宮藤官九郎さんがTBSラジオ『ACTION』の中で2020年のお正月に帰省した際の模様をトーク。同級生たちと訪れた故郷のスナックで天野春子『潮騒のメモリー』の魅力を再確認した話をしていました。
(宮藤官九郎)でね、この幸坂さんが真面目に働いてる間にですね、私は1月2日に東京でライブがあって、その後に地元に帰省しました。宮城に……幸坂さんが訪ねてくださいました私の文房具。文具センタークドウの方に。その節はありがとうございました。
(幸坂理加)いえいえ、こちらこそ。ありがとうございました。素敵なお母様で。
(宮藤官九郎)やっぱり去年の十大ニュースにはさかなクンと幸坂さんが入ってました(笑)。
(幸坂理加)やったー! 入れてもらったんですね(笑)。
(宮藤官九郎)そんなわけで行ったんですけど。で、地元の友達がね……中学の友達が「新年会やってるから、もし良かったら顔を出してくれ」と言われて行ったんですよ。そしたら10人ぐらいいらっしゃるっていて。で、中学の同級生だから全員49。今年50になる人たちなんですけど。で、女子が2人いたのかな? それでいろいろと人生のいろんなことを聞いて。まあ基本的にはもうみんな歳を取って、いろいろガタが来てるっていう話。あとは子供が言うこと聞かない話。あとは離婚したとか、そうかと思えばまだ結婚もしてなかったみたいな、いろんな人生の話を聞いたんですけど。その中で1人、いい歳してね、体をすごい鍛えて。ジムに通って。TBSの『SASUKE』に出るっていう目標を掲げてずっと筋トレをしていた人がいて。で、その彼が一昨年かな? 『SASUKE』に出たんですよ、実は。あの緑山の収録に。
(幸坂理加)ええっ? はい。
同級生が『SASUKE』出場
(宮藤官九郎)それで「出る」っていう話を聞いて。「宮藤、もし東京にいて暇だったら緑山まで応援に来てくれないかな? 来れたらでいいんだけど」みたいなメールをくれたんですけど。それで俺は「行けたら行く」って……まあだいたい「行けたら行く」っていうのは「行かない」っていうことじゃないですか。東北でもだいたいそうなんですよ。で、「行けたら行く」っていうのをメールしたんですよ。そしたら、向こうは俺の同級生だっていうことをたぶん面接とか書類の時点で言ってたんだね。
で、もうスタッフさんも「宮藤官九郎さんの同級生なんですよね? あのすごいですね!」って。まあ、どういう意味で「すごい」なのかわかんないけど。「いい歳してよく鍛えましたね」なのかよくわからないけども。とにかく行って最初の……まあ俺も『SASUKE』、最近ちゃんと見てないからわかんないんですけど。最初のやつの競技の時までずっとカメラマンとかディレクターに横で「宮藤さん、来てるんですか? 宮藤さんっていついらっしゃるんですか? もう来てるんですよね? 来てます? 来るんですか?」ってずーっと言われていたらしいの。だけど本人は「来れたら来てね」ぐらいだし、こっちも「行けたら行く」だから。
それは「行く必要ない」ぐらいに思っていたんですよ、俺は。なんだけど、向こうはあんまりにも言われるから「たぶん来ないと思います!」「えっ、どうなんですか? 実際のところ、どうなんですか? 本当に同級生なんですか? 来てるんですか? いつ来るんですか?……はい、ピーン!」みたいな感じで(笑)。で、なんかつかまらなきゃいけないみたいな。それでやっぱり当然のごとく一回戦でダメで。しかも宮藤さんが来てなかったがために、オンエアーすらされなかったらしいんですよ。
(幸坂理加)ええーっ、そんなことがあるんですか?
