R-指定 KBD『イルゴリラシティー』を語る

R-指定 KBD『イルゴリラシティー』を語る Creepy Nutsのオールナイトニッポン0

R-指定さんが2020年2月11日放送のニッポン放送『Creepy Nutsのオールナイトニッポン0』の中でKBD『イルゴリラシティー』を紹介していました。

(DJ松永)じゃあ、日本語ラック紹介コーナーにまいります。

(R-指定)はい。今日紹介したいのはですね、KBDというラッパーです。これもね、また梅田サイファーのメンツなんですが、このKBDが最近、『PLANET OF KBD』というアルバムを出しました。これはね、単純にこのアルバム、ファーストアルバムなんですけど、コンセプトアルバムなんですよ。

(DJ松永)おおーっ!

(R-指定)KBDというラッパーがよく「ゴリラ」というようないじりをいろんな人からされるんですよ。体、ゴツいしね。

(DJ松永)そうだね。

(R-指定)背もデカいし。で、自分でも結構ゴリラ的なラップをするんですよね。内容的にも。で、それに乗っかったような形で……だいたいね、ファーストアルバムってラッパーは結構人生を全部詰め込んだみたいなアルバムを出すんよ。なのにKBDさんは「自分がゴリラだ」というテイでラップをする、妙なアルバムを作ったんですよ。

(DJ松永)ああ、ほぼフィクションっていうこと?

(R-指定)そう。ほぼフィクション。でもその中に実際のKBDさんの話も混じっているんだけど、基本的に1曲目で謎の小芝居が始まって。ラップするゴリラが見世物小屋から飛び出して街に飛び出すっていうストーリー。で、いろんな曲が続くんやけど、全曲の後にその小芝居……抜け出したゴリラがどうなっていくのかのストーリーが挟まれているの。

で、これは単にそういう面白いテイを取っているだけじゃなくて、このアルバムははっきり言って『BEASTARS』です。『BEASTARS』という板垣巴留さんが書いているすごい面白い漫画があるんですけど。それは肉食獣と草食獣の世界を青春ドラマにすることによって、より人間社会にある人種間の緊張とか、男女間の悲喜こもごもが人間のテイを取るよりも動物にすることによって浮き彫りになってくるんですよ。

板垣巴留『BEASTARS』のような作品

(DJ松永)なるほどね。

(R-指定)というような、これはアルバムのタイトル自体も『PLANET OF KBD』ということで。これ、『『PLANET OF THE APES(猿の惑星)』のサンプリングなんですよね。だから、動物に置き換えることによって『猿の惑星』も人種差別の問題を浮き彫りにしたんですよね。なのでこれ、ふざけたアルバムのように見えて、このKBDのアルバムは結構ちゃんと……「檻から脱走する」っていうのは大阪のアメ村のシーンでやっていたKBDという1人のラッパーがそこを抜け出して日本全国にリリースをしていくということ。ゴリラという風にいじられていたラッパーが全国にリリースして打って出るぞという、そんな自分とかけ合わせているわけですよ。

(DJ松永)なるほどね。

(R-指定)狭い村から飛び出して、みなさん、リスナーの耳にお届けしますよっていう。で、そういうストーリーのアルバムで。今日、紹介したい曲がこのアルバムの中の『イルゴリラシティー』っていう曲なんですね。この『イルゴリラシティー』、まさに映画で言うと『猿の惑星 征服』でございます。知能を持ったゴリラが人間社会を支配するという曲です。聞いてください(笑)。

(DJ松永)フフフ、どういうことよ?(笑)。

KBD『イルゴリラシティー』

(R-指定)最後のオチのフレーズ、聞きました? 「育て上げる未来の風雲児 レイシストに投げるミラノ風ウンチ」っていう(笑)。

(DJ松永)聞いたことねえよ(笑)。

(R-指定)これ、KBDさんはもう韻がアホ! このアルバムね、「韻ってこんなに笑えるんや」っていうのも教えてくれます。でもこれ、ホンマにすごいのが3バース目で知能を持ったゴリラがForbesの表紙を飾っているんですよ。でも仲間は標的。猿の軍団はまだ社会の病原菌扱いされている。ふざけんな、チェンジザ・ゲーム。バスに乗ろうとしたって席がない。アパルトヘイト状態という。まだ人間社会に差別を受けている。だからゴリラの古武道、KBDさんは国語、数学、体育に理科、社会、この嗅覚でチャンスを逃さない 鬼に金棒、俺らにインテリジェンスということで。知能を持って未来の風雲児を育て上げるんです。で、差別してくるレイシストにミラノ風ウンチを投げつけるという曲でした(笑)。

(DJ松永)フフフ(笑)。

(R-指定)KBDで『イルゴリラシティー』でした(笑)。

(DJ松永)最悪(笑)。

<書き起こしおわり>

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