せられる人たちっていうのはやっぱり実力がある人たちですよね。そこで早く行動できるっていうのはすごくいいことだと思うし。ただやっぱりね、その配信と生のライブは全然違うものだし。

そう。だからその行動力とその勇気はすごく羨ましいなとも思うけど。やっぱり自分が見せたいのはそうではないですね。やっぱりライブをしたい。本当にあの空間……やっぱりある程度閉じた空間。自分たちのことを好きでいてくれて、チケットを取ってくれて、楽しみに待ってくれていた人に届けるということを今、本当にやりたいし。もしこれでやれたらね、もっと頑張るだろうなと。

もうそんなの、こうなる前から思っておけよっていう話なんですけど。そうだな。もっとやれることがあったなと今更ながらながら思ったりするんで。早くね、もう一刻でも早く、日常が戻って楽しくライブしたいなと思いますね。何か思うこと、あります? このムードに対して。

(幸坂理加)いや、そうですね。もう日々状況が変わっていくので。本当にね、心配が続きますよね。

(尾崎世界観)だからライブを強行してやって、なんか批判されているアーティストの方もいますけど。でも、わかんないですよね。もうそれが正解かもしれないし。今後、今は様子を見てるけど、もっとひどくなっていって、もっとやりづらくなるかもしれないから。「あの時にやっていた方がよかった」ってなるかもしれないし。こればっかりは何とも言えないので。うん。まあでもね、延期・中止になってない公演に関してはまだ諦めてもいないし。もうやれた時には全力でやりたいなと思っています。で、こういう時にやっぱりラジオは強いと思うので、楽しくやりたいですね。

<書き起こしおわり>

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