(宮藤官九郎)そういう話を聞かされて、本当に悪いことをしたなと思って。だったら「ぜひ来てくれ!」って言ってくれたら行ったのになって。で、その彼がなんか知らないけど何回も今、筋肉がどういう状態かを脱いで……個室だったんですけど、すげえ見せるんですよ。
(幸坂理加)見せたくなるんですよ。鍛えていたらね。
(宮藤官九郎)腹筋が割れているとか、胸筋、胸板がすごいとか。で、おばさんも2人いて、男も50手前のおっさんたちがそれ見ていると、だいたいその裸になった時に限ってガラガラッて開いて「すいません、ハイボールお待たせしました」って(笑)。もう店員さんが来るたびにその人が裸で。もう本当に申し訳ないことをしたなって。で、何回も振れば振っただけ脱いでくれるんで。それでなんとなく「2軒目に行こうか」みたいになって。「じゃあ、ちょっと地元の先輩がやってるスナックに行こう」っていう。「先輩がやってるスナック」っていうところがまたいいですよね(笑)。
(幸坂理加)いいですねー!
(宮藤官九郎)「田舎に帰ってきたな!」って思いますよね。で、そこに行ったら友達がグループ魂の『竹内力』を歌い出して。「これをカラオケで歌うと、俺にいくらか入るんだね」なんて話をしていたら「じゃあ今日は宮藤が作った歌だけをどんどん入れていこう!」みたいなので俺が作詞した曲をどんどん入れられるんだけど、ほとんど歌ったことがないから(笑)。
だけど一生懸命頑張って「暦の上ではディセンバー♪」とか頑張って歌いましたよ! で、最後にその一緒に行った女子の片方の人が「じゃあ、私あれを歌う!」って言って『潮騒のメモリー』を歌ったですよ。で、「おおっ、『潮騒のメモリー』だ!」って。「来てよ、その火を飛び越えて♪」って来て、おっさんたちが「イエーイ!」って言った時のその自分が今、ドラマのでんでんさんになっているような気がして(笑)。
(幸坂理加)アハハハハハハハハッ!
スナック・リアスにいるような気分に
(宮藤官九郎)「俺、今でんでんさんっぽいな」とか。「もう客観的に見たらあのドラマのリアスにいた荒川良々くんと杉本哲太さんと吹越満さんとでんでんさんみたいになっているな!」って思って。よく見たら本当に1人、郵便局員もいたりして。駅員こそいなかったけど。「よくよく考えたら完全に今、『あまちゃん』だな!」って思って。「歌っているのもたぶん春子さんだな」とか思って。
(幸坂理加)へー!(笑)。
(宮藤官九郎)「ああ、なんか『あまちゃん』が一周して俺のところに帰ってきたな」みたいな。
(幸坂理加)でも楽しそう!
(宮藤官九郎)そんな感じになりましたね。で、あの曲はやっぱりああいうスナックで歌うようにアレンジしてあるんだってことが分かったんですよ。
(幸坂理加)ああ、そうですか?
(宮藤官九郎)「来てよ、その火を飛び越えて♪」って始まるんだけど。サビ始まりでAメロがあって、Bメロがあって、もう1回サビで「来てよ、その火を……」って来るんですけど、そこでリズムが違うんですよね。ちょっとビートになっているんですよ。だから「「来てよ、その火を……」のところで「ハイッ! ハイッ!」って掛け声を言えるんですよ。1回目のサビでは言えないんだけど。
(幸坂理加)ええっ、聞きたいです!
(宮藤官九郎)聞きましょうか。じゃあ、天野春子さんで『潮騒のメモリー』を聞きましょう。
天野春子『潮騒のメモリー』
(宮藤官九郎)(サビで)ハイッ! ハイッ! ねえ、ここから入れるんですよ!
(幸坂理加)ここかー!(笑)。
(宮藤官九郎)ここから参加できるっていうことに初めてカラオケに気がついて。やっぱりカラオケに行かないからわかんないじゃないですか。だけど、大友さんはもしかしたらそこまで想定して作っていたのかもって思って。この歌をスナックで歌うっていうことを……それもしかも半年間、歌い続けるわけじゃないですか。
天野春子がスナックで。それでアキも歌って……とかって考えたらこの「来てよ……」でリズムが「ハイッ! ハイッ!」ってなれる、掛け声をかけられるようにって作ったんだということを1月3日の午前2時頃にですね、気がついて。「すごい! 大友さん、すごい!」って思って。いや、それが今年の正月でした。ありがとうございました。お邪魔しました、すいません。ありがとうございました(笑)。
(幸坂理加)いい曲です(笑)。
<書き起こしおわり>